大騒ぎしながらアイテムの品定めをしていると、派手な音を立てて天井が崩れ落ちてきたじゃないか!
ミル「な、な、な…なんだぁ!?」
さては上の戦いの敗者か勝者の乱入か。と身構えたんですが。
ヴ「ぎゃふん!」
着地に失敗した
ヴァンエレンは頭から地面に落下してしまって不恰好な形で着地する。
さらにルズが、ヴァンエレンを踏みつけて華麗に着地をする。
ルス「あー。吸血鬼。助かりましたわ~ん。
まさに、危機一髪だったのですわ~ん・・・・・・・あらん?」
ルズは大笑いしている黒犬を見つけ、シャーっと鬼気迫る表情になった。
犬『がはは!ざまぁ!』
ルス「ちょっと雄犬!お前のせいで頭が抜けなくなって、わたくしは散々だったのですわ~!
ここはひとつ謝罪と賠償を求m」
犬『あれはおめぇのせいだろうが』
あれだけ笑っていた黒犬は急に真顔になってルズを威圧する。
ミル「ヴァンエレン!そんでもってルズ!?」
ミル「ちょっとちょっと、2人とも大丈夫!? 」
ルス「あらん、ミルク様ぁ!ご無事でしたのね~ん!」
振り向いたルズはきゃぴっと笑顔全開で、先ほどの鬼の形相の余韻も無かった。
ルス「良かった、ご無事でしたのね~ん?・・・・・・・はっ!!」
ミル「そっちも無事で良かった!桜花たちはどうなって……って、聞いてる?おーい」
上の状況を聞こうとしたものの、フリージアを見つけたルズは目を輝かせて聞いちゃいねえし。
ミル「何があったの!?上の戦闘はどうなってるの!?」
ヴ「あわわわわわわわ!やめて!たすけて!止めてくれ!」
すごい勢いで揺さぶられるヴァンエレン。
こんな状況では説明しようにも説明できない。
ミルクから解放されたときには思考が定まらず、頭がグラグラして世界がまわって見えたヴァンちゃんでした。
一方のルズの顔は、まるで少女漫画のヒロインのようにきらきら輝き始める。
ルス「ああん、フリージア女王様ぁ~ん!あなたのルズが帰ってき・ま・し・た、わ~ん!!」
ルス「さあっ!赤い糸で結ばれた二人の感動の再会を祝して、今、熱~いほ・う・よ・うとキ・ッ・ス。を~っっ!!」
喜びのあまりフリージアに向けて突っ走るルズの姿は、まさに猫まっしぐら。
だがしかし、当のフリージアはていうと…
フリ「それじゃあ試しにその葉巻の時間を食べるように時計に命令してみますわ
え~と私はアイスの孫、シャーベットの娘フリージア!時を食べる時計よ
その葉巻の時間を食べることを許可しますわ・・・・え?無機物の時間なんて美味しくないから嫌ですって?
好き嫌いしてると大きくなれませんわよ!!」
ギ「すごい!お母さん無機物と会話しているよ!?」
時計と会話して使い魔を驚かしている真っ最中でした。
いや本当にすごいよ、フリージア。
ムーの光の戦士生まれ変わり詐欺に引っかかっただけの事はあるよ。関係ないけど。
――――どんがらがっしゃ~ん!
ルズは飛び込んだ勢いのまま、ムウの秘宝の山に突っ込む。
そう、ルズの再会記念ラブアタックは、無意識の動きでフリージアにかわされてしまったのだ!
リリ「え・・・・・何?!キャ――――!!」
突然宝の山に何か小さいものが突っ込んできた!
当然積み上げられていた財宝の山は、ガラガラと音を立てて
リリアーナの上になだれ落ちた。
ルス「あいたたたた・・・・・・な、何が起こりましたの?もしやこれも黒犬の呪いっ?!」
フリージアが避けた、という発想は、ポジティブルズの中には欠片も無いようだ。
リリ「あいたたた・・・・・・皆、大丈夫だった?!もう、何なのー。
――――ルズ!あなた、私達に一体何の恨みがあって・・・・・・」
フリ「将来立派な柱時計になりたかったらその葉巻の時間を10分ぐらい食べておしまいなさい!!」
フリージアを凝視していたルズの様子がおかしい。
ぴんと立っていたルズの尻尾と耳が、ふにゃっと力無く潰れる。
ルズの目がみるみる潤んだ。
ルス「・・・・・・・ううぇぇぇぇえええん!フリージア女王様に無視されたあぁぁぁぁあ~!
