(突如眩い光が差しこみ、何も無い場所に輝く扉が出現した。)
ミ「砂金…じゃないのか。いや、でもこれも金色だし、持ち帰れば換金できるかも…」
リ「な、何これ・・・・・?」
ヘ「どうやら君の言う通りになったね。優勝者のお出ましだ。」
リ「良かった・・・・・皆無事だったのね」
ミ「
リリアーナ?それにフリージアにレイド先生に、ロックとアンジェリーナ…先生まで?
死王の居場所にいたのに、いつの間にこんな所に?それに一緒にいるのは誰?」
レ「おひさー。ご無事で何より。」
リ「ここは リバースを構成する領域の中で最も重要な場所なの。
復活システムを治すためにこうして私達皆でやってきたんだけど・・・・・・。
ミルク達こそどうしてここにいるの?ここは生徒には絶対来れる筈が無いのに」
ミ「いや、あたしたちは…」
ヘ「おめでとう、ミルク。ずっと待っていたよ。僕の名前はヘレン。
このリバースの管理者であり、リバースそのものだ。」
ミ「へ?管理者で、…リバースそのもの??」
フ「と言うことらしいですわよ
だからもしリバースが崩壊していたら・・・・・彼(?)自身も命がやばかったみたいですわね
逆に言えば彼(?)を回復させればリバースも元に戻る・・・・と彼(?)もさっき言ってましたわ」
ミ「なるほど、リバースの精霊みたいなもんか…それなら納得だ」
フ「あ、そうそう・・・回復しないと優勝商品も渡せないらしいですわよ」
ミ「まずは回復しないとダメだなんだね……って、ほんとに!?
それを先に行ってよ!それを!」
ミ「ヘレンだったよね。見たところ怪我も無いようだけど、どうやったらリバースが回復するの?
エルザ…ここに来てない友達も心配だし、速く脱出してイベント終了させたいんだけど」
ヘ「リリアーナならきっとできるよ。前にも治してもらった事があるんだ。
エルザは無事だよ。君は何も心配しなくていい。」
ミ「あっそ。ならいいんだけど」
レ「ヘレンを回復すればリバースが回復するらしい…が、ヘレン、お前は普通の回復魔法で回復するのか?」
ヘ「ご心配なく。」
ロ「ごめんな。」
ヘレンがミルクに祝福している最中、ロックはとなりにいるリリアーナに囁いた。
ロ「結果的に、俺はお前からエルザを奪ってしまったんだ。
俺をエルザの代わりに想えなんて、虫が良すぎる話だよな。
…悔しいけど、俺はお前のために何をすればいいのかさっぱりわからないぜ。」
ロックがリリアーナが絡ませていた腕を放した。
ロ「もしもお前が、俺を見るたびにエルザの面影を見ようとするなら、俺達は今後会わないようにするべきかもな。
お前にとっても、俺にとっても、エルザの面影を探すのはつらい事だからな。」
リ「この・・・・・・馬鹿ロック!!」
リリアーナはロックの頭に拳を振り下ろした。
リ「誰もエルザの代わりにはなれないわ。たとえそれがロック本人であったとしてもね!!」
リ「エルザの形は失われても、エルザの存在までが消えたわけじゃない。
知ってる?ロックが知っていたように、エルザだってちゃんと知っていたのよ。
自分がブランエンの生まれ変わりだって」
リ「分かったの。あの子はロックと一つに溶け合って、あなたの中でちゃんと息づいている。
だから・・・・・・・ロックが負い目に感じる事なんて何も無いの。
だって私は、本当は何ひとつ失ってなんかいないのだから。」
ロックは軽く深呼吸した後、リリアーナに聞いた。
ロ「お前には、俺は何に見えるんだ?」
リリアーナはちょっと首をかしげると、さも考え込むような仕草を見せた。
リ「私を切りつけた変質者。闇の魔法を自在に操る黒猫。
愛しすぎて道を踏み外した魔法使いの転生体。
金髪の乱暴者。猫耳の人。アンジェリーナの家族で、アウルの飼い主。
エルザの半身でブランエンの生まれ変わりで・・・・・まだ他にあったかしら?」
リリアーナは指折り数えてわざと的外れなことを言っていたが、ロックの表情を見てふと真顔に戻った。
リ「茶化してごめん。――――私の好きな人。ずっと好きだった人。
名前はね、ロック・ウィルって言うの」
ロ「…はははっ。」
ロックはふっと表情を緩め、先程リリアーナが殴った頭をさすった。
ロ「お前に殴られるのはこれで何度目かな?」
ロックはそう言って、リリアーナを抱き寄せた。
ロ「どうも柄にもなくナーバスになりすぎていたな。お前の拳骨はよく効くぜ。
…これからもずっと、俺の頭に拳骨を落としてくれるか?」
リ「う、うん!―――― え?それってもしかして・・・・・・」
リ「ロック・・・・・」
(そしてロックはリリアーナの唇に… )
ヘ/ア「「ゴホン!」」
ア「ロック、今はそんな事をしている場合じゃないでしょう。」
ヘ「うん、悪いけど僕もあんまり余裕がないんだよ。」
ロ「ああ…そうだな。うん、そのとおりだぜ。」
ロックはそっと、「また後でな。」とリリアーナに耳打ちした。
リ「・・・・・・っ!!」
(リリアーナは更に赤くなると、口を噤んだままロックの背をぽかぽか叩いた。)
