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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 迷走

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

迷走

最終更新:2010年03月01日 17:17

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だれでも歓迎! 編集

迷走  ◆aAwQuafMA2


 リルルとネス、ふたりのおにごっこゲームは、見渡しがよく障害物の少ない低難度コースから、
障害物の多く視界の悪い高難度コースへと舞台を移していた。
 森の中の木々の合間を縫うように、ピンクの髪をなびかせた全裸の少女と立て札を掲げた少年は、追いかけっこを続けている。
 リルルの放った電撃をガードし続けていたネスの立て札は、ますます焦げてかすれ、そろそろ耐久の限界に近づいていた。
 ちなみに、残った字のうち「る」の下方は消えかけ、「ず」の濁点含めた右肩部分は焦げつき、
ますますもって「ころす」としか読めなくなっている。

 ネスは焦る。
 相手は女の子一人抱えていながら、まるで疲れを知らないかのように駆け回っている。
対してネスは、結構疲れてきた。現に、二人の間の距離は徐々に広がってきている。
 このままでは埒が明かない。
 そう判断して、ネスは精神を集中させた。多少のPP消費はしょうがない。
 軽く助走をつけ――――

「――――テレポート!」

 PSI―――超能力と呼ばれる力。
 その使い方はさまざまで、相手にダメージを与えることも、ケガを治すこともできる。
 物理的な距離など、様々な抵抗要因を無視して、ある地点に瞬時に移動することも。

 ネスは、リルルの目の前に一瞬で移動した。
 物理法則を無視した瞬間移動に吃驚して、リルルの足が止まる。
 通せん坊をするように立ち塞がり、ネスは問いかけた。
「キミは、ギーグの手下なの?」
「…………」
 じり、と一歩後ずさりながら、リルルは渋々口を開く。
「……ギーグというロボットは知らないわ」
 ネスが怪訝そうな顔をする。
「ロボット?」
 ネスは首をかしげる。
「ギーグがロボットってのは本当?」
「ええ――――」
 リルルはネスの言葉もろくに聞かないまま頷いてみせ――そのまま頭を深く下げてしゃがみこむ。
 背に負ったランドセルの蓋がかぱっと翻り、中から滑り出てきたのは――物騒な火器と、人脂に曇った日本刀。
(サトシ君みたいに電撃に耐性があったり、うっかりこわしてしまうわけにはいかないから、
動けないようにだけさせてもらうわ)
 リルルは左手を伸ばして素早く柄を掴み取り、下段からネスの脛を薙ごうとする。
 ドッジボールのセオリーにもあるが、上半身への攻撃に比べ、足への攻撃は意外と避けにくい。
 ネスは刃の閃きを目にし、ぎゅっと目を瞑る。
 長曾禰虎徹の閃きがネスの脛を咬もうとする。次の瞬間には、膝から下を喪ったネスが尻餅をついて転倒し、
リルルの勝ちが決定するはずだ。――――ネスがふつうの少年であったならば。


「PK・キアイ!!」

 強烈な衝撃が、リルルの左腕を弾いた。
「キャアッ!?」
 そのまま素直に吹っ飛ばされていれば、怪我はまだ打ち身程度で済んだかもしれない。
 しかし、リルルの使命感――目的を達成しようとする意地が、ロボットゆえの頑丈さが逆にダメージを悪化させた。
 衝撃に逆らい、リルルはネスに刃を振るおうと、踏ん張って刀を握った左腕をネスに当てようとする。
 ヒトの脆い構造を模してつくられたリルルの腕は――衝撃に耐えられなかった。
 とてもあっけなく、左腕が捻じ曲がる。
 人工皮膚を突き破り、折れたフレームが飛び出す。

