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7:ロクーの記憶

-7:地下図書館:クリムゾンヘッド戦
ブリテン地方の寒い冬の夕方。
ロクーはいつものように街頭で露店を開いていた。
ロク「ノビールアームはいりませんかー!ノビールアームはいりませんかー!」
ロクーはエンジニアだった。自分で機械を作っては露天で売って日々の糧を稼いでいたのだ。
しかし、魔法技術の急速な発展により、そんなロクーの商品を誰も見向きもしなくなっていた。
ロクーの最高傑作、ノビールアームもまた、今日も一台も売れなかった。
ロク「しょぼ~ん!!」
ロクーは全力でがっかりした後、家に帰ることにした。
ロク「困ったな~、どうしよう。妹のエリザが病気だってのに、これじゃ薬が買えねぇぞ~。

 せめて何かいいもんくわせてやらねぇとな…」
その時、ちょうどロクーは宝石店の前を通りがかっていた。

ロク「かんべんしてくれよ~!かんべんしてくれよ~!」
数分後、ロクーは屈強な3人の男達に組み伏せられていた。
彼らは、宝石店に雇われている用心棒だ。
A「うるせぇ、どの口が言ってんだこのタコ!」
B「俺達が見てる前で堂々と盗みを働こうとはなぁ!」
C「そのへんてこな機械を使えば気づかれないとでも思ったのか!?
  正真正銘の馬鹿だぜー!」
そう、ロクーはノビールアームを使って万引きしようとしたのだ。
ロク「妹が病気なんだよ~!金がいるんだよ~!
 ちょっとくらい貰ってもバチはあたんね~だろ~!?
 お前ら、貴族相手に目一杯儲けてるじゃね~か~!」
C「ばっきゃろー!それで盗みが許されるなら、
  俺は自分のばあちゃんに毒を盛るぜー!」
B「兄貴、こいつどうします?」
A「俺の生まれ故郷じゃ、盗人は指を切り落とされる。」
男の一人が、腰の山刀を抜いた。
残りの二人が笑い、ロクーが逃げられないようにがっちりと押さえつける。
ロク「うわー!やめろー!やめてくれええええっ!!」
A「くそったれが!人の物を盗むなって聖書にも書いてあるだろうが!
  俺がお前の指を切るんじゃねぇ!神様が俺にやらせるのさっ!
  恨むんなら神様を恨みな、ボウズ!へへへっ!」
男の山刀が振り下ろされ、血しぶきと共に切断された指が宙を舞う。
ブリテンの夜に笑い声と悲鳴が響いた。
A「ぎにぃやあああああああっ!?」
悲鳴をあげたのは男の方だった。
C「兄貴!?大丈夫ですか兄貴ぃ!?」
ロク「痛ぇよ~!!超痛ぇよ~!!」
B「一体何が起こったっていうんだ!?このボウズの指は無事で、兄貴の指が切れた…!」
w「君らごときが神の代行を名乗るのは、随分おこがましいことじゃないのかなぁ?」

ロクーを含めた4人の視線が、一斉に、路地裏にたたずむ一人の男へと注がれた。
建物の影のせいで、男の顔ははっきりと見えない。
ロク「なっ、何者だてめぇは~!」
B「…いやいや、ボウズ。それは俺達の台詞だろ。」
C「なっ、何者だてめぇは~!…ゲコッ!?」
改めてそう聞いた男の胸に突然大穴が開き、血と、もっとおぞましいものが噴出した。

