レベ「さて、案内役はどこにいるんだ?」
レベ「おい、そこの案内役。」
リリ「はい?」
レベ「俺の名前を言ってみろ。」
リリ「えと・・・・・・あの・・・・・・」
(
リリアーナは仕方なく、名前を確認するため相手の股間を凝視しなければならなかった。)
リリ「れ・・・れべっか・うぉん―――― レベッカ・ウォンさんね?」
案内役の少女がそう答えたので、レベッカはやっと西方での自分の名前が、
実際にどのように発音されるものなのかを知る事ができた。
レベ「俺がレベッカ・ウォンだ。」
(リリアーナは姿勢を元に戻すと、恥ずかしさを誤魔化すようにレベッカに右手を差し出した)
リリ「初めまして、私はリリアーナです。今回転入生のエスコート役をおおせつかっています。
レベッカさん、どこか行ってみたい場所はありますか?」
(そう言って握手を求めた後、リリアーナは少し逡巡した後小声でこう付け加える)
リリ「あの・・・中つ国ではそういう場所にリボンをつける習慣があるの?
こっちでは普通胸につけるんだけど・・・その・・・座った時とかに外れて刺さったら危なくない?」
レベ「ああ?お前、股間を舐めてんのか?」
リリ「レベッカさんって女の人だったのね」
レベ「いいか?人間てのは、呼吸を通して宇宙のエネルギーを取り込んで生きてるんだ。
そして、その宇宙のエネルギーが、体内で一番凝縮されているのが股間なんだぞ。
中つ国にはかつてソン・ウーコンという、働かない最強の武術家がいたが、
そいつはどんなに激しい戦いをしても、ズボンの股間部分が破ける事だけは無かったそうだ。
これだけでも、股間がいかに大きなエネルギーをはらんでいるかがわかるだろう?。」
リリ「え~?!そのソンって人そもそも人間なの?・・・・・・・あ!でも言われてみれば・・・」
(レベッカは、握手を求めて伸ばしていたリリアーナの手を取り、自分の股間へ押し当てた)
レベ「どうだ?大きなエネルギーを感じるか?」
リリ「なななななななななな、何するんですかー!!」
(レベッカはリリアーナの手を離し、自分で自分の股間を押さえた)
レベ「俺は感じるぞ。宇宙のエネルギーが、 み な ぎ っ て き た 。」
リリ「レベッカさんって女の人だったのね」
リリ(それにすごく変わっている。 )
レベ「お前こそ、なんで卑しい獣の真似事みたいに、頭に作り物の耳をつけているんだ?」
リリ「しっ、失礼ねっ!これは猫耳バンドって言うれっきとしたマジックアイテムなんだからっ!!」
(きい~っと拳を振り回して抗議したリリアーナだったが、ふいに真面目な顔になった)
リリ「レベッカ、知ってるかもしれないけど、この学園には世界中からいろんな人々が集まっているわ。
中には半人半獣みたいな、とても珍しい体質の人だっているの。
だから、言葉には気をつけてね。
あっ、もちろん悪気がないのは分かってるけど・・・・・・ね?」
レベ「俺はフィジル島に来る前に、南島部(かつて西方の植民地だった)で西方の事をある程度は学んだが、
どうもそれだけじゃ不十分だったみてぇだ。さっきもトレーが二つあって、どっちに入ったらいいか迷ったしな。
だから、西方の文化が一番色濃いと、お前が思うところへ案内してくれ。」
リリ「うーん・・・・・・・じゃあ中庭を抜けて地下図書館に行かない?
図書館には珍しい本が一杯よ。
それに中庭には屋台が出てるから、レベッカが知らない食べ物もいっぱいあると思うし」
レベ「食い物か。俺はどちらかといえばそっちの方が興味あるな。」
(レベッカと連れ立って歩きながら、リリアーナはふと疑問に思ったことを口にした。)
リリ「そういえばトレーって何のこと?西方じゃこれの事なんだけど」
リリアーナは手にもった銀色のトレイを指差した。
レベ「あ?それもトレーなのか?(西方の人間はこんなので用を足すのか。へえ。)
俺が思っていた以上に、西方の文化は奥が深ーんだな。
それにしても、お前は何でそんなものを持ち歩いているんだよ?」
リリ「ああ、私、出前した分のティーセットを下げに行く途中だったから・・・・・・どうかしたの?」
(レベッカは林の奥から小さな鳴き声を聞き、立ち止まった。)
レベ「……ちょっと待ってろ。」
(レベッカは林の奥へ入っていった。 )
(少しすると、レベッカは『ゆっくり拾ってね』と書かれたダンボール箱を持って帰ってきた)
(ダンボールの中には生後何日も経っていないと思われるシベリアンハスキーの赤ちゃんがいた)
リリ「ひどい・・・誰がこんなことを・・・」
レベ「本当は3匹いたんだ。」
レベ「でも、駄目だった。他の2匹は既に死んでたんだ。おそらく何日も前にな。
生き残ったこいつが病気にならないためには、他の2匹をダンボールの外へ捨てるしかなかった。」
レベ「今必要なのは、生き残った1匹に与える食べ物だ。死んだ2匹の犬に墓を作るのは後でいい。
ここで頼りになるのはお前だけだ。力を貸してくれ、リー・リンチェイ。」
リリ「もちろんよレベッカ。ぜひとも私に協力させて!」
(リリアーナは力強く頷くと、自分のエプロンドレスで衰弱した子犬をそっと包み込んだ。)
リリ「じゃあ悪いけど中庭の散策は後でもいいかな?
まずはこの子にミルクを飲ませなくちゃ。行きましょ!」
リリ「実はあの二階で、私達のグループが模擬店をやってるの。
猫と猫耳メイド――私みたいな格好の人よ――の両方で給仕する趣向の喫茶店なんだけどね。
紅茶用にミルクも常備してるから、すぐに用意できると思うわ。
本当は哺乳瓶かスポイドがあるといいんだけど・・・・・まあ何とかなるでしょ!」
レベッカは、おもむろに槍を肩から下ろすと、槍頭を正面に向けた状態で、それに跨った。
レベ「俺の後ろに乗れ。」
レベ「わからないのか?こいつで空を飛ぶんだよ。」
(二人が乗った槍は、 猫耳メイド喫茶店のある建物の二階に向けて飛び立った)
(41で〆)
最終更新:2008年10月31日 23:57