 リルルは、普通の人間しか知らなかった。
 機械仕掛けの少女は、超能力の存在を知らなかった。
 リルルは混乱し、ネスをまじまじと見上げるしかできない。
 何をした? これは何?
 なぜ自分がダメージを受けたのか、まったくわからない。
 相手が手にしている札で殴られたわけでもなさそうだった。
 強いて言うならば、――ほんとうに見えない、形も分からない何かに殴られたように判断された。
 だらりと下げた左腕は、何とか刀は手放さなかったもの、しっかりとその代償を刻まれている。
 刀を握った指が、狂ったシグナルを受けて痙攣する。
 腕が肘からおかしな方向に曲がっている。
 見た目は惨状そのものであったが、腕も指も動かそうと思えば動かせないことはなかった。
 しかし、連絡経路に故障をきたしたのか、プロセスの実行にタイムラグが生じている。
すなわち、「腕を上にあげよう」などと思ってから、それが実行動に移されるまでに数秒遅れが生じてしまうのだ。
 また、手首から先は、掌と指が柄をしっかと握りこんだまま、手の甲が腕に触れるほどに曲がり反り返り、
いくら力を入れて戻そうとしても戻らない。人の痛覚を模した信号が内部回路を走り、リルルは不快をもよおす。
顔が勝手にしかめっつらを作る。
 神につくられた理想生命であるロボット、すなわち高等な存在である自分が、任務のためとはいえ
人間という下等で不便な生物の皮をまとわされていることへの嫌悪を今更ながらに覚える。

 未知の力を見せ付けられ、左腕を故障しても、まだリルルはあきらめなかった。
 長曾禰虎徹をひん曲がった左手からもぎ離し、ククリを後方にかばい隠しながら
空いた右手で傍らに転がっていたBARを抱え上げる。
 大胆に太腿をひらき、脚ではさむようにして銃身を固定。ネスに向けて構え撃つ。
 銃弾は、ネスの発生させた光のシールドに阻まれて届かなかった。
 すべて脇に反れ、ネスの足元の地面に穴を穿つ。
 たまらずリルルは叫ぶ。
「それは何! あなた人間じゃないの!?」
 ネスも叫びかえす。
「キミは誰! ギーグの手下じゃないの!?」
 弾は、あっという間に底をついてしまった。
 リルルは癇癪を起こし、BARを地面に叩きつける。

 リルル自身、たいした戦闘能力を与えられているわけでもない。
 未知のスペックを有する人間を前に、リルルは己の不利を悟った。

 リルルはククリを抱えなおしながら、様子を確認する。
 彼女には、幸いダメージはなかったようだ。
 気絶したままぐったりと目を閉じて、リルルの窮状に気づいたようすもない。よかった。

 リルルは右腕にククリを軽々と抱え、壊れかけた左腕にエネルギーを溜めていく。
「わたしには、使命があるの。だから――――」
 伝達のタイムラグに加え、射出部分の指部に故障があるため、過剰なエネルギーだけが左手内部に集中している。
少女を模したちいさな指先が熱を帯びる。爪が白くなり、よじくれてぱちんと罅割れた。人工皮膚が爛れて剥ける。
人の皮を失って現れるのは、生々しいメタルの光沢だ。
「――――今は、さよなら」
 リルルは、自分の左手首を右手で握りしめ――力任せに引きちぎった。
 骨肉のかわりに詰まった機械構造の隙間から、血管に似た数本のコードがスパゲッティのようにずるるると伸びる。
火花が散る。
 そのまま、渾身の力で、ちぎり取った自分の左手をネスの顔面めがけて投げつけた。
「――!」
 リルルの常軌を逸した行動にネスはやや怯み、回避が遅れた。
 その顔に高熱をまとった掌が触れるかという寸前――

 スパーク。

 過剰なエネルギーを溜め込んだ左手首は、ネスの目の前で極小規模ながらも
強烈な白熱光を発し、爆ぜた。
 もげかけていたリルルの指がぱらぱらと吹っ飛び、ネスの頬をかすめていった。