わたくしの愛がっ!へんちくりんな時計に負けたああぁぁぁぁああ!うえっうぇっつうぇぇぇぇぇぇええ!!」
ルズは滝のような涙を流しながら、身も世も無く泣き崩れている。
リリ「あー・・・・・・・ダメだこりゃ」
ミル「あー。なんというか…そのうちフリージアもルズの愛に気づいてくれるよ、うん…」
気づいたから愛に応えてれるとは限らないけどね…
だがいつまでもこうしてはいられない。
天上に開いた穴からは、墓地での激しい戦闘の音が聞こえてくる。
リリ「ひとまず早く地下墓地に戻りましょ。先生方がついてくれてるけど、やっぱり桜花さん達が心配だわ。
ヴァンエレン、悪いけど肩を貸してくれない?」
ヴ「あいよ~。
ちょっと休憩できたから私は大丈夫だ」
リリアーナがよろよろと動きだし、頼られた吸血鬼はそれを支えるために肩を貸すためにリリアーナに近づいていく。
犬『おー おー。
人間相手に天下の吸血鬼さまがお優しいこって』
その目は人間に馴れ合うなど魔に属する者にあらず、といったような厳しいものだった。
リリ「フリージア、ひとまずお宝は胸の谷間に詰められるだけ詰めよう。
レベッカさんやロクーの身体を元に戻すのも大事だけど、今はムムムを止めないと!」
フリ「わかりましたわ」
と胸に物を詰め込むフリージア
ミル「そうだね、いつまでも待たせるわけには行かないし、とにかく援護くらいはしたいしね。
ナナナにお願いなんだけど、何か回復アイテムとかあれば回収してくれる?」
ナナナ 「は、はいっ!え~と、この液体は瓶の形が…」
とりあえず後方支援支援キャラとしてナナナには頑張ってもらうとして、後は…
リリ「ねえ、メイファって今何歳なのかな?」
レヘ「107歳だ。…はぁ?」
とっさにそう答えたレベッカは、答えた後で、
何故リリアーナがそんなことを聞くのだろうかと思った。
メイファとは、レベッカの妹であり、当然妖怪である。
レベッカとメイファの最大の違いは、メイファが魔法使いを嫌っていることだった。
つい昨日、彼女は学園に現れ大暴れしたばかりである。
リリ「そっか。
ねえ、さっきレベッカさんは、「もう私達の力になれない」なんて言ってたけど、そんなこと無いよ。
こうして私の知らないことを、レベッカさんは知ってる。膨大な知識がある。
レベッカさん、私があなたの手足になるよ!だから、一緒に頑張ろう」
レヘ「あ…あーよ。」
レベッカは、そういうことかと納得した。
レヘ「おめーはいい匂いしてるぜぇ、リー。」
同じ頃。フリージアの持つ時計に時間を10分食べられたロクーといえば。
ロク「なっ!?何が起こったんだーっ!?」
葉巻の長さがいっきに17センチになってしまった。
それは過程の時間をぶっとばして、結果だけが残ったようだった。
さて、もしも葉巻を吸っている普通の人が、
魔法で急に葉巻の残りを少なくされたらどう反応するだろうか?怒るだろう。
ロクーもまた、すごく怒った。
ロク「俺は怒ったぞーッ!!フリージアーッ!!」
ミル「うわっ!?」
ヴ「そ、そんなに怒らんでもいいじゃない」
いきなり怒り出したロクーは、背中のアームをのばしてフリージアに殴りかかった。
フリ「あ~れ~!!」
油断しまくっていたためパンチを食らいあっさり吹っ飛ぶフリージアさん
ルス「フリージア女王様――――!!!!」
ミルクの慰めで立ち直ったルズは、吹き飛ばされたフリージアに突っ込んでいった。
フリージアは壁にめり込み頭から落下する。まるで車田漫画のようだ
その穴から、今、黒い謎の物体が落ちてきた。
フリ「ふ、フリージア女王様・・・・・ご無事で・・・・・ぐふ」
どうやらルズのクッションが、フリージアのダメージを減らす一助になったようだ。
フリ「フリージア女王様・・・・・いつもに増して美しいですわ・・・・・・素敵ですわ・・・・・・・」
ルズはフリージアの麗しい姿に感動し、喜びの涙を流していた。
ロク「どこへ行くつもりだーッッ!」
ミル「リリアーナ!?」
リリ「え?――――キャッ!!」
もう片方の金属アームが、地下墓地へ向おうとするリリアーナを捕まえた。
リリ「ロクー、何するの・・・・・痛いっ!!」
マジックアームに締め付けられ、リリアーナはたまらず叫んだ。
ロクーはまたしても体が大人になり、左手が凶器と化したクリムゾンヘッドになっていた。
ロク「いいか!俺は面倒が嫌いなんだ!
