■ ライオンスタチユ -石田亜佑美X石川梨華- ■
「なるほど、それでアンタなの。」
大気が渦巻き、常人には見えざる、雄々しき獅子が、『現象化』する。
「アンタの【能力】も【獣】ってわけね。」
『リオン!アタックモード!』
主の号令に、咆哮で応える。
『GO!』
迎撃の触手をかわし、駆け抜ける。
その中心部、石川梨華めがけ、突進する。
だが
「でも、無駄。」
からみつく。
触手が獅子を捕える。
獅子が、触手を噛み千切る。
だが、その間に、さらなる触手が、胴に、脚に、
次々と絡みつき、締め上げる。
めきめきと音を立て、
獅子の身体がねじれ、潰れ、引き伸ばされる。
「…『カムバック!リオン!』」
寸前、獅子は、かき消すように、
空中に四散し、消滅した。
「あーあー、あっけなかったわね?
それにしてもアンタ、なんでさっきから、
わざわざ大声あげて【獣】に命令してるの?
考えただけで動かせるものだと思ってたけど、違うのね。」
「…ウチからしたら、コマンドも出さずに、自由に動かせるほうが、
よっぽど、おかしいんですけど。」
「はぁ…まあ、いいわ…
まだやる?またすぐ『出せる』んでしょ?」
「…」
「え?うそでしょ?私なんか子供の頃でも4~5回はいけたわよ?」
「出来ないとか、言ってないし。
ウチだって、すぐ出せます…何回かは。」
「何回か?ずいぶんとまあ未熟な事。」
「…出せるけど!出さないんですよ!」
「まあ、なんでもいいわ…で?どうするの?
…まだやるの?それとも、おとなしく降参する?
降参するなら、許してあげてもいいわよ?
そうね…両手両足を、引きちぎる程度で。」
「…やってみればいいじゃないですか…どんとこい!このやろ!」
「へえ、まだやるの…じゃあ最後まで…」
ずるり、ずるり、と触手が立ち上がる。
そして、ゆっくりと凝縮する。
力を、ためる。
その瞬間を、待つ…殺戮の瞬間を…
「…やりましょう。」
触手が、殺到する。
殺到する、石田へと、殺到する。
『カムオン!バルク!バルク!アーマードモード!GO!』
「え?なに?」
獅子ではない。
凝縮する大気の中心。
再び『現象化』したそれは…
巨人
…巨大な板金鎧。
だが、触手は怯まない。
襲い掛かる。
幾重にも触手が、絡みつく。
「まあ!アンタそんなことできるの?」
見えざる巨人、その腹部、
中空の、その鎧の中、
石田亜佑美が、そこに、居た。
投稿日:2015/03/04(水) 18:15:24.73 0
最終更新:2015年03月05日 01:16