 ・
 ・
 ・

 まだチカチカする目を瞬き、ネスは周囲を見回す。
 そこに残っているのは、ぽつりと地面に落ちた、指のもげた小さな掌のみ。
 ネスがリルルにしたのと同じ方法で意趣返しを食らってしまったが、ネスは幸いなことに
「なみだ」にも「しびれ」にもなっていなかった。
 光の目くらましで怯まされたのはそんなに長い間ではない。
 まだ、そう遠くには逃げていないはず。

 ネスは消えてしまったリルルを追って駆け出す。
 頬で風を切ると、リルルの残していった火傷がちりちりと痛んだ。


 +++


(……近づいてきた。もう少しでこっちに降りてくる)
 リディアは、こちらに降りてくる麦わら帽の少年を視認し、狙いをつける。


 リディアは、先程まで学校に向かっていた。学校に行くつもりだった。
 しかし、学校の敷地内に侵入しかけた所で、学校に入れない理由ができてしまった。

――――「うる『ガガッ、ピー』もう」
――――「ごめんなゴフッ!?」
――――「キミはもういらないから『ピー、ガガガ』」

 ……………………。

 目の前で、半人半機のモンスターが男の子を襲って殺すのを見てしまったのだ。
 拡声器による音の実況つきで。
 他にも、その場にはたくさんの人間がいた。
 歳はリディアとそう変わらないが、戦い慣れていそうな子がたくさん。
 どうしたらいいかと考えあぐね、状況を見守ろうとしていた時にお堀の向こうの城で起こった爆発。
 程無くして、一人の子が城の窓から飛び出してきた。
 おそらく、爆発に驚いて逃げ出してきたのだろう。
 ……こっちなら。
 リディアは学校の裏校庭に集っている参加者達からそっと離れ、
一人でこちらに降りてくる麦わらの少年のほうに近づいた。
 見た感じ、そんなに強そうにも見えない。
 リディアと同じ、ただの子供に見えた。
 一緒にいる剣のモンスターが少し怖いけど、こちらには魔法がある。
 こちらが慎重に確実に対応すれば、十分に仕留められる、あるいは仕留められなくても
やられることはないと思われる相手だった。
 なにより、複数対一人より、一人対一人のほうが容易である。
 まずは少しでも経験を積んで、強くならなきゃ。こんな弱いままじゃ生き残れない。
 そのひそやかな焦燥が、リディアを突き動かした。

 リディアは詠唱を終え、いつでも撃てるよう魔力を溜めたまま、徐々に降りて近づいてくる少年を
木陰で息を殺して凝視する。


 相手は上空にいる。
 周囲は身を隠せる木も疎らで、迂闊にリディアが動けば気づかれてしまう。
 相手が降りてきて、油断したままこちらの射程圏内に入るのを待つしかない。
 まだ。まだ、遠すぎる。
 確実にやらなきゃ。
 不意の一発で仕留める。
 暗い決意を宿し、リディアはひたすらに魔力を練り続ける。


 +++


 シルフェのフードが起こす風に麦わら帽子が飛ばないよう押さえながら、
イエローは地面から数十センチに近づいたところでダイレクから飛び降りた。
 何歩かたたらを踏むも、なんとか転ぶことなく着地。
「ダイレク、ありがとう……ん?」
 ダイレクを労いながら、何かふんにゃりしたものを踏んでいるのに気づく。
 足を除けて確かめてみると、それは濡れた衣服だった。
 広げてみると、濃色のタンクトップとチェックのミニスカートである。
 捨てられていたもののようだし、ちょうど服を置いてきて困っていた所だから、
せっかくだしこれを乾かして着ようか。
 そう思って衣服をぴんと張り伸ばして陽にかざし当ててみるが、ふとおかしな点に気付いた。
 生地の濃い色と柄にまぎれて最初は気付かなかったが、ちょうど前面にあたる部分に広い染みがついているのである。
「……なんだろう?」
 水に揉まれ洗い流されてだいぶ落ちてはいるが、それでもなおくっきりと跡の残る、
赤みを帯びた褐色にふちどられた巨大な染み。
 顔を近づけて匂いをかいでみるが、長時間水に浸されていたせいで匂いの特徴もほとんど感じ取れない。
「うーん……」
 もう少し年の行った少女なら、月毎に見慣れた色としてその染みの正体を推測できたかもしれないが、
「……カレーかシチューでもこぼしたのかなあ?」
 イエローの経験の範囲では、のんきな想像しか出てこなかった。

