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Ver3/風魔小太郎 - (2016/10/24 (月) 15:40:59) の編集履歴(バックアップ)
風魔小太郎 (SR)
- 基本情報
名前 |
風魔小太郎 |
種族 |
人獣 |
ジョブ |
アタッカー |
召喚コスト |
70 |
<タイプ> |
英雄 |
タイプ |
シノビ |
HP |
600 |
ATK |
110 |
DEF |
100 |
覚醒 |
可 |
超覚醒 |
可 |
アーツ |
無 |
CV |
今村 卓博 |
アビリティ |
召喚 |
スピードアップ |
移動速度が上がる。 |
覚醒 |
スピードアップ |
移動速度が上がる。 |
超覚醒 |
風魔・黒千鳥 |
自身が攻撃した敵ユニットと、その周囲にいる敵ユニットにダメージを与え、HPを一定時間徐々に減らす。 |
-
+
|
エラッタ前のステータス |
- 閉じる
Ver3.205~Ver3.402 |
種族 |
人獣 |
名前 |
風魔小太郎 |
ジョブ |
アタッカー |
召喚コスト |
70 |
タイプ |
英雄 |
クラス |
シノビ |
HP |
600 |
ATK |
110 |
DEF |
100 |
覚醒 |
可 |
超覚醒 |
可 |
アーツ |
無 |
アビリティ |
召喚 |
スピードアップ |
覚醒 |
スピードアップ |
超覚醒 |
ポイゾアタック |
Ver3.100~Ver3.205 |
種族 |
人獣 |
名前 |
風魔小太郎 |
ジョブ |
アタッカー |
召喚コスト |
70 |
タイプ |
英雄 |
クラス |
シノビ |
HP |
600 |
ATK |
110 |
DEF |
80 |
覚醒 |
可 |
超覚醒 |
可 |
アーツ |
無 |
アビリティ |
召喚 |
スピードアップ |
覚醒 |
スピードアップ |
超覚醒 |
ポイゾアタック |
Ver3.000~Ver3.013 |
種族 |
人獣 |
名前 |
風魔小太郎 |
ジョブ |
アタッカー |
召喚コスト |
70 |
タイプ |
英雄 |
クラス |
シノビ |
HP |
600 |
ATK |
130 |
DEF |
80 |
覚醒 |
可 |
超覚醒 |
可 |
アーツ |
無 |
アビリティ |
召喚 |
スピードアップ |
覚醒 |
スピードアップ |
超覚醒 |
ポイゾアタック |
-
|
- ステータス
状態 |
HP |
ATK/DEF |
召喚 |
600 |
110/100 |
覚醒 |
650 |
140/130 |
超覚醒 |
700 |
210/200 |
- DATA・イラスト・フレーバーテキスト
-
+
|
Ver3.0 |
Ver3.0 |
身長 |
捕縛不能 |
男は廃屋敷の中へと踏み入った。時刻はしっかりと丑の刻。 生き物の気配一つしない。本当に、ここで会えるのだろうか…? 「…何が望みだ」 背中から突然声がした。 人の気配など全く感じない…だが、確かにそこに“いる”。 もし振り向けば、その時は首と胴が離れることとなるそう教わった。 男は札を掲げて言った。 「殺して…ほしい奴がいる こいつだ」 刹那、一陣の風が吹き、不意に空気が軽くなる。 噂は本当だった。風の如く、魔の如く伝説は滅んでいなかったのだ。 |
体重 |
捕縛不能 |
最高速度 |
風の如く |
武力 |
魔の如く |
夢 |
一族の再興 |
怨敵 |
高坂甚内 |
イラストレーター |
v8 |
-
|
-
+
|
Ver3.1 |
Ver3.1 |
身長 |
捕縛不能 |
