シェアードワールドライトノベル『双葉学園』wiki内検索 / 「【鉄の心は揺るがない-第弐話】」で検索した結果

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  • 鉄の心は揺るがないシリーズ
    ...は揺るがない】 【鉄の心は揺るがない-第弐話】 【鉄の心は揺るがない-第弐話_2】 【鉄の心は揺るがない-第春話】 タグ 鉄の心 です 主な登場人物 作者コメント 戻る //**↓このページのタグにはシリーズページと入れてください**//
  • 金属喰い
    ...早瀬速人の長い夜】 【鉄の心は揺るがない-第弐話】 【備考】   :金属でできた触手を持ち、その触手の先端にある口器で金属を食べるラルヴァ。         消化機能はあまり高くないらしく、空き缶などを食べた場合         しばらくロゴや塗装が身体のあちこちに残っている。 トップに戻る ラルヴァに戻る 上に戻る
  • 【鉄の心は揺るがない-第弐話】
    第弐話を通してラノで読む  鋭い日光がコンクリートを容赦なく照りつける。  汗を流しながらも、それに打ち水をする婦人。街道に据え付けられた街路樹に止まり、 俺は此処にいるぞと言わんばかりに騒ぎ立てる蝉の鳴き声。  国守鉄蔵《くにもりてつぞう》が花壇にしゃがみ込み、小円匙《シャベル》を片手にせっせと土いじりをしている。 蝉の鳴き声に混じりながら上空からジェット機の排気音が響き、それに気をとられ手を休めた。 小円匙を持っている手とは逆の手で、目深に被った麦藁帽子の鍔《つば》を持ち上げ、視界を邪魔する日光を手のひらで遮り遥か上空で燦然と輝く太陽を見上げる。  空は真っ青で、それを邪魔しない程度に、程よい青を滲ませた積雲がまばらに散っていた。 「そろそろお昼時になるかの」  国守鉄蔵は首に巻きつけていたタオルで額《ひたい》の汗を拭き取り、よっこらせと立...
  • 【鉄の心は揺るがない-第弐話_2】
     暗い洞穴の中で敬はゆっくりと目を覚ました。 「う……いってぇ……何だここ?」  敬は辺りを見回すと自分が大きなトンネルの中にいる事に気づいた。 コンクリートで固められたトンネルは明らかに人工的な物で幾つかのケーブルがトンネルの奥まで敷設され、所々には配電盤が設置されている。 ここは双葉各区に設けられたインフラ整備網の一つで、地上に配備された一般電線では賄いきれない、 企業や公的機関の電線、また一部機関の通信ケーブルや、リアルタイムで下水道の水位や水圧の情報を各情報施設に送る為の下水道情報採取設備でもあった。 「おい、爺さん。大丈夫か。ケガは無ぇみたいだけどどっか打ってて目の前でご臨終ってのは勘弁だぞ」 「んむぬ……言うてくれるわィ……こちとら百戦錬磨の武人じゃぞ。そうそう簡単にくたばるタマじゃないわ」  両肩を強く揺すると鉄蔵はゆっくりと目を覚まし、憎まれ口を叩く。そんな...
  • 「花見」
    「花見」 テーマ:花見 実施日:4月25日 概要 :花見というテーマに沿っていればなんでもあり。 当日はここに投稿された作品についてまったり語るスレを21時から始めます なお、作品の締め切りは20時とします これ以降は何時もと同じように本スレの進行を妨げる為投下はご遠慮ください 間に合わなかった場合は本スレ終了後に投下をお願いします 参加作品 【鉄の心は揺るがない-第春話】 【桜の舞い散る話をしてみようと思う】 【お花見パニック】 【ある怠惰な教師の花天月地】
  • 【鉄の心は揺るがない-第春話】
    ラノで読む  然程大きくない武者窓から漏れ出す春の日差しが、用務員室内を照らし出す。 その陽光を汲み取り、まぶしい程の光を反射させる頭部を備えた老人は、ちゃぶ台の前で足組《あぐ》み、 左手に持った新聞紙を読みながら、のんびりと煎茶を啜《すす》っていた。 完全に気も抜けた状態で、大きくため息をついた後に目を瞑ると、 春の陽気にあてられたのか、船を漕ぎ始める。それと同時に何の前触れもなく用務員室のドアが開かれた。 「あの、園芸用の道具をお借りしたいんですが」  突然の出来事に、老人の頭部から反射した光は無作為に室内を暴れまわる。 その光源であった双葉学園用務員の国守鉄蔵《くにもりてつぞう》は腰を浮かせ、背後に振り向いた。 「うわっちゃ、あちゃ熱っち!! な、なんじゃいお嬢ちゃん、藪から棒に」  唐突に声をかけられた事に動揺したのか、鉄蔵は右手に握っていた...