もう小細工はおしまいだ!貴様らは一人残らずこの場でぶっ殺すッッ!
一度俺の本当の姿を見ておきながら俺を殺そうとしないとはなぁ!
とんだお人よしどもがッッ!」
クリムゾンヘッドは、ノビールアームでリリアーナを引っ張った。
犬『一人残らずってことは犬である俺は含まれてないよな?
なら問題ない。一向にかまわん。
むしろやれ』
そうやって黒犬は腰を落として寝っころがってしまった。
リリ「ロクー?――――ううん、この人はロクーじゃない・・・・・!!」
ロクーの中から現れた『見知らぬ怪物』に、リリアーナは戦慄した。
レヘ「あのバカヤロウ!俺達を敵に回すつもりかよ!」
ミル「そうはさせるか!メギド!」
ロクー改めクリムゾンヘッドがリリアーナを引き寄せようとするが、
ミルクがメギドでノビールアームを破壊したので、リリアーナは自由になれた。
リリ「ありがとミルク、助かった・・・・・・・」
リリアーナはアームの残骸を振り落としたが、腕から血が出ている。
今の攻撃で傷口が開いたようだ。
ギ「な、何するだぁ!許さん!!」
主人を吹っ飛ばされて怒るギズモ
ギ「僕は相手が機械であるなら無敵だ!必殺グレムリンウェーブ!
EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
アメコミ風の超音波(機械なら問答無用で壊してしまう)を発するギズモ
だが、機械でなければギズモは単に叫んだだけだ
ギズモの能力は機械の破壊である。それは、
ノビールアームも、ミサイル(便宜上の名前)も同じだった。
フリ「痛いですわぁ・・・・やっぱりこのままじゃ駄目ですわねぇ
あんなパンチも避けられないなんて・・・・・・
わらわ・・・・じゃ無かった私はアイスの孫、シャーベットの娘フリージア!
時を食べる時計よ私の時間を食べることを許可しますわ!!
さあ私の時を二年お食べなさい!!」
フリージアの時を食べあっという間に立派な柱時計へと成長する時計
ギ「え~~~~~~~~~~~~~~~~~!?」
あまりの超展開にあっと驚くギズモきゅん
フリ「お~っほっほっほっほ!万年氷河の氷を砕き蘇りし氷龍のように
氷結姫フリージアここに完全復活ですわ!!」
柱時計の横には元の17歳姿に戻ったフリージア
当然!胸のサイズも元通りだ!!
クリムゾンヘッドの正体を現すロクー
フリ「とうとう正体を現しましたわね!ちゃちゃちゃちゃん♪超硬度スプレー♪」
何かスプレーのようなものを取り出し縦ロールに振り掛けるフリージア
そしてツインドリルを上にセッティングする
あっという間にダイヤモンドドリルのごとき硬さになる縦ロール
フリ「そ、それは平和になって仕事の無くなった元アサシン達の村でお土産に売っているという超硬度スプレー!?」
すごく説明的な台詞を言うギズモ
それはぶっ掛けた物を刃物の硬さにしてしまうという恐ろしいスプレーであり
豆腐の角で人が殺せるようになる優れものである
フリ「伊達や酔狂でこんな髪形をしていると思ったら大間違いですわ!!」
出るか?ロングホーンミキサー!!
