シェアードワールドライトノベル『双葉学園』wiki内検索 / 「【冒険をした話をしてみようと思う】」で検索した結果

検索 :
  • 【冒険をした話をしてみようと思う】
    『冒険した話をしてみようと思う』 ラノで読む ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃戦闘に勝利した!▼           ..┃ ┃                       .. ┃ ┃                       .. ┃ ┃                       .. ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃アクリスのレベルが上がった!▼...  ┃ ┃                        ..┃ ┃                        ..┃ ┃                        ..┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃体力が63上がった!           .┃ ┃力86上がった!    ...
  • 【嬉しかった話をしてみようと思う】
    『嬉しかった話をしてみようと思う』 ラノで読む  私にとって、“嬉しい”と呼べることは多々ある。今となってはよくあることだけれど、それは逆に言えば今までそんなことを思うこともなかったということなのだ。だから、今日はそんな想いを感じた嬉しかった話をしてみようと思う。  さてさて、私が熱を出した日のことだ。とりわけ皆勤賞を狙っていたわけではないのだが、何気に皆勤賞が途切れてしまった。医者の診断では風邪との事で、四十一度の熱が出たわけだが、世間一般ではこれが続くと種がなくなるとか言うらしい。よくは分からないけれど大変なことには違いなく、立ち上がるどころか指を動かすのにも億劫で、もしかするとこのまま発見されずに死んでしまうのではないか、そんなことまで頭を過ぎったものだった。  何故そこまで悲観的かと言われれば、言葉に詰まる、ということはない。  小さな頃、私がまだ実家...
  • 【恋の話をしてみようと思う】
    【恋の話をしてみようと思う】 ラノで読む  パタパタと廊下に響く足の音。  カンカンと空に響く階段の音。  誰にも言ったことがないので恥ずかしい限りなのではあるが今現在においてもあの胸の高鳴りを現す他の言葉を見つけることはできない。だから今日はその日のことを話してみようと思う。  いつものことなのだが私の隣の席が空になっていた。この席の主が居なくなるなんてことはよくあることなのだが今回は違った。恐るべきことに朝のHRで先生からのアナウンス。 「よくあることだが欠食児童は休みだ。朝、使いのなんか白いのが必死に説明に来たんだが腹を壊したそうだ。暖かくなってきたからと言ってお前らも古くなったものは食べるなよ」  教室に戦慄が走る。  笑えるものなどいない。いるはずがないのだ。“あの”アクリスが“お腹を壊す”なんて異常事態を。ついでに欠席報告することも異...
  • 【トモダチの話をしてみようと思う】
    ――私の話をしてみようと思う。 私は双葉学園に通う2年生。身長はクラスでも前から数えたほうが早い。 勉強は得意な方で運動は少し苦手。人と接するのはもっと苦手。 ……終わってしまった。 話し始める前はもっといっぱいっぱい話せるかもしれないと思っていたのだけれど、 思い起こせば話せるようなことがないもないことに気が付いてしまった。 ……困った。 嗚呼、そうだ。一つだけ。一つだけあった。私の自慢の、ううん、私の大切なトモダチ。 今日はその話をしてみようと思う。 その前に私の能力について話をしておかなければならないと思う。 私の能力――『共有者』。 他人に私の意思を、感情を、痛みを与える力。 私に他人の意思を、感情を、痛みを伝える力。 この力のおかげで私は、私たちの一族は代々魔女として忌み嫌われてきた。 なんだかこれだけでさっきの説明より長くなってしまったの...
  • 【クラスメイトの話をしてみようと思う】
    【クラスメイトの話をしてみようと思う】 ラノで読む ――クラスメイトの話をしてみようと思う。  彼女の名前は久遠千里。勉強は学年トップクラスで運動はそこそこ出来るほうだ。もっとも、化物ぞろいのこの学園からしてそこそこであるのだから、おそらく一般的な学園にいけばそれはそれは恐ろしいことになるのではないかと私は思っている。  さて、容姿のことについて少し言及してみようと思う。眼鏡をかけているけれど近視ではなく極度の遠視のとのことだ。理由は彼女と親しくなって知ったことではあるのだが、実のところ親しくなったこととその理由を知ったことには少々の因果関係が生じるので後述させてもらおうと思う。  家族構成には両親と兄が一人居り、少年が好きで仮面を被り、奇行が目立つと以前耳にしたことがある。他人の噂に無関心な私も知っていることなのでよほど有名なことなのだろう。  そんな彼女で...
  • 【期末テストの話をしてみようと思う】
    期末テストの話をしてみようと思う ラノで読む 「ほう、この数式を解こうと言うか? 出来るものならやってみせよ人間!」 「ああ、解いてやるぜ! ただしその時、貴様はもう存在していないだろうがな!」 「いいんだ、俺のことは忘れちまっても……でもな、少しの間だけ……そう、テストの間だけでも忘れないでほしいんだ……」 「くっ! 分かってる、お前のことは忘れない! きっとだ!」 「俺とお前の力が合わさるとき、それが新たなる化合物の目覚めとなるんだ」 「ああ、知っていたさ……」  正直言うとこのクラスは変な人が多い。  盗み聞きのようで気が引けるのだが私には聞こえてしまうみんなの勉強への姿勢。  誰の心の声かといわれれば分かるのだがあえてここは控えさせてもらう。だが、ここまで強く感じることがみんなの期末試験への焦りなのだとしても色々おかしいと思うのは...
