目次
第14話「Moonlight night~月夜の晩だよ~」
…何じゃ、この二人の動き。 まるで敵を相手にダンスしとるみたいじゃ
体力温存のために地下鉄で黒崎記念病院を目指していた愛たち香音奪還チームは、目的地の二つ前の駅のホームで警官に発見された。
ドアが閉まる直前に飛び降りて、地上へと向かった三人はパワードスーツを着用した警視庁特殊部隊の歓迎を受ける。
傷の癒えきっていない里保を真ん中に挟んだ愛と里沙は、ぐるぐる回りながらパワードスーツの部隊と激突する。
鉄の塊に弾き飛ばされながら、回り込む。
鉄の鎧の動きを読みながら、翻弄する。
愛たちの奔放な動きについていけない特殊部隊はお互いを攻撃しあい、同士打ちで倒れていく。
「何故、止めを刺さん。 放っておいたらまた追っかけてっくるぞ」
「今はあんたの友達を助けることが最優先だから! それにこの連中だって上の命令で仕方なく動いてるだけだし」
「しかし…」
不満そうな里保に里沙がかつて所属していたMの隊規を教えた。
“我らの拳は明けの明星、闇を照らし悪を打ち砕く。 我らの拳は正義の鉄槌、守るべきものある限り決して開かれることはない”
「人間には善にも悪にもなりうる無限の可能性がある。 戦う意志を失った持たない相手への攻撃はただの暴力に過ぎない。 もし再び戦う意志を見せたならば、その時は打ち砕く」
…そんな悠長なことを言うておったら、味方が傷つくばかりじゃ
突然、愛の動きが鈍った。 入院していたブランクはやはり身体にこたえるようだ。
「しばらく、かわります。 傷は治りきってませんけど、あなた達よりも若いし」
次回、暁の戦隊 第14話「Moonlight night~月夜の晩だよ~」
鎧をはずし、鋭く舞いながら里保は守る重さ、守られる強さを体感していた。
そんな里保の頭上で月が輝いている。
◇ ◇ ◇
第15話「ボーイフレンド」
…くそっ、やばいぜ
喫茶リゾナントを包囲しているディフェンダー・オブ・ザ・フラッグの隊長、若本は焦っていた。
喫茶店を襲ってガキをさらってくるだけの簡単な仕事の筈だったのに、もう一時間以上も膠着状態が続いているのだ。
視界を塞ぐ突風を掻い潜って、建物に手をかけた途端感電する隊員たち。
街の守護者を名乗ってはいるが、元々は都知事黒崎が施行した暴力団対策条例で行き場を失った無法の徒の集団だ。
しくじったら自分の体でケジメを取らされてしまう。
暗然とした面持ちで小指を撫でていた若本は、幼稚園児ぐらいの少年に反感の込もった視線で見られていることに気づく。
…ちっ、交通封鎖は行っているはずだがな。 待てよこのガキは近所に住んでやがるのか。 だったら使えるな…
「夜中にお部屋を抜け出すなんていけないボクちゃんでちゅねぇ~」
言葉巧みに少年を捕まえると、喫茶店の中にいる人間に呼びかけた。
「大人しく、扉を開けて俺たちを中に入れてもらおうか。 さもないとこのガキがどうなっても知らないぞ」
ドア越しに中の狼狽が伝わってくる。
「わかっちゃいないなあいつらは。 俺たちに逆らったところで敵いっこねえってことが」
軽口を叩きながら隊員の方を見やった若本は、大半の隊員の足元が凍結しているのを目の当たりにした。
「ああ、テメーはわかっちゃいない。 アタシの大事なボーイフレンドに手を上げる罪の重さをテメーはわかっちゃいねえ」
次回、暁の戦隊 第15話「ボーイフレンド」
イィーッと奇声を上げながら黒の戦闘員たちが凍結を免れた隊員に襲いかかっていく。
若本の手から逃れた少年の頭を撫でながら、氷の魔女は断罪する。
「さあっ、街の守護者の隊長さんよ。 テメーの罪を数えな!!」
◇ ◇ ◇
第16話「HEY!未来」
「魔女だあ~。 こいつは魔女だ。 そしてこの喫茶店の連中は魔女の仲間だ」
藤本美貴の魔術とダークネス戦闘員の攻撃で大半の隊員を倒されたディフェンダー・オブ・ザ・フラッグの隊長、若本が叫んでいた。
交通封鎖が解け、集まりだした野次馬の中からそれに呼応する声が。
美貴たちの手を逃れたディフェンダーの隊員たちが、近辺の民家から調達した衣服を身に付け、町の住人を装って若本の扇動を助けている。
「そうだ、俺も見たぞ。 その魔女があの喫茶店から出てくるのを」 「許せねえな。 ディフェンダーのみんながあんなにひどい目に」
「きっとあの喫茶店が魔女のアジトなんだ」 「いつも街の治安を守ってくれているヒーローを今日は俺たちが守るんだ」
たくみなアジテートに色めき立つ町の人々。
この事態を引き起こした張本人の藤本美貴はというと不穏な成り行きをニヤニヤしながら見守っている。
「こんな喫茶店なんか叩き壊してしまえ」
街の住人を装ったディフェンダーの隊員がリゾナントに迫ろうとした時、立ちはだかる影が。
間賀時男 ― 喫茶リゾナントの常連客にして女の太腿の違いがわかる男だ。
ディフェンダーの隊長、若本が子供に危害を加えようとしたところを魔女が助けに入ったのだという事実を告げて自制を訴える間賀。
しかし住人を装った隊員や血気に逸る町の人々は間賀に手を上げようとする。
