フィジル校舎三階、階段を上がって左の隅の部屋。
いつも騒がしい生徒会室であるが、今も
招き猫広場の調査やライブ会場の鎮圧に人員を取られ人も疎らだ。
その教室に向かう青色の人影。ドアが乱暴に開けられる。
「ネリー居るか、聞いてるのか、おいネリー!」
粗雑な口調で入り込むのはやはりグレイブ。
少し息を切らしている。
二回も名前を呼ばれた主は、漸く椅子をくるり回して珍客へと向く。
グレイブとは三つほど年が離れている少女だ。少女の方が低い。
「はいフィジル生徒会秘書のネリーですどちらさまでご用件はなんでしょうー、ってありゃ。グレイブ君?」
「この前からやってる『アレ』は今何処まで進んでるんだ?」
突っ込みすらいれずに話を始める。
「んーと、あの『計画』だよね。もう最終チェックの段階かな?のんびり三日で終わるよ」
「そうかそれなら今日、いや明日の明け方までに終わらせてくれ。
急な用事が入ったんだ。テストも兼ねてやっておきたくてな、いいな?」
一方的な展開に少女はむすっと頬をふくらせる。
「俺達を今日一日走り回わせたんだ、それくらいはやれ」
「えー、それは生徒会のため生徒のため。私には何のメリットも無いよー?終わらせたら何かあるー?」
グレイブは苦々しげに顔をゆがめ、諦めたように軽く息をつく。
そしていつもの表情に戻しぽつり呟いた。
「……次のサボりの口実を取ってつけてやる。あと今度何かの時に構ってやるよ…」
「やったー、グレイブ君あっりがとー♪」
嬉しそうに飛びついてくる少女を腕を伸ばして牽制するグレイブ。
「じゃ、明け方に招き猫広場に持ってきてくれ。よろしく頼んだ」
「わかったよー、ばいばーい!あ、グレイズとグレイルもね!」
【あ、うん。じゃあねー】
【ネリリーまたなー!】
「ねー!」
確り幽体の二人にも目を向けながら手を振る少女。
少女はグレイブ達が出て行ったのを見届けると、手鏡を取り出す。
鏡面には少女の顔ではなく、通信魔法で繋がっている人達の姿が移し出される。
「それじゃあみんな!ソウルドールプロジェクトの仕上げ、始めよっか!」
フィジルの夜は更けていく。
最終更新:2009年06月04日 08:51