傀儡師アフマウの正体が判った……。
だが、宰相の内命により
とりあえず、ナジャ社長に
任務完了の報告をせねばならない。
Ovjang : オイ、ていとくトヤラ!
Luzaf : …………。
Ovjang : コノふねハ
いま、ドコヘむカッテイル?
Luzaf : ドゥブッカ島だ。
Ovjang : ホーゥ♪
Mnejing : ……分かったぞ。
……ペリキアだな……?
Ovjang : ずぼしダナ!
Mnejing : ……どんなところなのだ?
Aphmau : ……聞いたことあるわ。
Aphmau : 昔、この近海で
商船を襲ってた恐ろしい海賊……
イフラマドのコルセアの根城だったって。
Ovjang : ヒエエ……
つみモナイしょうせんヲ、ねらッテタノカ?
Luzaf : ……アトルガンのな。
Aphmau : ……だから、ある日
嵐が起こって、イフラマドのコルセアは
みんな海の底に沈んじゃったって。
Luzaf : ……みなが……
海に沈んだのでは……ない……。
Aphmau : …………?
Mnejing : ……では、
イフラマドのコルセアがいない今……
ペリキアはどうなっておる?
Ovjang : マサカ、
めいかいノ、ものドモノそうくつ……。
Aphmau : ……亡霊コルセアの……?
Luzaf : ふっ……
だったら、どうする?
Aphmau : ……そ、それは……
Ovjang : たのシミダゾ!
Aphmau : そうね、楽しみよ!!
Luzaf : なぜだ?
命を奪われるかもしれんぞ?
Aphmau : だって、だって……
亡霊になったとはいえ、元は海賊さん。
家族やお友だちがいる人間だったわけでしょう?
Aphmau : だから……
寂しくて、悲しくて、会いたくて……。
Aphmau : 長いあいだ、ずーっと
苦しんできたんじゃないかな……。
Aphmau : だから、反省して
もう悪いことなんてしないと思うの。
Aphmau : それに……
Ovjang : ソウソウ……
Aphmau : この船の人たち、
とっても優しくしてくれたもの!
Ovjang : ……さいしょハ、
おそロシカッタケド、ナー。
Mnejing : ……だが、
兜の金具が軋んでいたら……
油まで注してくれた……。
Luzaf : あいつらが
そんなことを……。
Luzaf : !?
Luzaf : …………。
Aphmau : 提督? どうしたの?
Luzaf : 黙れ!
Luzaf : ……この音は、
間違いない……この音はッ!
Mnejing : ……そういえば、
首をしめられたアプカルみたいな
鳴き声がするな……。
Luzaf : 忘れるものか……。
いや、忘れることなど……できない……。
Luzaf : あの日の、涙……
血……骨……すべて……。
Ovjang : ち?
Mnejing : ……骨?
Luzaf : 間違いない、
……ラミアだ。
Luzaf : あの音は、皇国軍が
ラミアを操るために用いる笛の音色だ。
Mnejing : ……何を言うか。
ラミアは、皇国の敵ぞ……?
Luzaf : ぬかせ。
Luzaf : 200年前、
俺たちコルセアの隠れ家を一掃しようと
皇国軍がペリキアに送りこんだ兵器……
Luzaf : それが、合成獣ラミアだ。
Aphmau : そんなの嘘!!
だって、皇都にまで
あいつらは攻めよせてきてるのよ!?
Luzaf : ふっ……。
飼い犬に手を噛まれたってわけか。
Luzaf : どんな汚い手をも使う
皇国らしい失策だな……。
Aphmau : ……皇国軍は、
……アトルガンは、無敵だもの!
Aphmau : ラミアなんて必要ない!
そんなこと聖皇は命じないわ!
Luzaf : ……いいだろう。
見せてやる。ついてこい!
Ovjang : ……あふまうヨ。
どうするのだ? きっと、うそダゾ?