  • 【鉄の心は揺るがない】
    ラノで読む 「バウバウ!!バウバウ!!」 国守鉄蔵《くにもりてつぞう》の朝は早い。 灰色の朝、大小の生き物が控えめなお喋りを始める頃に起床する。寝床から台所に一直線に向かった後、朝には決まって容器一杯に湛えた水を丁寧に飲み干す。 美味い。  十分に一晩の渇きを癒した後は手の平一杯の水でざぶざぶと顔を洗い、歯を磨く。神経質なぐらいに丹念に。前歯の表。裏。奥歯。奥歯の裏から舌の上まで。自分が納得するまで磨く。 歯を磨いた後、生地の粗いタオルを片手に、住まいである用務員室を後にする。用務員室から繋がる狭い渡り廊下の先にある勝手口から外に出る。 朝が早いせいか、靄《もや》はまだ晴れないが気にすることも無い。 爺むさいシャツを脱ぎ、物干し竿に引っ掛かるよう投げ捨てる。表れた上半身は力強さを微塵も感じさせる事は無かったが、老人の其れとしては十分に整っていた。...
  • 過去コンペ作品
    月例イベント「お題SS」作品集  「お題」を決めてSSを書こうという月例イベント  このイベントは2011年3月を最後に終了します 2月 雪合戦SS 【雪だるまちゃん、来襲】 1月 鍋SS 投稿作なし 12月 ピクニックSS 【ピ○ニック】 11月 口付けSS 【ラストリゾート - Last Resort -】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 前】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 中】 【俺の弟が気持ち悪すぎてしぬ 後】 【ダイアモンド・キスはどこにある?】 10月 日常SS 【らすりぞ!】 【ミカとリカ 前編】 【ミカとリカ 後編】 9月 お月見SS 【夜のお散歩】 【十五夜バトルロワイヤル】 8月 花火SS 【Fireworks】 【花火ロボ大決戦!】 7月 ラッキーな体験SS 【世界が変わる日】 6月 梅雨 【コイバナ~雨に咲く花、散り逝く花~】 【カエル...
  • キャラの出演作品を探す(PC)
    ...「地獄編」3】 【鉄の心は揺るがない-第弐話】 【鉄の心は揺るがない-第弐話_2】 【芋煮怪 それゆけ委員長番外編】 【怪物記第七話エピローグ】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第二部「煉獄編」1】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第二部「煉獄編」2】 【幸福ドロップ:後】 【ある中華料理店店員の南瓜祭】 【改造仁間―カイゾウニンゲン― 第四話】 【女子高生彩子の学級日誌】 【改造仁間―カイゾウニンゲン― 第五話】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第最終回「天国編」2】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第最終回「天国編」4】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第最終回「天国編」5】 【時計仕掛けのメフィストフェレス 劇場版第最終回「天国編」6】 【女子高生彩子の学級日誌 3日目】 ...
  • スペシャル&エキスパートキャラクター
    スペシャル&エキスパートキャラクター スペシャルキャラとエキスパートキャラのまとめページです 自分もスペシャルキャラを作りたい! という時の参考にしてください なお、抜けていた場合や追加する場合は極力作者あきご自身でお願いします 作品名の五十音順で並べています 作品名 キャラクター名 スペシャルキャラクター 【カーチェイス・チェイサー】 難波 那美(2019) キャンパス・ライフシリーズ 立浪 みか キャンパス・ライフシリーズ 立浪 みき 禁域の姉弟、瑠璃色の針 安達 凛 群像ウィスタリアシリーズ 那由多 由良 シャイニング!シリーズ 双葉敏明 白き魔女と傷だらけの道化師シリーズ 桜川夏子 白き魔女と傷だらけの道化師シリーズ 藤森飛鳥&道化師 【Dianthus 第1輪 1/3】 坂上 撫子 【鉄の心は揺るがない】 国守鉄蔵 【手のひらを太陽に。―空を歩く者達―...