今度、その手を握って制止したのは、リゾナントの常連客であるタクシーの運転手だ。
「今夜は商売にならないから、この店で夕食を取って上がりにしようと思ってたら、何の騒ぎなんですか一体」
運転手はパジャマ姿の住人の中にディフェンダーの隊員と同じ制式ブーツを履いている者が多数いることを指摘した。
次回、暁の戦隊 第16話「HEY!未来」
「この街は私たちを育ててくれました。 この街で子供たちも未来に向かって育ってゆくんです。 そんな大切な場所で一時の感情に走ってはいけない」
間賀の言葉で真実に触れた町の住人たちは、ディフェンダーの隊員たちを取り押さえた。
その様子を見届けてから間賀は腰を抜かした。 そんな間賀のPCには女性の太腿の画像データが7GBばかり。
女の太腿にはだらしないが、為すべき時に為すべきことをする気概を持つ。 間賀とは要するにそういう男だ。
◇ ◇ ◇
第17話「ペイント イット ゴールド」
愛たち香音救出チームの潜入を助けるべく陽動工作を行っているジュンジュンとリンリンは敵と交戦していた。
敵の名は…後藤真希。
パジャマ姿のままビルの高層階から飛び降りてきた後藤は片手で携帯を操りながら二人を翻弄した。
…こいつ、やばいぞ。
…この人とは一二度対峙したことはあるけど、その時とは身にまとってる空気がまるで違う。
「君たちに良いお知らせがありま~す」
襲撃されたリゾナントが無事であることを告げた後藤は愉快げに笑っている。
「クロちゃんも尻に火が点いちゃったね」
理解不能な後藤の真意をジュンジュンが問いただす。
「お前の目的は何ダ」
「私の目的は私を殺してもらうこと…かな?」
「勝手に一人で死んでクダサイ」
リンリンの投じた火球は大きく的を外した。
「ここで君たちを完璧に潰しちゃえば、愛ちゃんも本気で私のことを殺しに来てくれる…かな?」
後藤の右足が道路を踏みしめる。
重力操作で衝撃を増幅された一撃は半径10mのアスファルトを踏み砕く。
一転、減少させられた重力。
後藤と共に宙に舞い上がったアスファルトの破片は火花を上げきらきら光りながら地上に降り注ぐ。
次回、暁の戦隊 第17話「ペイント イット ゴールド」
「君たちを華やかな色に染めてあげるよ。 抵抗せずにラクになりな」
◇ ◇ ◇
第18話「Take off is now」
…君たちは勇敢に戦ったよ。そんな君たちに敬意を表して全力で潰す
眼下の敵、ジュンジュンとリンリンに粉砕したアスファルトの破片が直撃するよう重力を操作しながら後藤真希は思う。
…結局、君たちは違ってたのかな
後藤の脳裏に浮かぶ光景。
それは自分と対峙した九人の戦士の凄惨な死に様と壮絶な生き様。 収束するピンク色の光。 そして…。
「後藤ーーーーーー!」
高さ90mのビルの縁に立って地上を見下ろしていた後藤の上方から聞き覚えのある声がした。
降ってくる身体、顔を掠める拳、口内に広がる鉄の味。
「れいなー。 一体どうやって?」
少し遅れてどさりと着地する人影。
「キミは梨華ちゃんのオマケの…誰だっけ?」
「絵梨香、三好絵梨香。 闇を駆けるテレポーター」
かなり無理な瞬間移動だったらしく、うええおええとえづいている。
「あの中国のお友達も頑張ってくれてはいたけどさ。 でも何か物足りなくてね」
さあ始めようとれいなに対して身構える後藤に声をかけたのは、三好絵梨香の同僚である【不可視】能力者岡田唯だ。
「中澤からの伝言をお伝えします。 こちらの腹は決まった。 都庁で待つとのことです」
次回、暁の戦隊 第18話「Take off is now」
唯からの伝言を聞いた後藤はれいなたちとの再戦を約して飛び立った。 その後ろ姿を見送るれいなの顔に戸惑いの色が。
◇ ◇ ◇
第19話「Mr.Moonlight~愛のビックバンド~」
黒崎記念病院の周辺道路に到着した愛たち香音救出チームは夥しい警官の数に目を剥いていた。
千に達しようかという人垣の前には当初の潜入プランを白紙に戻さざるを得ない。
里沙によれば愛の【瞬間移動】は移動先の安全が確認できないと、罠に嵌りかねない諸刃の剣だという。
まして里沙と里保の二人を連れてでは負担が大きすぎる。
事態を打開するには自分の【アクアキネシス】が最適だと考えた里保は自分が警官たちを足止めすることを申し出た。
水道管を破裂させて作り出した奔流で警官隊を混乱させて、愛たちが潜入する隙を作るという。
「仲間の命を奪おうとしたわたしを許すあなたたちのことです。香音ちゃんだけでなく全部の子供たちを解放するんでしょう」
だから自分の案内など不要だという里保は、それでも香音の特徴を伝える。
「目がくりっとして元気がはちきれそうな子を見つけたら伝えて下さい。 わたしは自分の…ひゃぁっ」
里保が奇声を上げたのは、忍び寄った何者かに抱きつかれたからだ。
吉澤ひとみ ― 自分の体重の49パーセントまでの物質を空間転移させることのできる【転移】能力者だ。
「Oh,ベイベ、ベイベェ。 若い命を散らすようなことを言うもんじゃないぜ」
