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Ver3/【黒禍】ヤマトタケル - (2016/10/06 (木) 19:29:05) の1つ前との変更点

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【黒禍】ヤマトタケル(R) :基本情報| |BGCOLOR(#FFD9B3):名前|【黒禍】ヤマトタケル| |BGCOLOR(#FFD9B3):種族|神族| |BGCOLOR(#FFD9B3):ジョブ|ディフェンダー| |BGCOLOR(#FFD9B3):召喚コスト|60| |BGCOLOR(#FFD9B3):<タイプ>|魔械人| |BGCOLOR(#FFD9B3):タイプ|半神| |BGCOLOR(#FFD9B3):HP|550| |BGCOLOR(#FFD9B3):ATK|90| |BGCOLOR(#FFD9B3):DEF|80| |BGCOLOR(#FFD9B3):覚醒|可| |BGCOLOR(#FFD9B3):超覚醒|可| |BGCOLOR(#FFD9B3):アーツ|有| |BGCOLOR(#FFD9B3):CV|立花 慎之介| |BGCOLOR(#FFD9B3):備考|神族〔&link(ヤマトタケル){Ver3/ヤマトタケル}〕との同時登録不可| &br() |>|BGCOLOR(#FFD9B3):アビリティ| |BGCOLOR(#86CC40):CENTER:召喚|なし| |BGCOLOR(#FFDC50):CENTER:覚醒|なし| |BGCOLOR(#FF8383):CENTER:超覚醒|真揮『禍津・草薙』| |~|攻撃力と防御力が上がり、自身がスロウアタックを当てたときカルマを得る。&br()さらに、【アームズ】「昏薙ぎ」が使用できるようになる。| |>|BGCOLOR(#FFD9B3):| |BGCOLOR(#FFD9B3):ARMS|昏薙ぎ| |~|範囲内にいるターゲット中の敵ユニット1体と、その周囲の敵ユニット全てにダメージを与え、一定時間HPを徐々に減らす。&br()ただし、カルマを1つ消費する| |BGCOLOR(#FFD9B3):効果時間|なし| |BGCOLOR(#FFD9B3):wait時間|?秒| :ステータス| |BGCOLOR(#FFD9B3):状態|BGCOLOR(#FFD9B3):HP|BGCOLOR(#FFD9B3):ATK/DEF| |BGCOLOR(#86CC40):CENTER:召喚|550|90/80| |BGCOLOR(#FFDC50):CENTER:覚醒|600|??/??| |BGCOLOR(#FF8383):CENTER:超覚醒|650|230/220| :DATA・フレーバーテキスト| #region(close,Ver3.5) |>|BGCOLOR(#FFD9B3):Ver3.5| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):イラストレーター|naked| |BGCOLOR(#FFD9B3):フレーバーテキスト| |フレーバーテキスト| #endregion :考察| アームズの毒効果は5ダメージを3回 :キャラクター説明| 本文 :関連動画| #region(close,稼動前紹介動画) 閉じる &youtube(https://youtu.be/yU8mbAZ57kg){640,360} #endregion ---- #region(close,編集用コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします) - 「うおおりゃああぁ!!!!」 &br() &br() &br()須佐之男命は愛刀である天叢雲剣を力任せに“それ”へと叩きつけました。 &br() &br() &br()しかしその切っ先は、ガゴン!と大きな音を上げるだけで、さしたる損傷は与えられていない様子でした。 &br() &br() &br()「っつ! 硬ええぇ! なんなんだよこいつは――姉ちゃ…いや、姉貴ぃ!!」 &br() &br() &br()問われた月読命は応えず、その問いの答えを見極めんとするように眼前の巨大な影を見上げます。 &br() &br() &br()倭建命――草薙の剣と融合を果たし、強力無比な青銅色の巨神と化した姿がそこにありました。剣の力に浸食された倭建命の心は、今や正常な判断力を失い、立ち塞がる者すべてを蹂躙する悪鬼へと堕ちかけていたのです。 &br() &br() &br()≪大和……脅かす者ども……俺が……倒す……≫ &br() &br() &br()巨神が大剣を薙ぎ払い、次々と巻き起こす衝撃の波を須佐之男命がかろうじてかわし続けます。見るとその度に、須佐之男命がいた周辺の地面は根こそぎ抉り取られており、その強大な力がうかがい知れました。 -- 名無しさん (2016-10-06 18:59:59) - 「ツクヨミ姉さんの命令…いやさ、頼みとあって駆けつけちゃあみたが…こいつぁ思った以上に厄介そうだ」 &br()「すっごい~ね、でっかい~ね、つっよ~いね~♪」 &br()「ハハ、そんじゃクニちゃん景気づけに一杯いくか~い?」 &br() &br() &br()その様子を見た大国主神はポリポリと頭を掻いて苦笑い、天細女神は気の抜けた声を上げ、少彦名神はのんきに酒を勧めます。 &br() &br() &br()みなさん、もう一度いきます――生真面目そうな片方の目の赤い青年がそう告げると、神々は「おう!」とそれに合わせ一斉に動きだしました。 &br() &br() &br()「いっくよ~、風早の舞い~!」 &br() &br() &br()天細女神の鼓舞の舞いの後押しを受け、速さが増した青年と須佐之男命が、風のような速さで左右から切り込み、巨大な巨神の剛腕の撃をするりするりと避けながら撹乱します。 &br() &br() &br()「そんじゃスクナ、一杯もらおうか!」 &br()「あいよ~ 飲め~ば飲~むほ~どつ~よくなる~♪」 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:00:29) - 酔神の御神酒をくいっとあおった大国主神は、その隙に巨神の装甲を目にも留まらぬ速さで駆けのぼり、その頭部に、酔神の神力で増した痛烈な一撃を叩きこみます。 &br() &br() &br()ゴワンッ!! と大きな音がし、その衝撃に巨神の身体がぐらりと揺れました。 &br() &br() &br()「よっしゃあ! こういう図体のでけぇやつは、古今東西頭を狙うって決ま――うおっとぅ!!」 &br() &br() &br()虫でも払うかのように無造作に振られた巨腕を、大国主神は身をよじって避けました。 &br() &br() &br()何事も無かったかのように立ち直る巨神。そのわずかに傷付いた装甲も、すぐさま時が巻き戻るかのように再生してしまいます。 &br() &br() &br()「…あ~、全然効いてねぇなこりゃ… モノのやつ、いい加減なこと教えやがって… てか、“うち”の大将はまだかよ」 &br() &br() &br()その様子を見ていた須佐之男命は苛立たしげにダンと地面を踏みしめました。 &br() &br() &br()「あー! クソ! このままじゃラチがあかねぇ!」 -- 名無しさん (2016-10-06 19:00:59) - そして、仕方ないとばかりに虚空に向かって叫びます。 &br() &br() &br()「デカブツにはデカブツだ! 出番だぜ! 親父ぃぃぃ!!」 &br() &br() &br()すると、地響きと共に天が割れ、天を突くほどに大きく荒御霊を昂ぶらせた伊邪那岐命が雷鳴と共に降臨し、巨神を睥睨しました。 &br() &br() &br()「ふん、葦原のことは皆に任せておったが、子供らの頼みとあらば聞かぬでもない――天津神の神力じゃ…存分に味わええええい!!!!」 &br() &br() &br()轟!!――ひと振りで大地を揺るがせ、天を裂き、海を割る、圧倒的な質量の一撃。数百の落雷が同時に起こったようなすさまじい轟音が辺りに響きわたりました。 &br() &br() &br()しかし――それを受けてなお、土煙の消える頃には、巨神の身体は既に修復されていたのです。 &br() &br() &br()「これでもダメなの? はぁ…父様ばつ悪そうにして帰っちゃったじゃない… これ、厄介どころの騒ぎじゃなさそうね。どう、なにか打開策はありそう?」 &br() &br() &br()月読命は、倭建命の弱点を見つけようと観戦させていた、隣でじぃっとしている多邇具久神へと問いかけました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:22:54) - 「………………」 &br()「タニグク…寝てないわよね?」 &br()「ゲコッ! 寝てなどおら~ん、起きておる、手前はず~っと起きておる。あ~~~手前の知るところによるとだな、奴と一体化しとる“草薙の剣”には、機甲装置の他にも、な~んか別のものがおるようじゃの~。その正体を掴むことができれば、あるいはなにかのきっかけぐらいにはなるかもしれんの~う」 &br() &br() &br()曖昧な多邇具久神の言葉を聞いた月読命は、目を細め、鋼の巨神を見ました。 &br() &br() &br()「…何か“関係してる”とは思ったけど、なるほど、剣の中にね…彼女を呼んでおいてよかったわ」 &br() &br() &br()そして、弟神に言いました。 &br() &br() &br()「スサノオ、ちょっとあんたのムラクモ貸しなさい」 &br()「は!? なんでだよ、やだ――あ、いや、なんでもないです。どうぞ、好きに使ってください」 &br() &br() &br()須佐之男命はものすごく嫌がりましたが、姉神に睨まれると途端に気勢を削がれ、大人しく天叢雲剣を差し出しました。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:23:12) - 何をする気ですか――赤眼の青年の問いに、月読命は答えます。 &br() &br() &br()「草薙の剣と天叢雲は元々とても良く似た性質を持つ剣なの。これを使えば――“映せる”かもしれない」 &br() &br() &br()そう言って目を閉じ、月読命は神力を高めていきます。 &br() &br() &br()映すとは一体――青年がさらに尋ねようとしたとき、須佐之男命の危急を告げる声が響き渡りました。 &br() &br() &br()「姉貴! 小僧っ! 危ねぇ避けろ!!」 &br() &br() &br()青年と月読命が振り返ると、巨神のひと振りによって放たれた巨大な衝撃の波が、こちらへ向かってきていました。その勢いたるや、まさに必殺…それは痛恨の油断でした――もはや回避することは不可能なその波が、青年と月読命を包み込もうとしたまさにそのとき、突如飛来した三本足の烏から、二つの影が落ちました。 &br() &br() &br()≪ふるべ… ゆらゆらとふるべ――“天津祓”!!≫ &br() &br() &br()凛と少女の声が響くと共に、青年と月読命は淡く光を放つ繭のようなものに覆われていました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:23:33) - その直後に襲い来た波は、光の繭に全て受け流されるように弾かれて霧散し、青年と月読命は一切の傷を負いませんでした。 &br() &br() &br()これは、すごい――目を白黒させる青年と対照的に、さほど動揺した様子もない月読命は、現れた目の前の少女に語りかけました。 &br() &br() &br()「ふぅ、来てくれたのね、ありがとう女王様。それと――」 &br() &br() &br()あっちのあなたのお仲間もね――促されて青年が見ると、青年と同じように片方の目が赤く染まった、やや粗野な印象を受ける赤毛の青年が、果敢に倭建命へと斬りかかるところでした。青年は、彼が来てくれたのなら安心していいと笑い、その場を月読命に任せ、赤毛の青年の元へ加勢にゆきます。 &br() &br() &br()「もう卑弥呼は女王じゃないよ神様。私を呼んだのはあなただね。…卑弥呼の残した剣が悪さをしてるって聞いて、それを見るのが怖くて、すごく悲しくて、すごく落ち込んでたんだけど……でも、やっぱり卑弥呼が撒いた種なら、卑弥呼がなんとかしなくちゃいけないもんね。こういうの“ケジメをつける”っていうんだって、あの人が教えてくれたんだ」 -- 名無しさん (2016-10-06 19:24:50) - 赤い髪の青年に少しだけ泣き腫らした目を向けつつ、卑弥呼はにっこり笑い、「それで、何をすればいいの」と尋ねました。月読命は、卑弥呼の覚悟に感謝しつつ言いました。 &br() &br() &br()「…これはきっとあなたにしかできないこと。あの剣に封じられたものを、私の月でこの天叢雲剣に“映す”わ。そうしたら“それ”を、あなたの力で“憑び出して”ほしいの」 &br() &br() &br() * * * * &br() &br() &br()――駄目…タケル… &br() &br() &br()≪…あんた…は…!?≫ &br() &br() &br()その美しい姫の姿を見た途端、巨神は先程までの暴走が嘘のように動きを止めました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:25:14) - ――駄目だよタケル…もうやめて… それ以上苦しまないでよ… &br() &br() &br()≪…弟…橘…!?…ああ…ああ……≫ &br() &br() &br()するとどうでしょう、巨神の鋼の身体はガラガラと崩れ始め、後に残ったのは本来の剣としての形に戻った草薙の剣と、それを握り締める生身の倭建命の姿でした。 &br() &br() &br()「なぜ…弟橘が… 弟橘は確かにあのとき…」 &br() &br() &br()弟橘姫を守れず目の前で失ってしまった苦い記憶は、倭建命の頭の中に鮮明にこびりついたままでした。倭建命は事態が呑みこめぬという風に、茫然と呟きました。 &br() &br() &br()――ごめんね。わたしの体はずっと昔になくなっちゃった…今ここにあるのは、“剣”に縛り付けられた魂だけなの。 &br() &br() &br()倭建命はハッとしたように、自分の握りしめる草薙の剣を見つめました。 &br() &br() &br()「魂だけが…剣に…? そんな馬鹿なことが…」 &br() &br() &br()その姿に倭建命の正気を確認した月読命は、弟橘姫の現身へと問いかけます。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:25:32) - 「やはりそうなのね――弟橘姫事情を説明してもらえるかしら」 &br() &br() &br()わかりました、そう頷くと、動揺する倭建命とその場を見守る神々に、弟橘姫はしずしずと語り始めました。 &br() &br() &br()『草薙の剣』とは本来『苦災薙の剣』――とある神の力を持つ女王が国に残した“あらゆる苦しみと災禍を薙ぎ払うように”という祝福の祈りが込められた、まごうことなき神剣だったこと。その管理を任されていたのが、女王の弟妹の血筋を持つ弟橘姫の一族であったこと。そしてその剣を、倭建命に託したのが、自分であったこと――。 &br() &br() &br()「あ? 人をあんな化け物に変える力が祝福だと? ありゃ祝福ってぇより呪いだろ」 &br() &br() &br()須佐之男命は乱暴に言い放ちます。 &br() &br() &br()――はい…今その剣に込められているのは…タケルを蝕んでいるのは…“祝福”などではなく“呪い”そのものです。 &br() &br() &br()それはとある“魔神”の企てによるもの…弟橘姫は、そう寂しそうにいいました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:26:07) - ――魔神は剣に何かを仕掛け、“あらゆる苦しみと災禍を薙ぎ払う”祝福を反転させました。剣に込められた思いはとても純粋――純粋な想いは力が強い反面、いとも簡単に“裏返す”ことができるのだそうです。その結果生まれたのが、“あらゆる喜びと幸福を薙ぎ払う”飽くなき力の渇望をもたらす剣――それが“呪い”の正体です。 &br() &br() &br()「だが! それでどうして、弟橘の魂が剣に囚われねばならない!?」 &br() &br() &br()――草薙の剣の真価を引き出せるのは、その剣をつくった女王の血筋の者だけ…魔神はそれを知っていたからだよ。 &br() &br() &br()拳を握り問いかける倭建命を、弟橘姫は寂しそうに微笑みながら、優しくなだめるようにそう答えました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:26:48) - ――わたしの死後、わたしの魂は魔神に捕らわれました。タケルもまた、戦いの中で魔神に出会い、その体に『種』を埋め込まれました。その『種』で魔神はタケルを悪しき何者かに作り替えようしているようです。そしてこの剣の呪いは、タケルの中の『種』を育てる養分として、タケルに“闇”を送り続けた――わたしの魂は呪いの効果を増幅するための道具…つまりタケルをより苦しめるための仕掛けとして、この剣に組み込まれたのです。 &br() &br() &br()外道め――正義感の強い赤目の青年は、そう吐き捨てました。 &br() &br() &br()――タケルが今の力を手に入れたとき、心に直接語りかけるような声を聞いたはずだよ。それが魔神…それが… &br() &br() &br()「――すべての、元凶…」 &br() &br() &br()感情の読み取れぬ冷たい声で月読命は呟きました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:09) - ――死そのものに悔いはありませんでした…タケルに守られ、タケルの腕の中で逝けたのですから。それなのに…わたしは…タケルを苦しめるために使われて… &br() &br() &br()倭建命を気遣い、いつ流れてもおかしくは無い涙を必死にこらえる弟橘姫に、声をかけられる者は誰もいませんでした。 &br() &br() &br()そんな弟橘姫を見て、倭建命は意を決したように告げました。 &br() &br() &br()「………ならば、今俺ができることは、ひとつだ」 &br() &br() &br()確かな言葉で語るその瞳には強い意志の光が宿っていました。 &br() &br() &br()「砕こう――草薙の剣を、今ここで。弟橘の魂を、こんなくだらぬ楔から解き放つんだ」 &br() &br() &br()しかし、弟橘姫は静かに首を横に振ります。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:32) - ――タケルの中の『種』は、もう完成寸前みたいなの…。今となっては、その最後の進行を食い止めているのが、わたしという異物… 私の魂が解放されちゃったら、もう誰も止められない…それこそ、あの魔神の思惑通りに… &br() &br() &br()そう告げた後、弟橘姫は精一杯の強がりで笑って見せました。 &br() &br() &br()――ごめんねタケル。あの剣、タケルのためにって思って渡したのに、こんなことになっちゃって…でも大丈夫だから、わたしはこのままでいい…絶対タケルを守るよ。だから、タケルもこれ以上闇に飲まれないで――わたしは、いつも熱い正義の味方で、でも少し抜けてるタケルが大好きだったんだから。 &br() &br() &br()当然、その笑顔に釣られて笑う者など一人もなく、悲しみとやり場のない怒りだけがその場に重く落ちていきます。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:55) - しかし、もう耐えきれぬという風に、倭建命は地面に拳を打ち付けて叫びました。 &br() &br() &br()「なぜ笑うんだ、弟橘…! いっそ俺を憎めばいい!! お前を守れず…死後の安寧すらも奪い…そのことを今日の今まで気付きもせずにのうのうと生きてきたこの俺を!!!」 &br() &br() &br()――タケル…。 &br() &br() &br()そして、倭建命は静かに告げました。 &br() &br() &br()「…これまで、大和国のためと大層なことを言いながら剣を振るってきた。でも今になってようやく気付いたよ… 俺にとって本当に大切で、守りたかったものは、国などではない――弟橘、あんたひとりだったんだ…」 &br() &br() &br()倭建命は草薙の剣の刀身に手をかけました。 &br() &br() &br()草薙の剣を破壊しようとしている――事態を静観していた神々が色めき立ち、月読命が駆けだしました。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:28:19) - 「止めるなっ!!」 &br() &br() &br()その機先を制するように倭建命は叫びました。 &br() &br() &br()「俺は、二度と彼女を見捨てない…! たとえ何を失おうと、彼女の尊厳だけは守って見せよう! その引き替えが、俺の心だろうと、俺の命だろうと――世界だろうとだ!!」 &br() &br() &br()その言葉に、月読命の伸ばしかけた手が止まり、その顔にちらりと倭建命が目を向けます。 &br() &br() &br()「…ありがとう。最後まで、迷惑をかける」 &br()「……」 &br() &br() &br()――ダメだよ…タケル… &br() &br() &br()弟橘姫のこらえていた涙が、薄くその目に浮かびます。 &br() &br() &br()「弟橘…先にいって、待っていてくれ」 &br() &br() &br()待って――そう言いかけた月読命に、倭建命は穏やかに微笑むと――草薙の剣を粉々に砕きました。 &br() &br() &br()* * * * -- 名無しさん (2016-10-06 19:28:38) #comment(size=85,vsize=3,nsize=30,num=20) #endregion -&color(red){余りにも当Wikiやゲームから逸脱した無関係な雑談や、誹謗中傷めいた暴言、ページに関係ないコメントはおやめ下さい。} -wikiは不特定多数の人が利用する場です。プレイヤーの個人名や所属ギルドなどを書き込む行為は慎んで頂きますようお願いします。 -個人的な日記として使用するのも控えて下さい。 #region(close,コメント *雑談や使用方法などの相談にご利用下さい) #comment(size=85,vsize=3,nsize=30,num=20) #endregion
