35-371b

35-371aの続きです

―公園―

中学生にはお小遣いにも限度があるのであるのでこれ以上の出費は無理だ。
二人は住み慣れた街をブラブラしがら公園のベンチに座る事にした。

「わたし達、出会った頃からこの辺りでいつも遊んでたよね。」
「確か小学校5年の時だったっけ。
 ちびっ子で泣き虫だったまどかがいつの間にかこんなに大きくなっちゃってさ。」
「それを言うならさやかちゃんはもっと大きくなってるよ。だって、その…」
「ん???」

成長期に二人共成長するのは当たり前だが個人差という点では些か不平等でもある。
その証拠にまどかの視線はさやかのとある一点ばかりを捉えていた。

「…お…お胸とか…。」
「ぶっ! …まどかのえっち…」ニヤソ
「あうううう…! そ、そんな事ないよぉ~!」

さやかは自分のスタイルにしては割と無頓着な様だ。
意識していたのはコンプレックスを感じるまどかばかりである。

一人ぼっちだったまどかにとってさやかはまるで颯爽と現れた王子様だった。
泥だらけの筆箱や弁当箱を広い集めてくれて、いじめっ子から守ってくれた幼き日のさやか。
今でもまどかの中ではその光景が鮮明に残っているし、これからも忘れはしないだろう。
年月と共に隔たりを生じさせたくないし、そうするつもりもなかった。

「わたしね、さやかちゃんに出会えて…最高の親友に出会えて良かったって思うの。」
「………。……うん……あたしも…そう思う…。」
「さやかちゃん…?」

同じ景色を見つめて同じ思い出を分かち合ったのに、さやかの言葉は何処か暗い。
疑問に思ったまどかはさやかの顔に目を向けると、直後にさやかは指先を自らの喉元に触れていた。

「うっ…。…なんか…気持ち…悪い…。」
「さやかちゃん?大丈夫…!?」
「…喉が…痒いんだ……」

包帯が巻かれているにも関わらずさやかはその上から掻き毟り始め、
瞬く間に彼女の指と首は出血により真っ赤に染まっていた。
掻き毟られた事により包帯が幾らかズレて、その隙間からまどかにとって見覚えのあるシンボルが見えていたのだ。

「―――!! これって…魔女の口付け…!?」

(ゴオオオオ…)
その瞬間、さやかがいた場所を中心に魔女の結界が広がる。
まどかは反射的にソウルジェムを手に取り、魔法少女へと変身していた。


………♭♭♭………

―魔女結界/茨の園―

「鹿目さん大丈夫!?」
「は、はい…! 急にさやかちゃんから結界が現れて…。」
「それって、美樹さんの影あたりに潜んでいたのでしょうか…?」

見回り途中で気配を察知したマミとほむらはすぐさま駆け付けていた。
結界の中心部であるさやかの居た場所はまどかがだいたい把握していた為、
魔女本体の元へ向かう方角はだいたい見当が付いているのが唯一の救いか。
その本体へ向かう途中でまどかは今までの経緯をマミ達に話しておいた。

「私の経験だと美樹さんはきっと魔女の口付けに抗っていたのね。
 本人は気付かず失恋と孤独に付け込まれていたけど、心が今まで持ち堪えていたのは鹿目さんがいたからよ。」

喉を掻き毟っていたのは口付けを受けた場所を無意識に取り除こうとした結果らしい。
友達も恋人も失ったさやかを支えたのは、身近に戻って来た親友まどかのお陰だと言うのだ。
しかしほむらはそれに一つだけ付け加えて述べた。

「私は…美樹さんにとって鹿目さんが友達以上の存在なんだと思います。
 友人とか親友だけじゃなくて、もっと…本当に美樹さんの心の隙間を埋めるくらいの…。」

薔薇の花を模した使い魔を倒しながら進むうちに、三人の前に大きな薔薇園が広がった。
どうやらまどかの推測は正しいらしく、奥には魔女本体らしき者の姿があった。

「さぁ二人共…来るわよ!」
「「はいっ!!」」

―紅薔薇の魔女―
失恋した少女の心を好んで喰らい自らの妹として使役する。
人の姿を真似てはいるがその言葉と姿は不完全である。
囚われた者を救うには、魂を吸い尽くされる前に開放せよ。