  • 鬼神蜻蛉《キシンヤンマ》
    【名称】   :鬼神蜻蛉《キシンヤンマ》 【カテゴリー】:カテゴリービースト 【ランク】  :下級B-3 【初出作品】 :【鉄の心は揺るがない】 【他登場作品】:ROND 【備考】   :トンボのラルヴァ。作品上では蜻蛉(とんぼ)と記載されているが本来は蜻蜓(やんま)の字を用いる。         縄張り意識が高く攻撃的な性格で人を襲うといった過去の事例はいくつか挙げられている。         二対の翅を持ちある程度の緩急をつけながら飛翔する事が可能。         小動物などを捕獲する際には前足で対象を捕らえ、大顎を用いて食事を行う。         本来は山岳部に生息しており人目に触れる事は無かったが、         土地開発の波に押され幾つかの固体が人里で目撃されるケースが増えた。         トンボとしては累代速度が遅く、長命である事と比例して体長は...
  • 作品保管庫モバイル「た」~「と」
    「た」 【「大工部」の人たち 第一話】 【金剛の皇女様】 【前】【後】 【斗え! ゲッソー仮面】 【立浪姉妹の伝説】 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【終】 【立浪みくの七夕】 【タブレット】 【1】【2】【3】【4】 【猛る獅子と放課後の天使たち】 【起1】【起2】【承1】【承2】【承3】 「ち」 【超刃ブレイダー 第01話】 【超刃ブレイダー@2019 act.01】 【チョコ引受人探してます】 【血を吸う灰被り】 「つ」 【剣となれ、盾となれ01】 「て」 【鉄の心は揺るがない】 【1】【2-1】【2-2】 【手のひらを太陽に。】 【空を歩く者達】【神を見る者達】 【デルタ 01】 【天使飼いと零式図書委員会 アネモイ 】 ...
  • シリーズタイトルから検索
    シリーズタイトルから検索  連載形式や連続短編形式の「シリーズもの」を一覧としてまとめています NPC紹介SS ある前座の話シリーズ ある中華料理店店員シリーズ 異能力研究室シリーズ 永遠の満月の方程式シリーズ 駅員ゆうなの業務日誌シリーズ オニ×モモシリーズ 改造仁間―カイゾウニンゲン― シリーズ 怪物記シリーズ 壊物記シリーズ 学校童子シリーズ 気が向いた時に掌編を書いてみるシリーズ キャンパス・ライフシリーズ 禁域の姉弟、瑠璃色の針シリーズ 緊縛少女シリーズ 群像ウィスタリアシリーズ 血族サーガ コスプレ戦士キョウカシリーズ 金色蜘蛛と逢魔の空シリーズ 桜の花が開くまでシリーズ 騒がしい保健室の事件記録シリーズ シルヴィアとその周辺シリーズ シャイニング!シリーズ ジョーカーシリーズ しょんぼり短編集シリーズ スカイライン・ピジョン 金剛皇女記 猛る獅子と放課後の天使たち...
  • 「双葉学園」企画 沿革
    「双葉学園」企画 沿革 2009年6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2010年1月 2009年 6月 6月18日  夜未明、勃起人が「シェアードワールドをやらないか?」とラノベ執筆スレを立てる  一晩のうちにWikiとアップローダーが用意され、勢いのまま企画がスタート 6月26日  初の参加型イベント「醒徒会役員選挙」 6月27日  醒徒会メンバーが出揃う。この頃にはだいたいの設定が固まっている 7月 7月4日  第1回定時スレ 定時スレが本格スタートする 7月7日  双葉学園スレ史上初の24時間営業(6日18:00頃~) 7月18日  無事に企画立ち上げ一ヶ月を迎える  同日より20日まで「連休耐久スレ」開催。39スレまで到達 7月25日  学園最強は「醒徒会」であることを土曜議論スレで...