 湿った服をきつく絞ってから、ダイレクと一緒にランドセルにしまい、イエローは歩き出した。
 しかし、文字通り後ろ髪を引かれるような思いがして、イエローの歩みは早くはない。
 背後に聳え立つ城を振り返りかけて止め、また数歩ごとに振り返りそうになっては……を繰り返し、
イエローは頬を両手で挟むように叩いて気を入れなおした。
 自分のすべきことは多い。
 自分と同じくここのどこかにいるらしい、レッドやグリーン、ブルーと合流すること。
 丈の友人――太一、光子郎、ミミ――に、かれの伝言を伝えること。
 そして、丈が遺し、ベルカナが託してくれた首輪を調べ、これを外す方法を導き出すことのできる人間を探すこと。
 そして、今しがた学校のほうから聞こえてきた「放送」。
 危険かもしれないが、行くべきだと思った。
 自分のすべきことを確認し、イエローの足は早さを取り戻していく。

 疎らに木の生える草原を歩き通し、やがて学校の背面に聳える壁が見えてきた。
 ふと、背中のランドセルがガタガタと小さく揺れる。
(……ダイレク?)
 背負った革鞄を顧みようとして、イエローは足を止めた。

「――――ブリザドッ!!」

 足元に冷気が着弾する。
「つあっ!?」
 片方の足を地面に固め付けられ、狼狽すると同時にイエローは周囲を警戒する。
 周囲は生えている木も疎らな平原。隠れる所があるとすれば――
 頭上から打ち下ろされるような電撃に、全身に衝撃が走り思考を中断される。
 威力はそう強くなく、なんとか立ったまま踏みとどまることができた。
 (”れいとうビーム”と”でんきショック”? でも、ポケモンもトレーナーも見当たらない……!)
 敵の正体を突き止めようと頭をめぐらせるが、その間にも冷気や雷が容赦なく降り注いでくる。
 最初のほうの不意打ち以外はシルフェのフードで風を起こし、微妙に緩衝して直撃こそ避けていたものの、
片足を氷漬けにされていて、逃げることも逆に攻撃を仕掛けて相手を確かめることもかなわない。

 このままじゃ、やられる。
 仕方なく、イエローは背に負っていたランドセルを肩から脇に振り落とし、
「――ダイレク!」
 ぱかりと開いたランドセルの口から図太い剣が飛び出し、イエローを守るように侍る。
 新たに飛んできた飛んできた弱威力の魔法を斬り払い、ついでにイエローの片足を束縛していた氷も地面の土ごと砕く。

 それを見て取ったのか、近くの木の陰で動きがあった。
 緑の衣をまとった少女が、一目散に駆けて逃げだそうとする。

「待って!」
 シルフェのフードの起こした風にのって大きく跳躍し、少女の前に回りこんだ。
 少女は怯えて後ずさろうとする。
「こ、こないで!」
「落ち着いて……ボクは、殺し合いなんかしない」
 イエローの目は、あるものに釘付けになっていた。
 緑髪の少女の頭に被られている、その帽子。
 まぎれもなく、イエローがよく知っている人物――今、いちばん会いたいひとのものであった。
「その帽子、どうしたの?」
「…………」
 リディアはレッドの帽子を押さえてうつむいたまま、答えようとしない。
「君、もしかして」
 レッドさんと会ったの? と続けようとして、腹部に衝撃が炸裂した。
 思わず体を折りかけ、頭上から震える声を聞いた。
「もう、いや……」
「ま……待って。ボクは殺し合いなんかしない! 話を聞い……」
「嫌!」
 顔面を打った柄の一撃が、イエローの言葉を叩き潰す。
「――もう、誰も信じないんだから!」