  • 【ある夏の日の話をしてみようと思う】
    【ある夏の日の話をしてみようと思う】 ラノで読む  ある夏の日に起きた下着泥棒事件のことを話そうと思う。  発端は下着が盗まれると言う単純明快な事件になるのだろうか。しかし、ことが露見した時が、彼の――インビジブルなんとかさんと呼ばれたラルヴァの終わりの始まりだったのだと思う。  さて、今現在において学園を恐怖の底に陥れた存在として語り継がれる彼の最後を知るものはあまり多くない。しいて言うなら私と久遠さんとアクリスだろうか。もっとも私たちとて彼が“最後にはどうなったか”を詳細に語る事は出来ない。知ることが出来なかったのだ。  何せ彼は、最後までその姿を現すことはなかったのだから。  下着泥棒だのなんだのと言われ、女性の敵、男性の夢と言われたインビジブルなんとかさんではあるのだが、少なくとも私は彼をそこまで悪し様には思っていない。  私のクラスでも被害があったのだ...
  • 【桜の舞い散る話をしてみようと思う】
    桜の舞い散る話をしてみようと思う ラノで読む  花見の季節である。私は騒がしいのが嫌いのだが、この時ばかりは無礼講というものだ。多少のことには目を瞑ろうと思っている。元々能動的に何かをしようとすることもないのだが、まあなんにせよ、ここで桜を見に来た人たちを見ているだけでも私はそれなりに幸せな気分にはなれるのだ。  だが、だとしても、だ。私を見ているような捕食者のようなギラギラとした視線だけはどうしても看過できないと、私はそう思うのだ。  花見と言えどここは学園都市で、酒を好き勝手に出来るというものでもない。かと言って、就労者や大学生と言った未成年以外は確かにこの時期は大暴れするのだ。未成年とて酒が入らないにせよ結構なはしゃぎようで、新生活の始まりには仕方の無いことなのではあるのだが、それでもやはり限度とは覚えてもらいたいものではあるのだが。  さて、そんな花見...
  • 【昔話を聞いてみようと思う】
    昔話を聞いてみようと思う ラノで読む  ぐぅ、と言う大きなお腹の音が教室に響く。先生は手を止め、時計を見るまでもなく片付けの準備を始める。この教室ではよくある光景だ。 「それじゃ、今日はここまで。ボードは書き終わったら最後のやつが消しとけよ」  言い終わるや否やチャイムが鳴る。挨拶も抜きにしてそそくさと教室を後にするがこれもまたいつものこと。少しでも終了の時間を遅らせるとどこかの誰かのお腹の音がけたたましいと言う範疇を超えて抗議を始めるのだ。  私は書き残した部分を手早くノートに写し取る。隣の席で椅子に正座をして待っている友達が居るからだ。……そういえばノートはとっているのだろうか。  普段の行動はどこか猫っぽいのだけれど、こういう待っている姿はどこか犬っぽいのは何故だろうか。そういえば初めて会話した時も断りなしにお弁当を掻っ攫うような真似をしなかったあたり、きっと...
  • 【過去からやってきた炎の話をしてみようと思う 始】
    『過去からやってきた炎の話をしてみようと思う』 ラノで読む           1 「御機嫌よう」  透き通るような声が教室に響いた。教室は波を打った様に静まり返り、そこに居た殆どの人間の視線が声の主へ向けられる。  声の主はモデルを思わせるような長身だった。腰よりも長く伸ばした、金色を更に深くした言葉に出来ない色の髪が目に止まった。次に真っ青な空よりも深い蒼い目が印象的で彼女の容姿を説明するならばまずはそのどちらかを言及せねばいけないと言わしめるほど、特徴的だった。  視線を向けられた少女は――アクリス・ナイトメアは無言で返された視線に笑顔で応える。その笑顔を見た男子生徒の殆どが破顔するが、女生徒も別段、気を悪くすることは無かった。彼女と自分たちでは最早立っている土俵すら違っていることを知っていたからだ。  外国の小国ながら、いわゆる王族の血筋で文武両道。それで...
  • 作品保管庫さくいん 「な行~わ行、英字」
    ... 【①】 【冒険をした話をしてみようと思う】 【某所大掃除のひと幕】 【放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より】 【ぼくたちの戦争】 【前】【中】【後1】【後2】 【僕の魔女マリ】 【ぼく、ペテン師】 【問1】【問2】【問3】【解1】【解2】 【僕はちょっとキモイ】 【星崎真琴の日常 『食事』】 【星と王子様】 【A】【B】 【星の子達の甘い? 一日】 【ほしをみるひと】 【1前】【1後】 「ま」行 「ま」 【マグロ】 【魔剣領域BladeZone】【Ⅱ】【Ⅲ】【幕間1】【Ⅳ-Ⅰ】【Ⅳ-Ⅱ】【Ⅳ-Ⅲ】 【真琴と孝和 奇妙な凸凹コンビ】 【1】【2-1】【2-2】【2-3】【2-4】【2-5】【3-1...
  • 作品保管庫さくいん 「あ行~た行」
    作品保管庫 (あ行~た行)  あ行~た行で始まる作品はこちらです。 NPC紹介SS醒徒会(必読!) 委員会(必読!) その他NPCの作品 「あ行~た行」作品一覧「あ」行 「か」行 「さ」行 「た」行 「な行~わ行、英字」作品一覧「な」行 「は」行 「ま」行 「や」「ら」「わ」行 英字 「あ行~た行」作品一覧 「あ」行 「あ」 【アイスのチョコ】 【秋の空 夏の風】 【アクセス】 【悪の華】 【1】 【2】 【安部太郎】 【アブノーマル・ヒーロー】 【荒神の手】 【荒神の手】【カーチェイス・チェイサー】 【嵐と銃口】 【あるウェイトレスのクリスマスの出来事】 【ある海での出来事の話】 【あるサンタの日常】 【ある前座の話】 【1】【2】【3】【4-1】【4-2】【5】【ある前座の試...
