太平洋フェリー(いしかり・きそ)

航路概要

  • 名古屋港から仙台港を経由して苫小牧西港へ向かいます。苫小牧西港までの所要時間は39時間半です。名古屋仙台間は隔日、仙台苫小牧間は毎日運航されています。ここでは名古屋→苫小牧(徒歩乗船)をモデルに説明します。

名古屋港について

  • 名古屋港の最寄りはあおなみ線の野跡駅。間違っても地下鉄名港線の名古屋港駅へ行ってはいけません。
  • 名古屋駅からの直通バスもあります。
  • 野跡駅からはバスで10分or徒歩30分。気分を変えて海沿いを歩いてみるのも良いでしょう。但しバリバリの産業道路なのでトラックがすごい速さで通り過ぎていきます。
  • ターミナルの建物は2階建てで、1階で乗船手続きを済ませてから2階の待合室へ行きます。名古屋港発の時刻だと2階の売店は閉まっています。

名古屋港出港前~深夜

  • 出発前からレストランは開いています。秋から春はどうせ窓からだと何も見えない時間帯なので食事を済ませるのもアリです。ビュッフェ形式で2000円します。それがネックなら同じ階のカフェスタンドで軽食が買えますのでそちらで代替するか、持ち込みましょう。物価は全体的に高めです。
  • 個室を利用する場合はインフォメーションでカードキーを受け取りましょう。ちなみに持ち帰り可です。
  • 出港後は名港トリトンと呼ばれる3つの橋の下をくぐります。結構綺麗です。
  • 20時ごろからラウンジでちょっとしたショーがあります。ここで乗船者数も発表されます。
  • 星は三河湾から出たあたりから見えます。
  • 携帯の電波は一部不安定になる地点もありますが神奈川県沖まで概ね繋がります。
  • 風呂は入港の30分前を除いていつでも使えるので心配いりません。

仙台港入港まで

  • 神奈川県沖から茨城県北部沖まで電波は一切通じないと思ってください。
  • 朝食はビュッフェだと1000円します。朝弱い人はカフェスタンドで間に合わせていいと思います。
  • 朝食が終わったちょっと後にフロアにおいてあるピアノの周りでショーがあります。
  • 福島県沖に差し掛かると昼食の時間です。ビュッフェは1000円です。
  • 昼食後に焼き立てパンの販売があります。
  • 14時半頃には船同士のすれ違いが見られます。
  • 仙台港では途中下船が出来ます。入港前に申請書に記入して下船券をもらっておきましょう。

仙台港について

  • 入港するくらいの時刻だとギリギリ売店が開いています。
  • 周囲には公園やセメント工場群があります。少し離れたところには水族館もあります。リスク承知で突っ込む人も一定数居るようです。寄港時間は3時間なのでまぁよっぽどのことが無ければタクシーかまして間に合います。
  • 一度途中下船すると仙台から乗船する人たちの乗船時刻まで再乗船できません。
  • 最寄りは仙石線の中野栄駅です。仙石線の多賀城駅と地下鉄東西線の荒井駅からもバスがあります。
  • 近くにはショッピングモールもあります。持ち込みする人はここで補給しましょう。
  • 乗船時刻よりも先にレストランは開くので、そちらを利用する場合は船内で待機して乗船者が来る前にさっさと夕食を食べてしまうという戦略も想定できます。
  • 仙台からは自衛隊の人々が多く乗り込みます。

仙台港出港~2日目深夜

  • 仙台出港後は工業地帯の明かりを見ながら湾外に出ていきます。
  • 電波は宮古沖あたりまで通じます。翌朝は入港直前まで一切通じなくなるので用がある場合はこのタイミングまでに済ませておきましょう。
  • ラウンジショーもあります。1日目とは少し内容が変わります。映画に差し替わるときもあります。
  • 星は気仙沼沖あたりから見え始めます。

苫小牧入港まで

  • 先述しましたが電波はほぼ通じません。
  • 朝食も値段は変わりません。
  • 朝食後にはまたミニショーがあります。
  • ショップで買い物をするならこのタイミングで。

苫小牧西港について

  • 下船口から出口までほんの少しだけ距離があります。
  • バス乗り場からは新千歳空港、札幌、苫小牧駅までのバスがあります。
  • 札幌方面へ向かう場合、苫小牧駅からの接続はさほど良くないので特急が使えるだとか北東パスでケチりたいとかでないなら札幌までさっさと行ってしまうことをお勧めします。

