「さぁ、ミュウツー。これを飲むんだ」
試験管に入った透明の液体を差し出すと、奴は俺を睨み付けた。
俺はロケット団専属研究者の医療班。
ポケモンの中枢神経に作用する薬品を開発している。
成功すれば、ポケモン共を内面から操る事にも応用できるかもしれない。
そして彼は、その実験台という訳だ。
とはいえ、知能の高いミュウツーの事。
この液体を飲めばどうなるか、彼なりに薄々感づいているのだろう。
先程のバトルで能力を使い果たし、抵抗する力は残されていない。
それでも意思は揺るがないのだろう、鋭い視線で俺を睨みつける。
「どうした?飲めないのかな?」
自分でもぞっとするような猫撫で声。さぞかし屈辱であろう。
「それじゃ、俺が飲ませてやるよ」
彼の目の前で処置用の手袋をはめ、胃カテーテル(胃に通す管)を用意する。
「貴様、何をする気だ」
危機を察しても、ベッドに拘束され、逃げる事はできない。
俺は隙を伺い、ミュウツーの口に開口器(口を強制的に開いたままにする器具)を付けた。
「!?」
通常状態の彼ならば、俺達は一瞬で殺されるだろう。
だが、今の彼は、残された力で精一杯抵抗を試みるも、全ては無駄。
力を入れても閉じる事のできなくなった彼の口から、カテーテルを挿入した。
「え・・・ゲホッ、ぐっ」
カテーテルの先端が喉に触れた瞬間、目に涙を浮かべ酷くむせ返る。
咽頭反射が強いんだな。
反応を楽しみながら、わざとその辺りを刺激してやる。
何度もえづきながらも、彼は屈しない。視線から伝わる意思の強さ。
そんな目で見られると、ますます虐めたくなるじゃないか。
彼は、自分が逃げたら、他のポケモン達がこの実験の犠牲になる事を知っている。
「う、げほげほっ、う、え・・・」
えづくたびに、開口器で開けられた口から、唾液が流れる。
何か言おうとしているものの、この状況では上手く話せないのも当然だ。
シリンジで胃液を引き、カテーテルの先端が胃に到達した事を確認する。
「さぁて、これで飲めないなんて言わせないぜ」
許さない、とでも言いたげな目で俺を睨みつけるのも構わず、
そのままカテーテルに液体を注入した。
最終更新:2009年10月15日 09:58