四肢と頭部を持ち、人の形に似たタイプの魔女だ。
いや、正確には真っ赤の薔薇を備えた植物が人を模したと言うべきか。
目と鼻は華弁に隠れて見えず、孤を描く様な口を持っている。

『うふフ…今日は極上の妹を手に入レたわ。』
「あっ! あそこにいるの…美樹さんじゃないですか…!?」

ほむらの指差した先、魔女本体のすぐ傍にはさやかが立っている。
制服の上から頭とスカートを除いて薔薇のツタが身体中を覆い、棘が幾箇所も突き立っている。
しかし本人の意識は遮断されているのか痛む素振りも見せず、また目に光は宿っていない。

「お願い!さやかちゃんを返して!!」
『うふふふふ…やぁっト堕ちてくれたこノ子を手放す訳ないじゃない。
 苦悩、嫉妬、喪失、孤独…。時間を掛けたダけあってこの子は特別美味ダわぁ。』

刺さった棘を介して魔女はさやかの心を味わっているのだろうか。
表情の無いさやかの頬に手を触れながら魔女は続ける。

『可愛そウにねぇ…好きだった人をお友達に取られて、一番の親友にマで距離を置かれちゃったのね…。
 さやかちゃんはオ姉さんがちゃアんと可愛がってア・げ・る・わ。」
「はい、お姉様。」

妹となったさやかは従順に異形の魔女の胸元に頬をもたれ掛かる。
魔女はお気に入りの妹を腕で包み込む様に優しく撫で始めたのだ。

「そんな…どうして!? さやかちゃん!わたしとは仲直りしたよね!?」

まどかの呼び掛けにもさやかはピクリともしない。
確かにここ数日ですっかり仲は取り戻せた筈なのだが…。
すると魔女はまどかの興味を持ったのか目線を彼女に向ける。

『ねぇ、ピンクの貴女モ私の妹にならナい? ずっとさやかちゃんトも一緒にいラれるのよ?』
「…っ! ふざけないでよっ!!」

(シュパアン!)(バアン!)
魔女の言葉に対し、怒りを露にして遠距離射撃を放つまどか。
しかし魔女が召喚した花弁が重なった形状の大盾により防御されてしまう。

『今宵祭るは苦悩と昏睡の協奏曲(コンチェルト)。
 傀儡が翳す白の耳鳴りはイざ彼(か)の人形劇へ凱わん。
 糜爛の雫よ…さあ…目覚めなサい!!」

(ゴゴゴゴゴ…)
咲き誇る無数の薔薇の華が割れ、中から一人ずつ少女が現れた。
その少女達はさやかと同じ年頃かもしくはもう少し上かと思われる。
皆それぞれ樹で作られた剣や槍、弓といった武器を手に持っている。

「(くっ!こんなに人質を取られたんじゃ攻撃できないわ…!)」

マミは得意のマスケット銃で打ち抜く訳にも行かず、リボンで捕縛するには余りに多い数である。
とにかく突破口を開かなければどうにもならない。近くに現れた少女を殺傷しない為に足で蹴り払うが…。

(ボロッ…)
使い魔となった少女は粘土細工の様に崩れ去ってしまったのだ。

「なっ…!? これ…魂の抜け殻だとでも言うの…?」
「巴さん!こっちもですよ!」

マミに続いてほむらも現実火器の銃で打ち抜くと、やはり少女は同じく崩れ去る。

『あ~ラ、抜け殻だなんて失礼ね。私に染まっタと言って欲しイわ…。
 魂まで妹色に染マった子は不死身なノよ!」

崩れた少女は自身に絡まった薔薇のツタを通して魔力を貰い、瞬時に先程と同じ姿を取り戻す。
心を奪われた少女達の成れの果てだと言うのなら、まどか達のすべき事は既に決まっている。

