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24時間耐久戦(上)

罰ゲーム執行当日朝7時50分。ライトノベル学園正門前に、3人の少年が集まっていた。
「おはようございまーす」
平賀才人が挨拶し、
「「おはようございまーす」」
上条当麻・草壁桜の両名が返す。三人とも少し元気がない。これからのことを考えれば当然とも言えるが。
「というわけで、後もう少しで罰ゲームが始まるわけだけど」
「ちょっと待て平賀。何で普通に始めてる。というかなんでここにいるんだ」
上条の突っ込みに、
「昨日の説明会で言ってなかったっけ? 俺も覗きの罰としてこの企画に参加することになったの。進行役として。
俺だけじゃなく覗きに参加したやつらは何かしらここで働かされてるよ」
「そうか。……何でお前らは叩かれなくて済んで無実の罪で俺が叩かれるんだよ! おかしいだろ! お前らもこっちに来い!!」
「上条。今のはルール上アウトになるから気をつけろ」
「なっ!?」
「ハァ……」
桜のため息が朝の空気に溶ける。平賀が最後の説明を始める。
「もう一回簡単にルール説明をするぞ。一つ、君たち二人はこれから24時間の間俺や放送の指示に従って生活してもらう。
二つ、その間、何が起こっても絶対に反応してはならない。三つ、もし反応したら、その場でキツい罰が執行される。以上。」
「ああ、昨日散々聞かされたぞ」
投げやりな上条。だが、
「昨日連絡し忘れたってことだったけど、この罰ゲーム、録画されるから」
「はあっ!?」
「ええっ!?」
この言葉には上条も桜も驚いた。
「えっ、ちょ、ちょっとなんでですか!?」
食いつく桜に、平賀は彼自身も嫌そうに返す。
「俺だって嫌なんだけどさ。これを映像化され公開することでさらし者にする、ということらしい。上条がさっき
文句言ってたけど、さらし者にされるってことでは俺たちも一緒なんだよ。覗き組じゃない仕掛け人もいるけど。
もうこのシーンもどこからか気づかれないように録画されてると思う」
「だからって納得はできねぇぞ。俺らが特に痛い目にあうのは変わらねーんだから」
上条の突っ込みに、平賀が答える。
「あ、もう始まるから、スタート位置に立って」
「お前無視スンナ裏切りか!?」
上条の叫びは無視された。

スタート地点に立った二人。
「罰ゲーム、……スタート!」
平賀の言葉とともに学園に時計台の針が八時ちょうどを指し示した。24時間の罰ゲームの始まりである。
「始まった……。行くぞ桜」
「ええ、もう行くしかないんです、よね」
二人は顔を見合わせ、最初の一歩を踏み出し、正門をくぐった。

同時に、物凄い爆発音がして、校旗が掲げられていた掲揚塔が、ロケットになって飛んで行った。
「……………………」

デデ~ン♪ と、判定音が鳴る。
「「………えっ?」」
ここで二人はようやく言葉を発した。やっと脳の理解が追いついたのだ。

「上条、草壁、アウト」

「いやちょっとまって! 何あれ!? というかアウトって何!?」
「…うわっ!」
桜が叫び、上条が驚く。いつの間にか後ろに全身黒タイツの影が飛び出してきていたのだ。
次の瞬間、二つの影は棒のようなものを振り上げ、二人の尻を思いっきりシバいた。
「あ痛っ!」「ああっ!」
「えーと、今のは……罰ゲームの始まりを告げる巨大なピストル、……だってさ。」
半ば呆れながら、それでも進行役の仕事として、平賀が解説する。
「痛い、これすっごく痛い!」
「ああ、半端じゃねーぞこれは……」
二人は耳に入っているのかいないのか、お尻をさする。
「んじゃ行くぞ……あ」
平賀が先へ行こうとして立ち止まる。
「この学園、よりよい人材を集めようってことで宣伝用の看板を屋上に設置したんだって。ほら」
屋上を指差す。つられて二人も上を見上げる。

「ようこそライトノベル学園へ」の文字が看板の右側に書かれており、その隣でキースが微笑を浮かべ、なぜか
上半身裸で両手を広げ、受け入れ態勢を取っていた。

「上条、草壁、アウト」

半笑いになりながら桜が叫ぶ。
「ちょっとまって……。あの人確かこの学園の変態四天王に選ばれた人だよねぇ!? 何であの人を起用したの!?」
「それ以前になんで上半身裸なんだよあれじゃますます変態ばっか『バシッ!』あづっ!!」

「キース・ダメージ」から回復し、何とか歩みを再開した二人。と、誰かが後ろから歩いてくる気配があった。
振り返って見ると、一人の女子生徒が登校してきていた。
その女子生徒は、顔がとても険しかった。
その女子生徒は、体の線がとても細かった。針金のように細かった。
その女子生徒は、頭が真っ白――白髪の頭を持っていた。
その女子生徒は、胸に「鈴科」と名札をつけていた。

「彼女はこの学園のマドンナの『鈴科百合子』さんです。……美人、でしょ……」
平賀が「彼女」と目を合わせないようにしながら(いやいや)解説をするが、もう二人の耳には入っていなかった。

「上条、草壁、アウト」

「……ってあの人男でしょ! 僕一回あの人に生身レーザー食らわされたんですよ! なんであんな『バシッ!』あぁおっ!」
「つーかあいつよく許可したよな、っておい!」
『鈴科百合子』に校舎裏へ引きずられていく上条。やがて校舎裏から叫び声が聞こえてきた。
「何、お前が罰執行役!? だからなのか!? おいちょっと待てお前絶対殺す気だろ罰は尻にってルールなんだよ!
つーか男にミニスカハイキックされたって嬉しくも何ともねえし正直言って吐きます!」

