「恋愛ディストーション」あと語り
今回取り上げた『恋愛ディストーション』という作品は、
大学生の恋愛模様をちょっぴりコメディタッチ、ちょっぴりシリアスにほんわかと描いていく作品でした。
カップルの日常に起こる何気ない出来事の数々。
傍から見るとそれはなんでもない出来事なのに、恋する2人にとっては大事件だったりするんですね。
「彼女は一人暮らしなのに注意しても戸締まりをちゃんとしてくれない!」
「彼女が携帯電話を買ったと思ったら番号を教えるのを渋った!?」
「彼女にバレンタインデーに手作りチョコをねだったら拒否された!?」
ちょっとした気持ちの行き違いで右往左往するキャラクター達はとても微笑ましく、
思いっきり感情移入してドキドキしたり、イチャコラする2人の幸せをおすそ分けしてもらったり。
読んでいて幸せになれる作品でした。
そして、今作には恋愛モノには付き物な「浮気」がほぼ出てこなかったことも大きなポイントでした。
ドロドロの恋愛模様も時にはいいですが、
今作はあえてそこは通らずにラブラブなカップルを描ききる事で読後の幸福感を補完していました。
「すれ違いはあるけど、基本2人は相思相愛」というお約束があるからこそ、
小さな出来事で右往左往する2人の姿を安心して見守れるんですね。
ちょっと性格悪いかもしれないけど、それが楽しい!
そんな作品でした。
さらに、この作品の欠かせない魅力としては「フェチ」が上げられるでしょう。
メガネ・におい・ぽっちゃり・うなじ・浴衣・犬気質・・・などなど。
日常の何気ない場面で「グッ」とキてしまうフェチが随所に散りばめられ、
「これわかるかなぁ~?わかってもらえないかなぁ~?」と思いながらも、
「犬上先生、俺はわかる。わかりますよ!」
と思わず頷く絶妙なシチュエーションが数多く用意されていました。
ちょっと細かくて、ちょっとマニアックめなところが更にいいですね!
この「ちょっと」のさじ加減が今作の肝だと思いました。
まさしく絶妙。
ちなみにわたしは、今作に登場するメインキャラの一人「緑川 棗(みどりかわ なつめ)」というキャラが好きでした。
今回は作者の犬上すくね先生ご本人からたくさんのコメントを寄せていただきました。
様々な掲載誌を渡り歩き、苦節15年にして完結を果たす。というドラマチックな経歴を持つ今作。
15年来のファンの方々も沢山参加していただき、
「本語り」のタイムラインを大いに賑わせていただきました。
今回は特にファンの方々の語りの熱量がすごかったです。
作者さんとファンとの交流の場を演出できたという事が、わたしの中でとても嬉しい体験になりました。
犬上すくね先生、そして、会を盛り上げてくれた参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
2013/10/31 by utarou
最終更新:2013年11月01日 21:10