「このままじゃさやかちゃんも抜け殻にされちゃう…。」
「だからこそ今助け出すのよ!正体が理解った以上手加減は無用ね!」

マミは大量のマスケット銃を生成して一斉掃射。
使い魔の少女達を一掃して本体への道を切り開くのだ。

(ヴン…シュン!)(ズガガガガガ!!)
しかし使い魔の中にも優秀な者が存在するらしい。
魔法を用いて魔法陣による盾を形成し、マミの一斉射撃を防ぎきったのだ。

「そんな馬鹿な…!? 使い魔まで魔法を…!」
「違いますマミさん! 吸い取られた人の中に魔法少女もいるんですよ!」

一般人だけでなく魔法少女ですら支配され抜け殻とされた者がいるのだ。
彼女達は生前の魔法をそのまま行使するとでも言うのか。
剣の少女も槍の少女も他の使い魔とは動きが違う。

『さやか…貴女にはコの剣を与えまス。さあ!オ行きなさい!』
「はい、お姉様…。」

さやかには樹の枝を模した剣を手渡し、魔女自身もボウガンを生成して戦う。
使い魔達と魔女の放つボウガンの波状攻撃に三人は思った以上に苦戦していた。

(ガキン!)
「さやかちゃんっ…!?」

剣を振り翳してまどかに襲い掛かるさやか。
弓で受け止めるものの、相手が生身のさやかでは無闇に反撃する事も出来ない。

「やめてさやかちゃん! どうしてなの!?わたし達親友だよね!」

目の前のさやかに必死に呼び掛けるものの反応は無い。
しかし表情の無い顔と光の宿らぬ眼の中で、一筋の涙だけが零れたのだ。

―…助けて…助けて…―

夢の中で聞いた声がまどかの脳裏に響き渡る。
いや、この声は魔女の結界全体に幽かに響いていた。
今ならまどかにも確信した。目の前から聞こえる"助けて"の声に。

「(この声、夢の中の声…さやかちゃんだったんだ!ずっとわたしに助けて欲しいって…。)
 さやかちゃん!わたしがわかるの!? ねえ!さやかちゃん!!」
「―――(今なら…!)鹿目さん!」

マミは銃による戦闘の合間にリボンを操りさやかの捕縛を狙う。
しかし魔女のボウガンから放たれた矢で撃ち払われてしまった。

『泥棒猫なンてはしたないワねぇ…戻りなさイさやか!」

魔女がさやかを手元に引かせると同時に攻撃の手が緩み、
マミ達も武器を構えながら体勢を立て直す為に一度合流する。

『小汚い娘ノ言葉になんて騙さレちゃ駄目よ。』
「…はい、お姉様…。」

魔女はさやかを抱き寄せながら改めて心を自分だけに向けさせる。
使役された人間は魔女が如何に異形であろうとも気付く事は無いのだろう。

「さやかちゃん…どうしてなの…。」
「(さっきの美樹さんの声、私にも聞こえたわ。)」
「(私もです! 美樹さんはきっと…心の拠り所が欲しかった…誰かに愛されたかったんじゃないでしょうか…?)」

尚も使い魔達と応戦しつつまどか達はテレパシーで会話を続ける。
この状況を打開するにはとにかくさやかを魔女から引き剥がすしか無いのだから。

「(鹿目さん!美樹さんに本当の気持ちを伝えてあげてください!)」
「(そうよ!貴女の言葉なら…愛の力で彼女を救えるかもしれないわ!)」

"女の子らしさの欠片も無い"…何故あの時否定してあげなかったのだろうか。
まどかは今になってやっと気付き後悔していた。
自分はちゃんと知っている、だからこそさやかにあの感情を抱いたのだから…。



「さやかちゃんは女の子だよ! 自分で気付いてないだけで、とっても女の子らしいんだよ!!

 わたし、そんなさやかちゃんが好き!大好き!大好きだよ!大好きだから!ずっと一緒にいたいから!