今となっては、仲間の中で唯一無事な男が叫ぶ。
B「きっ、貴様の仕業か!兄貴の指を切ったのも、こいつを殺したのも!」
そう言って指をさされた、胸に穴の開いた男は間もなく息を引き取った。
w「その質問に対して、もしも“はい、そうです”と答えたら、君は何をどうするつもりなのかね?」
B「この用心棒、容赦せん!!」
用心棒の男は魔法の炎を拳に宿し、謎の男へ殴りかかって行った。
ロクーは今初めてわかったが、どうやら彼らは魔法使いだったようだ。
w「学習せん男だ。他の二人を見ても、貴様がかなう相手ではないと悟れなかったのか?
w ならば何度でも見せてやろう。ヘブンスマイルを!」
ブリテンの夜に笑い声と悲鳴が響いた。
ロクーは見た。謎の男の傍に、もう一人誰かが現れたのを。
そして、そのもう一人の誰かが男を…
謎の男に襲い掛かった用心棒の男は、体が縦に180度に折れ、口をパクパクさせた後、やがて絶命した。

最初に指を切り落とされた男は、ガタガタと震えながら謎の男を見ていた。
そして、それはロクーも全く同じだった。その謎の男が近づいてくる。ロクーにむかって!
ロク「おっ、おら悔い改めるよ~!もう二度と盗みなんかしねぇよ~!
 だから神様~!おらを殺さないで~!」
w「神様?ちがう、ただの人間だよ。ロクー。」
ロク「…えっ?」
ロクーは、謎の男が自分の名前を知っていたので驚いた。
w「挨拶が遅れてしまって申し訳ない。私の名はヨハネカイン・ホワイト。秘密結社ケルビムの代表だ。
w ロクー、我々は君の才能を高く評価している。私と友達になろう、ロクー。
w 君が我々に力を貸してくれるのなら、我々も君に力を貸そうじゃないか。
w 君の妹は重い病気であると聞いている。我々ケルビムの医療技術は世界一だ。
w どうだね?もしも君が我々の組織ケルビムに入るのなら、妹のエリザの病気も治してあげようじゃないか。」
ロクーには断る理由がなかった。もしも妹の件が無くても、、ロクーは断らなかっただろう。
ヨハネカイン・ホワイト。彼の言葉はとても耳に心地が良く、彼はとても素晴らしい人だと感じた。
その彼が自分を評価してくれている。ロクーはそれが嬉しかった。涙を流すほど嬉しかった。
彼がつい先ほど、二人の人間を惨殺したことなどすっかり忘れたように!
w「よろしい。それでは我々の友情の証として、君にヘブンスマイルを授けよう。
w 非魔法使いが、魔法使いに対抗しうる数少ない手段の一つだ。
w 君なら使いこなせる。私がそう見込んだように。」

A「かんべんしてくれよ~!かんべんしてくれよ~!」
数分後、ロクーは屈強な3人の男達を見下ろしていた。
彼らは、宝石店に雇われている用心棒だ。
一人は胸に大きな穴が開いて死んでいる。もう一人は体を縦に折られて死んでいる。
最後の一人の男、指を切られた男は、ロクーに命乞いをしていた。
ロク「うるせぇ、どの口が言ってんだこのタコッッ!」
ロクーが残酷な笑みを浮かべて男に唾を吐いた。ホワイトがロクーの耳元に囁きかける。

w「そうだともロクー。そいつは生活に困って、やむなく盗みをした君の指を切り落とそうとしたんだ。
w そして、君は機械を作るエンジニアだ。その指は君の命と同じ価値がある。
w それを切り落とそうとした相手を許す理由なんか無い。君は降りかかる火の粉を振り払うだけだ。
w 一体その行為を誰が許さないだろうか?さぁ、ロクー。試してみてごらん。
w ヘブンスマイルの能力を。」
A「うわー!やめろー!やめてくれええええっ!!」
ロク「ヘブンスマイルッッ!!」
ブリテンの夜に笑い声と悲鳴が響く。
ロクーは見た。自分の傍に、もう一人誰かが現れたのを。
そして、そのもう一人の誰かが男を…
A「にちゃっ!?」
男は顔が縦に割れ、やがて絶命した。
-7:地下図書館:クリムゾンヘッド戦2

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最終更新:2009年11月04日 16:06
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