フリ「出でよ!フリージングドール・マリオネット!!」
それって・・・頭を硬くした意味があったのだろうか?
フリージングドールを作り出すフリージア
フリ「フリージングドールに時を食べる柱時計を装備ですわ!!」
モップと柱時計と胡椒は武器です
グリ「フリージングドールでクリムゾンヘッドにリアルダイレクトアタ・・・・・」
ミル「リリアーナ!“思ひ出の糸車”をロクーに向けて使ってみて!
うまく行けば暴走を止められるかも!」
リリ「わ、わかった!」
ミルクに何か考えがあるようなので攻撃を中止するフリージア
リリアーナは思ひ出の糸車の糸を口にくわえると、キュルルと音を立てて引っ張った。
とはいえただ闇雲に糸車を使っても、あの鋭い爪に遮られてしまうだろう。
ヴ「一体、どうなってしまうのか!?」
リリ「どうなってしまうのかじゃないよ!どうにかするの!!」
リリ『誰か、タイミングを見てあいつの注意を引いて!』
リリアーナはテレパシーで、レベッカとクリムゾンヘッド以外に向かって頼んだ。
アナ「ほいほい。こっちでも注意を引いてみるぞっと」
アホ姉はひょいと天使の輪っかをかまえるけど、あたしの魔法じゃ注意を引くどころじゃありません。
動いて注意を引くのもあれだし、ここは様子見かな。
フリージアの髪型変化とかは、えらく注意を引きそうだけど…
レヘ「なにのんきなこと言ってんだ、ミルク!そんな奴、さっさとメギドでぶっとばせ!」
リリ「ロクーは友達なの。そんなこと出来ないよ!!」
レベッカの正論に、リリアーナは感情で叫んだ。
ロク「はっ!無能がッッ!さっきノビールアームが破壊された時は、
たまたまアームが図書館から出ていたから良かったが、
俺に向けて炎の魔法を使ってみろ!この図書館の本に燃え移り、
お前らもまとめて焼け死ぬのだッッ!そして…」
クリムゾンヘッドは、リョックから伸びているベルトを引っ張った。
それをきっかけに、リュックの口から円柱上の何かが飛び出す。
レヘ「それこそが俺の望みだッッ!」
イヤなことにクリムゾンヘッドの言葉には続きがあった。
背中のリュックから筒みたいなのが出てきて、バンバン【なにか】を吐き出した。
狙いも付けてないのか【なにか】はあたしたちの方じゃなくて本棚や床やらに命中、爆発炎上し…
ミル「ってなんつーことしてくれるんだあいつはーっ!?」
とーぜんながら、【なにか】が当たった場所はメラメラ燃えだすわけで。
それも一カ所二カ所じゃなくて、あっちこっちでボンボン火の手があがりだす!
ミル「ちょっとナナナ!この図書館消火機能とかないの!?」
ナナナ 「そんなのありません~!みなさんこそ魔法使いなんだから、消火の魔法とか使えないんですか~!?」
ミル「少なくともあたしは使えないんだよーっ!」
フリ「火を消すのだったら私の出番ですわ!
雪と氷の精霊よ!私は命じますわ!雪を降らせてこの火を消しておしまいなさい!!」
フリージアは室内で雪を降らせて火を消し止めるつもりだ
アナ「ほいほいほいっと。フリージアもドリルで援護頼むぞっと」
あたしとナナナが本人同士は真剣な漫才やってる中で、アホ姉はリリアーナの援護のためか光の玉を放った。
夜中に使えば明かりになって便利な能力だけど、殺傷能力は0。
ただ、軌道がある程度変えられるから、アホ姉はその光の玉をクリムゾンヘッドの周りに飛ばしている。
ボス「小ざかしい真似をっ!死期があと数分伸びただけで、何も変わらんぞッッ!」
ギ「それはどうかな?お母さんフリージングドールを僕に!!」
だがフリージアは火を消すのに忙しかった
フリージアが雪を降らせて火を消している間
いそいそとフリージングドールを操るチェーンを手にはめるギズモ
ギ「僕自身に戦う力は無いけれど・・・・フリージングドールならば!!」
チェーンを引っ張りフリージングドールを動かすギズモ
アナスタシアは、先ほどからずっとリリアーナの援護のために光の玉を放っていた。
最初は警戒したクリムゾンヘッドだったが、それが殺傷能力を持たないと見るや、
彼は左の爪でアナスタシアに向ってとっつきを行った。
ボス「死ぬがいいっ!貴様らは知らなくてよいものを知ってしまった!」
攻撃はアナスタシアから外れたが、後ろにあった本棚を貫通した。
アナスタシアは成功したのだ。クリムゾンヘッドの気を、リリアーナから逸らす事を。
リリ(今だ!)