ヴ「ではリリアーナよ…はやいとこ回復を頼むぞ」
ミ「前にもリバースを回復した事あるみたいだし、ぱぱっと終わらせちゃってよね。
危ない場所は急いで抜け出して、打ち上げでゆっくり楽しんじゃおう!」
リ「う、うん!みんなの言うとおりだよね!ところで吸血鬼、何で顔が赤い・・・・・・きゃっ!!」
(リリアーナ、こける)
リ「お、おまたせヘレン。悪いけどこっちに来てくれる?」
リリアーナはヘレンの前に立つと、目を閉じて何度か深呼吸し、気持ちを落ち着けた。
低く呪文を詠唱し始めると、ヘレンの足元に見慣れない魔方陣が浮かび上がった。
マ「まさかド三流にこんな特技があったなんて……」
リ「・・・・・・くっ!!」
詠唱の途中、リリアーナが苦しげに胸を押さえた。
リ(後少し・・・・・あと・・・もうちょっと・・・・・)
(残りの呪文を一気に詠唱すると、リリアーナは鋭く杖を振り下ろした。)
リリアーナが杖を振り下ろすと、辺りを覆う金色の“水”が一瞬発光した。
それは、ヘレンの回復を知らせる合図だった。
マ「……まあ三流から二流に格上げしてやってもいいか」
ヘ「…ありがとう、リリアーナ。君には助けられてばかりだね。」
(そんな事は無い、とリリアーナは首を左右に振った。)
(ヘレンは一瞬ロックの方を見た。
リ(ロックったら・・・一体何してるのよ・・・)
ロックは術の邪魔にならないようにリリアーナから少し離れていたが、
リリアーナが苦しそうだったので、倒れそうになったらすぐに支えるぜ!
とばかりに、クラウチングスタートの構えをとっている)
ヘ「いつか必ず、君にはお礼をしに行くよ。」
リ「いらないわそんなの。ヘレンからはもう貰ってるもの。
だって、ロックを含めた全員を元の世界に返してくれるって約束してくれたでしょう?」
リ「そんなことより、学園に居るなら居るでたまには元気な顔を見せに来てよ。
ヘレンとは前に別れたきりだったから、メラルさんなんか特に気にしてたみたいよ?」
リ「だから、今度は普通に遊びに来て?
そのときはヘレンの好きなきつねうどん、いーっぱいご馳走するからね!」
――――――――――――
(ヘレンが回復すると、彼の足元にある床が沸騰するようにごぼごぼと泡立ち、
海に浮かぶ筏の様にぷかぷかと宝箱が浮き上がってきた)
ヘ「さあ、ミルク。ゲームは終わりだ。」
ミ「う、うん…」
(全員に対して)
ヘ「何だい?まだ何か僕に聞きたい事でもあるのかな?」
メ「久しぶりね。ヘレン。…無事…と言って良いかはわからないけど、
安心したわ。話したい事は色々とあるけれど…そういう状況でもないわね。
ただ…もしあなたが良ければ、連絡方法だけは教えてくれると助かるわ。」
マ「さっさと開けたらどうだミルク?僕はもう帰ってゆっくりしたいんだ」
(つかれもたまってるのもあって面倒くさそうにその場に座り込むマオ)
ミ「……ねえ、リリアーナ。箱を開けて鍵を取り出すの、変わってもらっても良いかな?」
リ「へっ、私?」
ミ「あたしはペンダントをゴミ箱に入れたけど、自力で全部集めた訳じゃない。
さっきだってリリアーナがヘレンを回復しなかったら、この宝箱も出てこなかった。
それに、リバースの崩壊を食い止めて無事に帰れるのは、みんなが協力したからだと思う。
あたしは、全員無事に帰れて分け前がもらえるんなら、優勝なんかしなくても十分満足できるよ。
みんなはそう思わない?あたしじゃなくて、リリアーナを優勝させたくない?」
(ミルクはぐるりとみんなの顔を見回す。)
リ「ちょ、ちょっと待ってよミルク。そんなのダメよ、もらえないわ。
ミルクは自力で集めてないって言うけど、私なんか本当に何もしてないのよ?」
ミ「リリアーナのバレンタインチョコがきっかけで始まった、今回のイベントだもの。
リリアーナに始まりリリアーナに終わる。
優勝して、本当の意味でこのゲームを終わらせてよ。リリアーナ」
フ「別に私は構いませんことよ
そんなことより早く帰ってお風呂にでも入りたいですわ」
ミ「さすがフリージア。話が分かる」
リ「フリージアまで・・・・・っていうかそんなことより、って・・・・・・」
ル「さすがはフリージア女王様ですわ~豪気すぎるのですわ~」
突然ルズアーナの声が割って入った。
ギ「お母さんとお風呂♪お母さんとお風呂♪」
ル「女王様とお風呂♪女王様とお風呂♪」
マ「確かに、早く帰ってお風呂にでも入りたいな……フッ
いいんじゃないか?僕は僕が優勝できないならだれがなろうとどうでもいい。
例え優勝者がまぬけな二流だろうと別にかまわないさ……」
マ「うんうん。そうそう。マオマオもそう思うよね。
可愛そうなアルナワーズの被害者を助けるのは、エリートなら基本だよね」
ロ「誰が二流だと!?馬鹿にしやがって!」
リ「あ、いやロック、これは一応マオマオなりの誉め言葉なのよ?だってさっきまでは・・・」
リ「・・・・・・・そういえば、ロックがヘレンを殺そうとしたってどういうこと?