「……追いつめ…られたのか!?」 男は焦っていた。辺り一面の原。身を隠すものは何も無い。 周りに人影もない――しかし、男は追いつめられていた。 ガクンッと地面が縦に大きく跳ねたかのような衝撃。 刹那、男の目線は地面を這っていた。 動転する思考を必死に立て直し、闇夜に目を凝らす。 目の前に、何者かが立っていた。 「テメェは誰だ…誰に頼まれた…!」 しかし、衝撃のためか、思うように声が出ない。 目の前に仁王立ちしたその者は、一言も発せずただじっと男の前に立ち続ける。 …血が、流れている。絶体絶命の身体を、只々目前で見下ろされる恐怖。 次第に、男の意識は朦朧としてきた。もう、限界だ… 諦めかけた時、男は、あることに気づいた。 「――そうか…全く気づかなかった…なんて技だよ…」 風の如く、魔の如く――伝説は本当だった。 「…目の前の…こりゃぁ…俺の足だ…」 |
体重 |
捕縛不能 |
最高速度 |
捕縛不能 |
容姿 |
語るものはいない |
声 |
七色の声音 |
主家 |
北条家 |
イラストレーター |
Vusc |
-
|
-
+
|
Ver3.5 |
Ver3.5 |
身長 |
1.76[meter] |
special past episode 1 ◆『風魔血風録・紅左眼』◆
「…お尋ねします」 岩牢――左目に眼帯をした少年は、格子越しに、枷をはめられ、壁に繋がれた傷だらけの青年に語りかけた。 「あなたの名を、お教え下さい」 しかし、青年は目をつむり、下を向いたまま返事をすることはなく――少年はギュッと拳を握ると、今一度尋ねる。 「あなたはいずれの国から参ったのですか?」 やはり、青年に反応はない――。 「…やはり、私が子供だからお答え頂けないのでしょうか… しかし、仕方がないのです。なぜか、あなたの言葉を理解できるのは私だけなのですから…」 その青年は、東方の島国・朱夏の宰相、五大老が一家・月如家の敷地にどこからともなく現れ、手ひどい傷を負い倒れていたところを捕縛されたのであった。 少年はクッと息を飲みこみ、思い切った風に背筋を正して告げた。 「処置はしたものの、あなたの傷は深い。このままでは… それに、この朱夏の刑部たる月如の地に、謂われなく踏み入った者が生きて帰ることは叶いません。このままだと、あなたは七日後に処刑されます。話して頂ければあるいは… どうか話しては頂けないでしょうか?」 しかし、青年は黙し、目をつむるばかり。 「それと…あの時、あなたは私を見て『良かった』、と――あれは、どういう意味なのですか?」 「…………」 ふと、下を向く青年の長い前髪が揺れたような気がしたが、やはりその口が開かれる事はなかった。 少年は、更に辛抱強く問いかけたが、青年は石の様な沈黙で答えるのみだった。 「――刻限でございます」 日暮れとなり、牢の外で待っていた牢番が、その日の尋問の終わりを告げに来る。すると青年は、首をもたげ、牢番に鋭い眼差しを向ける。牢番は一瞬ビクリとたじろぎ、少年に告げた。 「…若様、お戻りを」 「そうですか… また…明日来ます」 青年は、肩を小さくして去る少年と牢番の背中を、冷たい瞳で見つめていた。
少年が去り、明かりが消えた岩牢に濃い闇が落ちる。 ふと、闇に青白い炎が灯ったかと思うと、その光は次第に大きくなり、人の形となっていく――光が、口をきいた。 ――意地の悪い奴じゃ 少しは答えてやってもよかろうに。 「去れ」 青年の、低く凛と澄んだ声が岩牢に響く。 「――化け狐」 ――ホホ、云うわ。この国では殿の寵愛賜りし『桜花御前』の名で通っておるのじゃがの。そう邪険にするな。おった時は違えど、同じ世界より来たよしみじゃろうに。 「知らんな。それに、あんたやここの奴らが俺の敵と繋がってないとも言い切れん」 いつの間にやら、美しい女の姿を現していた光は、桜色の袖を振りつつ笑う。 ――ホホホ、敵…な。その“呪い”にも似た胸の傷、余程の手練れであったのじゃろうな。何度も言うたが、どれだけ意志が強かろうが所詮そなたは人、あの童の申す通りじゃ。そのままでは、死ぬぞ? 青年は返事をすることはなかったが、その目は――ここで死ぬつもりはない――そう語っていた。 ――勇ましい事よ。しかしあの童、確かに“それ”のようじゃ。数奇よの… “あの事”、とくと、思案するが良いて。 女はそう言って、燐光を残し闇へと消え去った。