リリアーナは糸車の糸の先を、ロクーに向けて投げた。
か細い糸は、まるで意思があるかのようにまっすぐロクーへと飛んでいく。
ボス「何をするつもりだッッ!!」
クリムゾンヘッドは、本棚をばきばきと裂きながら左手を薙ぎ、糸を切ろうとした。
刹那、糸の先が軌道を変えた。
思ひ出の糸車から出た糸がクリムゾンヘッドの腕に絡みつく。
リリ「ロクー、戻ってきて!あなたはクリムゾンヘッドなんかじゃないはず・・・・・うっ・・・・・・」
小さくうめき、リリアーナは膝をついた。
糸車を持つ手ががくがく震えている。疲労と負傷の影響で、力が入らないようだ。
リリ「リリアーナ大丈夫!?…ってまた血が出てるよ!
傷口が開いたんじゃないの!?」
慌てて近寄り支える手に、ぬるりとした感触。
そして、赤く染まるリリアーナの服とあたしの手。
リリ「誰か・・・・・・糸車を・・・・・」
ミル「わかった!あたしも手伝うから!
ちょっとこらロクー!聞こえてるんでしょ!
あんたクリムゾンヘッドなんか知らないって言ってたでしょうが!
なら知らない奴に変身してんじゃないわよってか、知っててもいいから根性見せろ!
乗っ取られてるのか操られてるのか知らないけど、焼け死にたくなかったらさっさと目を覚ませーっ!!」
レヘ「いや…聞こえているかどうか怪しいぜ。見ろ、ミルク。あいつは今放心状態になっている。
何か過去にあった大切な事でも思い出してるんじゃねぇか?」
レベッカがミルクにそう言った。クリムゾンヘッドは、
糸車の糸が腕に巻きついた後、急におとなしくなり、呆然としていた。
ミル「…確かに」
不本意ながらも、レベッカの言葉にはうなずくしかない。
ロクーの記憶を引き出せてないのが確実なら、ほかになにか打つ手はある?
答えはノー。
あたしにはロクーの精神を前に出す手段は思いつかない。
レヘ「そもそもおめーらは、なんでロクーの方が本当の人格だと思ってるんだ?
俺達からすれば、ロクーとクルムゾンヘッドのどちらが本当の人格かなんてわかるはずがねぇ。
もしかしたら、今俺達が見ているクルムゾンヘッドの方が本来の人格で、ロクーの方が異常なのかもしれねぇ。
この世の中、常に善人が正しいとはかぎらねーんだ。」
レベッカが続ける。
レヘ「悪い事は言わねぇ。今の内にクルムゾンヘッドを倒すんだ。
お前は確かこう言ったぜ、リリアーナ。俺は役立たずじゃねぇ。知識でサポートできるってなぁ。
その言葉が本心からならよぉ、俺の言う事を聞いてくれよ。
俺はどうしても不安なんだ。あいつ、クリムゾンヘッドは、
何か俺達の想像もつかねぇもんを隠し持ってるに違いねぇ。
そいつを出す前に奴を倒すには、今しかねぇんだよぉ。」
ギ「フリージングドールアクション!!」
ギ「確か・・・・ドリルブリザァァァド!!」
クリムゾンヘッド相手に、フリージングドールのドリルブリザードを使おうとするギズモ
だがしかしドリルは回るがブリザードは起こらない
それは何故かと言うならばブリザード自身はフリージアの魔力を増幅させたものであり
フリージアで無いと起こせないからだ
ギ「だったら・・・・・ブリザードソォォォォド!!」
フリージングドールのスカートの内側にずらっと並んでいる隠し剣
フリージア自身は剣の技能を持っていないため使えないが・・・・
ギズモもやっぱり使えなかった
ギ「使えないなら投げれば良いやv」
フリージングドールのパワーで適当に剣を投げつけるギズモ
所詮シロート・・・当たる訳がない
ギ「当たらないなら当たるまで投げるよ♪」
フリ「これで消火は完了ですわ。次は・・・あら?何でギズモちゃんがフリージングドールを? 」
ミル「いや…まあその…」
フリ「まあいいですわ!誰かターンアンデッドをクリムゾンヘッドに!!