  • 「花見」
    「花見」 テーマ:花見 実施日:4月25日 概要 :花見というテーマに沿っていればなんでもあり。 当日はここに投稿された作品についてまったり語るスレを21時から始めます なお、作品の締め切りは20時とします これ以降は何時もと同じように本スレの進行を妨げる為投下はご遠慮ください 間に合わなかった場合は本スレ終了後に投下をお願いします 参加作品 【鉄の心は揺るがない-第春話】 【桜の舞い散る話をしてみようと思う】 【お花見パニック】 【ある怠惰な教師の花天月地】
  • 「期末テスト」
    「期末テスト」 テーマ:期末テスト 実施日:3月28日 概要 :期末テストというテーマに沿っていればなんでもあり。 当日はここに投稿された作品についてまったり語るスレを21時から始めます なお、作品の締め切りは20時とします これ以降は何時もと同じように本スレの進行を妨げる為投下はご遠慮ください 間に合わなかった場合は本スレ終了後に投下をお願いします 参加作品 【科学部の暇な昼休み】 【Little bird,Fly away!】 【腹話術師の道具屋】 【期末テストの話をしてみようと思う】 【ある前座の試験前】 【おーじょさまの倉庫番】
  • 【ある前座の夏休みの話をしようと思う】
    ラノで読む 不快を与える内容のため撤回しました 編集権限にてバックアップの削除が可能であれば、お手間掛けて申し訳ありませんがお願いいたします トップに戻る 作品保管庫に戻る
  • 過去コンペ作品
    月例イベント「お題SS」作品集  「お題」を決めてSSを書こうという月例イベント  このイベントは2011年3月を最後に終了します 2月 雪合戦SS 【雪だるまちゃん、来襲】 1月 鍋SS 投稿作なし 12月 ピクニックSS 【ピ○ニック】 11月 口付けSS 【ラストリゾート - Last Resort -】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 前】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 中】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 後】 【ダイアモンド・キスはどこにある?】 10月 日常SS 【らすりぞ!】 【ミカとリカ 前編】 【ミカとリカ 後編】 9月 お月見SS 【夜のお散歩】 【十五夜バトルロワイヤル】 8月 花火SS 【Fireworks】 【花火ロボ大決戦!】 7月 ラッキーな体験SS 【世界が変わる日】 6月 梅雨 【コイバナ~雨に咲く花、散り逝く花~】 【カエル...
  • 作品保管庫モバイル「た」~「と」
    「た」 【「大工部」の人たち 第一話】 【金剛の皇女様】 【前】【後】 【斗え! ゲッソー仮面】 【立浪姉妹の伝説】 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【終】 【立浪みくの七夕】 【タブレット】 【1】【2】【3】【4】 【猛る獅子と放課後の天使たち】 【起1】【起2】【承1】【承2】【承3】 「ち」 【超刃ブレイダー 第01話】 【超刃ブレイダー@2019 act.01】 【チョコ引受人探してます】 【血を吸う灰被り】 「つ」 【剣となれ、盾となれ01】 「て」 【鉄の心は揺るがない】 【1】【2-1】【2-2】 【手のひらを太陽に。】 【空を歩く者達】【神を見る者達】 【デルタ 01】 【天使飼いと零式図書委員会 アネモイ 】 ...
  • 廃欄
    廃止・凍結ページ一覧 廃止ページ 悪乗りの跡地 【BLADE-ARTS 1-1】 【BLADE-ARTS 1-2】 【アナザヴィジョン① 「新月は太陽に恋をする」】 【AllNeedIsLove / アルネッディスローヴェ 前編】 【AllNeedIsLove / アルネッディスローヴェ 後編】 【双葉学園怪異目録 第八ノ巻 祟られ屋】 【ある前座の夏休みの話をしようと思う】 [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 凍結ページ 凍結ページ10 凍結ページ11 凍結ページ12 凍結ページ55 凍結ページ58 凍結ページ60 凍結ページ13 凍結ページ14 凍結ページ15 凍結ページ15 凍結ページ16 凍結ページ37 マージナリープリンセスシリーズ ヘンシェル・アーリア 凍結ページ38 凍結ペー...
  • 【俺が双葉学園をやめた日】
    ラノで読む 「このまま一緒にいても私たちお互いに駄目になっちゃうだけだよね…」  そんな事を言って弱弱しく微笑むと彼女は俺の前から去った。  いや、別に彼女に逃げられたってわけじゃあない。むしろ逃げた、というよりも彼女から距離を取ったのは、しょうもない異能に覚醒したせいで色々といっぱいいっぱいになっていた俺のほうなのだった。  という話は、今は置いておくとしても、とにかく俺はそこから一週間ほど家に引きこもった。学校にも行かず、どこにも行かず家でひたすら考えた。今後の自分がどう生きていくかを、だ。傍から見れば『女に振られただけ』で今後の自分の生き方を真剣に考えるなんていうのは鼻で笑われそうなものだが、俺は正真正銘本気そのものだった。  で、一週間己の異能について、そして終わってしまった彼女との関係についてああでもないこうでもないそうでもないと、悩みに悩...
  • 【影の舞踏会】
     ラルヴァ研究者になるために、ぼくは毎日遅くまで双葉大学の先生のもとで勉強をしている。そのせいか帰る時分にはもう外は真っ暗闇で、街もすっかり寝静まっていた。  早くアパートに帰って布団にもぐりたい。ぼくは明日の朝の講義のためにも今日はとっとと寝てしまおう。帰路を急いだぼくは、ふと近道をしてみようと思った。  ぼくは家と家にある狭い路地を、体を横にして蟹歩きでなんとか通っていく。服が汚れてしまうので、これは帰りにしか使えない近道だ。  ほどなくして道は開け、広い道路に出た。  そこでぼくは不思議なものを見つけた。  目の前の街灯の光が、塀を照らしているのだが、その塀には人の形をした影が二つ、写し出されていたのである。  その二つの影は若い男女の物のようで、互いに手を取り合い、ダンスを踊っている。  ぼくがぎょっとしたのは、その影のもととなるはずの人間がどこにもいないということだ...