翌日、少年は再び牢の前に坐し、青年に語りかけていた。しかし、青年は変わらず黙したまま。一体どうすれば――少年もまた黙してしまう。 重く落ちる静寂――暫くして、少年がポツリと言った。
「やはり、人様のことをお尋ねするのに、自分をことを話さないのは虫の良い話ですね… よろしければ、私の話を聞いていただけますか?」 青年は返事をしなかったが、少年は構わず続けた。 「私は、黒羽丸と申します。私は――でくのぼう、なのだそうです」 少年は、訥々と自身の生い立ちを話し始めた。 武家の名家に生まれたものの、生来の気質故か、剣が苦手であること。左眼に、この国では不吉とされる凶兆を持って生まれたが為に、左の眼を封じられていること――。 剣も使えず凶兆まで持つ、故に父より役立たずのでくのぼうと呼ばれ、そんな自分を生んでしまった母は何かと叱責を受け、辛い思いをさせてしまっていること――。
「此度のお役目は そんな私が初めて頂けたもの… ですから私はお家の為、この使命だけは命に代えても果たしたいと――」 そう俯き加減で淡々と語る少年の目は昏く、どこか別の場所を見ているようで――ふと、少年の声が流れるばかりであった岩牢の空気が、ピリリとはじけた。 「――餓鬼が、命を語るな」 顔を上げる少年――見ると、青年は相変わらず下を向いたままであったが、垂れた前髪に隠れた瞳はしかと少年を見つめていた。 「家の為… 役目の為… 命は、そんなものの為にあるんじゃない」 突然の青年の言葉に、少年はキョトンとしていたが、すぐに愛らしい笑顔を浮かべた。 「やっと、口をきいてくれましたね」
その後も少年は熱心に語り続けたが、結局その日は、それ以上青年が口を開く事はなかった。
日が暮れ、迎えの牢番が来ると、少年は格子越しに食事を差し出した。 「あなたは…優しい方なのですね。今日はこれにて下がります。できればお食事をお取りください。…お体に障りますから」 そう言って去る少年の背中は、なんだか少しだけはずんで見えた。
翌日、食事がひと齧りだけ減っていた。 それを見た少年は喜び、更に様々なことを青年に語った。厳しい父のこと、優しい母のこと、自分の好きなとっておきの風景のこと――青年が時折、微かに見せる小さな反応を楽しみつつ、自分の思い出を確かめ、噛みしめるかのように――。 少年が話し、青年が聞く、そこに言葉のやりとりはなかったが、不思議とそれが自然な事である様な、そんな時間が過ぎていった。 そんな二人のやり取りは、翌日も、その次の日も続いたが、最後には決まって夢から覚めたように少年の目に昏い影が落ち、少年は俯いて岩牢を後にするのだった。
六日目、少年はいつものように語り続けていたが、その熱を持った言葉の裏には、焦りのようなものが見え隠れしていた。 突然、そんな少年の言葉を、青年が制した。 「…もういい、お前の言葉は全てまやかしだ――言え、お前はどうしたい」 虚をつかれた少年は、目を見開き、下をむいて黙りこむ。 そのまま、どれ程経ったか――長い沈黙の後、少年は拳を強く握りしめて言った。
あなたの――お命を頂きたい、と。