「ダイレク……!」
 少女を牽制し、自棄になったような攻撃をやめさせようとイエローは命令する。
 ダイレクが盾のごとく侍り、虫捕りアミの柄を受け止める。
 リディアは剣の凶悪な貌に一瞬ひるむものの、対処は早かった。
「ホールド!」
 行動束縛の魔法を受け、浮遊力を失ったダイレクが、地面に落ちて突き刺さった。
 詠唱時間が短くて済むホールドでダイレクを足止めしている間に、
リディアは持っている虫捕りアミの柄でイエローに殴りかかる。
「うわっ!」
 とっさにシルフェのフードで風を起こし、攻撃の軌道をそらして打撃を免れる。
 リディアはなぜか打撃が脇へとそらされることを訝しみ――
イエローの羽織っているフードから魔力を感知して、手を伸ばす。
「このマントのせい!?」
 リディアはシルフェのフードの裾をむんずと掴み、力任せに引っぺがそうとする。
 唯一の防御装備を奪われまいと、あと羞恥心で、イエローも脱がされまいと必死に抵抗する。
「――えいっ!」
 揉み合いの末、リディアはフードの下に直に手を突っ込み、外と内から引っ張り上げて一気に引っ剥いだ。
 シーツ一枚きりを巻きつけた素肌が、無防備に白日の下に晒される。
 イエローが手を伸ばして取り返そうとするよりもはやく、リディアはそれを肩越し後方に投げ捨てて踏んづけた。

「サンダー!」
 シルフェのフードを剥ぎ取るや否や、リディアは至近距離から魔法をぶつける。
 これだけ近い位置だと、魔法で殴っていると言ったほうが適切かもしれない。
「サンダー!」
 自分の弱い威力の魔法では、一回では仕留められない。
「サンダー!」
 できるだけ近い位置から、急所を狙って叩き込み続けなければ効かない。
「サンダー!」
 反撃の機会を与えれば、それがリディアの負け、ひいては死を決定づけるのだから。

 柔肌を隠すシーツが焦げ、破れ、襤褸切れと化してゆく。
 もちろん、その下のイエローの身体も無事ではない。
 なんとか立ってはいるものの、それがやっとという様子のイエローを見て、
リディアは魔力節約のために虫捕りアミに持ち変える。
 逆手に握り、柄の方でイエローを乱打する。
 リディアは息を切らしながら、ひたすらに叩きこむ。
 相手に反撃の力がなくなるまで、戦闘不能になるまで、気を抜けなかった。
 嗜虐のよろこびもない。リディアは本当に必死だった。
 必死にならなければ大事なものが喪われ、自分が殺されると、ただそれだけを知っていた。

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。

 青痣赤痣がまだらに肌を彩り、裂けた皮膚から血が伝う。
 イエローは頭をかばって体を丸めるのが精一杯だった。
 痛いが、しょせん幼女の腕力だった。要所さえかばっていれば致命傷になりはしない。
 イエローはじっと耐え、ダイレクの硬直が解けるのを祈るような思いで待つ。
 リディアは、腕が疲れてくるのに耐え、息を切らし顔を真っ赤にして、虫捕りアミを振るい続ける。
 ただ、必死だった。剣のモンスターにかけたホールドが解けてしまう前に、
相手を倒してしまおうと懸命になっていた。
 要は、イエローを自分の力でぶちのめし、戦闘不能にできればよいとリディアは考えていた。
 経験を得るすべは、なにも相手を殺すことに限られなかった。