ヴァンエレンさんは影響受けないように効果範囲外に逃げてくださいまし!!」
ターンアンデッド・・・それはアンデッドに大ダメージを与える神聖呪文である
神聖呪文であるからにはミシェルかアナスタシアもしくは両者ともに使えるはずである
アナ「ベルジンのおかげで力も回復してきたし、ターンアンデッドくらいなら撃てるぞ。
でもいーのかー?ターンアンデッドに成功しちゃったら、後戻りは出来ないのは知ってるよな?
二度とロクーに会えなくなっちゃうぞー」
確認を取るようにアホ姉が言うのは、ターンアンデッドで滅びた不死者が完全に成仏しちゃうから。
魔法は、ときに死の壁を超えて死者を連れ戻す。
でも、与えられていた偽りの命から解き放たれた死者を呼び戻すのに成功した者は、記録上は存在しないらしい。
…レベッカは、あたしたちの安全を考えてクリムゾンヘッドを倒せと言っている。
レベッカは役立たずじゃなくて知識で役立つ、と言ったリリアーナの意見には、あたしも同意する。
なら、今はその信頼を行動で示す時じゃないのか?
それをお姉ちゃんに任せて丸投げにしてどうするあたし!
ミル「……わかった。レベッカを信じる。あたしが奴を倒す。
動かない的が相手なら、範囲を最小まで絞れば周囲に火をつけずにメギドで攻撃できるはず。
あたしが失敗した時は、フォローよろしく」
リリ「本当に、・・・・・・本当にそれしか方法が無いのね?」
ミル「…あるかもしれないけど、今は思いつかない」
決断はした。それでも。リリアーナの表情を見ると心が揺れる。
レヘ「頭では理解しているが、納得はしてねぇって顔をしてるぜ、リー。」
リリ「ごめん。こんなことじゃダメだよね。
でも、元気になる豆をくれたり友達だと言ってくれたロクーの笑顔が、とても偽りのものとは思えないの」
レヘ「いい勉強したと考えた方がいいぜ。世の中には自分自身にさえ嘘をつける奴がいるとわかったってな。」
ミル「ロクーの行動はダミーで、本命はクリムゾンヘッドだって事…?
…あいつ、最初っからあたしたちを騙すつもりで近づいてきたのか…」
クリムゾンヘッドは最初からあたしたちを友達だなんて思ってなかった。
それなら、そう思えば、クリムゾンヘッドを倒すのに未練は無くなる。
よし。もう一度、魔法に集中し直して、今度こそメギドで…!
フリ「ここはルズさんを投げて攻撃したほうが良いかしら?
ルズさん確か炎の魔法得意でしたわよね」
リリ「いやいやいや、炎系得意なのはわたくしではなくマンダで・・・・・き、聞いていらっしゃいます?
あ、嫌ですわ女王様何を・・・・・・やめ・・・ちょ・・・フギャー!!」
空飛ぶ黒猫の受難は、まだまだ続くようだ。
ーーーー
クリムゾンヘッドの攻撃が火によるものであるのを見たターロンは、素早くリリアーナの後ろに回った。
今は御札が彼の体であり、火が移ったりしたら大変なことになるからだ。
その後は隠れていたターロンだが、ミルクがクリムゾンヘッドを攻撃しようとするとすぐに喋り出す。
ター「容易ならざる事態です。階上のメイレン様の妖力が変化しています。
もしかすると、メイレン様の身によからぬ事があったのかもしれません。 」
リリ「ターロン、いつの間に!」
レヘ「馬鹿な。メイレンがあのメイドに苦戦しているとでも言うのか?」
ター「それに、はたしてあのロクーなる少年をこのまま見捨てて良いものでしょうか?