警視庁内に潜入した仲間が動きやすいよう警官をおびき出した結果が、愛たちにとっては不利益な事態を招いたことを指摘した吉澤は警官隊の手薄な一帯を愛に告げた
「ここはアタシのステージだからな。 オマエらにオイシイところを持って行かれたくはねえんだよ」
吉澤の真意を諮りかねながらも愛たちはその場を後にせざるを得なかった。
後に残った吉澤を警官隊のサーチライトが照らす。
次回、暁の戦隊 第19話「Mr.Moonlight~愛のビックバンド~」
「あんなちっこいやつが私がやりますだって。 泣かせるんじゃないぜ」
投降を促す警官隊に吉澤は突進する。 OK今夜は踊るぜ~!!
◇ ◇ ◇
第20話「大切」
…あいつら何のつもりだ。 せっかく人が貴重な情報を教えてやったのによう
リゾナントを襲撃した一味が一掃された後でリゾナンターと接触した美貴は、後藤真希を倒すために練られた計画を明かした。
幹部級の能力者で結成したチームによる襲撃と無人戦闘機ジェットストライカーによる空爆の二面作戦だ。
空爆の被害がリゾナントのある町に及ぶ危険性があることを告げた上で地下に避難しているように言い残した美貴はダークネスの戦闘用車両に乗り込んだ。
その車窓からリゾナンターたちがどこかへ向かって歩いていく姿が見える。 方角的には都庁の方に向かうようだったが…
「このボケナスどもが。 お前らごときがあの後藤に敵うとでも思ってるのか」
「私たちは後藤さんと戦うつもりはありません。 でも愛ちゃんたちが向かった黒崎記念病院も都庁の方角にあるんです」
美貴の言葉に答えた絵里はリゾナントの防衛戦で疲労困憊していた。
それは小春やさゆみも同じだった。
愛佳や衣梨奈に至っては足を引き摺っている。
その様子を見て舌打ちした美貴は同乗していた戦闘員たちに下車を命じた。
そして自分がハンドルを握ると、空いたスペースをリゾナンターたちが使うように促した。
「勘違いすんなよな。 アタシは後藤の奴に一発お見舞いしてやるために行くんだ。 でもまあどうせ向きは同じだから乗せてってやる」
下車させられて戸惑う戦闘員に美貴は告げた。
「お前ら名前もない能無しのモブキャラどもがここから先に向かったところで生き残れやしねえ。 だから…ここでクビだ」
イィと不平を表す戦闘員に美貴は最後のお別れを言った。
次回、暁の戦隊 第20話「大切」
「まあ、それでもなんだ。 今日は助けてくれてありがとうよ。 お前らみたいな奴でも大切なもんがあるんだろう。 そいつを守りに行きな」
走り去る戦闘用車両、残された戦闘員たちの胸に去来するGの脅威から解放された安堵感、そして弱い自分を苛む無力感。
◇ ◇ ◇
第21話「すべては愛の力」
「香音ちゃ~ん」
黒崎記念病院に潜入を果たした鞘師里保は単身、別館へと続く通路を走っていた。
能力者の卵の子供たちが囚われている区画から香音の姿が消えていたのだ。
里保には思い当たる場所があった。
それは脱走を試みた子供たちが懲罰を受ける別館の一角だ。
愛や里沙の制止を振り切って走り出した里保。 跡を追おうとする愛たちを事情を知らぬ警備員が阻む。
別館に入ったところで隔壁が降りた。
通路の先に居るのは、子供たちの監視役を務めていた寺田光男だ。
傍らのケージに閉じ込めた香音に銃を構えながら寺田は言った。
「排水管と給水管を操作した。 この区画にお前の飛び道具の材料になる水は無いで」
「水なら…有る」
里保がガブりと噛んだ指先から寺田目掛けて一筋の血槍が伸びた。
肩を貫かれた寺田の手から銃が落ちる。
「許さん。 お前だけは許せん」
ケージの中から見える里保の貌の変化を見た香音はそれを危ぶんだ。
…このままじゃ、里保ちゃんが人殺しになっちゃうよ
何とか止めなければと声をかけても里保に届いた様子はない。
香音は以前亜麻色の髪をしたパジャマ姿の女に話しかけられた言葉を思い出した。
…君を助けることの出来るのは君自身だからね
次回、暁の戦隊 第21話「すべては愛の力」
これまで感じたことのない力が漲ってくるのを香音は感じた。 その根源は里保を助けたいという愛の力だった。
◇ ◇ ◇
第22話「私がいて 君がいる」
…どうして負けたくないんだろう
里保ちゃんを働かそうとしていた連中は、里保ちゃんが思い通りに動かない腹いせに私のことを苛めて泣かそうとしたけど、負けたくはなかった。
だからおどけて、自分でもどうかって思うぐらいおバカな真似をした。
…どうして寂しくなるんだろう
里保ちゃんと話をしてる時はとても楽しいのに、仕事を押し付けられた里保ちゃんが出て行ってしまうとあんなに寂しくなるのはなんでなんだろう。
…どうして私がいるのでしょう
私なんかがいなければ里保ちゃんはあいつらから逃げて自由に生きれたのに。 なのに、なんで私は生きてきたんだろう
…私がいて 君がいる
それは私は里保ちゃんと二人で駄菓子屋に行ったり、プリクラを撮ったり、いっぱいいっぱいおしゃべりをしてそして…二人で生きていたいって
寺田は嫌な奴だけどそれでも殺したらいけないんだ。 里保ちゃんの手を汚させたらいけないんだ。