Aphmau : そうかもしれない。
ううん、きっとそう……でも……。
Mnejing : ……こんなとき、
……丞相なら、きっとこう言うだろうな。
Mnejing : ……己の目で確かめろ、と。
…………………………………………………………………………………………
Razfahd : ……まだ、見つからんのか?
Whafael : ははっ。
八方手をつくしてはいるのですが、
何分にも、迷路のような場所でして……。
Razfahd : 言い訳は聞きたくない。
Razfahd : お前たちが
ラミアの嗅覚ならば、というから
諸将の反対を押し切り、禁を破ったのだ。
Razfahd : 陛下を無事に保護するまで、
帰れんと思え。
Amkeen : 御安心ください。
このラミアは、我らが錬金術の粋を集めて
改良を加えたもの……
Amkeen : 必ずや御期待に応えましょう。
Razfahd : だと、いいがな。
Razfahd : 驚かせてしまったようだな。
[Your Name]。
Razfahd : とんだ失態を見せてしまった。
Razfahd : まさか、お前が
ここまで足を伸ばしていようとは、
思わなかったのでな。
…………………………………………………………………………………………
Luzaf : !
やはり、か……。
Ovjang : あれハ? あれハ?
アノ、あかイよろいノひと……。
Mnejing : ……はて、
丞相に似ておるが……。
Aphmau : まさか!
……見間違いよ……きっと……。
Luzaf : どうした?
ラミアと馴れ合う自国の者に
ショックでも受けたか?
Luzaf : それとも、
あの赤い鎧の男……見知っているのか?
Aphmau : ……ええ。
Luzaf : だろうな。
何しろ、あいつは皇国の……
Aphmau : ……兄……です。
Luzaf : ……なに?
Aphmau : マウの兄さま……です……。
…………………………………………………………………………………………
Razfahd : ラミアは、
なんと言っている?
Amkeen : それが……
確かに、この辺りにいると……。
Razfahd : ならば、
もう一度、しらみ潰しに捜せ!
Amkeen : 御意……。
…………………………………………………………………………………………
Aphmau : ウソよ……。
Aphmau : !
……マウの傭兵がいる……。
Aphmau : ……そうだわ!
きっと、なにか事情が……
Aphmau : ……そう、
きっと複雑な……事情があるのよ。
聞けばわかるわ!
Aphmau : 兄さま!!!
Luzaf : ……。
Luzaf : ……仕方ないな。
Luzaf : ……連れてってやるか。
Razfahd : !
Razfahd : ……お前……。
Aphmau : 兄さま、
ここで……何してるの?
Razfahd : さらわれたと聞いた……
……無事なのか?
Aphmau : ……見ての通りよ。
Razfahd : 貴様か?
アフマウをかどわかして……
Aphmau : 違うわ!
Aphmau : マウが勝手に
彼についてったの!
Razfahd : なに?
どういうつもりだ!?
Razfahd : 見ず知らずの男に
ついていった、だと……
Razfahd : ……お前は、
自分の立場をわかっているのか?
Luzaf : ……。
Aphmau : なによ。
に、兄さまこそ……
Aphmau : ……こんなとこで
そ、そんな、皇国の敵の蛮族の女……
ラミアなんかと仲良くして……。
Razfahd : わからんのか?
お前を捜すためだ。
Aphmau : だからって、そんな……
ラミアは敵よ? 邪悪な蛮族なのよ!?
Aphmau : 兄さまだって、
子供のころ、マウにそう教えてたじゃない!
……ちがうの!?
Ovjang : じょうしょう!
あふまうノしつもんニ、こたエヨ!
Razfahd : 落ち着け。
アフマウ……。
Aphmau : 誤魔化さないで!