  • 作品保管庫さくいん 「あ行~た行」
    作品保管庫 (あ行~た行)  あ行~た行で始まる作品はこちらです。 NPC紹介SS醒徒会(必読!) 委員会(必読!) その他NPCの作品 「あ行~た行」作品一覧「あ」行 「か」行 「さ」行 「た」行 「な行~わ行、英字」作品一覧「な」行 「は」行 「ま」行 「や」「ら」「わ」行 英字 「あ行~た行」作品一覧 「あ」行 「あ」 【アイスのチョコ】 【秋の空 夏の風】 【アクセス】 【悪の華】 【1】 【2】 【安部太郎】 【アブノーマル・ヒーロー】 【荒神の手】 【荒神の手】【カーチェイス・チェイサー】 【嵐と銃口】 【あるウェイトレスのクリスマスの出来事】 【ある海での出来事の話】 【あるサンタの日常】 【ある前座の話】 【1】【2】【3】【4-1】【4-2】【5】【ある前座の試...
  • 壊物記シリーズ
    シリーズ概要 第一話~第三話 『出会い』 マスカレード・センドメイル編 第一話  2009年十月、武器商人であるラスカルは、結社マスカレード・センドメイルを脱退した男から瑪瑙で出来た懐中時計を引き取る。  その瑪瑙懐中時計こそは永劫機六番目の機体、『時感狂化』のウォフ・マナフであった。  ラスカルは時計から人間形態へと変形したウォフ・マナフ――ウォフから『自分が不良品であるために触っただけのあなたと契約を交わしてしまいました』と、永劫機のマスターになった宣告をされる。  彼女を兵器として引き取りはしたラスカルだったが、あまりにも不合格な彼女のポンコツさ加減に頭を痛める。  そんなラスカルの工廠をウォフを回収するためにマスカレード・センドメイルからやって来たゴーレム使い、アントワーヌが襲う。  成り行きから彼は永劫機ウォフ・マナフを召喚。性能の低さから苦戦を強いられる...
  • 「双葉学園」の設定について
    「双葉学園」の設定について  「双葉学園」は学園モノのシェアードワールドとして、全書き手が守るべき「共通の設定」を用意しています  それに加えて、各書き手がそれぞれ作った「独自の設定」が存在しています 「双葉学園」の設定 A級設定 揺るがない根本設定。作品を書くにあたってみんなが守らなければならない共有設定 B級設定 A級設定を詳しくしたもの。A級設定ではないが、ほとんどの作品に共通する大事な設定 C級設定 書き手の作った設定が複数の作品に採用され、ある程度シェアードワールド的に定着したもの D級設定 書き手の作った個人的な設定。シェアードワールド的に重要でないもの 「A級設定」について  「A級設定は必ず作品に反映させること!」  「双葉学園」の最低限のルールです。書き手は必ずこれを守らなくてはなりません  A級設定は原則として、変更・追加を行いません ...
  • 【壊物機 第四話】
    壊物機 第四話 『糜爛』 ラノで読む  糜爛  1 ただれること。  「―した歓楽/悪魔」  2 皮膚・粘膜の表皮が欠損した状態。ただれ。  ・・・・・・ 「よお。元気だったか?」 「む。久しぶりだな。もっとも私は右腕を通してお前とあれの様子を観察していたがな」  ダ・ヴィンチとの決闘から一ヵ月。俺はまた悪心のいる精神世界に来ていた。  諸事情でウォフ・マナフを動かした俺は時間の代償を支払った。現実の俺は活動時間を消費、要するに眠りに囚われて昏睡している。 「……ところで観察ってどのくらいだ?」 「週三は多いなあだだだだだだだ!?」  プライベート筒抜けじゃねえかと思いつつ、俺は悪心の肩に人体破壊作法を極めた。 「し、仕方なかろう! こっちはあれから出番もないから暇だったのだ!」  あれ、と言うのがダ・ヴィンチとの戦いを指すのかその後...
  • 【小池の畔で】
    ラノで読む  極楽島《ごくらくじま》実篤《さねあつ》は恋多き男である。  長身で筋肉質の体格はまるでファッションモデルのようで、日本人離れした彫りの深い顔にはクマのような髭が生えている。それがまた彼のワイルドさを印象付けていて、これまでに何人もの女性と彼は付き合いを繰り返していた。  しかし女運は非常に悪く、その付き合ってきた女性全員に結婚詐欺や美人局を受けたのだ。騙され金を巻き上げられ、そのためせっかくの父親の遺産も底を尽きかけている。  そして十回目の結婚詐欺にあったその日、彼は傷心のまましんしんと雪の降る街を歩いていた。周囲は幸せそうなカップルが歩いていて、実篤は、自分はどうして女性に騙され続けるのだろうかと苦悶する。  彼自身は自覚がないのだろうが、実篤は恋した相手には盲目になり、信じ切ってしまう傾向にある。野性的な容姿とは相反したお人好しの性格が災いし、...