【黒禍】ヤマトタケル(R) :基本情報| |BGCOLOR(#FFD9B3):名前|【黒禍】ヤマトタケル| |BGCOLOR(#FFD9B3):種族|神族| |BGCOLOR(#FFD9B3):ジョブ|ディフェンダー| |BGCOLOR(#FFD9B3):召喚コスト|60| |BGCOLOR(#FFD9B3):<タイプ>|魔械人| |BGCOLOR(#FFD9B3):タイプ|半神| |BGCOLOR(#FFD9B3):HP|550| |BGCOLOR(#FFD9B3):ATK|90| |BGCOLOR(#FFD9B3):DEF|80| |BGCOLOR(#FFD9B3):覚醒|可| |BGCOLOR(#FFD9B3):超覚醒|可| |BGCOLOR(#FFD9B3):アーツ|有| |BGCOLOR(#FFD9B3):CV|立花 慎之介| |BGCOLOR(#FFD9B3):備考|神族〔&link(ヤマトタケル){Ver3/ヤマトタケル}〕との同時登録不可| &br() |>|BGCOLOR(#FFD9B3):アビリティ| |BGCOLOR(#86CC40):CENTER:召喚|なし| |BGCOLOR(#FFDC50):CENTER:覚醒|なし| |BGCOLOR(#FF8383):CENTER:超覚醒|真揮『禍津・草薙』| |~|攻撃力と防御力が上がり、自身がスロウアタックを当てたときカルマを得る。&br()さらに、【アームズ】「昏薙ぎ」が使用できるようになる。| |>|BGCOLOR(#FFD9B3):| |BGCOLOR(#FFD9B3):ARMS|昏薙ぎ| |~|範囲内にいるターゲット中の敵ユニット1体と、その周囲の敵ユニット全てにダメージを与え、一定時間HPを徐々に減らす。&br()ただし、カルマを1つ消費する| |BGCOLOR(#FFD9B3):効果時間|なし| |BGCOLOR(#FFD9B3):wait時間|?秒| :ステータス| |BGCOLOR(#FFD9B3):状態|BGCOLOR(#FFD9B3):HP|BGCOLOR(#FFD9B3):ATK/DEF| |BGCOLOR(#86CC40):CENTER:召喚|550|90/80| |BGCOLOR(#FFDC50):CENTER:覚醒|600|??/??| |BGCOLOR(#FF8383):CENTER:超覚醒|650|230/220| :DATA・フレーバーテキスト| #region(close,Ver3.5) |>|BGCOLOR(#FFD9B3):Ver3.5| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):???|???| |BGCOLOR(#FFD9B3):イラストレーター|naked| |BGCOLOR(#FFD9B3):フレーバーテキスト| |フレーバーテキスト| #endregion :考察| アームズの毒効果は5ダメージを3回 :キャラクター説明| 本文 :関連動画| #region(close,稼動前紹介動画) 閉じる &youtube(https://youtu.be/yU8mbAZ57kg){640,360} #endregion ---- #region(close,編集用コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします) - 「うおおりゃああぁ!!!!」 &br() &br() &br()須佐之男命は愛刀である天叢雲剣を力任せに“それ”へと叩きつけました。 &br() &br() &br()しかしその切っ先は、ガゴン!と大きな音を上げるだけで、さしたる損傷は与えられていない様子でした。 &br() &br() &br()「っつ! 硬ええぇ! なんなんだよこいつは――姉ちゃ…いや、姉貴ぃ!!」 &br() &br() &br()問われた月読命は応えず、その問いの答えを見極めんとするように眼前の巨大な影を見上げます。 &br() &br() &br()倭建命――草薙の剣と融合を果たし、強力無比な青銅色の巨神と化した姿がそこにありました。剣の力に浸食された倭建命の心は、今や正常な判断力を失い、立ち塞がる者すべてを蹂躙する悪鬼へと堕ちかけていたのです。 &br() &br() &br()≪大和……脅かす者ども……俺が……倒す……≫ &br() &br() &br()巨神が大剣を薙ぎ払い、次々と巻き起こす衝撃の波を須佐之男命がかろうじてかわし続けます。見るとその度に、須佐之男命がいた周辺の地面は根こそぎ抉り取られており、その強大な力がうかがい知れました。 -- 名無しさん (2016-10-06 18:59:59) - 「ツクヨミ姉さんの命令…いやさ、頼みとあって駆けつけちゃあみたが…こいつぁ思った以上に厄介そうだ」 &br()「すっごい~ね、でっかい~ね、つっよ~いね~♪」 &br()「ハハ、そんじゃクニちゃん景気づけに一杯いくか~い?」 &br() &br() &br()その様子を見た大国主神はポリポリと頭を掻いて苦笑い、天細女神は気の抜けた声を上げ、少彦名神はのんきに酒を勧めます。 &br() &br() &br()みなさん、もう一度いきます――生真面目そうな片方の目の赤い青年がそう告げると、神々は「おう!」とそれに合わせ一斉に動きだしました。 &br() &br() &br()「いっくよ~、風早の舞い~!」 &br() &br() &br()天細女神の鼓舞の舞いの後押しを受け、速さが増した青年と須佐之男命が、風のような速さで左右から切り込み、巨大な巨神の剛腕の撃をするりするりと避けながら撹乱します。 &br() &br() &br()「そんじゃスクナ、一杯もらおうか!」 &br()「あいよ~ 飲め~ば飲~むほ~どつ~よくなる~♪」 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:00:29) - 酔神の御神酒をくいっとあおった大国主神は、その隙に巨神の装甲を目にも留まらぬ速さで駆けのぼり、その頭部に、酔神の神力で増した痛烈な一撃を叩きこみます。 &br() &br() &br()ゴワンッ!! と大きな音がし、その衝撃に巨神の身体がぐらりと揺れました。 &br() &br() &br()「よっしゃあ! こういう図体のでけぇやつは、古今東西頭を狙うって決ま――うおっとぅ!!」 &br() &br() &br()虫でも払うかのように無造作に振られた巨腕を、大国主神は身をよじって避けました。 &br() &br() &br()何事も無かったかのように立ち直る巨神。そのわずかに傷付いた装甲も、すぐさま時が巻き戻るかのように再生してしまいます。 &br() &br() &br()「…あ~、全然効いてねぇなこりゃ… モノのやつ、いい加減なこと教えやがって… てか、“うち”の大将はまだかよ」 &br() &br() &br()その様子を見ていた須佐之男命は苛立たしげにダンと地面を踏みしめました。 &br() &br() &br()「あー! クソ! このままじゃラチがあかねぇ!」 -- 名無しさん (2016-10-06 19:00:59) - そして、仕方ないとばかりに虚空に向かって叫びます。 &br() &br() &br()「デカブツにはデカブツだ! 出番だぜ! 親父ぃぃぃ!!」 &br() &br() &br()すると、地響きと共に天が割れ、天を突くほどに大きく荒御霊を昂ぶらせた伊邪那岐命が雷鳴と共に降臨し、巨神を睥睨しました。 &br() &br() &br()「ふん、葦原のことは皆に任せておったが、子供らの頼みとあらば聞かぬでもない――天津神の神力じゃ…存分に味わええええい!!!!」 &br() &br() &br()轟!!――ひと振りで大地を揺るがせ、天を裂き、海を割る、圧倒的な質量の一撃。数百の落雷が同時に起こったようなすさまじい轟音が辺りに響きわたりました。 &br() &br() &br()しかし――それを受けてなお、土煙の消える頃には、巨神の身体は既に修復されていたのです。 &br() &br() &br()「これでもダメなの? はぁ…父様ばつ悪そうにして帰っちゃったじゃない… これ、厄介どころの騒ぎじゃなさそうね。どう、なにか打開策はありそう?」 &br() &br() &br()月読命は、倭建命の弱点を見つけようと観戦させていた、隣でじぃっとしている多邇具久神へと問いかけました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:22:54) - 「………………」 &br()「タニグク…寝てないわよね?」 &br()「ゲコッ! 寝てなどおら~ん、起きておる、手前はず~っと起きておる。あ~~~手前の知るところによるとだな、奴と一体化しとる“草薙の剣”には、機甲装置の他にも、な~んか別のものがおるようじゃの~。その正体を掴むことができれば、あるいはなにかのきっかけぐらいにはなるかもしれんの~う」 &br() &br() &br()曖昧な多邇具久神の言葉を聞いた月読命は、目を細め、鋼の巨神を見ました。 &br() &br() &br()「…何か“関係してる”とは思ったけど、なるほど、剣の中にね…彼女を呼んでおいてよかったわ」 &br() &br() &br()そして、弟神に言いました。 &br() &br() &br()「スサノオ、ちょっとあんたのムラクモ貸しなさい」 &br()「は!? なんでだよ、やだ――あ、いや、なんでもないです。どうぞ、好きに使ってください」 &br() &br() &br()須佐之男命はものすごく嫌がりましたが、姉神に睨まれると途端に気勢を削がれ、大人しく天叢雲剣を差し出しました。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:23:12) - 何をする気ですか――赤眼の青年の問いに、月読命は答えます。 &br() &br() &br()「草薙の剣と天叢雲は元々とても良く似た性質を持つ剣なの。これを使えば――“映せる”かもしれない」 &br() &br() &br()そう言って目を閉じ、月読命は神力を高めていきます。 &br() &br() &br()映すとは一体――青年がさらに尋ねようとしたとき、須佐之男命の危急を告げる声が響き渡りました。 &br() &br() &br()「姉貴! 小僧っ! 危ねぇ避けろ!!」 &br() &br() &br()青年と月読命が振り返ると、巨神のひと振りによって放たれた巨大な衝撃の波が、こちらへ向かってきていました。その勢いたるや、まさに必殺…それは痛恨の油断でした――もはや回避することは不可能なその波が、青年と月読命を包み込もうとしたまさにそのとき、突如飛来した三本足の烏から、二つの影が落ちました。 &br() &br() &br()≪ふるべ… ゆらゆらとふるべ――“天津祓”!!≫ &br() &br() &br()凛と少女の声が響くと共に、青年と月読命は淡く光を放つ繭のようなものに覆われていました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:23:33) - その直後に襲い来た波は、光の繭に全て受け流されるように弾かれて霧散し、青年と月読命は一切の傷を負いませんでした。 &br() &br() &br()これは、すごい――目を白黒させる青年と対照的に、さほど動揺した様子もない月読命は、現れた目の前の少女に語りかけました。 &br() &br() &br()「ふぅ、来てくれたのね、ありがとう女王様。それと――」 &br() &br() &br()あっちのあなたのお仲間もね――促されて青年が見ると、青年と同じように片方の目が赤く染まった、やや粗野な印象を受ける赤毛の青年が、果敢に倭建命へと斬りかかるところでした。青年は、彼が来てくれたのなら安心していいと笑い、その場を月読命に任せ、赤毛の青年の元へ加勢にゆきます。 &br() &br() &br()「もう卑弥呼は女王じゃないよ神様。私を呼んだのはあなただね。…卑弥呼の残した剣が悪さをしてるって聞いて、それを見るのが怖くて、すごく悲しくて、すごく落ち込んでたんだけど……でも、やっぱり卑弥呼が撒いた種なら、卑弥呼がなんとかしなくちゃいけないもんね。