Mnejing : ……答えぬということは、
答えられぬということか……。
Razfahd : そうではない。
いいか、アフマウ……彼女らは
お前の憎む狡猾なラミアではない。
Razfahd : 我が軍を助けてくれている……
いわば、人間の味方なのだよ。
Razfahd : お前の傭兵……
そう、この[Your Name]君のようにね。
我々に害をなすことは絶対にない。
Aphmau : マウの……
[Your Name]みたいに……?
ほんと?
Razfahd : ああ、約束しよう。
??? : クククッ……
Luzaf : 笑わせてくれるっ。
Luzaf : その合成獣が無害だと?
Luzaf : ラミアを作り出した
貴様らにとっては、だろう?
Luzaf : ククッ……人間の味方だと?
Luzaf : 半死半生の俺の仲間を
もてあそんだ挙句、喰い殺した
こいつらがか!?
Razfahd : 貴様、何者だ?
……何を知っている?
Luzaf : ……すべてを。
Razfahd : ふっ、
狂信者の戯言だな。
Razfahd : その身なり、
コルセアの末裔か?
Razfahd : ……いや、違うな。
連中が俺の前に姿を見せるなど、あり得ぬ。
Razfahd : !
Razfahd : そうか、
貴様が漆黒の……。
Luzaf : ならば、どうする?
Luzaf : けしかけるか?
そいつらを……
Luzaf : かつて、
貴様の父祖がそうしたように。
Aphmau : そんな……
Ovjang : ていとくノ、いっテルコトガ
まことナノカ……?
Mnejing : ……丞相、
……答えよ。
Razfahd : ……アフマウ。
Razfahd : 我らが父君の
末期のお言葉を覚えているか?
Aphmau : …………。
Mnejing : ……我は聖皇……
……聖皇は国家なり……。
Luzaf : !
Razfahd : お前も好むその言葉。
単に、聖皇の絶大な権力を
述懐しているだけではない……。
Razfahd : 東西内外に
数多の敵を抱える、
我がアトルガンの広大な領土……
Razfahd : そして、そこに暮らす一千万の
皇国民の命を護らねばならぬ
聖皇の、重大な責任をも意味しているのだ。
Razfahd : そのためには、
時に非情に徹せねばならぬ。
Aphmau : ……でも。
Aphmau : 父さまは、こうも
おっしゃってたって聞いたわ。
Aphmau : 皇国を治むるに覇道はいらぬ。
Aphmau : 王道をもって治めよって……。
Aphmau : ラミアを使うことは
誰の目から見ても正道ではないわ。
父さまの教えに反してる……違う?
Razfahd : ……アフマウ、
今にわかる時がくる。
Aphmau : 兄さまは、
いつだってそう……
Aphmau : 肝心なことになると、
マウを子供扱いするの。
ただ、言うことを聞いてろって……。
Aphmau : それなのに、
聖皇の責任は押しつけるなんて……
Razfahd : ナシュメラッ!!!
Razfahd : お前には、
聖皇としての覚悟がなさすぎる。
Razfahd : いかなる王といえど、
己が手を、己が心を汚さずに
臣下に血を流させることなど、できんのだ。
Razfahd : なぜ、それがわからん?
Nashmeira : ……知らない。
……そんなの関係ない。
Nashmeira : だったら……
だったら……
Nashmeira : 兄さまが聖皇になれば
よかったじゃないっ!
Razfahd : ふざけるなっ!
Razfahd : いいか、聞けっ!
Razfahd : ……俺は
かつて、第一皇位継承者だったのだ……。
Razfahd : しかし、父君が
いまわの際に後継者として口にされたのは
お前の名だった……。
Nashmeira : ……そんなの知らない。
Nashmeira : ……マウは……マウは……。
Razfahd : なぜだか、わかるか?
Nashmeira : ……知らない。
……知りたくない。
だって、マウは……マウは……
Nashmeira : 聖皇なんて
なりたくなかったんだもの!