 だから…だから…いつもの優しいさやかちゃんに戻ってよ!!」


………。

………………………。

………………………………………………。

「―――………ひっ…!? な、何これ…?!」
『どうしたのさやか…?』

抱き寄せられていたさやかは突然魔女との距離を離した。
目の前のこれは一体何なのか、何故自分にツタが絡み付いているのか…。

「…やだ…なんで植物みたいなのが…」

洗脳が解けたさやかにとって、魔女は最早異形の魔物にしか見えない。
同時にさやかの心を吸収する供給が止まった為か、使い魔達は一斉に活動を停止してしまった。
そしてさやかが見回した先には、魔法少女の衣装に身を包み、弓を持つまどかの姿があった。

「……助けて…。」

今度は夢の中でも心の中でもない。現実世界で呼んだ"助けて"の声。



「助けて…助けてまどかあああっ!!」



「(さやかちゃん…! 今助けるから!!)」

助けを呼ばれたまどかは目標を見定めて大きく弓を引いた。

『キ…キキ…キイイイイイイイ~…!!
 とびキり可愛いのにこうモ思い通りにならないなんて!!
 こうなったら私が直接喰らい尽くしてあげるわ!!』

(ガバア!!)
「―――ひっ…!?」

異形の魔女は完全に人を模した姿を放棄して本来の禍々しい狂った植物の姿を晒した。
華は動物の口と牙の様に変貌してさやかに喰らい掛かるが、マミの伸ばしたリボンで動きを妨げられる。

またほむらは弓を引くまどかの肩に手を置いて魔法を唱えた。

(カチッ…)
時を止めるのは1秒程度で十分だ。固有時間制御の対象は触れた人物も対象となる。
まどかは予備動作をしっかりと取った渾身の一撃を放った。

(…カチッ!)(ドゴオオン!!)
『―――オオオオォォォア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ…?!』
「うひゃっ!?」

固有時間制御が解除された瞬間、まどかの矢は神速の魔弾となって魔女を打ち抜いていた。
連携プレーによる回避不能なそれは魔女の牙より遥かに速い。
まどかから魔女に掛けてピンク色の軌跡が鮮やかに残り、彼女の一撃を魔女を下した事を示すのだ。

「さやかちゃんっ!!」

先程までの非現実的な体験でへたり込みそうになったさやかは抱き留められていた。
見た事も無い可愛らしいピンクのゴスロリ衣装に身を包むのは、
姿こそ違えぞさやかのよく知る鹿目まどかその人であった。

「…はは…あはは…ホントに…まどか…だよね…?」
「良かった…さやかちゃんが無事で良かったよぉ…!」
「まどか……あ、あたし…う…うううっ…うああああああんっ…!!」

まどかの腕の中でさやかは子供の様に泣きじゃくっていた。
幾つもの心の傷が重なり、一番欲しかったものを受け止めてくれたまどか。
無意識のうちに夢の中でまどかに助けを呼んでいた。

………♭♭♭………

「ごめんね、たくさん辛い思いさせちゃって。
 わたしにとってさやかちゃんは王子様なの。でもね、さやかちゃんだってお姫様になれるんだよ。」
「うん…。」
「今、わたしはこうして戦ってたけど、さやかちゃんの王子様になれたかな?」
「うん…!」

助けてくれたのは自分の知らないまどか。王子様の様に現れたまどか。
そんなまどかに支えて貰える自分がとても幸せなのだ。
今はこうして唯々甘えていたい。王子じゃなくてもいいんだ。

「…あたし、ずっと苦しかったんだ…。
 自分の中に自分じゃない何かが突き刺さってる感じがして…。
 誰かに縋りたかったんだ…。きっと…誰かに好きになって欲しかったんだ…。」

魔女結界の処理を終わらせ、変身を解いたマミとほむらも二人の元へ現れた。

「美樹さん、貴女は間違ってなんていないわ。
 自分のいい所なんて自分では気付かないし、自信なんて周りから貰って初めて得られるものなのよ。」
「鹿目さんが夢の中で聞いた声って、やっぱり美樹さんだったんですね。
 夢の中でまでお話出来るなんて運命的じゃないですか♪」

マミと目を輝かせるほむらにも励まされて、さやかは恥ずかしそうに笑みを見せた。
その二人分の手がさやかへと差し伸べられる。

「美樹さん、これからは私達ともお友達ですね。」
「三年の巴マミよ、よろしくね。」
「うん。よろしく!」

成り行き上魔法少女の秘密を直に知ってしまった以上、友達の秘密は守らなければならない。

「あ、そうださやかちゃん。あのね…。」
「???」

さやかが頭に?マークを浮かべている中で、
魔法少女三人はタイミングを見計らってここぞとばかりにお決まりの台詞を言う事になった。
口元に人差し指を当てるポーズを美味く揃えてそれは繰り出される。