本来なら進退窮まり、苦渋の決断を下さねばならぬ所でしょう。
ところが、私は今の状況を打開できる人物に心当たりがあります。
…それはあなたです。リリアーナさん。」
リリ「・・・・・・何が言いたいの?」
少し間をおいて、ターロンは言葉を続ける。
ター「失礼ながら少し調べさせてもらったところ、あなたは内に強い能力を秘めておられるようだ。
なぜその力を今、必要な時に使われないのです?
あなたが力を使えば、仲間やメイレン様を助けることも容易いでしょうに。
もちろん、ゾンビ化し、変身して暴れているロクーという少年も助けることができるでしょう。
あなたの同意と協力があれば、私が封印を解きましょう。
もう時間がありません。一刻も早いご決断を」
リリアーナはカドゥケウスという名の、神器といえるほど強力な杖をその身に封印している。
ターロンは、その杖の力を使って現状を打開することをリリアーナに勧めているのだ。
リリアーナの口元がわなわなと震えた。
リリ「やれるものなら、とっくにやってる」
リリアーナは静かに、感情を押し殺した声でそう囁いた。
リリ「ヒーラーが!失われる命を救えない苦しみがどれほどのものか、あなたに分かる?!
でもね、あれはダメなの。
救うことが全てじゃないの。封印を解いてはだめ。使わない、そう決めたの!!」
ターロンがどれほど言葉を尽くそうが、彼女が正気なうちは、封印を解くための協力など決してしないだろう。
レヘ「リー、俺には事情はわからねーが、おめぇがそこまで駄目だって言うのなら、使うこたーねぇ。
なにしろ俺が死んだ時も使わなかったんだ。よっぽどの事情があるんだろ。
俺はおめぇを責めたりしねぇよ。ロクーが死んでも。メイレンが死んでも。俺が死んでも…」
レベッカは、命につく名のことをリリアーナに話してくれた。
レベッカはまるで、リリアーナの心などとうにお見通しのようだった。
リリ「責めていいのよ、レベッカさん。あなたにはその権利がある。
なぜ力を持ちながら、私を見殺しにしたんだって」
この罪悪感や葛藤は、リリアーナがカドゥケウスの所有者である限り永遠に消えることは無いだろう。
レベッカがやっと口を開いた。
レヘ「人間てのは、だいたい50年。長く生きても80年でこの世から死んでいなくなる。
短けぇよなぁ。妖怪と比べたら、本当に短けぇよなぁ、ターロン。
けどよぉ、リー。だからこそ人間は、大切な人間が死んだ時でも、その哀しみを乗り越える力を持っている。
妖怪の俺が言うのも変だが、人間の強さってのはそこにあるんだよ。
死を受け入れることで、逆に死を克服している。
こいつぁ、どんな強力な妖怪でも持っていない力なんだ。
例え一人の人間が死んでも、別の人間がその魂を心に刻んで生きていく。
そのまた人間が死んでも、また別の人間がその魂を心に刻んで生きていく。
妖怪達はその力を恐れてこう呼んだ。“命につく名”とな。
ちょいとばかし長く喋りすぎちまったが、要はおめぇの意見に賛成だってことだ、リー。
救うことが全てじゃない…か。もしも俺たちがロクーを殺す事になっても、
だが、もしかしたらおめぇはロクーを救うのかもしれないな。
見せてもらうぜ。おめぇの可能性を。」
【その頃魔法学園では】
ユリ「よーし!チョー完璧!!」
招き猫の無くなった
招き猫広場。
ムウ大陸への門の近くで、ポニーテールの少女が大きな垂れ幕を前に満足そうにしていた。
垂れ幕には墨で『来たれ若人!ムウ大陸探検家大募集中!』と大きく書かれている。
ネリーを寮に寝かせてから戻ってきたユリの自信作だ。
そんな彼女は今食事中である。
だが、望む人はユリに話しかければ、ムウ大陸に行くことが出来るだろう。
(22で〆)
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最終更新:2009年11月10日 14:36