 リディアは、風切り音を聞いた。
 ホールドの解けたダイレクが、リディアに迫ってきている。
 慌てて詠唱をつむぐ。
「ホールドッ!」
 その隙に、イエローは尻餅をつくように胴体を直下に落とした。
 力尽き、ただ尻餅をついたのではなかった。その勢いをもって後転するためであった。
麦わら帽子が地についた頭の下でひしゃげ、脱げる。
 満身創痍で手足の動きもままならぬイエローは、重力を最大限に利用して、腰と背面の筋力を使っていた。
 弾みをつける二の蹴り脚はリディアの下腹に食い込み、たたらを踏ませて後方に転ばせた。
 再び動きを封じられ地に突き刺さったままのダイレクを傍らに、二人の距離がやや開く。
 体を起こしたイエローのむき出しの肩に、ポニーテールの房がぱらりと落ちた。

 イエローは口中に広がる血の味に咳き込みながら、リディアに向けて叫んだ。
「教えて! 君、レッドさんに会ったの!?」
 柄を構えたまま、リディアがつぶやく。
「――――死んじゃった……」
「え……」
 レッドの帽子をぎゅっと被りなおし、リディアは吐き捨てた。
「……あたしが殺した!」
 自分が勇気を出せなかったから、そのせいであの人を死なせてしまった。
 レッドは、自分のせいで死んでしまった――その苦い思いのこもった叫びだった。
「…………え」
 しかし、イエローにそんなリディアの想いを知るすべはなく。
 言葉は、いたって額面どおりに受け止められた。
 すなわち、「リディアがレッドを殺した」のだと。いちばん単純な意味で。
「それ、どういう……」
 リディアは、再び詠唱をはじめる。
 魔力も底をつきかけている。やるなら早く倒さなきゃ。
 でないと、殺されてしまう。そんなのは嫌!
「……キミが、レッドさんを、殺した?」
「そうよ!」
 相手の言葉もろくに聞かずに返事をし、リディアは詠唱を終えて両手を突き出す。
 イエローの脳裏に、丈の死に際の姿がよぎる。
 レッドも、あんなふうに苦しんで殺されていったのだろうか。
 そう思った瞬間、イエローは激昂していた。
 ダイレクのホールドが解けるのも同時だった。
「―――――よくも、レッドさんを!!!」
 イエローの怒りに呼応するように、背後の森が激しくざわめいた。
 解き放たれたダイレクが唸りを上げてリディアに襲い掛かる。
「こ、こないで!」
 リディアはイエローにぶつけるつもりだった氷の魔法を、迫る大剣にとっさに向け、
イエロー同様ダイレクの動きを封じてしまおうとする。
「ダイレク、”つるぎのまい”!」
 イエローの指示に応え、ダイレクはつるぎのまい――キルシュレッドを発動する。
 ダイレクは地面を擦って助動をつけ、リディア目掛けて飛びながら回転しその勢いで弱い氷の魔法を払散した。
 冷気と霜をまとわりつかせた刃はそのまま、猛然とリディアに襲い掛かり、突き飛ばした。


 ++

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。

 イエローは戦士ではなかった。イエローのパートナーは剣ではなく、ポケモンたちだった。
 どこまでいっても、どんな相手と対峙していたとしても、イエローは単なる平和主義のポケモントレーナーでしかなかったのだ。
 もし、ダイレクがポケモンであったなら、イエローの一時の意思や命令に関係なく、その底にあるものをきちんと汲んで
「命を奪わず、戦闘不能にする程度」に留めてくれたであろう。
 しかし、ダイレクはポケモンではなかった。武器であった。
 間違ったことをいちいち咎めてくれる、「友達」ではなかった。
 どこまでいっても、どんな使い手が持ったとしても、それは単なる血塗られた凶器でしかなかったのだ。
 剣を握ったことのないものが、剣を信頼するのは危険だった。
 人を殺せないものが、人を殺すことのできる武器を手にするのは、どんな時でも間違いのもとだった。

