「つづきはまた明日」あと語り
今回取り上げた作品は紺野キタ先生の『つづきはまた明日』
大きな事件を起こさずにひたすら父子家庭の日常を描いていく作品。
一見すると地味な作品なのですが、
ありふれた日常の中にある小さなしあわせをしっかりと描く描写力に思わず引き込まれる作品でした。
「さりげなさ」をしっかりと描くという一見相反する事を見事に行っていて、
作品内に漂うリラックスした空気感は読んでいてとても心地よく、
幸せな気持ちになれる作品になっていました。
ただ、「幸せ」を描くためのスパイスとしての「不幸」も
しっかりと描写されていて、ご都合主義の楽園ではなく、
リアルでシビアな現実世界の中でささやかに享受する幸せを描いている作品だと感じました。
キャラクター同士の関係性、立ち位置の違いにフォーカスした物語の作り方、
描写の仕方も効果的に行われていて魅力的なポイントでした。
大人と子供、男と女、いろいろな立場の人間が関係しあって生きているこの世界。
当たり前なことではありますが、
そこをしっかりと描き、それぞれの役割や想いについて考えさせられるシーンには心惹かれました。
今回はスタッフのtb_lbさんの推薦作という事で、
まえ語りの配信中では初めて進行役としてしゃべって頂いたり、
本語りの中でも中心的に語りを展開して頂いたりと、tb_lbさんが大活躍の回になりました。
実は今年の8月にもtb_lbさんの推薦作を取り上げる予定を立てているので、今から楽しみだったりします。
今回も作者の他の作品を読みたくなる良作に出会う事ができました。
未読の方は是非一度読んでみて頂きたい、いろいろな人におすすめしたい作品が増えました。
2014/5/30 by utarou
最終更新:2014年06月01日 05:38