開始数分で結構なダメージを追った体を引きずりながら校舎へと向かう二人。と、前方で学生たちがもめている
のに出くわした。一人がもう一人に絡み、三人目が絡まれてる奴を守っているようだ。
二人は近づいていった。そして気づいた。

…………絡まれている生徒は、この学校での役職がいまだに不明な、大城・一夫氏であった。学ランが全く似合って
ない。というか、いつもの怪しさを余計に増している。

必死に顔に力をこめて、なんでもない風をよそおう二人。そんな二人の前で、話は進行する。
一人の生徒が、大城の胸倉をつかみあげ、怒鳴る。
「おい武者小路実篤!! お前最近なんで部活に来ねーんだよ! かつての一所懸命なお前はどこ行ったんだよ!!」
「……プッ」
「…………ハハッ」

「草壁、上条、アウト」

「いや笑いますよ! 何なんですか武者小路実篤って! 役名!? 似合ってなさ過ぎですよそれが狙いですか!?」
「つーか何なんだよこの小芝居……」
ここで三人目が割って入る。
「ちょっと待てよ! 武者小路実篤は、奥さんに先立たれてから、悲しさのあまりエロゲーばっかりやってたんだよ!」
「そうなのか、武者小路実篤」
「…………そうじゃ」
「それなら、仕方ないな。悪かった武者小路実篤。行こう」
走り去って行く三人。遅れる武者小路実篤。
「遅いよ武者小路実篤! 早く来いよ!」
やがて三人は見えなくなった。

「……フフハハハハハハ」
「もーだめ。もー耐えられません」

「草壁、上条、アウト」

「武者小路実篤ってのが、じわじわと来た……」
「つーか、突っ込みどころが多すぎるだろ。何であっさり許してんだよ」


やっと昇降口が見えてきた。と、入り口のすぐ横に見慣れないものがある。何かの銅像のようだ。
こんなものは昨日までなかった。明らかに怪しい。二人は気合を入れてそれに近づき、
そして、見た。

「この銅像は、吉日市を守った変態界の英雄、川平啓太を祭った、その名もズバリ『裸王象』です」
平賀が棒読みであることを隠しもせずに説明したその像は、どう見てもペンキを塗られた川平啓太その人だった。
しかも全裸で。股間には神々しいまでの象さんが

「上条、草壁、アウト」

「お前、本当に何してんの?」
「啓太さん、大丈夫ですか?」
「上条に草壁、だっけ? 何も言うな。ようこにばれたらこうなったんだ。女の子からは総スカンだし。お前らも女と
付き合うんだったらこれくらい覚悟したほうがいいぞ……。つーか早く行ってくれ。そうすりゃ俺は役目終わって帰れるんだ」
「そうか……。じゃあ、な」
「啓太さん……。あなたも大変ですね」
「お前らもガンバレよ」


 ライトノベル学園中等部の校舎。
ようやっとの思いで教室にたどり着いた桜。いつもはクラスメイトと話したりするのだが、今日は既に体力を
使いきり、すぐに机に突っ伏した。そのまま朝のSHRも過ごした。そのため、気づかなかった。
一時間目の授業が始まった。
「んじゃ出席を取るぞー」
先生が出席を取り出す。桜は今くらいは起きてようと起き上がり、返事をし、後はボーっとしていた。
 そのため、もろに不意を突かれた。

「武者小路実篤」
「はい」
先ほど小芝居を繰り広げていた武者小路実篤(大城・一夫)が、いつの間にか教室にいた。しっかり机と椅子もあった。
「何でいるんですかーーー!!」
そのツッコミはもはや脊髄反射の域であった。
「草壁、アウト」
(これは本気でキツいぞ……。上条君は大丈夫かな?)


一限終了後のライトノベル学園高等部普通科校舎。
 上条は廊下の窓から外を見ていた。いや、ボーっとしていた。
 授業が頭に入らないのはいつものことだが、今回はそれに加え罰ゲームのことがある。お尻の痛みと次の仕掛けへ
の恐怖で、頭は埋め尽くされていた。
(不幸、か……。今まで乱用してたな……。これこそ真の不幸だ! 俺は濡れ衣なんだぞ! フラグだって……)
「ふふふふふんふん、ふふふふふんふん、ふふふふふんふん、ふふふふふんふん……」
思考は鼻歌によって遮られた。女性の声だ。スキップをしながら近づいてくる。上条は何も考えず視線を廊下に移し、
 そして、見た。

「いやー、やっぱり高校生活って楽しいわねー! この制服も可愛いー!」
心の底から楽しんでいるとわかる声を上げ、小さめの制服を着た(ボディラインがはっきりと見えることからわかる)、
どう見ても現役ではないムチムチのお姉さんが目の前を通過していった。

「上条、アウト」

上条は断末魔の悲鳴を上げた。
「高須ーー!! お前の母親が来てるぞしかもコスプレしてーー!! 至急取り押さえてくれ頼むーーー!!」


CAST

  • とある魔術の禁書目録
上条当麻


  • 撲殺天使ドクロちゃん
草壁桜

  • ゼロの使い魔
平賀才人

  • 魔術士オーフェン
キース・ロイヤル

  • 本人の名誉のため伏せさせて頂きます
鈴科百合子

  • 終わりのクロニクル
大城・一夫

  • いぬかみっ!
川平啓太

  • とらドラ!
高須泰子

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最終更新:2007年12月09日 22:47
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