だから、私が止める。 ひとつひとつ山を越えていくように、こんなケージなんか。
「香音ちゃん」
抜けられるはずのないケージから抜け出た香音を見て里保が驚いている。
「ば、化物やで、ぐぇっ」 隙をついて拾った銃を二人に向けた寺田の腕が折れ曲がる。
次回、暁の戦隊 第22話「私がいて 君がいる」
「違う、これが香音ちゃんの何ら恥じることのない個性【物質透過】能力さ」
亜麻色の髪をした後藤真希が寺田の腕をへし折っていた。
◇ ◇ ◇
第23話「Fly away」
「愚民どもが」
都庁の執務室のモニターに映る都庁前に詰めかけた群衆に、都知事黒崎は毒づいた。
喫茶店に差し向けた自警団の連中がしでかしたヘマが、現場にいた人間のツイッターによって拡散したのだ。
それ以上に痛かったのは突如ネットに発信されたこれまでに犯した違法行為や不正の証拠。
どうやら先日、中澤裕子が潜入した際に、何らかの爆弾を仕掛けられたようだ。
その際に拘束した中澤も警視庁から奪還されたらしい。
…中澤があっさりと捕まったのも、コンピューターに仕掛けたウイルスから目を逸らせる為だったんだろうな、女狐め。
しかし黒崎は落胆しない。 何故なら彼には切り札があるからだ。
…最強のG。 お前が私の元に舞い降りてから運命は私に味方するようになった。 あんな愚民どももダークネスの連中も鎧袖一触だ。
黒崎は後藤の携帯の短縮をプッシュした。
・
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その頃、後藤真希は黒崎記念病院の別館で鞘師里保、鈴木香音と対峙していた。
「ちょっとこの子のことが気になってたから、戻ってきたんだけど頼もしい王子様がいるじゃん」
後藤に腕をへし折られた寺田は苦悶している。
402 自分:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2012/07/20(金) 12:58:06.45 0
「いったい、あんたは」
「あたしのことより、キミたちはとっとと逃げな。 もうじき戦争が始まるよ。もう私は私を抑えられる自信がないからさ」
言い残すと後藤は壁を破壊して宙に飛び去っていった。
「あの女、恐ろしい」 「でも私には優しかったんだよ。 それに今もどこか寂しそうだった」
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後藤の携帯につながると黒崎は都庁前の状況を伝えた。
「ほいほ~い。 クロちゃんが決して捕まらないように逃がしてあげるね」
そうじゃない愚民どもを押しつぶして、自分の脅威を知らしめるんだと言おうとした黒崎の耳が捉えたのは向こうから切られた携帯の発信音。
次の瞬間、都庁が揺れた。
地震かと思った黒崎だが、揺れはすぐ収まった。
しかし今度は上昇感と耳鳴りが絶え間なく襲ってくる。
まさかと思って窓際に近寄った黒崎の口から悲鳴が漏れた。
都庁の上層部が崩落して、対テロ対策用として核シェルター仕様であつらえた執務室が空高く登っていく。
次回、暁の戦隊 第23話「Fly away」
重力から解放されて上昇を続ける執務室を見送りながら後藤真希は嘲った。
「アタシなんかに全てを委ねるからこういうことになるんだよ。 飛んでっちまいな」
黒崎を乗せた執務室から興味を失った後藤真希は都庁のあった場所を見つめた。
そこには彼女が待ち望んだ戦いが待っているはずだった。
◇ ◇ ◇
第24話「シャイニングバタフライ」
後藤真希の【重力操作】によって破壊された都庁上層部。
宙高く舞い上がった都知事執務室付近の構造物が瓦礫と化して、地上めがけて落下していく。
その中途に位置する都庁の残骸の上に立つ人影一つ。
「"Jacob’s Ladder”」
安倍なつみの思念を乗せた言の葉は、金色に輝く蝶の姿を借りて、高く高く舞い上っていく。
落下してきた瓦礫と交錯した輝く蝶は、粉々に砕け散って都庁の残骸の上空に展開した。
不規則に落ちていく瓦礫に生まれる規則性。
【シャイニングバタフライ】
因果律に介入し、未来を書き換える安倍なつみの能力が奇跡のような偶然を生み、偶然を超えた必然が周囲を支配する。
都庁に激突した瓦礫が宙に跳ね返り、ぶつかり合っていくうちに一つの物体を形成することで、地上への被害は避けられた。
「相変わらずデタラメで素晴らしい能力だね」
「後藤、もう一度考え直さない?」
「私を止めたいなら、なっちが私のことを殺してよ」
安倍なつみの元に降り立とうした後藤真希を制止したのは裂開した空間から姿を現した中澤裕子だった。
「天使を血で汚すわけにはいかん。 お前の相手はウチらや!」
次回、暁の戦隊 第24話「シャイニングバタフライ」
都庁の残骸を中心に放射状に広がった天使の梯子にダークネス幹部チームが集結した。
◇ ◇ ◇
第25話「その出会いのために」
…後藤のやつ口ほどにもないな。 それとも一撃でやられた藤本がだらしなかったのか?