  • 【居酒屋フェチ談義】
    「ちっくしょう」  俺は携帯電話に送られてきたいくつものメールを見ながら溜息をついた。  メールはどれもこれも『今日のコンパには参加できません』と言ったような内容ばかりで、つまるところ俺はみんなにドタキャンされてしまったということである。  予約した居酒屋のテーブルに、ただ一人俺だけが座っていた。なんて寂しい状況なんだ。というかこれって新手のイジメじゃね? 大学生になってまでこんな惨めな思いをすることになるなんて思ってもいなかった。あいつら絶対このツケ払わしてやる。  このままここにいてもしょうがないと思った俺は、もう帰ろうと何も注文しないまま席を立った。 「おいそこのあんた。なんだ? ドタキャンでもされたのか? こっちで飲んでいかないか。奢るぜー! ははははは」  すると、隣の席に座っていた俺と同じ大学生ぐらいのニット帽の男が話しかけてきた。既に相当酔っぱらっているようで、大...
  • 【X-link ハロウィン特別編 Side2009 part1】
    [ラノで読む http //rano.jp/1460]]  Xーlink ハロウィン特別編 Side2009 part1 【Destiny’s Play / 少女のいたずらとパパのお菓子】 「ここが、我が双葉学園大学が誇る図書館でございます」 「はあ、そうですか」  夕方の双葉学園大学図書館のエントランスでは初老の男性と10歳前後の少女が話をしている。男性の方は仕立てのいいスーツに身を包み、頭髪も七三分けで奇麗に整え、いかにも仕事ができるサラリーマンといった感じの風体。少女の方は清楚な白のワンピースとジャケットを着て、いかにも上流家庭の親子といったように周囲には映る。  だが、男性は少女に対して丁寧な敬語を使い、不自然なまでにへりくだっており、いかにも不自然だ。 「どうでしょう?他のどの研究機関や大学にもひけを取らない蔵書量だと自負しておりますが。もちろん、ご...
  • 【桜の花が開くまで 第二章 02】
    ラノで見る(01の最初からになります)  桜子が家に戻ると、玄関には鍵がかかっていた。まだ聡実も帰っていないらしい。買い物か何かで時間がかかっているのだろう。  鍵を開けて家に入り、二階にある自分の部屋に行く。のろのろとボタンがすっかり無くなったブレザーを床の上に脱ぎ捨てると、桜子はばったりとベッドの上に倒れ込んだ。身体が重くだるい。  そのまま桜子は暫くじっとしていた。  どうしてこんな事になったのだろう、と改めて思う。  突拍子もない話をいきなり聞かされて、気がつけば、ずっとその為に勉強して、なんとか合格した志望校に進学するのではなく、東京の名前も知らない学校へ行く事になってしまった。そしてその理由が、わたしに何かの『資質』とやらがあって、『鬼』を呼び寄せるからだ、という。県庁の人や警察の人がいきなりやってきた。そして、そこに師範もいた。そういえばパパの会社の社長さんが...
  • 【シャイニング!4】
     『裸の敏明feat.裸の幼女』事件の翌日。敏明は首に痛みを覚えつつ普通に登校していた。  風呂場に突如現れた幼女は、学園からやってきた黒スーツエージェントたちに連れられていった。エージェントといっても、この双葉区においては警察よりも頼りになるかもしれない学園の職員たちだ。  学園では普通の学校とまったく同じカリキュラムの授業が当然ある。  ただ、平常授業はまだ午前のみで、午後は部活動などの紹介が入っていた。  紹介が行われる大講堂へ向かって移動する途中、中学では帰宅部だった敏明は、さてどうしようと悩んでいた。  同じように帰宅部でも良いのだが、この学園都市での生活には、部活で同級生や先輩との繋がりを持つのが、かなり重要なことだと明日羽から言われていた。  埋立地という特殊な立地のうえ、大半の事実が秘匿されているという風変わりな場所である双葉学園では、コミュニティもまた閉鎖的に...
  • 【双葉学園の怖い噂 二怪目「穴」】
    縦読み版   「穴」  テスト勉強をするために、目比《めくらべ》はとある喫茶店の中に入った。  店内はクーラーが効いていて涼しく、客は一人もおらず、小気味いいジャズの音楽だけが流れているだけだ。勉強するには最適の場所だ。目比はこの穴場スポットをよく利用していた。こんな経営状態で大丈夫なのかと前にマスターに聞いたことがある。客が滅多にいないのは昼だからであって、夜にはバーになり、そっちのほうが本業なのだという。  目比はいつもの窓際の席に座った。しかし、店内にはいつもいるはずのマスターがいなかった。どうしたんだろうと思っていると、店の中から一人の少年が出てきた。 「よお目比。お前こんなところに来るなんて変わってるな」  そう言って目比の前にやってきたのは彼のクラスメイトである山本であった。山本はこの店の制服を着ていて、手には注文票を持っている。 「なんだ山本。お前、...
  • 【Temporary Peace】
    正規の削除人の行動を待ってください 非ログインユーザによる削除は正当性を認められません ラノ     Temporary Peace  うららかな春の陽射しの中、双葉学園初等部第七棟の屋上で、石動茉莉《いするぎまつり》は伸びをした。 「……平和ね」 「そうだな。先日までの騒ぎが嘘のようだ」  まさか応じる声があるとは思っていなかった茉莉だが、そこまで驚きはしなかった。いや、ある意味では驚いたのだが。  聞き覚えのある声の主の方へ振り向く。 「由慧《ゆえ》じゃない。そっちの仕事は忙しいんじゃないの」 「おかげさまでようやくひと息つけたよ。ついでだから、茉莉の顔でも見て帰ろうかと思って、初等部の職員室を回ってみたら見つからなくってさ。どこに居そうか訊いてきたんだ」 「あ、ごめんごめん。でもサボりじゃないからね。これでも仕事中なんだから」  といって...