こういうの“ケジメをつける”っていうんだって、あの人が教えてくれたんだ」 -- 名無しさん (2016-10-06 19:24:50) - 赤い髪の青年に少しだけ泣き腫らした目を向けつつ、卑弥呼はにっこり笑い、「それで、何をすればいいの」と尋ねました。月読命は、卑弥呼の覚悟に感謝しつつ言いました。 &br() &br() &br()「…これはきっとあなたにしかできないこと。あの剣に封じられたものを、私の月でこの天叢雲剣に“映す”わ。そうしたら“それ”を、あなたの力で“憑び出して”ほしいの」 &br() &br() &br() * * * * &br() &br() &br()――駄目…タケル… &br() &br() &br()≪…あんた…は…!?≫ &br() &br() &br()その美しい姫の姿を見た途端、巨神は先程までの暴走が嘘のように動きを止めました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:25:14) - ――駄目だよタケル…もうやめて… それ以上苦しまないでよ… &br() &br() &br()≪…弟…橘…!?…ああ…ああ……≫ &br() &br() &br()するとどうでしょう、巨神の鋼の身体はガラガラと崩れ始め、後に残ったのは本来の剣としての形に戻った草薙の剣と、それを握り締める生身の倭建命の姿でした。 &br() &br() &br()「なぜ…弟橘が… 弟橘は確かにあのとき…」 &br() &br() &br()弟橘姫を守れず目の前で失ってしまった苦い記憶は、倭建命の頭の中に鮮明にこびりついたままでした。倭建命は事態が呑みこめぬという風に、茫然と呟きました。 &br() &br() &br()――ごめんね。わたしの体はずっと昔になくなっちゃった…今ここにあるのは、“剣”に縛り付けられた魂だけなの。 &br() &br() &br()倭建命はハッとしたように、自分の握りしめる草薙の剣を見つめました。 &br() &br() &br()「魂だけが…剣に…? そんな馬鹿なことが…」 &br() &br() &br()その姿に倭建命の正気を確認した月読命は、弟橘姫の現身へと問いかけます。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:25:32) - 「やはりそうなのね――弟橘姫事情を説明してもらえるかしら」 &br() &br() &br()わかりました、そう頷くと、動揺する倭建命とその場を見守る神々に、弟橘姫はしずしずと語り始めました。 &br() &br() &br()『草薙の剣』とは本来『苦災薙の剣』――とある神の力を持つ女王が国に残した“あらゆる苦しみと災禍を薙ぎ払うように”という祝福の祈りが込められた、まごうことなき神剣だったこと。その管理を任されていたのが、女王の弟妹の血筋を持つ弟橘姫の一族であったこと。そしてその剣を、倭建命に託したのが、自分であったこと――。 &br() &br() &br()「あ? 人をあんな化け物に変える力が祝福だと? ありゃ祝福ってぇより呪いだろ」 &br() &br() &br()須佐之男命は乱暴に言い放ちます。 &br() &br() &br()――はい…今その剣に込められているのは…タケルを蝕んでいるのは…“祝福”などではなく“呪い”そのものです。 &br() &br() &br()それはとある“魔神”の企てによるもの…弟橘姫は、そう寂しそうにいいました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:26:07) - ――魔神は剣に何かを仕掛け、“あらゆる苦しみと災禍を薙ぎ払う”祝福を反転させました。剣に込められた思いはとても純粋――純粋な想いは力が強い反面、いとも簡単に“裏返す”ことができるのだそうです。その結果生まれたのが、“あらゆる喜びと幸福を薙ぎ払う”飽くなき力の渇望をもたらす剣――それが“呪い”の正体です。 &br() &br() &br()「だが! それでどうして、弟橘の魂が剣に囚われねばならない!?」 &br() &br() &br()――草薙の剣の真価を引き出せるのは、その剣をつくった女王の血筋の者だけ…魔神はそれを知っていたからだよ。 &br() &br() &br()拳を握り問いかける倭建命を、弟橘姫は寂しそうに微笑みながら、優しくなだめるようにそう答えました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:26:48) - ――わたしの死後、わたしの魂は魔神に捕らわれました。タケルもまた、戦いの中で魔神に出会い、その体に『種』を埋め込まれました。その『種』で魔神はタケルを悪しき何者かに作り替えようしているようです。そしてこの剣の呪いは、タケルの中の『種』を育てる養分として、タケルに“闇”を送り続けた――わたしの魂は呪いの効果を増幅するための道具…つまりタケルをより苦しめるための仕掛けとして、この剣に組み込まれたのです。 &br() &br() &br()外道め――正義感の強い赤目の青年は、そう吐き捨てました。 &br() &br() &br()――タケルが今の力を手に入れたとき、心に直接語りかけるような声を聞いたはずだよ。それが魔神…それが… &br() &br() &br()「――すべての、元凶…」 &br() &br() &br()感情の読み取れぬ冷たい声で月読命は呟きました。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:09) - ――死そのものに悔いはありませんでした…タケルに守られ、タケルの腕の中で逝けたのですから。それなのに…わたしは…タケルを苦しめるために使われて… &br() &br() &br()倭建命を気遣い、いつ流れてもおかしくは無い涙を必死にこらえる弟橘姫に、声をかけられる者は誰もいませんでした。 &br() &br() &br()そんな弟橘姫を見て、倭建命は意を決したように告げました。 &br() &br() &br()「………ならば、今俺ができることは、ひとつだ」 &br() &br() &br()確かな言葉で語るその瞳には強い意志の光が宿っていました。 &br() &br() &br()「砕こう――草薙の剣を、今ここで。弟橘の魂を、こんなくだらぬ楔から解き放つんだ」 &br() &br() &br()しかし、弟橘姫は静かに首を横に振ります。 &br() -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:32) - ――タケルの中の『種』は、もう完成寸前みたいなの…。今となっては、その最後の進行を食い止めているのが、わたしという異物… 私の魂が解放されちゃったら、もう誰も止められない…それこそ、あの魔神の思惑通りに… &br() &br() &br()そう告げた後、弟橘姫は精一杯の強がりで笑って見せました。 &br() &br() &br()――ごめんねタケル。あの剣、タケルのためにって思って渡したのに、こんなことになっちゃって…でも大丈夫だから、わたしはこのままでいい…絶対タケルを守るよ。だから、タケルもこれ以上闇に飲まれないで――わたしは、いつも熱い正義の味方で、でも少し抜けてるタケルが大好きだったんだから。 &br() &br() &br()当然、その笑顔に釣られて笑う者など一人もなく、悲しみとやり場のない怒りだけがその場に重く落ちていきます。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:27:55) - しかし、もう耐えきれぬという風に、倭建命は地面に拳を打ち付けて叫びました。 &br() &br() &br()「なぜ笑うんだ、弟橘…! いっそ俺を憎めばいい!! お前を守れず…死後の安寧すらも奪い…そのことを今日の今まで気付きもせずにのうのうと生きてきたこの俺を!!!」 &br() &br() &br()――タケル…。 &br() &br() &br()そして、倭建命は静かに告げました。 &br() &br() &br()「…これまで、大和国のためと大層なことを言いながら剣を振るってきた。でも今になってようやく気付いたよ… 俺にとって本当に大切で、守りたかったものは、国などではない――弟橘、あんたひとりだったんだ…」 &br() &br() &br()倭建命は草薙の剣の刀身に手をかけました。 &br() &br() &br()草薙の剣を破壊しようとしている――事態を静観していた神々が色めき立ち、月読命が駆けだしました。 -- 名無しさん (2016-10-06 19:28:19) - 「止めるなっ!!」 &br() &br() &br()その機先を制するように倭建命は叫びました。 &br() &br() &br()「俺は、二度と彼女を見捨てない…! たとえ何を失おうと、彼女の尊厳だけは守って見せよう! その引き替えが、俺の心だろうと、俺の命だろうと――世界だろうとだ!!」 &br() &br() &br()その言葉に、月読命の伸ばしかけた手が止まり、その顔にちらりと倭建命が目を向けます。 &br() &br() &br()「…ありがとう。最後まで、迷惑をかける」 &br()「……」 &br() &br() &br()――ダメだよ…タケル… &br() &br() &br()弟橘姫のこらえていた涙が、薄くその目に浮かびます。 &br() &br() &br()「弟橘…先にいって、待っていてくれ」 &br() &br() &br()待って――そう言いかけた月読命に、倭建命は穏やかに微笑むと――草薙の剣を粉々に砕きました。 &br() &br() &br()* * * * -- 名無しさん (2016-10-06 19:28:38) - キラキラと舞う草薙の剣の破片――。 &br() &br() &br()同時に、弟橘姫の姿が次第に卑弥呼に変わっていきました。 &br() &br() &br()「…そう…だったんだね…」 &br() &br() &br()力を使い果たし倒れ込む卑弥呼を、赤毛の青年が優しく受け止めます。 &br() &br() &br()「あの子の魂は無事旅立ったよ… あの子も彼も、卑弥呼がキミと旅立った時より、遠い未来から来たんだね… でも、みんなの為を思って残した剣が、そんなことになるなんて…」 &br() &br() &br()赤毛の青年は、辛い思いさせてすまねぇ――そう卑弥呼に謝りますが、 &br() &br() &br()「大丈夫だよ、キミが言った通り、あの国はあの後も大丈夫だったんだってわかって嬉しかったもん」 &br() &br() &br()卑弥呼は、そう言って寂しそうに微笑みました。 &br() &br() &br()「う~わわわ~! なん~か破片がた~いへんだ~!」 -- 名無しさん (2016-10-06 19:29:05) #comment(size=85,vsize=3,nsize=30,num=20) #endregion -&color(red){余りにも当Wikiやゲームから逸脱した無関係な雑談や、誹謗中傷めいた暴言、ページに関係ないコメントはおやめ下さい。} -wikiは不特定多数の人が利用する場です。プレイヤーの個人名や所属ギルドなどを書き込む行為は慎んで頂きますようお願いします。 -個人的な日記として使用するのも控えて下さい。 #region(close,コメント *雑談や使用方法などの相談にご利用下さい) #comment(size=85,vsize=3,nsize=30,num=20) #endregion

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