都庁上層部に展開した"Jacob’s Ladder”上で、戦闘を繰り広げているダークネス幹部チームの吉澤ひとみは敵となった後藤真希の戦いぶりに眉をひそめていた。
格闘戦最強の誇りを捨てた石川梨華が、三好絵梨香と岡田唯のサポートを得て繰り出す遠距離からの念動刃攻撃で、ボロ切れのように宙を舞う後藤。
…強いチカラほど能力者への跳ねっ返りが強いって法則発動でお疲れちゃんなのか? だったら武器庫のセレクトを誤ったな
中澤裕子の【空間裂開】で制作した空間に設置した武器庫に用意してある得物は銃が少なめだ。
後藤の【重力操作】で弾道を捻じ曲げられることを想定して、銃火器は牽制程度にしかならないと踏んだのだ。
左右一丁ずつ手にした15連発のベレッタM92Fでは最強のGを撃ち落とすには心もとない。
もっと殺傷力の強い銃火器を用意しておくべきだったか?
…念動刃で吹き飛ばされながら、ダメージは最小限に抑えてやがる。 姐さんの【空間裂開】は射程が短いし安倍さんに無理はさせらんねえ。、やっぱ首に縄をつけてでも藤本を連れてくるべきだったか
危険を冒しての近距離からの念動刃の連発で後藤を"Jacob’s Ladder”の縁に追い込んだ梨華が吉澤に合図を送った。
二人との距離を詰めながらリロード用の弾倉を宙に投げ、装填されている9mmパラベラム弾を梨華の手元に【転移】させる。
「堕ちろーーーっ」
15発の9mmパラベラムが梨華の念動の力で後藤に叩き込まれた…筈だった。
しかし吉澤が目にしたのいは、銃弾を体に受け体を朱に染めた三好絵梨香と岡田唯の姿だった。
そして、石川の背後に回った後藤真希。
吉澤は武器庫から【転移】させたハンドグレネードの安全ピンを抜くと、信管を装着した爆薬が満載の武器庫に再転送した。
そして意を決すると武器庫で起きた爆風を後藤真希のいる座標に【転移】させる。
次回、暁の戦隊 第25話「その出会いのために」
限界を超えたチカラの発動で、吉澤の中の何かが壊れた。
薄れゆく意識の中、思い起こす同期、石川梨華との出会い。 そして別々の道を歩くことになった高橋愛たちの顔。
…まっ出会いにありがとうだな 未来は笑顔で暮らせっかな…
◇ ◇ ◇
第26話「READY! KICK OFF!!」
ダークネス幹部チームと後藤真希が激戦を繰り広げる都庁付近の地下駐車場に一台のワゴン車が止まっていた。
車内でタブレットを操作しているのは後藤真希に対する空爆作戦を任されているドクターマルシェこと紺野あさ美である。
戦況をモニターで確認しながら、無人戦闘機ジェットストライカーをステルスモードに移行させる。
感覚系の能力者ではない後藤真希に気づかれることなく接近することができれば勝機はあるはずだ。
不意に車体を叩かれて驚いた紺野は外にいるのが藤本美貴だと分かるとロックを解除して車内に迎え入れた。
「今お前がジェットストライカーの管制権限を握ってるんだろう。 空爆なんて馬鹿な真似はやめとけ」
「ここまで来たなら引き戻せないよ。 吉澤さんがやられたけどピンチというのはまさにチャンスだし」
「声が震えてるぞ、ビビってんじゃねえのか」
実戦経験に乏しい紺野が空爆のゴーサインを出すのは重荷であることを説く美貴。
「でも、誰かが後藤さんを止めないと」
「それは後藤の尻を蹴り飛ばすことが出来る人間のやることだ。 お前のやるべきことは変な発明をして大飯をかっ喰らうことだ」
吉澤の捨て身の攻撃は後藤が創り出した小型の擬似ブラックホールで無効化された。
その際の影響で都庁付近が弱震に見舞われたことを告げた紺野は空爆以外に方法はないことを主張するが…。
「あいつが、あのおせっかいの高橋がこんな事態を見過ごしにするはずがないだろう、それにアタシが…」
「後藤さんに手もなく捻られて、お情けで逃がしてもらった美貴ちゃんに何が出来るというの?」
「あの時と今とじゃ事情が違う。 今のアタシは守りたいものがあるってことに気づいちまった」
紺野からタブレットを受け取った美貴はジェットストライカーの編隊を、一機を除いて基地に帰投させた。
次回、暁の戦隊 第26話「READY! KICK OFF!!」
地上に着陸させたジェットストライカーに乗り込み戦場に向かう美貴に紺野が尋ねた。
「美貴ちゃんが守りたいものって一体?」
「こんなアタシでも慕ってくれるクソガキども。 そして…」
離陸する為キャノピーが閉じられた所為で、大食らいのお前の笑顔だという言葉は届かなかった。