  • 【恋する少女に明日は来ない】
    ラノ  小気味いいお気に入りの目覚まし時計の音で目を覚ました私は、すくっとベッドから起き上り窓を開く。  春の温かな空気が流れ込み、小鳥のさえずりが私の耳をくすぐる。  なんて爽やかな朝なんだろう。昨日の大雨が嘘のように上がり、雲ひとつ無いからりとした天気になっていた。  そうして空に輝く太陽は、まるで希望の象徴のようだった。  恋は人生をバラ色に変えると昔の人は言った。  それは本当で、私はそれを自分の身を持って実感した。私は今、ある人に恋をしている。自分の気持ちに気付いた時、いままでなんでもなかった世界ががらりと色を変え、目に映る総てが色鮮やかに見えるようになっていた。  毎日が楽しい。  あの人がいる学校へ行くのが楽しみ。  いつもは朝ごはんを食べるのもおっくうで、適当にパンを牛乳で流し込んで登校するのだけれど、彼に恋をしてからは朝も気分がよく、食欲もわく。だ...
  • 【ラッキーストライク】
    ラノで読む  俺の友人である甲府守哉(こうふ・もりや)は稀代の駄目人間だった。  あまり奴を知らないひとは、甲府のことを深刻ぶらない楽天主義者なんだと思っているようだが、正体はそんなものじゃない。あいつは、現在さえよければあとはどうなってもいいと考えている刹那主義者ですらないのだ。 「この世には必ず抜け道があるから頑張ったり努力したりする必要はない」  それが甲府の信念だった。本当にどうしようもない野郎だ。  あいつとの腐れ縁は中学時代から続いてしまっているのだが、当時から帰宅部員で宿題もやらず、テスト勉強ももちろんしない問題児だった。にもかかわらず甲府は落第生ではなく、テストでは限りなく満点に近い成績をおさめることが少なくなかった。テストが二回あれば一度はほぼ満点。もう一度は文字通り全滅。平均すれば並の成績というのが奴だった。  甲府はやたらとヤマを張るのがうまかったの...
  • 【Tutorial Days】
    ラノで読む  この作品は「双葉学園での生徒の一日の流れとその周辺情報」を大まかな形で解説してみようという狙いで書いてみたものですが、あくまで私(この話の書き手)の解釈によるものであり、他の作者の話の設定を拘束するものではありません。  書き手の方が具体的な事柄を参考にしていただければ作者としてなによりですが、基本的にはあくまでこのシェアードワールドの舞台の雰囲気を感じ取る一助としての話以上のものではないです。 ◎プロローグ  マンモス校である双葉学園を擁する東京湾の学園都市島、東京都双葉区。  その立地条件ゆえに自然と学生が生活の中心となるここでは、平日と休日では街の様相はがらりとその姿を変える。  特に男子寮が集中しているエリア、その朝方の繁忙と閑散との差は砂漠の昼夜の寒暖差もかくやの圧倒的な落差だ。  さて、その閑散期たるある日曜の朝方、学生たちの寝溜めのま...
  • 【学校童子/『顔を貸して』】
    ラノで読む  幸福とは人の数だけ存在する。  枕木《まくらぎ》歩《あゆむ》が感じる幸せは随分とささいな事である。 「ふあー。おいしーなー」  右手にみたらし団子を三本、左手にあんこ団子を三本持って枕木は幸せな気分になっていた。口元にたくさんあんこをつけながら、顔がほころんでいる。  いつも枕木がやっている朝刊配達のアルバイト代が出たので、自分へのご褒美に月に一度はこうして贅沢をするのだ。今日は双葉区の下町にある屋台の団子屋で団子全種類三本ずつ食べて制覇しようと思っていた。 「それにしても坊主はよく食うなぁ。そんなにおれの作る団子は旨いか?」 「最高だよおじさん……むしゃむしゃ。むぐむぐ。みたらしもあんこ団子も天下一品だね。あっ、次は三色団子をお願いね」 「あいよ。若いので団子を好きってやつは最近じゃ珍しいからな。おじさんは嬉しいよ。ほら、お茶はサービスだから、喉痞...
  • 【耳なしウサギの悲劇】
    ラノで読む  可愛らしくまるまるとしたおいしそうな白いウサギさんは、おっかない山猫にねらわれていました。  山猫はウサギさんを食べてしまおうと、木の上から機会をうかがっています。「ああだめだ。このままじゃいずれ食べられちゃうよ」と涙を流しながらウサギさんは考えました。 「そうだ、山猫に食べられないようにすればいいんだ」  そう思ったウサギさんは自分の体にしょっぱいしょっぱい塩をふりかけました。しょっぱい物が苦手なあの山猫のことだ、こうすればきっと自分を食べられないだろう。 「こいつはしょっぱい、食べられないにゃー」  山猫はそう言いましたが、ウサギさんは耳に塩を塗るのを忘れていました。というよりもあまりに手が小さかったため、長い耳にまで手が届かなかったのです。  そのせいで山猫に耳をかじられたウサギさんは、耳なしウサギさんになってしまいましたとさ。  おわり...
  • 【X-link 1話 part2】
              X-link 1話【Beggining From Endless】part2  10分程もタクシーに乗っていると学園についた。時刻は午後4時半をまわったところである。水分の案内で校門をくぐり、しばらく歩いて中庭まで行くと、ひと際目立つ真っ白な建物があらわれた。  ここは醒徒会棟、醒徒会執行部や風紀委員など、各種醒徒会関連の施設が集約されている棟であり、繋のような一般の生徒が中に入る事はほぼ無いといってもいい場所である。  まるで周囲を威圧するような重厚で巨大な扉の前に立つと、繋はどうしようもなく緊張してきた。 (ああ、まさかここと関わりを持つような日が来るとは…)と繋は思った。自分は昨日はまで、いやつい数時間前までは自分は異能の発現していない、ごく普通のあまり目立たない生徒Aでしかなかったはずだ。それが何故こんな事に…。  理由は明白である。変...
