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**5話 《偽典・八戸のぶなが物語5》 コーチに命じられるまま八戸少年はマウンド上からキャッチャーミットめがけてボールを全力で投げた。 --ズハババンッッッ!!!! 「こ、これは!」 練習の活気に満ちていたグラウンドは一瞬にして静寂に包まれ、コーチの顔色が一変した。 「八戸!もう一回投げてみろ!」 コーチの命に従い、八戸はもう一度渾身のストレートをミットめがけて投げ込んだ。 --ズババババンンッッッッ!!! 見守るチームメイトの一人が独り言のように呟いた。 「…すっげえ…」 「これは…ジャイロボールだ…」 震える声でコーチが言った。 --この日から八戸少年の運命は一変した。 そう、八戸少年はプロ野球界にもごくわずかしかいないジャイロボーラーだったのだ。 弾丸と同じ回転を有するジャイロボールは、通常のストレートと比べて手元で抜群の伸びを誇り、 それを投げられるということはそれだけで野球をやる上で 他人よりも一段階も二段階も優位にあると言えるのだった。 八戸少年はすぐにチームのピッチャーに抜てきされた。 始めは体力不足が顕著だったのでリリーフとして、 しかしやがて体力も充分につきエースへとなった。 練習試合でも、公式戦でも、八戸のストレートに触れられる打者はいなかった。 県下の強豪中学からスカウトが来るような六年生の有名スラッガーでさえ 八戸の前では巨大な扇風機も同然だった。 八戸少年はマウンドに登場したその日から、次々と三振の山を築いていった。 それは公式大会に出場した後も変わらなかった。 そして-- 野球のボールにはじめて触れてからわずかに半年後。 少年野球全国大会決勝戦のマウンドには、 優勝チームのエースとしてチームメイトから胴上げされる八戸のぶなが少年の姿があった--

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