Razfahd : その理由、
……教えてやろう。
Razfahd : そのとき、
俺の身体には……
Razfahd : こいつらと同じ、
魔物の血が流れていたからだ……。
Razfahd : お前が嫌い
父上も蔑んでおられた、
ラミアと同じ青い血がな……。
Nashmeira : !!
Nashmeira : ……どういう……こと……?
Razfahd : これだけは、
言いたくなかったが……
Razfahd : お前が寺院に
預けられた後のことだ……
Razfahd : 俺は東方戦線で
父上の命に背いて前線で戦い、
瀕死の重傷を負った……。
Nashmeira : ……そんな!
Razfahd : 一か八か
再生力の高い魔物の血を輸血する他、
助かる術はなかったのだ……。
Nashmeira : ……マウ、知らなかった。
Razfahd : もう、わかったな?
Nashmeira : ……はい。
Razfahd : では、
大人しく皇宮へ帰れ。
Nashmeira : ……うん。
でも、兄さ……
Luzaf : いい加減にしろッ!
Luzaf : このまま帰すと思うか?
アトルガンの皇族どもめがっ!
Luzaf : 冥路の騎士よ……
このルザフ、礼を言おう!
Luzaf : ついに
ここで我が民の……
我が仲間の仇を討つことができる。
Luzaf : 貴様らを、
根絶やしにすることによって、な……!?
Razfahd : !?
Nashmeira : !!
Ovjang : ドウシタノダ、ていとくハ!?
Mnejing : ……あの幻影、
どこか……。
Nashmeira : ……あれは、冥路の……
Razfahd : 死に損ないの魔物めがっ。
Razfahd : かかれっ。
Flit : くすくすくすっ!
Flit : 予定よりも
早かったですね~。
Razfahd : !
Nashmeira : ルザフ、やめて!!!
Razfahd : ナシュメラ、下がれ!
Flit : あれ、あれれ……?
おかしいですねぇ?? こんなはずでは……
Mnejing : !
……フリットか!?
Ovjang : はやク、
われわれヲ、ふねマデ、つレテゆケ!
Flit : なんですって!?
ぼくに命令するなんて100年はや……
Nashmeira : いいから、はやく!
Nashmeira : フリット!
つべこべ言わないで、
マウとルザフを船へっ!!
Flit : はっ、はい!?
Razfahd : ナシュメラ、何をしているっ!
Nashmeira : 兄さま。
ごめんなさい。……マウは
今は、この人の側にいたいの。
Nashmeira : さよなら。
Ovjang : しんぱいスルナ。
Mnejing : ……さらばだ。
Nashmeira : [Your Name]、
あなただけはマウの味方でいて!
Nashmeira : せっかく
来てくれたのに……許してね。
Razfahd : 待て!
Razfahd : ……くそっ。
Razfahd : ……ナシュメラ。
俺は、お前を……。
Raubahn : ラズファード様。
至急、お耳に入れたき議が……。
Razfahd : 本当か?
Raubahn : 御意。
至急、お戻りを。
Razfahd : [Your Name]。
Razfahd : アフマウ捜索の件だが……。
Razfahd : ルザフの関与が
はっきりした以上、もはや
傭兵であるお前の手に余る。
Razfahd : これにて、任を解く。
Razfahd : 陛下は、
ルザフとともにいる。
Raubahn : なんと!?
Razfahd : 不滅隊は、
アフマウの捜索を打ち切り、
すべてアシュタリフ号の監視に回せ。
Raubahn : 御意。
Razfahd : ルザフ……
おそらく、やつが次に選ばれた騎士だ。
油断するな……。
Raubahn : ははっ!
Raubahn : わかっていようが、
この件については他言無用。
Raubahn : 無論……
山猫の社長にも、だ。
Raubahn : 金は送る。
社長には、無事、
皇宮の任務を完遂したと伝えるのだ。
Raubahn : 行けっ。
■関連項目
アトルガンミッション ,
カダーバの浮沼
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最終更新:2015年06月19日 22:02