  • 【キャンパス・ライフ2 その4】
     2016年の双葉学園には、名の知れた異能者が二人いた。  その名は立浪みかと、立浪みき。  猫の力を使い、率先して強力なラルヴァと戦ってきた意欲のある異能者であった。長女の人懐っこさや次女の大人しさは多くの生徒たちに好感を与え、親交を深めたり、共闘したりした生徒も多かった。  そんな「学園のアイドル」である二人も、学部長と与田光一の干渉によって悲劇的な運命へと導かれていった。 『血塗れ仔猫』の力に飲み込まれたみきが学園内で暴走し、大惨事を引き起こしてしまったのだ。高等部の校庭に生徒たちの血が流れるという、真夏の悪夢であった。  暴走した彼女を、長女とその仲間たち止めることに成功する。その時点では、誰もが事態は丸く収まったと思い込んでいた。  しかし、その後姉妹は何者かによって抹殺されてしまった。  一通り語り終えた藤神門御鈴は、書物をパタンと閉じて、デスクの...
  • 【双葉学園忌憚研究部 第四話「ドッペルゲンガー」 前編】
    「ヒビキ」  私を呼ぶその声が嫌い。 「ヒビキ……俺が守ってやるからな」  私に放つその言葉が嫌い。 「ヒビキ」  私を見るその目が嫌い。  私に触るその手が嫌い。  私を理解するその心が嫌い。  私の鏡のような、貴方が嫌い。 「うむぅ……」  東堂 蒼魔(とうどう そうま)は気だるい眼をこすりながら、携帯を開いて時刻を確認した。  待ちうけ画面にはデジタル表記で「14 21 35」と書かれており、右端の数字がめまぐるしく進んでいく。  そろそろ、放課後になって皆が来る頃かな……。携帯をパタンと閉じて、頭を机に打ち付けて目を閉じる。 (……何で、あの時水無瀬は俺を……)  昨日、2-Cの優等生、水無瀬 響(みなせ ひびき)の姿をした「何か」に襲われてから、蒼魔は考え事が止まらなかった。謎や疑問が次々と浮かんでは消え、頭が苛まれる。  蒼魔に過去を見せて精...
  • 【バード・アンド・ナイツ 1 前編】
    ラノで読む  夜はただ、静かだった。だが、赤かった。私でも血は赤いのか。私は笑う。  己が意思を持ちえたことが、そもそも問題なのだったろうか。私は思った。死にたくない。単純な願望だが、何故それを、彼らは、誰一人として察してくれぬのだ。  たとえ私に心があろうと、なかろうと。  私は必死にそれを言った。ただ男達は、侮蔑の表情しか作りはせぬ。  そうやって、私たちを殺すんでしょう――と。  私だって、殺したくは無い。現に逃げる時とて、彼らをついに殺めることはしなかった。  それでも矢張り、聞く耳は無い。ただ彼らは私を殺そうとしている。  だから。  だから人間は嫌いなのだ。  フラフラと歩いて、漸く箱の中から、森に抜けた。  出血が酷い。意識も朦朧としていた。長くは持ちまい。  とりあえず、茂みの中で休もう。一旦休んで、また逃げよう。そう思いつつ、倒れこむ。...
  • 【双葉学園の怖い噂 六怪目「化猫」】
    縦読み版   「化猫」  ぼくは猫が嫌いだ。  猫はゴキブリやカラスと同じで、人間を食い物にしている数少ない生き物だ。  それらとは違うのは、媚び、甘えること。奴らは己の容姿が人間に好かれていると自覚しているに違いない。それがぼくには人間を手玉に取っているように見える。  特にこの島にはなぜか猫が多く、猫を見ない日が無い。 「きゃー可愛い猫ちゃーん!」  だから通学途中、ガールフレンドのみっちゃんがそんなことを言い出した時、ぼくは心底うんざりした。  みっちゃんは道の隅に置いてあった段ボール箱に駆け寄る。そしてそこから何かを引っ張りだしていた。  猫だ。しかも、不吉な印象を受ける黒猫。 「見てみて、この子凄く可愛い。全然怖がらないしー!」 「ふうん。よかったね」  猫に頬ずりをするみっちゃんから顔を背け、ぼくは一人で歩きだす。 「ちょっとーまってよー。目比...
  • 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 後】
     父さんの顔を見た。父さんも僕と同じように泣いていた。  ポロシャツが血だらけなのは、母さんを抱き寄せていたからだと思う。 「こんな結末は見たくなかった」  ツグミのところに行き、そっと抱き上げた。 「まだ息がある」  え、と僕は目を丸くする 「健介、よく聞きなさい」父さんは言った。「ツグミはお前と契約してしまった。よりにもよって血の通った実兄である、お前とだ」 「契約?」 「母さんとツグミには、吸血鬼の血が流れている。青い瞳がその証拠さ。お前と契約した以上、ツグミはお前と一心同体となり生きていかねばならない」  父さんが何を言っているのかわからない。 「近親者である以上、それは絶対に避けなければならなかった。あまりにも血が濃すぎて暴走を起こしかねなかったんだ・・・・・・!」  僕の脳裏にありありと浮かび上がってきた、ツグミと母さんの殺し合い。  ラルヴァを惨殺した...
  • 【続 虹の架け橋 本編02】
    「太陽、帰ってたのー?」  朝倉家の長女、うさぎが階段を上がる。夕方もお店の手伝いをしていたため、エプロンを着用していた。店長である父親も、マネージャーである母親も、二人とも仕事をサボっているため、彼女とバイトたちがあくせく働かされている。  弟の部屋から音楽が聞えてきた。彼女のお下がりである、ステレオコンポを使用しているようなのだが。  不審に思ったうさぎは、扉を開けた。 「ちょっ、あんたなにしてんの!」  飛び込んできた光景に驚かされる。太陽はステレオコンポの前で体育座りをし、魂の抜けきった目をしてテープを聴いていた。十二歳の子供の部屋に、「あの素晴らしい愛をもう一度」が流れている。 「虹子ぉ……」  野球バカで、親父譲りの豪快さがウリである朝倉太陽が、燃え尽きた灰となってうつむいていた。そんな弟の急変も気になったが、うさぎはそれよりも大事なことを伝えに来た。 「あんた...
