クロスオーバーしているので注意 Q:ここはどこですか? A:こなたと日下部の通う大学の敷地です Q:私こと柊かがみは何をしていますか? A:模擬店用テントの設営です Q:何故そんなことをしているのですか 「こなたがバカだから…よね」 「柊さん、何呟いてるの」 「なんでもないです、白金さん」 この人は白金(しろがね)やわらさん。学部こそ違うが、こなたや日下部と同じ大学に通う人で、二人の大学での友達らしい。 『幸運(ラッキースター)と接続(コネクト)?』 さて、どうして私がこなたの大学でこんなことをしているのかというと。 話の発端は一ヶ月前のこと。 みんなで集まって遊んでいた時に、こなたが大学祭で模擬店の手伝いをすることになったから来ないかという誘いがあった事から始まる。 「あー、やわらに誘われたやつか。私は断ったけど」 「ヤワラ?」 「私とみさきちの同期生だよ。どうでもいいけど、大学だと同級生って言葉使わなくなるねぇ」 「私も専門学校じゃ使わなくなったなぁ。どうしてなのゆきちゃん」 「おいこら、脱線するな」 みゆきが残念そうな顔をしているが、この際無視させてもらおう。 「アンタ大学で友達いたんだ、ビックリ。類友?」 「ひどい言い様だね、大学でボッチのかがみんとは違うんだよ」 「まてこら、誰がボッチだ」 「…なん…だと…」 真顔で絶句するな!どういう意味だ! 日下部!アンタも何その世界の終演を告げられたような表情は! 峰岸、何その「柊ちゃん、ミエはらなくても…」と言いたそうな目は。 「こなちゃん、お姉ちゃんだって社交性くらいあるよたぶん」 「つかさ、それがフォローと言うなら殴るわよ」 「どうでしょうか?話をへし折る癖もありますし」 「みゆき、もしかしてさっきの事で怒ってる?」 「怒ってませんよ。…すみません、その日は私の大学も大学祭なのでちょっと」 「むぅ、ならつかさとあーやは」 「遊びにはいくけど、手伝いはちょっと…」 「私はみさちゃんに案内してもらうつもりだったから」 「うちの兄貴と一緒にな」 「…で、かがみは?」 「一日だけでいいなら手伝うけど」 どうせその日は私の大学も学祭でヒマだしね。交換条件に二日目のうちの大学祭に来る事を確約させて(ボッチじゃないことを証明してやる)、私は‘白金’さんと出会った。 …で、その準備日当日、つまり学祭前夜。 テント設営係になっていた私達三人は大学に来ていたわけだったのだが。 「来れない?!どういうこと!」 『急に外せない用事が出来ちゃって…やわらにも謝っといて』 「おいこら!…切られた」 「何、泉来れなくなったの」 「らしいです。急用だとか」 「ふーん…あ、夕ちゃんちょっといい?実は…うん、お願い。報酬は録画で」 白金さんは誰かに電話をすると、「じゃ仕方ないからうちらだけでやろっか」と言った。 それにしても白金さんと言う人…日下部と友達だというのはわかる。 この人、結構体育会系で運動好きだから話もあうだろう。 これでも実家は私と同じく神社らしい。 でもこなたと友達、という印象はほとんどない。せいぜい少年漫画が好きなくらいだろう。 あいつが巫女萌えとかで声でもかけたのかな、と思っていたが、こなたが前に彼女から声をかけて友人になったと言っていたのを思い出した。 どういうことなのだろう。良い機会だから聞いてみることにした。 「白金さんって、なんでこなたと友達になったんですか?」 「ん~なったというか…絡まれてて気がつけば、かな」 「白金さんから声をかけたって聞きましたけど」 「あぁ、あれか」 苦笑しながらその時のことを教えてくれた。 それはオリエンテーリングの時。 道を間違えていたこなたを見つけた白金さんが、「お前も一年だろ?こっちだよ」と話しかけた。そうしたらこなたがビックリした顔で「同じ学年だと思いますか?」と言ったらしい。 「泉曰く『初対面だとだいたい年下認定されるから』だって」 だがそんな事わからない白金さんは次にこう言ったのが原因で絡まれたそうだ。 「あ、先輩でした?すいません…違う?なら教授?」 「こなたが教授に見えた?!」 「いやぁ、高校の担任がさ、年上に見えない人だったもんで」 「だからってそれは…」 「それに泉みたいな身長だったから。まぁ同級生にもいたけど」 こなたみたいな身長の人が二人も…世の中って広いわね。