◇ ◇ ◇
第27話「まじですかスカ!」
黒崎記念病院で一堂に会したリゾナンター。
その視線の先には後藤真希の【重力操作】によって上層階を破壊された都庁の無残な姿があった。
後藤と対峙したれいな達や藤本美貴と接触した絵里からもたらされた情報からのっぴきならない事態が進行中だということを理解した愛。
「これがダークネスの中での単なる仲間割れだったら静観するんだけど…」
結果的に自分たちを助けてくれた吉澤や藤本への複雑な思いが愛をためらわせたが、大半の仲間が傷ついているという事実は重い。
「みんなはリゾナントに帰って、不測の事態に備えて。 私は幹部チームと後藤真希の戦いの行方を見届ける」
愛の指示はあっさりと無視された。
各々のリゾナンターも今起こりつつある事態が、世界の危機に繋がるという事実を肌で判っていた。
皆の固い決意を知った愛は新たな指示を下す。
「全員であの戦場に赴いたって、後藤さんに瞬殺されるだけだと思う。 だからアタッカーとサポートチームに分ける」
里沙の助言も入れて各メンバーに的確な支持を下していく愛を見ながら光井愛佳は予感していた。
…来たわ、この展開。 どう考えたってウチはサポートかリゾナントで待機やで。
自分が戦力にならないことは判っている愛佳だったが、もし愛にリゾナントでの待機を命じられたら拒否するつもりだった。
他のリゾナンターへの指示を終えた愛は愛佳に告げた。
「ええ~っ、マジですか」
そこにいた全員が耳を疑った。
愛は都庁上層階に赴く自分への動向を愛佳に求めたのだ。
次回、暁の戦隊 第27話「まじですかスカ!」
「最悪の場合、後藤真希を撃ち落とす。 その時愛佳には私の目になって欲しい」
◇ ◇ ◇
第28話「LIKE A GAME」
限界を超えた能力を行使した結果、戦闘不能に陥った吉澤ひとみ。
身動き一つできなくなった彼女の目に映ったもの。
後藤真希の掌の上。
局地的に重力を歪めて創り出した小型のブラックホールが、武器庫で起こした爆発の衝撃を吸収してしまった。
凝縮させた黒い球を握りつぶした後藤に石川梨華が襲いかかる。
【念動力】を自分の肉体に作用させることで、驚異的な破壊力を手にした石川の一撃は後藤に容易く受け止められてしまう。
【重力操作】によって増大した負荷を支えきれず、崩れ落ちる石川に更なるチカラが加えられ…
…やめろ、もう勝負はついただろう
自分でも甘いと思いながら、言葉にならない思いを抱く吉澤。
― そして時間は止まる。
中澤裕子の【空間裂開】によって都庁の残骸内部に作られたトーチカを蹴破った保田圭が後藤真希に迫る。
…私が止めていられる時間は8秒を越えるか越えないぐらい。 一度時間を止めてしまえば、次に止められるようになるまでに1分以上のインターバルが必要
後藤真希との戦いで二度目の機会は訪れないことを予測した保田はナイフを手に後藤との距離を詰める。
絶大な後藤の能力が暴走することを考えると手傷を負わせるだけではダメだ。
確実に即死に追い込むには、直に後藤の脳幹にダメージを与えなくては…。
時間が動き出す前兆を感じ取る前に、静止した後藤の元へたどり着いた保田は惜別の思いを込めてナイフを振り上げる。
「時間が止まったんなら真っ暗で何も見えないのかと思ってたけどちゃんと見えるんだね。 これって脳が覚えてる残像?」
「後藤、あんた私が静止させた時間の中で動けるまでにチカラが成長したっていうの!」
「今、この静止した時間の中で動けるのは圭ちゃんと私だけ。 でもこれからは私だけの時間だ!!」
次回、暁の戦隊 第28話「LIKE A GAME」
動き出した時間の中で吉澤は後藤に倒された保田の姿を目にした。
そして今の後藤真希にとって自分たちとの戦いは、ちょっとした
ゲームに過ぎないことを理解した。
◇ ◇ ◇
第29話「宝石」
静止した時間の中で保田圭を一蹴した後藤真希。
動き出した時間の中で自らのチカラが飛躍的に増大するきっかけとなった夢の話を語り始めた。
その夢は共鳴の絆で結ばれた九人との戦い。
道重さゆみの【限定時空遡行】能力によって逆行させられた自分の時間。
そして開けた光の道。
「時間を追い越すような距離を夢中で走って、もう一人の私と出会ったんだよ」
自分が生まれてこなかったことにされた夢を見てから、【重力制御】のチカラは飛躍的に伸長したという。
時間にすら干渉できるほどに。