  • 【ジョーカーズ・リテイク 愚者たちの宴:part.1】
    元が縦書きなのでラノ推奨 ラノで読む 【ジョーカーズ・リテイク 愚者たちの宴:part.1】 「これから先 君が 動き回る屍となって ぎくしゃくと 夜を歩いたり まるで蜘蛛のように 地面を這いずる姿を見るのは あまりに忍びない ごめんなさい、許してください! ごめんなさい!ごめんなさい! ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!! 許してください・・・」      ――――筋肉少女帯〈リテイク〉              ※※※                0  両親が仕事にでかけ、その幼い子供たちは家で留守番をしていた。  七歳程度の少年二人と、四歳くらいの女の子がそこにはいた。三人は兄妹で、その少年ふたりはそっくり同じ顔をしていた。  双子なのだろう、まるで鏡合わせのようにそっくりである。  彼らはテー...
  • 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 中】
      俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 中  それからはツグミのことも忘れ、至福の時を楽しんだ。  俺は水分さんと町の喫茶店に入った。俺だけ自転車に乗るわけにもいかないので、一緒に歩いて町まで戻ってきたのだ。  二人乗りを提案したが「ダメです!」とたしなめられる。怒った顔も俺にとってはご褒美である。 「高嶺の花」こと水分理緒さんとゆっくり会話できる日が来るなんて。  最初のうちは、なんでもない日常生活の話やクラスの話をしていた。  弟のツグミがいかに変態で気持ち悪いかを誇張をかけて力説したのだが、そんな話でも水分さんは「うふふ、健介くんったら!」と笑って聞いてくれる。  やはり水分さんは、双葉島に舞い降りたかぐや姫か何かのような、神秘の権化としか思えない。  なお、「健介」とは俺の名前である。俺は前田健介といい、中等部三年E組に所属している。  つまり俺は双葉学園のマドン...
  • 【召屋正行の日常はこうして戻っていく おわり】
    ラノで読む 「で、あんたはこんなところで何やってんのよ?」  縛られていた縄痕のついた手首を摩っている男を春部は苛つくように腕を組み、見下していた。 「いや、ちょっとばかし潜入捜査をしようと思ったらね、上手いこと潜入には成功したんだけど、途中でピンカートン探偵社の皆様に『きみは不法侵入だから、警察がくるまで、ここで待ってなさーい』って丁寧にご招待されて……」 「つまり、あんたは何の策もなく潜入して捕まったの?」 「まったく、役立たず様は相変わらずですね」  部屋の様子を調べながら、瑠杜賀は召屋に振り返ることもなくそっけなく呟く。 「あー、えと、その……うん」 「さて、どうする?」  カストロビッチがこの場にいる皆にこれからの行動を問いただす。 「それじゃあ、いくわよ」 「じゃあな。助けてもらったのには恩は感じるけど、俺は俺で用事があるんでね」  別々の方...
  • 【スカイラインピジョン02(前半)】
       スカイラインピジョン02 「異能者航空部隊の一つ『スカイラインピジョン』は、あなたを歓迎します」 「ちょっと待てよ」  真っ暗な校庭。耳を澄ませば虫の音が聞えてくるぐらい、静かな秋の夜だった。 「どうして俺が? そもそも『才能』って?」  困惑している中田青空とは対照的に、権藤つばめは穏やかな笑みをたたえている。そして力強い口調で説明し始めた。 「フライハイユニットはね、空高く飛び上がれたり、地上での移動速度を大幅にアップさせたりして、人類が到達不能だった運動性能を得ることができる」  つばめは上体をひねって後ろを向き、もう一度背中の箱を見せてくれた。青空は見たことも聞いたこともない発明品を、熱い眼差しで見つめている。 「だから、青空くんの力が活きてくるんだよ」  あっと彼は思い至った。青空には個性的な力がある。  天性の才能である「反射神経」と、弓道で地...
  • 【立浪みくの七夕】
    「じゃあね、みんな! ばいばい!」  そう言いながら私は教室を飛び出した。廊下から降り注ぐ日差しは暖かそう。せっかくの土曜日なのだから、午後の時間をめいっぱい有効に使わなくちゃ。  みんなも私に笑って手を振ってくれる。そんなささいなことも、つい前までは考えられないようなことだった。  私はみんなにいじめられていた。理由は、暗かったから。卑屈だったから。  ここ最近は、ラルヴァとの初勝利を得られたり、私生活に変化があったりしたこともあって、気分的に調子のいい毎日が続いている。心の中が幸せで満たされるのって、いいことだよね。 「みくちゃんって、このごろ明るくなったよね」  みんなから、そう言われるようになったんだ。  何がどう良くなったのか、私個人としてはよくわかってないけど。  なんとなく嬉しかったので「えへへ」と笑顔で応えた。  お姉ちゃんたちがいなくなってから、...
  • 【放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より】
    【放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より】 Mission XXX Mission Extra-01 放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より 《VTRが終わり、カメラはスタジオに移る》 《スタジオには茶髪のパーソナリティーと冒頭で『いずれ劣らぬ最強の』と形容された5人のゲスト》 「以上3位の映像でした。いやー、それにしてもあんなに綺麗どころばっかり引き連れて。おじさんホント羨ましいよ」 《パーソナリティの言葉を口火にゲストも─―既に喋り始めている一人を除いて――話し始める》 「僕としては男の子にやたらお節介を焼いていた子が可愛いって思いましたね。きっといい奥さんになりますよ………………………………………」 ...