「――申し訳ございません。私は父より、あなたから情報を引出した後、私の手で…斬り捨てるよう命を受けております」 黙して少年を見つめる青年――。 「私の家は刑部と共に 国敵を闇に葬る暗部でもあるのです。これは私への罰であり、私に人を殺められるのかを試す、最後の試験――」 鋭く刺さる青年の視線――震える少年の拳――。 「先月――母が自害いたしました」 少年の封じられていない方の瞳に、昏い影がおちる。 「きっと、いつまでたってもお家の役に立つことのできない私に絶望されたのでしょうね… そして、あなたが現れた…」 「母の事で、落胆と共にお怒りになられていた父上は、私にこれ以上生きる価値があるか試すことを思いつかれたのです――期限は七日… その間にあなたの命を奪えなければ――私の命が絶たれることとなっております」
青年は、黙って少年の言葉を聞き続ける。 「月如は主家を護る為にあり――人を殺める覚悟を持たぬ者に――使命を果たせぬ者に、この家で生きる価値はありません。父は厳しい方です… このお役目を終えても私がお許し頂けるかはわかりませんが、母の無念を晴らすためにも、私はこのお役目を全うしたいと思っておりました――」 少年はそう言うと―― 「しかし、困りました。やはり私は、あなたの命を奪いたくないのです」 ――にこりと笑った。 「あなたは、きっと優しい方です。私のようなでくのぼうが生きるため、あなたが命を落とす…そんなことが――」 「――くだらんな」 青年の冷たい声が、それ以上の少年の言葉を制した。 「前にも言った。家の為、役目の為――そんなものは本当の“使命”ではない」 「しかし…」 「…昔、お前のように家に命を捧げた者がいた。だが、その命が散っても何も残りはしなかった――格好などどうでもいい、何の為でもない、自分の命の使い道は自分で決めろ」 青年が顔を上げる。 「――もう一度聞く、お前はどうしたい」 目を見開き地面を見つめる少年。少年を射る青年の瞳。
少年は両の拳を地面に叩きつけ、顔をくしゃくしゃに歪ませて叫んだ。 「私は――私は、生きたいです…! でくのぼうのまま 終わりたくない…!!」 岩牢に響き渡る少年の嗚咽――。 「お前がそう望んだのなら、それがお前の使命だ」 蝋燭の明かりが作り出す影に阻まれ、青年の表情は見えない。しかし、その言葉には、僅かながら、笑顔が見えた気がした。
その日の刻限、牢番に連れられて去る少年に、青年が告げた。 「明日の刻限、それまでに心を決めろ。…俺も、このまま死ぬつもりはないがな」 そう話す青年の眼は穏やかだった。そして、振り向いた少年は、赤く腫らした目を真っ直ぐ青年に向け、コクリとうなずいた。
岩牢に闇が落ち、ふわりと狐火が灯る。 ――ホホホ、いよいよじゃな。どうじゃ、心は決まったか? 「あぁ、一撃を穿つ力は残してある」
最後の日、少年と青年は一言も口をきかぬまま過ごした。そして刻限近く、青年が口を開く。 「…決めたのか?」 「はい」 少年は、青年を真っ直ぐに見つめ、
「私は 生きることにしました」
そう言った。そして、牢番を呼びつけた少年は、牢を開け、青年の枷に、手をかける。 「しかし、あなたにも生きていただくことにしました。私は未熟者故、これが正しいことなのかは分かりませんが、あなたの言葉を聞いて思ったのです――どうせ命を懸けるなら、父上にあなたの酌量を掛け合ってみようと」 少年は、照れたような笑顔を浮かべ青年に言った。 「――最後に、お名前をお聞かせ下さいませんか?」 「…俺の名は、死ぬ者と、主となる者にしか教えられん」 そうですか――そう言って、少年は少し寂しそうに笑った。 「牢番、枷の鍵を」 少年の呼びかけに、牢番が無言で格子を潜り、少年の側に立つ。しかし、その手に握られていたものは、鍵ではなく、薄ら光る白刃――。 「……何を…」 「若様… 残念でございます。その選択はお館様がお望みの道ではございません――全ては月如の為、お恨みなさいますな」 少年に振り下ろされる斬刃――鈍い残響――飛び散る赤沫――。