もしかして私たちが来る前にひと悶着あった?」
ロ「いや、事情が色々あってだな…うん、ずっと前に色々とあったのさ。それで勘弁してくれ。」
リ「う、うん?
――――ま、二人とも納得して今はちゃんと仲直りしてるのなら、私はそれで構わないわ」
レ「ま、ミルクの考えも分からない事は無いな…」
マ「ほらほらリリアーナ、レイド先生もこう言ってくれてるんだし。
遠慮せずにパカッと開けちゃえパカッと」
――――――――――――
フ「そういえば・・・そもそも優勝商品って物ですの?」
ヘ「優勝者にとって一番必要な“何か”だよ。だから、僕にもわからない。」
フ「どっちにせよリリアーナさんが宝箱をあけて見なくてはわかりませんわね」
(とフリージアはリリアーナ(本物)の後ろから宝箱を覗き込むのであった)
リ「いやそれは・・・・・・」
(リリアーナ、困る)
リ「ヘレン、優勝の譲渡なんて出来るの?」
ロ「例えば…今ミルクに一番必要な“何か”が“リリアーナを優勝させる”事で得られるものなら、
出来ると思うけどね。」
リ「それって結局私の優勝・・・と言えるのかな?メラルさんやケオスさんはどう思う?」
(メラル、ヘレンと会話中)
リ「あ、マオマオも頭良いって言ってたよね?一応意見聞いてもいい?」
マ「オッケーオッケー。ばっちり得られます。
リリアーナは優勝して進呈されずに済むし、あたしは賞品の分け前をもらってウハウハ。
自分の進呈権はいらないとかリリアーナがごねて、追加賞金がもらえたらさらに完璧!
さあさあ、みんなの苦労を無駄にしないように速く開けて開けて」
リ「そ、それはミルクが直接交渉してくれる?」
――――――――――――
ヘ「そういえば、さっきリリアーナが面白いことを言ってたね。
メラルが特に僕を気にしていたって。」
ヘ「今度伝書フクロウを飼おうと思うから、それに手紙を持たせてくれたらいいよ。
テレパシーは使わないことにしているんだ。生憎と今の不自由さが気に入っているからね。」
ヘ「そうそう、言っておくのを忘れてた。実は僕、来年度からこの学園の教師になるんだよ。
だから、君達の側にいる事になるよ。レイド先生、今後は同僚として、どうぞよろしく。」
ヘレンはレイドに軽く頭を下げた。
――――――――――――
リ「分かった。じゃあ、皆の好意に甘えて私が宝箱を開けるね」
リ「―――― でも、私と一緒に皆も宝箱に触れて欲しい。
私一人の力でここまで来たわけじゃないから、皆で宝箱を開けたいの。
真の優勝者であるミルクが困らないのなら、そうしてもいいんだよね?ヘレン」
(皆が宝箱の周りに集まったのを確認すると、リリアーナは宝箱に手をかける)
リ「さあ、開けるわよ!皆、心の準備はいい?」
リリアーナは宝箱の留め金を外すと、ゆっくりと蓋を開いた。
(その途端、眩い光とともに何かの記憶らしきものが一瞬のうちにリリアーナの中に流れ込んできた)
リ「な、何よこれ?!」
リ「これ・・・・・まさか、今回のリバースでの記録?」
リ「・・・・・・い、今のって皆にも見えた?」
リ「あ、こうしてる場合じゃなかった」
(はっと我に帰り光が消えた宝箱の中を覗き込んだ)
「あ、良かった。何か色々入ってるよ?」
(中から大小さまざまの巾着袋を次々取り出し後ろの人間に渡す。幸いにも巾着袋は人数分揃っていた)
リ「中身は何だろうね?・・・・・・あら?」
箱の一番底の部分に、掌に乗るくらいのアンティークの鍵が安置されていた。
鍵は金色で繊細な彫金がなされ、持ち手の部分には青い宝石が埋め込まれている。
リ「もしかしてこれがリバースの鍵・・・・・・・なのかな?」
だとしたら鍵穴はどこなのだろう?そんな事を考えつつ、リリアーナは鍵を手に取った。
(226で〆)
最終更新:2008年10月16日 16:58