  • 【立浪姉妹の伝説 第二話】
      らのらのhttp //rano.jp/1067    立浪姉妹の伝説 -その栄光と末路-    第二話 伝説の猫耳姉妹   「ぐがああああああ!」  立浪みかは、巨人に踏み潰されようとしていた。仰向けになってグラウンドに背をつき、両腕と両足で巨人を支え、必死な抵抗を見せる。  学園の校舎ぐらいの背丈があるこの巨人ラルヴァは「ガリヴァー・リリパット」という。巨人でなかったら何の変哲の無い外国人で、並みの異能者でも勝てそうな軟弱な印象を受けるのだが。 「こんなでっかいのが島で暴れられちゃ・・・・・・。下手したら本土の連中に勘付かれるんじゃないのかあ・・・・・・?」  みしっと、さらにみかはグラウンドに埋め込まれようとしていた。両目に涙を溜めて苦しそうにしているが、歯を食いしばってなおも我慢を続けている。  双葉島の沖で突如、この男が浮上するように立ち...
  • 【祝いのネックレス】
    ラノで読む 「君は“言葉は心を映す鏡”って言葉を知っているかな?」  ええ知ってますよ。日頃の言動や所作はその人物の本質を如実に反映するってヤツですよね。  僕の目の前にいる男性は、不健康そうな青白い顔を不謹慎なことを企んでるような笑顔で歪ませながら、左手に持ったネックレスを所載なさげに弄んでいた。 「まあ、格言でもなんでもないんだけどねー。とりあえずはその通りだよ。つまり外見をどんなに見繕っても、その人の性根なんてものは行動にどうやっても表れるってことだね」  彼はそう言いながら僕の眉間に向かって右手の人差し指を軽くトンと指す。なんか良く分からないが相変わらず偉そうでムカつく。  それで結局、何が言いたいんですか? 「――うーん、あれだ! 人の中身の良し悪しは見た目じゃ分からないってことだよ伊藤君」  そりゃそーでしょ。話が堂々巡りしてますよ。で、大事な話ってのは...
  • 【怪物記 第九話】
    ラノで読む 怪物記    うーさーぎ、おーいし、かーのーやーまー                     ――ふるさと 「うなぎがたべたい」  ある土曜日の朝、八雲がそんなことを言ってきた。 「鰻か……」  鰻。白身魚の一種で、高蛋白かつ消化もいいのでスタミナがつき、夏バテにも効果があると言われている。  とは言うものの今はまだ六月。夏の到来はまだ先のことであり、うなぎを食べる習慣のある土用の丑の日もあと一月近くは先だ。  まぁ、今の時期に食べて悪いものではないがそれはそれとして……。 「何で鰻が食べたくなったんだ?」  八雲は子供だが好き嫌いがない、というかなさすぎる。放っておくと人間が食べないようなものまで食べてしまうので人前で食べないように注意しているほどだ。  そして逆に、自分から何か特定の食べ物を食べたいと言うことは珍しい。 「このま...
  • 【壊物機 第七話】
    「やあラスカル君。今日はまた随分と不機嫌そうだね」 「勝手に侵入しやがった仮面女のお陰で五割増しにな」 「そう邪険にしないでくれたまえ。ほら、お土産に洋菓子の老舗プティ・ローゼのエルメロールを持ってきたんだ。これでお茶にしようじゃないか」 「……お前はいつから菓子もって遊びに来る友達になったんだ」 「フッ。生死をかけて戦いあった私達は強敵と書いて友と読む仲に……」 「そういう友とはケーキ食ったりしないんじゃねえか?」 「偏見はよくない。まあケーキは前置きで今回もちゃんと本題はあるが、やはり最初はお茶にしよう。ウォフ君、お茶の用意をお願いできるかな?」 「はい! すぐ用意します! エルメロール万歳!」  タッタッタ。 「……むかつくほど機敏だったな」 「女の子ならこのエルメロールはまさに垂涎の一品だからね。きっと君だって気に入るさ。美味しく頂きたまえよ」 「仕事と作業で...