「「「クラスのみんなには、ナイショだよ!」」」
「は、はひっ…!」

………………………………………………♭♭♭………………………………………………………

―放課後/夕暮れの街角―

さやかは夕焼けに照らされながら一人佇んでいた。
一人ではあるが決して淋しそうではない、何かを待ちわびているかの様な希望に満ちた眼差しだ。
やがて仲間の足音がさやかの耳に入ると、さやかはとびきりの笑顔で彼女等を出迎えてあげる。

「みんな!お疲れ!」
「「「ただいま、さやかちゃん(美樹さん)。」」」

こうして魔法少女の帰還を待つ事がさやかにとって当たり前となっていた。
戦えない自分がまどかの為に何をしてあげられるのか…これがその答えである。
一般人であるさやかもまどかを親友…いや、それ以上の存在として支えてあげたいと祈ったのだ。

「ほら美樹さん。彼女が無事帰還したのだからする事があるでしょう?」
「へ…!?」
「そうですよ。鹿目さん、目を閉じて待ってますよ?」
「ちょ、ちょっと待ってよまどか…! 二人共見てるし…。」

二名による期待の眼差しを受けてさやかはうろたえた。
さやかの視線の先にはその通り、まどかが目を閉じて顔をやや上向きにして待機している。

「さやかちゃん…。」
「ううっ…。い、行くぞまどか…!」

覚悟を決めたさやかは一応周囲に別の人影が無いかキョロキョロと見回した。
顔を真っ赤にしながらまどかの腰に片手を回し、もう片方の手はまどかの顎に添えられる。
さやかとまどかは女の子同士だが、恥じらいが冗談ではなく本気なのだと証明していた。
背の低いまどかの唇を見定めると、さやかも目を閉じて自分のそれを落として行く…。

「…お帰り、まどか。」

労いの言葉の直後に柔らかい感触に触れ、そのままさやかは深く押し付けた。
まどかも拒まず受け入れ数秒経ってから二人は離れた。
ディープ程ではないものの、初々しさの残る中での大胆なキスと言えるだろう。

「まあ!お帰りのキスどころじゃないわ♪ 何て大胆なの…!」
「はいっ!? あ、あたし普通にキスしたんだけなんですけど…?」

愛しのまどかに"お帰りのキス"をするべきだと推されはしたが、
どうやらさやかのキスは期待された以上のものだったらしい。

「腕を回して顎を持ち上げるだなんて、王子が姫にするみたいじゃないですか♪
 鹿目さん羨ましい♪ やっぱり美樹さんは鹿目さんの王子様なんですね!」
「ええっ!?何で?! あたしのキス…何か間違ってたの~!?」

ほむらにまで指摘…というかほぼ喜ばれてしまいさやかは困惑しながら大慌てだ。
やはりさやかには王子様の素質でもあるのかもしれない。

「えへへっ、さやかちゃん♪」

キスを喜んで受け入れたまどかは満面の笑みでさやかの手を取った。
魔法少女として恋人としてまどかを支える事、それがさやかの選んだ道なのだ。
守ってあげるのはまどかの方になってしまったが、
二人の関係はある意味今までと変わらず、ある意味友情を超えて進展していた。

「まどか…。あたし、ちゃんと支えになれてるかな…?」
「うん! あのね、さやかちゃんはやっぱりわたしの王子様でお姫様なんだよ。」

時にはこの後帰りに二人でデートして、時には四人でマミ宅でお茶会。
さやかはまどかの姫にも相応しい存在として一層自分を磨こうと努力する事になるのだが、それはまた別の話である。
マミとほむらに見守られながら、二人は手を繋ぎながらゆっくりと自分達の道を歩いてゆく。


[since//anone~"助けて"の声に呼ばれて~]

おしまい。
次は夏祭りと夏休みでお会いしましょう。間に合うかな…。

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最終更新:2012年08月04日 17:51
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