その二人もこの大学祭に来るというから、紹介してほしいかな。 「いいよ、泉にも紹介する気だったし」 「いいんですか?そんな簡単に…」 相手の人は人見知りだったりとかしないのだろうか。 「大丈夫。あいつはそういうのないし、何より、人と人とをつなげるのが大好きな奴だから」 「つなげる?」 縁を取り持つのが好きって事? 「そ。あいつはいっつも誰かと誰かをつなげてるんだよ。高校の時は三日科とか元巻さんとか…だったかな」 「へぇ」 「そんであいつと関わってたから、私は泉とつながった。で、更に柊さんってわけ」 それはまたずいぶんその人を買っている話だと思った。人との縁はそんな単純でもないだろうに。 でも、確かに今、その縁はつながっている。その話題にその人が欠かせないのは、間違えようのない事実だ。 「…つながった幸運ってわけですね」 「なにそれ?」 「独り言です。…その人、なんていう名前なんですか?」 「境ふおんです。よろしく柊かがみさんに泉こなたさん」 翌日。その人物は合流したこなたと私にそう自己紹介をした。…確かにこなたと似た身長だった。 「はじめましてふおんさん。…確かに似た身長だねぇ私達」 「ふおんでいいよ、タメでしょ?konakonaさん」 「あれ、なんで私のHNを」 それは一瞬だった。白金さんがこなたをロープで縛ったかと思うと、境さんはどこからか帽子を出して被り、 「私は昨日、夕ちゃん経由でやわらに頼まれたからとはいえ、ネトゲを徘徊した…そして素知らぬ顔でkonakonaに近づき、サボりの確認をしていたのを黙っていた。庇いも何もせず」 そしてこなたを指差して 「私は自分の罪を数えたぞ…さぁ、お前の罪を数えろ」 「今さら数えきれるかぁ!」 常習犯かアンタは!って何このいきなり始まったコントもどきは! 「って昨日の助っ人さん?!」 「そう。だから初めましても嘘」 「騙されたー!」 「さぁて、じゃ行こうか泉。…交流は?」 「スタンバイ済み」 何が始まるの? 「離してやわら!私が悪かったから!それに何されるの私!どこ連れてかれるの!帰して」 「悪いが、この道は一方通行だ!あきらめて突き進むんだな泉!!」 「大丈夫怖いだけだからって、フオンはフオンは先を言ってみたり」 何やってるんだこの二人は。でも楽しそうだなぁ…あ、こなたがこっち見てる。 「かがみん、助けて」 「そこ一方通行らしいから無理」 「いやいや、禁書はかがみの方が詳しいでしょ!」 「…アロマが美味いわぁ」 納豆はカリフォルニア産に限るし、トマトはどうして赤いのかしら。 「地の文でフルメタ短編ネタやってないで助け…」 声が聞こえなくなった。白金さんが全力疾走したからだ。と、そこに日下部と峰岸が来た。あれ、日下部のお兄さんは? 「兄貴ならトイレだけど、チビっ子とやわらは?」 「さっき泉ちゃんの声があっちにいくの聞こえたけど…」 白金さんとその友人に連行された、と告げようとした時、あるアナウンスが流された。 『第×回カラオケ大会、開催致します!ではトップバッター、エントリー1番、1年の泉こなたさんと友人の三日科交流(みかしなあける)さん。歌っていただきましょう、曲は「異邦人」です。どうぞ!』 なるほど、罰ゲームね。何時エントリーしたのかしら。それに…三日科?昨日聞いた名前のような…。 『ふおん!出てこんかい!!やわらも!人を足代わりにしたあげくカラオケってなんやねん!しかも誰やこの子!』 『あ、あの、三日科…さん?』 『…ちゃんと歌うわよ。まだイントロでしょ。…泉さん、アンタからも事情聞くから後覚えとき』 今の放送で困惑した表情の峰岸が「柊ちゃん、一体何があったの?」と訊いてきたのだが、私にふらないでほしい。こっちだってわからないんだから。 …あぁ、ひとつだけ言えることがあるわね。 「…新しい縁は、トラブルとつながっていたのよ」 やれやれ。どうやら、幸運(ラッキースター)と接続(コネクト)するには、縁が違ったようだ。 終わり。 **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3)
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