船内設備について

名古屋航路に回るのは基本的にいしかり&きその2隻です。2隻とも大して設備に違いはありませんのでごちゃ混ぜにして説明します。

個室

ロイヤルスイート、スイート、セミスイート、特等(洋室および和室)、1等バリアフリー、1等(和室、洋室および和洋室)の9種類の部屋があります。このうち1等洋室のみ窓なしです。また貸切料金割引(後述)や利用資格の都合により、一人旅の場合、特等洋室と1等洋室以外の部屋はあまり使う機会が無いと推測されるのでこれらについてのみ解説します。
  • 特等洋室…ホテルのツインルームと同等の設備です。ベッドはやや硬めです。窓際はソファーになっており(3人利用の場合はベッドになります)、そこから海を眺めることが可能ということになっていますが、たいてい塩で曇っているので見づらいです。海を見たいなら展望デッキへどうぞ。タオルや歯ブラシなど必要なものは一通り揃っています。特等とはいえ壁が薄いので隣室の話し声は普通に通ります。
  • 1等洋室…用意されている用具やベッドに違いはありません。窓が無く、したがって窓際の広いスペースが無いくらいです。窓が無いので寝すぎてリズムが崩れることもままあります。目覚まし時計やアラームは忘れずにセットしましょう。

寝台

  • S寝台…1段ベッドです。屈むくらいは余裕でできます。一応シャッターのような仕切りが各ベッドにあるので最低限のプライバシーは保てます。内側からロックをかけることも出来ますので、セキュリティもひとまずちゃんとしています。但し外からはロックできないので貴重品は持ち歩くか、ロッカーに仕舞いましょう。カードキー対応の女性専用室もあるので女性の方はそちらを使うのもいいでしょう。この等級からタオルや歯ブラシの備え付けは無くなりますので、事前に用意するか、船内で購入する必要があります。コンセントもありますので充電の心配はありません。
  • B寝台…2段ベッドです。ベッドのサイズが小さくなって2段になった以外はS寝台と変わりません。但しテレビはなくなります。荷物置き場が共用なので大荷物の時には向かないかも。コンセントはバッチリ完備。

2等船室

  • 所謂雑魚寝スタイルです。基本的に寝具以外は何もありません。充電するのは(パブリックスペースで出来るとはいえ)難しいのでモバイルバッテリーを持ち込むなどしましょう。プライバシーはお察しです。よっぽど混んでるとか、閉所恐怖症とかじゃなければB寝台を確保するのがおすすめです。

その他設備

一人旅に関係なさそうなところは切ります。
  • レストラン…ビュッフェ形式で朝・昼食は1000円、夕食は2000円です。入り口で料金を支払ってから入場します。酒類の注文もそこで出来ます。その辺のホテルの食事と変わらないくらいのクオリティです。高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょう。きそといしかりで位置が異なり、きそは奥まったところに、いしかりは階段そばにあります。
  • スタンド…両船とも階段そばにあります。軽食やコーヒーが注文でき、近くのテーブルで自由に食べられます。おにぎり200円、うどんが510円と物価は高めです。2日目昼の焼き立てパンもここで売られます。
  • 大浴場…5デッキ(エントランス階)にあります。外の見える時間帯は案外人がいるので、そういうのが好きではない人は午前0~1時ごろが狙い目です。
  • 売店…北海道や宮城、名古屋の産品が買えます。オリジナルグッズや日用品もここで買えます。22時まで営業しているので乗船後に足りないものが発覚しても安心です。但し物価は高いです。
  • 自販機コーナー…サッポロクラシックが買えます。ハオ。こっちだったか売店だったか忘れましたがガラナも買えます。
  • ゲームコーナー…田舎の旅館のやつと大して変わりません。
  • 展望デッキ…7デッキ中程から後方にかけてスペースがあります。星を見るなら、いしかりは7デッキ一番後ろの陰になっているところ、きそはベンチに寝転がるのがおすすめです。なおいしかりにはベンチがないので敷物になるものを持っていきましょう(強風には充分注意してください)。特に冬は風が冷たいため殆ど人が来ない上、空気が澄んでいるので、綺麗な星空を独占できます。但し体感温度は-10度近くなりますので防寒はお忘れなく。

料金について

乗るなら早割一択です。繁忙期以外に2か月前の予約開始から28日前までの予約で運賃が最大50%割引になります。なお適用期間は設定のある個室の貸切も無料で出来ます。
名古屋→苫小牧で
2等 B寝台 S寝台 1等個室 特等個室
5400 6400 7200 10800 15400

という設定です。
まぁこんな前に予約するんだったらスカイマークの方が速くて安いなんてこともしばしばありますがそこはフェリーに乗る楽しみとは代えがたいので考えないこととします。
早割の場合、特等個室や1等個室の早割割り当て分は2室のみなので早い者勝ちになります。放浪型の人も乗船日だけは早めに予定を固めてしまうのが良いでしょう。

総評

早割を使えればコストパフォーマンスは高めです。設備も国内の定期航路としては豪華で、船内で過ごすのに一通りのものは揃っています。時間がかかる以上暇つぶしの手段を持ち合わせておく必要もありますが、読書なりデッキから外を眺めるなりすれば時間が溶けていくのであまり心配はいらないでしょう。北海道に行くなら一度は利用しておきたいものです。
但しこれを最初の長距離フェリーにしてしまうと他のフェリーに対するハードルが鬼のように上がってしまうので、さんふらわあや名門大洋フェリーなどで慣らしてから乗るのが良いと思います。

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最終更新:2018年08月22日 02:14