保田は痛む身体を抱え、後藤の見たという夢の謎解きする。
「もし仮に道重さゆみがもたらす【治癒】の実態が【時空遡行】だったとしても、後藤真希という存在を構成した要素を全て無かったことには出来ないわ」
道重さゆみの【時空遡行】によって粒子の状態に戻され、ワームホールを通過できるようになったことによる時空移動。
ワームホールを経由しての時空移動は理論上、未来への方向にしか不可能だ。
だが、しかし時間の流れが星の運行のように円還して繋がっているのなら…。
「存在を無かったことにされた少し未来のあんたが、時間の流れを一周して少し過去の私たちの世界へ到達することは可能かもね」
「道重さゆみの能力で過去に戻されたっていうだけの解釈はちょっと安っぽいかなって思ってたけど、やっぱ圭ちゃんは頭がいいね」
感心したような後藤の声を聞きながら、保田は違和感を覚える。
もし今ここにいる後藤真希が未来からやってきた存在だったとして、現在で生きる後藤真希と遭遇していたなら、その衝撃だけでこの世界は失われている。
「後藤、あんたまさか?」
「私の中に彼女はいる、っていうか今しゃべっているのは彼女の中の私? 要するに私たちは二人は一つになったのかな?」
一人の人間は10の26乗の原子で構成されている。
その原子を核融合させれば、全人類を絶滅させるほどのエネルギーを生み出すことができるという科学者もいる。
一つの身体に二人分の肉体を構成する原子を所有する人間がいて、その人間が能力者だったとしたら…。
―― 勝てない。 能力者の能力がどうやって生まれてくるか完全に解明されたわけではないけど、肉体を構成する原子の数は能力の強さに影響するはず、でも…
「今もこうして世界が存在しているということは、あんたの中に世界を終わらせたくないっていう気持ちがあるからじゃない?」
「夜の闇がはこんなに優しくて、朝焼けがあんなにきれいなのにそれを終わらせたくないっていう自分がいたことは事実だけど、もうっ!!」
全てを破壊したい気持ちを抑えることは出来ないという後藤の目は妖しく光っていた。
次回、暁の戦隊 第29話「宝石」
宝石のような目をした後藤の掌の上には重力を歪めて作り出した小型のブラックホールが形成されつつある。
その身体から発生する重力線に引き寄せられた瓦礫群は巨大な漆黒の翼のように映る。
「さあ、そろそろ終わりを始めようか」
◇ ◇ ◇
第30話「月色の光」
「後藤、やめなさい」
【重力操作】によって小型のブラックホールを創り出そうとしている後藤真希を制止したのは安倍なつみだった。
一度目の【シャイニングバタフライ】の発動で消耗した彼女は、中澤裕子の力を借りて辛うじて立っている。
「ごとーは知ってるよ。 【シャイニングバタフライ】はなっちと圭織の二人がいてはじめて完璧な能力になるってこと」
【シャイニングバタフライ】で未来を変える代償は大きい。
その規模が大きければ大きいほど安倍なつみは因果律に介入したカウンターに見舞われる。
カウンターを安倍なつみが受け止めきれなかった合、行き場を失ったカウンターは無限ループ状に世界に災厄をもたらす。
だから飯田圭織が運命の糸を視た結果に従って、安倍なつみが因果律に介入することによって未来からのカウンターは最小限に抑えられる。
「もしも圭織が生きていたら、ピンポイントでオゾン層をとっぱらって、太陽光線で私を焼き殺すことも出来たし、人工衛星を命中させることだってできただろうけど…」
安倍なつみ一人では都庁の残骸を"Jacob’s Ladder”に再構築するだけで精一杯だという後藤の言葉に中澤裕子が反応した。
「お前、まさかそれが狙いで圭織を手にかけたんか」
「ごとーはむしろ圭織にここにいて欲しかったよ」
自分のチカラの増大に気がついていなかった後藤は、未来の記憶の中で不慮の死を遂げていた飯田圭織を救いに行こうとしたという。
黒崎との会談の為、自衛隊の施設に赴いた飯田圭織の跡を追った後藤が建物に侵入しようと【重力操作】を発動した結果、建物を崩落させてしまった。
そして圭織を救おうと伸ばした手に秘められた最凶のチカラが、圭織の命を奪ったことも。
「ほざいてろ、ボケがぁぁぁっ!!」
安倍なつみから離れた中澤裕子は、【空間裂開】を叩き込むために、後藤真希への最短距離を走った。
【空間裂開】の射程内に後藤を収める直前にその姿は消えた。
巨大な重力の足枷に耐えられず倒れ伏してしまった中澤を救おうと、安倍なつみは歩を進めるがその足取りはすぐに止まってしまう。