  • 【翠玉の天使と三つの時 part1】
    ラノで読む ————三年前、双葉学園兵器開発局  薄暗い部屋の中で彼は目を開けた。体は鉛のように重い。腕も、足も体のどの部分も、彼の思うようには動かなかった。かろうじて動く頭をなんとか動かしてあたりを見回すと、自分を見下ろす二人の人間が視界に入った。 「この少年……えーと、B二〇一号ですか。どうします?」  二人のうち、若い方の男が口を開いた。自分を見下ろしながら、値踏みをしているかの目が彼には不愉快だった。 「フン、このような出来損ないのもの、連れて行ってもなんにもならんだろう。破棄だ」  もう一人の年の頃なら五十前後の白髪混じりの男が答える。この男の目は、己の下に倒れている人間をもはや一人の人間として見てはいない。完全にモノを見るような目で見ている。 「まあ、そうなりますか。いくら改造をしても、実験をしても異能が発現する事はありませんでしたからね」 「そう...
  • 【早瀬速人は存在しない】
    ラノで見る  早瀬速人は醒徒会役員である。  役職は庶務。むしろ庶務というよりは雑用に近いかもしれない。  自らの能力である加速能力を生かし、日々学園を走り回り、跳び、滑り、時には転びながらも、自らの使命を全うしている。  異能力者という個性的な生徒の集う学園、双葉学園。  そしてその生徒たちの頂点に君臨する実力者集団である醒徒会。  そしてその、超個性的な面々の、縁の下の力持ち的存在。  そんな彼を一言で言うなれば――  地味、であった。            早瀬速人は存在しない  午前の授業も終了し、昼休みが始まった双葉学園。その屋上で男子生徒が仰向けになって寝転がっていた。真正面から風を受けたような髪型で、きりりとした眉根。少しだけ吊りあがった目は、見るものに小生意気そうな印象を与える。  少々細身な身体には、学園指定の制服を...
  • 【フレンド】
    ラノで読む  私には幼いころ親友がいた。  名前はリコちゃん。  あの日に別れてから、二十年間会っていない。      ○ 「ママ! ちょっとお出かけしてくるわ! おともだちと遊ぶの!」  キッチンでクッキーを焼いていると、シルヴィアがマフラーを巻きながら言った。まだ六歳のシルヴィアが外で遊ぶのは心配だったけれど、家に閉じ込めておくわけにもいかない。  私は「車に気を付けるのよ」とシルヴィアの白い額にキスをする。ふんわりとしたブロンドの髪を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。 「うん。わたし気を付けるわ。じゃあいってきまーす!」 「三時のおやつまでには帰るのよー!」 「はーい!」  お気に入りの靴を履いてシルヴィアが元気よく玄関を飛び出していくのを見送り、私は再びキッチンへと挑む。  少し前まで双葉大学の研究生だった私は、今こうして自分が主婦とし...
  • 【騒がしい保健室の事件記録2 『質量考察』後編】
    ラノで読む 騒がしい保健室の事件記録2 『質量考察 後編』 ■4 「え、どういう事ですか!?」  堀衛が発した言葉に対し、数秒間の空白を空けたのち、困惑を隠せない声で能都が聞き返す。奈央も激しい戸惑いを感じ、泡を食った様に取り乱す。 「い、いいい、一体その結論をドコからどーやって引き出したんですかっ、先生ぇっ!?」  サスケェみたいな口調で唾が飛んだ。 「うむ、冗談にしては度が過ぎると思う」  やや非難めいた視線を夏鈴が向けてくる。 「そうだな、どう説明したものやら」   問われた保健医自身も、上手く文章表現ができない様子だった。 「じゃあ順番に整理していくか。  深夜まで時間も在るしな。さて──全ては瑞樹が思い出した言葉、その中にある」  結論を話すよりも段階的に促した方が楽だと踏んだのか、彼女の逡巡はすぐに終わった。 持っていた箸を茶碗の...
  • 水分理緒
    水分 理緒 「醒徒会役員選挙に立候補してみました。わたしが当選いたしましたら、えっと……噴水でも作ってみようかと思います」 基本情報 NPC 名前 水分 理緒(みくまり りお) 学年・クラス 高等部2年A組 性別 女 年齢 16 身長 168 体重 秘密 性格 行き当りばったりな面倒見の良いお姉さん 生い立ち 旧家の分家で、礼節を重んじる祖父に育てられる 基本口調・人称 丁寧。一人称:わたし 二人称:あなた・~君・~さん 水分理緒について  いつも物事を落ち着いて見て、有事の際は冷静に状況分析する。  その後の対応は臨機応変にみえて意外と雑なところが多い。  周囲の勧めで立候補したが当選後の展望を考えておらず、副会長あたりを希望している。  ラルヴァに対して好悪の感情はなく「そういうもの」と意外とドライに構えている。専守防衛が主。  祖父の影響...
  • 【年末年始と、過去と未来と】
    【年末年始と、過去と未来と】 ラノで読む 「あなたは私より二つ上だそうですけど、この場ではあなたを年上だとは思いません!未経験で申し訳ないですが厳しくいきますんで覚悟しておいてください!」  開口一番そんな言葉を貰い、そしてそれから今に至るまで文字通りの扱いを受け続けた。  私、何でこんなとこにいるんだろ?  そうぼやいてみても気が楽になるわけでもなく。  私、結城宮子(ゆうき みやこ)は窓から街を見下ろしながらアンニュイな気分を供にぼんやりと休憩時間を過ごしていた。 「宮子姉ちゃん、式名(しきな)のおじさんが呼んでるよ」  と扉越しに妙に抑えた声が響いてくる。私の従弟、結城光太(ゆうき こうた)だ。いつもはもっと騒々しい子なのだが、場所が場所だけにそういう気にはなれないらしい。 「うん、すぐ行くわ」  姉的立場として光太の行動に良く悩まされている私としては...
  • @wiki全体から「【冒険をした話をしてみようと思う】」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。