前書きに代えて

前書きに代えて――宝石箱と玩具箱、欲しいのは両方


君の目の前に宝箱が二つあるとしよう。
どちらか一つ開けていいと言われたとする。それは宝石箱と玩具箱。さて、君はどっちを開ける?
現実的に金額を計算したら答えは当然決まって来るが、飽くまでもイメージの話だ。

突然だが私はファンタジーが好きだ。
ファンタジーはファンタジーでも馬鹿の一つ覚えのようなファンタジーが好きだ。
ドラクエもシンプルでいいが、聖剣や昔のFFのような美しい厨臭さがプラスされた世界だと尚いい。
女神と妖精、精霊の囁き――。神々と英雄の神話。
どこまでも広がる草原、吹き抜ける風、降り注ぐ陽光、聳え立つ塔、世界の中心の大樹、そんな世界が大好きだ。
宿命を背負った者達が運命に導かれるように出会い、共に旅をし、やがて世界を救う――そんなストーリーが大好きだ。
その過程で世界の根幹の秘密が解き明かされていくと更にワクワクする。
その世界が鮮やかな色彩で描き出され美しい音楽で彩られるならもう最高だ。

しかし、しかしだ――私には困った性癖がある。
その世界が好みであればあるほど、その美しい世界観をぶち壊したくなってしまうのだ。
自キャラに年金生活者という設定を付けてみたくなったり、スマホを取り出して見たり、マックを出してみたくなったりしてしまうのだ。
何故か、面白いからだ。ファンタジー世界の住人がスマホで動画サイト見ているのを想像するだけで変な笑いがこみあげてくる。
これをやるには通常、ハイファンタジーをベースに、現実世界の要素を混入させる手法がとられる。
お堅いことは言わないファンタジー、ライトファンタジーと言うジャンルだ。しかし……どんだけ混入させるつもりだ。

また、この手の妄想をして遊ぶのも好きだ。
授業中に教室にモンスターが乱入して暴れ出し、気付けば選ばれし者だけが抜ける伝説の剣が自分の横に刺さっていて
それを振り回してモンスターを倒したところで美少女の姿をした妖精が現れ、世界の命運を賭けた戦乱に巻き込まれていく――!
何ともアイタタな妄想だが、誰でも一度はした事があるだろう。正直に言おう。
このように日常から非日常に踏み出した位置に、異能バトル・エブリディマジックというジャンルがある。
でも、その踏み出しようはきっと一歩ではおさまらない。

――どっちから攻める!?

ここで話は変わるが私はいわゆるニコ厨でもある。
トップページにニコ動の動画をうpしている位だから認めるしかないだろう。あの動画サイトを一言で表すなら……カオスだ。
最高にくだらないけど何故か笑ってしまう。何故こんなもん作った、と思いながら何故か見てしまう。
あのサイトにはそんな得体の知れないエネルギーが溢れている。そして私はある仮説に辿り着いた。
そう、本来一緒にはしないものを同じ鍋にぶち込んでしまった時、そこに得体の知れないエネルギーが爆発的に生まれるのだ!

そして話は元に戻り、私は思い立った。――そうだ、両者の壁をぶちぬいてしまおう!
冒険者と書いてフリーターとも読めてしまう世界。呪歌歌いがニコ動のボカロ曲を歌って奇蹟を呼ぶ世界。
そんな世界は――きっと楽しい。

この確信にも似た予想は――当たった。
そして今、私だけの物ではなくなった世界は、参加者の方々によって思わぬ広がりを見せている。
根幹は、神髄は、ド直球で王道、まさにありがちなファンタジー。
それでいて予想以上の壮大さと同居する、とても英雄冒険譚らしからぬ日常ネタ。
当初予定したカオスはそのままに、予想外の近未来的なスタイリッシュさも加えられ。
まさに“有り得ないけどどこかにあるかもしれない”そんな世界になった。
これだ、これだからこの遊びはやめられない!

ここで冒頭の問いに戻ろう、宝石箱と玩具箱、どちらかしか開けてはいけないなんて誰が決めた?
不思議な世界で繰り広げられる冒険譚には、ありったけの夢と、両手一杯の遊び心。
スパイスにスリルと多少のシリアスも加えて――何を入れるかは、君次第。
少し興味を持ったなら、本編を覗いていただいて。
もしも面白そうと思ったなら、出来れば参加して楽しんで戴けたら、幸いです。

――共に奏でよう、冒険の交響曲《シンフォニア》を!

2012年9月吉日、楽しくて仕方がないフォルテのPLが記す!

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最終更新:2012年09月22日 10:05