次回、暁の戦隊 第30話「月色の光」
仲間同士が相克の戦いを繰り広げることに耐え切れない安倍なつみの頬を涙がまるで見上げた月の雫のように、涙が伝った。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
暁の戦隊夏休みこどもスペシャル『乙女のタイミング』
それは鈴木香音がリゾナンターの仲間入りをしてからしばらく経った日のことだ。
落ち着き先が決まるまでリゾナントで暮らすことになった香音は店の中から聞こえてきた「おぱよん」という言葉で目が覚めた。
マスターの高橋愛にその意味を尋ねたが、曖昧に笑って教えてくれない。
…だったら自分で調べるしかない。
翌朝、いつでも能力を発動できるようにして店に隠れていた香音は2階から降りてくる足音を耳で捉えた。
【物質透過】でリゾナントの壁に身を潜めた香音が目にしたのは、蒼色のフード付きジャケットをまとった田中れいなの姿だった。
フードを深く被ったその姿は悪っぽくてカッコいい。
そう思った香音の耳があの不思議な言葉を捉えた。
店外に向かい「おぱ」と田中れいながよびかけると、まるで合言葉のように「よん」という返事が戻ってきた。
香音にはその特徴のある声に聞き覚えがあった。
…今の声って月島きらりちゃん
解錠されたドアから入ってきた月島きらりこと久住小春は、れいなから受け取った赤色のジャケットをまとうと、店内の片隅にある収納庫へと入っていった。
好奇心を抑えきれず収納庫に潜入した香音は正義の味方リゾナンターのもう一つの顔を目にしてしまう。
それは様々な色のジャケットを身にまとったおっぱい四天王。
おっぱい元帥を名乗る新垣里沙、おっぱいマスターを名乗る道重さゆみ、おっぱい大将軍こと久住小春。
そしておっぱい太郎と呼ばれパシリをさせられている田中れいな。
おっぱいは大きければいいってものではない。形とか色つやとか色々あるじゃん。
あっ、別に自分が小さいからってこんなこと言ってるんじゃないからね。 私着痩せするタイプだけど脱いだら凄いんだから。
涙を誘うようなおっぱい元帥の言葉に呼応して「おぱ」「よん」と斉唱する他の四天王。
おっぱい大将軍は巨乳が売りのグラビアアイドルの写真集に映ってはいけないモノを念写して、出版社に損害を与える計画を立案した。
バストを強調した服を身につけたギャルの体毛を成長昂進させて羞恥刑に処そうと企むおっぱいマスター。
おっぱい太郎と和解してそのチカラで増幅させた【精神干渉】で世の男性どもにおっぱいのデカい女は頭が空っぽという考えを植え付けようとするおっぱい元帥の高笑いが響く。
次回、暁の戦隊夏休みこどもスペシャル『乙女のタイミング』
…どうやって戻ろうかな 部屋に戻るタイミングを逃した香音は音を立てて四天王に気づかれたのであった。
◇ ◇ ◇
暁の戦隊夏休みこどもスペシャル「恋愛レボリューション21」
ビリり!!
物音を立てて気づかれてしまった香音はおっぱい大将軍の起こした弱電流に驚いて壁の中から飛び出してしまう。
「大丈夫、怪我してないよね」
そう言って顔を覗き込む小春の顔はとても優しげだ。
…こんな優しい人が何故おっぱい大将軍になんてなってしまったの。
「おぱっ」「よん」「おぱっ」「よん」
「待って下さい。皆さんは正義のヒーローなんですよ。 なのにこれじゃあ悪の組織みたいです」
「正義とはひとつじゃない。 戦って勝った者の掲げる旗印だけが正義となる。 これすなわちおっぱいレボリューション」なり
どうやら元凶はおっぱい元帥だと察しをつけた香音はつぶらな瞳で新垣里沙を睨みつける。
「お願いですから、こんな馬鹿な真似はやめてください」
少女の純粋な願いもおっぱい元帥には届かなかった。
「巨乳は悪。 今時代は美乳。 美乳よりもむしろ微乳。 あっ、だけど私Cだから」
「超超超 いい感じ 超超超超いい感じ」
「Oppai Revolution yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah !!」
乱舞する四天王を前に香音は覚悟を決めた。
「だったら私があなたたちの目を覚ます」
次回、暁の戦隊夏休みこどもスペシャル「恋愛レボリューション21」
負けるな、香音。 正義の旗は君と共にある。 おっぱい四天王の野望を打ち砕け!!
最終更新:2012年09月19日 22:35