「やっとか――いい加減、その小汚い殺気には嫌気が差していたところだ」 刃を受けたのは青年の枷――しかしその凶刃は、枷を砕き、袈裟切りに青年の胴を切り裂いていた。少年は絶句し、急ぎ青年を支える。 「心配するな。“呪い”で動かん体だが、一撃を穿つ力は残しておいた」
言葉と共に巻き起こる一陣の風――いったい何が… 理解する事もなく静かに落ちる牢番の首。 ドゥッと倒れこむ青年――その手には、いつの間に奪い取ったのか、牢番の刀。 少年は、青年に駆け寄り、その身を助け起こす。 「なぜ…!?」 「前に話した者… お前は“あいつ”を思い出させる……あの日、初めてお前を見た時も――」 青年は、息荒く続ける。 「お前は自分の意志で生きたいと言った――だから、俺はお前を助けた。あいつは…助けてやれなかったからな…」 青年の体が、徐々に冷たくなっていく。 「…お前は本物の“使命”を選んだ――俺は…そう思う」
岩牢の異変を察し集まる武士達。しかし少年は目もくれず、涙を浮かべ青年に語りかける。 「私に…命の使い方を説いたあなたが、ここで死ぬというのですか…?」 青年の口元が、微かに笑ったように見えた。 「……言ったはずだ。死ぬつもりはない……俺には果たさなければならない事がある。だから、俺の命を…ここで使うことにした――少し遠い、耳をかせ…」
頭を傾ける少年に青年は何かを告げ、少年は決意の表情で頷く。 青年は、そっと少年の眼帯に手をかけ、それをずらすと、現れた左の紅と右の青灰――両方の瞳を見つめて言った。 「お前には、俺の弟に似て主の器量があるようだ。お前を主と認めよう。オレの名は――」
岩牢を埋め尽くす紅い光――目を覆う武士達――気を失う少年――。 光が収まると、残光の中に、凛と刀を手にした青年が立っていた――その体には傷一つなく――。 青年を囲む武士たちが、次々と刀を抜き構える。 「言葉は通じんようだが、死すべき者には名乗ろうか――十三代目、風魔小太郎…参る」
数刻後、赤く染まった岩牢に、少年と、その傍にかしずく青年の姿があった。ふと、そのそばに蒼い燐光が灯る。 ――ホホ、派手にやったの。やはり、人をやめたか。 「…あぁ、あんたの言った事――本当だったようだな」
――無礼な、当然じゃ。その童の母の、命を駆けての願いじゃ、無下にするのも寝覚めが悪かろう? そういってホホホと女が笑う。 ――さて、その童の身は妾が引受けよう。そやつの紅き力には覚えがある…おそらく、その『持ち主』にもな――あやつには借りがあるでの。 「…どうするつもりだ?」 ――そうよな…その力、この世界では、まだ人の目に触れさせるのは危険じゃ。この国の姫同様、人目の届かぬ地下にでも隠そうかの。…しかし、不憫なことよ。その姫といい、そやつといい、いったい何故に――そなたもじゃ、その道は険しいぞ? ここで、死んでおれば楽だったと思う程にな。 「…かもしれないな。だが――」 青年は、少年のずれた眼帯に手を当て、そっと戻す。 「こいつはこれからも多くの過ちを犯すのだろうが、俺は、こいつの命の使い道を見届けたくなった… 今度こそ…それまでは――」 そう言って青年は、もう二度と自分の為に誰かが流す事はないであろう、そう思っていた少年の涙を拭い、女と共に蒼い燐光を残し、闇に消えた。
――fin
special past episode 2 ◆『風魔血風録・異門傷』◆
鋭く吐かれる気合の息と共に、白刃が閃く。 無人の隊舎ホールに高く響く、金属がぶつかり合う残響音――。 生半可な者ならば、攻撃をされたと知覚することすらできないほど疾く研ぎ澄まされた一撃――しかし、軍服の男はそれを、手に持つ鎖分銅を僅かに傾けるだけで斬道をずらして躱して見せる。 「なるほどね、確かに速い。“風の如く、魔の如く”――伝説の名に恥じない技だ。そうだな… お前は俺が見てきた風魔の中じゃあ、一番速くて――」 男は、細い目をさらに細め、 「 ―― 一番いびつだよ」 そう言って笑った。 