理想の現実
<3>
美和はコップのお茶をごくごくと飲み干すと、
「ふぅ…、ごちそうさ…ゲフッ…までしたぁ…」
げっぷ混じりにごちそうさまをする。
最後に飲んだお茶が限界の胃に到達し、胃のわずかな隙間と食べたものに染み込んで苦しさは最高潮の様子。
それでも大好物のプリンの余韻と、満腹の幸せに満足そうにその大きなおなかを撫でさする。
当然、普通に床に座っていることも出来ずに、片手を後ろにやって体を支えながら、出来るだけおなかの苦しさを紛らわせようと姿勢を崩すが、大きく膨れたおなかと可愛らしいおへそが服の隙間から確実に覗いている状態だった。
瑞樹は美和の様子に苦笑をうかべつつも、残っている料理をすばやく食べ終えて自分もごちそうさまをした。
用意した半分以上を食べた瑞樹だが、そのおなかは見た目に胃の辺り…上腹部の膨らみのみで、本人も特に苦しそうな様子はない。
別に今日は自分が満腹になることが目的ではない……美和を満腹にさせることにあるのだから。
「大丈夫か?」
心配しているという表情でも声音でもないが、一応声をかけると、
「…う…ん、苦しいけど…大丈…夫……」
正直、大丈夫そうには見えない。
「今度こそ満足した?」
「う…んっ…げぇふぅぅ…ッ」
大きなげっぷが漏れるのを手で隠しつつ、今の自分の状態にほっぺを真っ赤にして恥ずかしがっていた。
まぁ、限界まで食べて満足している…という返事には十分であったが。
瑞樹は美和の横に移動すると、そっと美和のおなかに手をおいて……
「美和のおなか、すごいな……」
「……っ」
耳元で囁くように言うと、美和の耳までが真っ赤になる。
だが、瑞樹はくすっと小さく笑うとそのまま美和のおなかを優しく撫でながらキツそうな服を胸元まで引き上げた。
「これで少しは楽になった? あ、スカートもキツそうだね…脱いじゃいなよ。どうせウエストは閉まらないんだし……?」
そう囁くと手早く美和のスカートを股のあたりまで引き下げて、その白くて大きなおなかを晒す。
そして改めておなかを撫でながら、
「相変わらず白くてキレイだな…でも今にも破裂しそうだぞ?」
「……や…恥ずかしいよぅ…ッ」
恥ずかしがる美和を見て、瑞樹はキレイな口元に意地悪な笑みをうかべると、
「今日もたくさん食べたからなぁ…ほら、こんなに張り詰めてる……」
そう言って、そっと美和のおなかにキスをする。
「……ッ」
びくっとする美和に構うことなく、瑞樹は続けた。
「可愛い…美和。このおなかにめいっぱい詰まってるのがキスでも分かるよ? ほんのり温かくなってるし、パンパンでずいぶん固く張ってる」
確かに瑞樹のいうとおり、美和のおなかは限界まで詰め込まれて破裂寸前に見えた。
また、それはおなかに触れた手からも唇からも伝わってくる。
美和自身も見た目だけでなく、感覚でも分かっていた……。
自分の胃が限界まで広がり、膨らむスペースを求めて腹腔中だけでなく薄い腹筋と皮膚を押し広げるように前へとせり出して、ウエストのくびれさえもなくなって緩い曲線を描いている。
そして、ずっしりと重たく感じる胃に…喉元まで詰め込まれているようで呼吸すらもつらく、身動きが出来る状態でもなかった。
後ろで支える手が痺れそうで、仕方なく両手で支えておなかを突き出すような姿勢になる。
それは瑞樹からしてみれば“お好きにどうぞ”状態だ。
「う~ん…今日はいつもより大きいかもなぁ」
そう言いながら、優しく美和のおなか全体を撫でる瑞樹。
確実に以前より食べる量が増えていることと、うっすらと肉付きがよくなったことが原因と思われた。
「美和…今日、10Kg近く食べたんじゃないか?」
「え……そんなに…私、食べた…?」
さすがに美和もその数字は考えつきもしなかった。
そんなに食べれるとも思ってないし…。
だが、瑞樹の計算では美和のおなかには総合的に10Kg近い量が詰まっているはずだ。
おそらく、美和自身は気づいていなかっただろうが。
当然…瑞樹の作戦勝ちで、最初からそのつもりだったのだ。
「うん、俺の計算だとね♪」
「……うそ…っ」
美和の表情は恥ずかしさと焦りが入り乱れている。
若干、他人より大食いである自覚があってもそこまで食べれるようになっていたことや、それを彼氏である瑞樹に指摘され…その上、結果的に10Kg近く大食いしたおなかを晒している……。
「何を今更。いいじゃん、おなかいっぱいになったんでしょ? それともまだ食べる?」
「え…もう無理だよ…っ」
そう、今更は今更だ。
それに確かに満腹…いや、胃もおなかも限界である。
これ以上食べ…飲み込むことも出来ないし、出来てもおなかが破裂するのではないだろうか……と美和は真剣に思ったくらいだ。
「俺が良いって言ってるんだから気にすんな。それに……」
瑞樹は美和のおなかに再びキスをすると、
「俺、美和のおなか…特に満腹になってる時のが大好きなんだよなぁ……可愛くて」
そう言ってにっこりと微笑んだ――。
最終更新:2011年11月12日 08:39