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。




 ダイレクはただ突き飛ばしたのではなかった。
 ダイレクは凶悪な刃で、リディアの幼い体を容赦なく咬んでいた。

 致命傷を刻んでいた。




 ++

 目の前に散る鮮血のしぶき。
 イエローは、ダイレクの思わぬ凶行に目をみひらく。
「……や……、」
 痙攣し血を溢れさせるリディアの体を、無骨な肉厚の段平がめりめりと断ち割ってゆく。
 イエローは、真っ白な頭のまま喉を震わせ叫んだ。
「やめろぉ―――――――――っ!!!!!」

 ダイレクは、素直にやめた。
 裂けかけたリディアの体が、解放されて地面に転がる。
「あ……」
 イエロー自身でさえ、目の前の結果が信じられず、ダイレクとリディアを交互に見るしかできない。
「ダイレク……、」
 ダイレクに何かを言おうとしたが、リディアの血をぽたぽたと垂らしている刀身を見て、
なにも言えなくなってしまった。
 イエローはぎこちない足取りで、自らの体から流れ出た血の海で転げまわり痙攣しているリディアに近づく。
 ……手当てをすれば、まだ、間に合うかもしれない。
 犯してしまった罪にも、取り返しがつくかもしれない。

 だが、遠くから聞こえてきた誰かの足音がイエローの足を止める。
 反射的に振り向いたイエローの視線の先にまず見えたのは、三文字。

 『こ』
    『ろ』
     『す』

「…………!!」
 イエローは、怯んで立ちすくむ。

「ころす」の札を掲げた少年が走ってくる。
 さらに遠目に分かるのはその札と、赤い帽子に短い黒髪という特徴。
 それは、奇しくもレッドと同じ特徴で。
 服装にまで目が行かず、イエローはこちらに駆けてくるのがレッドであるかのように錯覚した。
 自分が犯した罪を、レッドが糾弾しにやってきたのだ。
 なんてことをしたんだ、と。

「あ……、ぁ……」
 混乱を極めた頭では、まともな思考が浮かばなかった。
 レッドの幻影に向き合うのがこわくて、イエローの足は勝手に森のほうへと駆け出していた。
 落ちていたフードを柄に引っ掛けて、血染めのダイレクがイエローの後を追ってついていく。



 +++


 森の中を走り続けて、どれほど時間が経ったろう。
 リルルは、あるものを見つけて立ち止まった。立ち止まらずにはいられなかった。

(……サトシくん?)

 地面に横たわる人間の死体。それが、自分がここに来てはじめて出会い、一時を過ごした少年と非常に似通っていて、
リルルは思わず傍らにしゃがみこんで死体のなりを検分した。

 違った。
 外見的な特徴は本当によく似ているが、こちらのほうが幾らか大人に近いようだ。
(サトシくんのキョウダイなのかしら)
 サトシほどの類似ではないが、ネスにも部分的な特徴は近いものがある。
「もしかして、あの男の子と同じ型なのかしら……?」
 それを思いついたとき、リルルはひらめいた。

 人間にはリルルの知らないひみつがあるのを、リルルは先程のネスとの対峙で知った。
 人間社会に潜伏するためにあらかじめ与えられた人間についての知識の中には、あのような不条理な力について
何も触れられていなかった。
 ならば、リルルが自分で調べなければならない。
 調査のために必要なモノが、ちょうどよく目の前に転がっているのは僥倖であった。

 辺りに人気がないのを確認し、リルルはククリを近くの茂みの影に置いて隠した。
 レッドの死体の側に跪き、その身体にまとった服を脱がせて全裸にする。
 ざくろのような穿たれた傷口を見つめ、もうこわれてるのね、と無感動にリルルは確かめる。
 そして長曾禰虎徹を取り出す。

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