青年は男の言葉に耳を貸すことなく、瞬時に次の一撃を繰り出す。だがそれも、男は軽く身をよじるだけで躱してしまう。 「……高坂…!」 青年は、かつて自身が所属していた特務機関を取り仕切るその男の名を呼んだ。しかし、青年のむき出しの敵意など、まるで相手にしていないかのように、男はせせら笑う。 「はは、お前は非常に優秀だが、それゆえに読みやすい。自分より強い相手と戦った経験が薄いのだろうね――どの動きをとっても正直すぎる。それに――」 男は勿体ぶるように言葉を切ると、さも残念そうに息をついた。 「お前には“根っこ”が無い。主を変え、里を捨て、何も成さず、何も守らず――そんな者の手が、俺の首に届くはずがない」 男の挑発を黙して聞き流し、次々と斬撃を繰り出す青年。しかし男はその全てを受け、躱し、防いでいた。その間も男は饒舌に口を動かし続ける。 「その点、お前の弟――お前が十三代目となると、十二代目小太郎殿になるのかな? あれはなかなかだったね 。技の冴えも速さもお前には遠く及ばないが、この俺の“責め苦”を受けて、最後まで『村雨』のありかを吐かなかった」 「………くっ…」 挑発だとはわかっている。しかし、青年のもっとも深い傷をえぐるその言葉は、青年の動きを僅かに鈍らせた。男はその瞬間を見逃さなかった。 青年の刃を屈み避けた男が、その腹に二対の掌底を叩きこむ。青年の腹部に二段、いや、それ以上の衝撃が走り、周囲の体組織ごと爆ぜ、霧散する。しかし―― 「ふん、見た目の派手さは囮で、その実皮一枚――隙を突かれ、そこからでも逃げるか、逃げ業は逸品の風魔だけある」 「『重ね雪華』か――当たれば恐ろしいな……」 男の背後に立つ影―― 「…風魔――『黒千鳥』」 男の背後から強烈な衝撃が突き抜け、室内にも関わらず激しい嵐が巻き上がる。 「…高坂、お前の甲州流の技は軍部でずいぶんと見させてもらった。お前の刃も、俺には届かない」 巻き上がる粉塵が収まると。その中央に、大鎌と鎖分銅を上下に構えた男が無傷で立つ。 「………!」 「甲州流がだめなら、こんなものもあるんだよ。これは、『五方の構』そして――」 突然男の姿が消えたと思うと、鋭い一刀の突きの如き竜巻が空気の壁を貫きながら、青年の胸をえぐる。竜巻より降り立った男は、背後に崩れ落ちる青年を見下ろす。
「…これが『捻貫の型』、二天一流の技――これは見たことなかったろう?」 「ぐぅぅ…っ!」 青年の胸からボトボトと流れ落ちる赤――。 「おっと、申し訳ないところに傷をつけてしまったか? …いや、十三代目と名乗ってはいたが、その“紋”は、もうお前にはいらなかったはずだろう?」 えぐられた青年の左胸には、風魔一族の証である『紋』があった。しかし、彼はかつて、それを一度捨てていた。その結果、里を弟に託すこととなり、それ故に弟は――しかし、そこにあった『紋』こそが、今、彼がここにいる理由であり、彼が目の前の男を倒さねばならない理由でもあった。『紋』が無くとも、その心に刻んだ風魔の火は消えてはいない。 このくらいの傷――素早く止血をし、全身に力を込め立ち上がろうとしたその時、胸の傷にさらなる激痛が走り、青年は胸を押さえうずくまる。 「…高坂、何をした…」 見ると、胸の傷の周囲に、鈍く光る、不可思議な紋様が浮かび上がっている。男は、ほくそ笑んで青年に近づく。 「それは、“扉”だ。お前にはこっちの方が似合っているよ」 男は、そう言って、青年の四肢にクナイを打ち込み、その体を床に固定する。 「っぅ――!」 そして、しゃがみ込み、青年の胸の紋様の出来を確認するように眺める。 「なぁ、風間、お前は俺が『妖刀』を追っているのを知っているだろう? お前の弟は確かに話さなかったが、その“頭の中”が教えてくれたんだよ。あの二刀は“異界に流された”、とね」 「……貴様は……!」 「俺は、その二刀を見たくてね。