■ ウィスパーインザノースウィンド -光井愛佳・福田花音- ■
電光掲示板が搭乗可能な旨をインフォメーションしている。
「ほな、ウチ行くわ」
はい、お気をつけて
「堪忍な、急なことやったのに、なにからなにまで手配してくれて」
いいえ、私は…
「?」
本当に…
「んん?」
本当に、いいんですか?
この記憶を奪えば、リゾナントの皆さんは、もう光井さんを追えない…
たとえ共鳴したとしても…
光井さんには『それが共鳴だとわからない』し、自らも『共鳴を返そう』と『想え』なくなる。
…それは、きっといつか…
「ええんや…どのみち…な…」
…
「ええんやて、ええんや…」
…
「なあ福田ちゃん」
はい
「もし…ウチの記憶がすべて戻ったとしたら…
…そんとき、ウチは、アンタを許せるんやろうか?それとも…」
許せない…でしょうね
「…そうか…堪忍な…」
…変な光井さん、なんで光井さんが謝るの?
「だってアンタ、ええ子やん?
なのにウチはアンタ憎まなアカンのやろ…そんなん悲しすぎるわ…」
…ちがいます…私は…
…私は…
光井を乗せた便を見送り、一人、つぶやく。
そのつぶやきは、北風だけが――
投稿日:2015/02/07(土) 01:54:19.00 0
最終更新:2015年02月18日 12:01