その一心である組織の『技術』を盗み、この“死なない体”を手に入れた。そいつらにとっては、これは『使徒』というものを作る技術らしいよ。それは、魂をこの『紋様』を通して、こことは別の世界に移す技術なんだそうだ。それを俺なりに、研究し、改良したものが“コレ”だ。俺は、この『紋様』に耐えうる体と心を持った検体をずっと探していたんだよ… わかるか? 風間、つまりな――」 男は、青年の胸の紋に一度触れ、その感触を確かめると、立ち上がり―― 「この『紋様』の作用を利用して、俺は“異界”へと渡ろうというわけだよ。その先がどうなるか――ある程度の調べがついているが、運が悪ければ死ぬだろうな。だが、それも一興、俺の執念は、きっと俺を妖刀へ導くだろうよ」 ――仰向けに倒れた青年の胸の紋用に、足を差し込んでいく。 「………っああああ!」 苦鳴を上げる青年――だが見よ、男の足首までが、青年の体と融合しているかのように蒼く光る粒子と化し、紋様の向こう側へと消えているではないか。 「ほう、上手くいっているようだ」、 「…高坂……逃がしは…しないぞ……」 青年が、口元に赤泡を浮かべ、男を睨みつける。 「んん? いいとも、追って来るなら追ってこい。…あぁ、言い忘れてたが、この紋用を刻まれたものは、一定の期間で死に至るようだ。まぁ、俺の手製だからな、実際のところ、どうなるかわからないがね」 「……風魔は…お前を……」 青年が、クナイの刺さった手に力を込め、そのまま持ち上げようとする。しかし、それを男は慈悲なく踏みつけ、無為にする。 「風魔か――お前ら兄弟も良く役に立ってくれた… 本当に、可愛いよ。お前らは」 そう言うと、男は一気に青年の胸に開いた“門”に体をねじ込ませ、消え失せた。
戦いの喧騒が消え、静寂がもどった隊舎に、荒い青年の呼吸のみが響く。 しかし、天井をじっと見る青年の目はいまだ死んではいなかった。その頭に去来するものは果たして――。 「――晩刃… こんなでも、兄ちゃんは、まだ、かっこいいか……? ぐぅ――!」 青年が、クナイを地面から抜くことなく、片方の腕を強引に持ち上げる。そして、腕がクナイから外れざま、それを自身の胸の紋章に突き入れた。 「…っあああああああああああ!!!」 なんという精神力か――青年は、自分の体に開いた『紋様』に、自分の体をねじこんでいく。次第に青年の体に刻まれた『紋様』が煌々と輝きを増していき、ホールを覆い尽くすほどに光が広がっていく――。 ――そして光が収まると、そこにあったはずの青年の姿は掻き消え、後にはただ、小さなつむじ風が、所在なさげに吹き去るのみであった。
――fin
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体重 |
59[kg] |
弟 |
風間晩刃(かざまくれは) |
好き |
緑茶・茶器 |
嫌い |
武術自慢 |
以上、情報源 |
高坂麾下特務機関調書 |
イラストレーター |
風間 雷太 |
-
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- 考察
- 超覚醒アビリティ「風魔・黒千鳥」は、攻撃時にATK100相当の範囲ダメージ+範囲ポイゾアタックの効果を持つ。
- 敵ユニットに与える毒の効果は5ダメージを5回、計25ダメージを与える強力なもの。
- キャラクター説明
- 関東にあった有名な忍者集団の頭領。フレーバーにもあるように宿敵は武田の忍び"高坂甚内"と言われる。
- 戦国時代の後北条氏との繋がりがあり、北条氏が滅びた後も一族は徳川氏などの元で暗躍したという。
- 13代目なので時代としては明治維新くらいである。
- 関連カード
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