  • 【怪物記 第六話】
    怪物記    生きるべきか死ぬべきか      ――シェークスピア  ・・・・・・ ――おまじない? ――うん、おまじない。 ――そんな非科学的な……。 ――あはは、魂源力やラルヴァだって科学的とは言いきれないじゃない ――それはそうですけど……。それで、そのおまじないはどうやるんですか? ――興味津々? ――教えたそうですから。 ――あはは、●●君は子供なのに気配り上手ねー。 ――……馬鹿にされてる気がする。 ――してないよー。じゃ、教えてあげる。このおまじないは夜空に懐中電灯を当てて……。  ・・・・・・ OTHER SIDE  学園都市の夜は恐怖に包まれていた。  それは一人、あるいは一体の殺人鬼が徘徊しているからだ。  既に一般人と異能力者合わせて七人の少年少女が犠牲になっている。  殺人鬼の名は【血塗れ仔猫】。 ...
  • 【壊物機 第二話】
    壊物機 第二話 『アルフレド』 ラノで読む  私には力がある。  私自身という力がある。  けれど、今の私はあの人を守れる力だろうか。  私の我儘で渦中へと引きずり込んでしまったあの人を。  私は、守れるだろうか。  ・・・・・・  ・OTHER SIDE 「了承しかねます!」 『なぜかね? アスフォルト君』 「友であるアントワーヌの仇を討ち、あの機械を取り戻すのは私の役目であったはず! それを……外様のフリーランサー如きに任せるなど! 私と『鋼鉄魚群』の力が信用できませんか!」 『君の実力を疑ってはいないよ。けれど、こういうことは確実に処理すべきだ。より高い実力と実績を持つ人物に任せるのが自然だろう?』 「ッ! そのフリーランサーの実力と実績が私より上だとおっしゃるのですね?」 『ああ』 「失礼させていただく!!」 『...
  • 【成宮金太郎の面倒な朝】
     朝礼をサボって飲む缶コーヒーは、成宮金太郎にとってお気に入りの飲み物の一つである。  味は正直なところわからないが、なんとなく頭がすっきりするような気がするのだ。それに行事をサボって飲むという事実が加わると、これはもう中々の味わいである。コーヒーの飲みすぎはよくないとこのところ秘書によく釘を刺されていたが、こればっかりはやめるつもりはなかった。  残りを一気に飲み干すと、金太郎はゴミ箱の方に向かって缶を投げた。  外れた。  缶は勢いよく打ちっぱなしのコンクリートの上を転がると、自販機の下に食い込んで止まった。  的を見もせずに投げるのはやっぱりよくないかと金太郎はいたく反省したが、よく見てみれば、今回はひどく分が悪い勝負だったことがわかった。そもそもゴミ箱がなかったのである。  昨日までゴミ箱があった場所には、いまや何もない。辺りをどれだけ探しても見つからなかったから、どこ...
  • 【壊物機 第一話】
    壊物機 第一話 『壊れ物注意』 ラノで読む  この世界には壊れやすいものが多すぎる。  私から見てこの世界はもう壊れているのと同じだった。  そして私自身も壊れかけだった。  ・・・・・・  俺の仕事は武器商人だ。爺さんの頃から武器商人で俺は三代目の社長。親父が馬鹿みたいに早く死んだんで俺は十代の青春を謳歌する暇もなく武器商人をやっている。  武器商人という仕事を嫌悪される紳士淑女の皆様、あるいは憧れる少年少女の皆様もおられるかもしれないが……なんてことはない、売るものが違うだけでただの商人だ。ちゃんと営業の登録もしている。  商品で人が死ぬ、と言われるかもしれないが、それを言えば包丁一つで人は死ぬ。多分椅子でも死ぬだろう。要は使う人間次第。違いがあるとすれば殺しやすさ、壊しやすさの違いくらいだ。  そもそもこれも商売であるのだから需要がなけ...
  • 【ゴーストヘッドにうってつけの日 第二話】
    ※この物語はフィクションです。作品には暴力的、残酷的な描写を多く含みます。苦手な方はさけてください。 ラノで読む  act.2「サディスティック・ハード・ゴア」 ※ ※ ※     異様な人物が街にいた。  休日で人通りの多い商店街の人込みを、一人の男がフラフラと危なっかしい足取りで歩いている。だが男のその風態は和やかな街並みの中では明らかに異質であった。  男は灰色の背広に、きちんとネクタイを締めているが、まるで頭から血液のシャワーを浴びたように全身が赤く染まっていた。よく見ると彼の身体のあちこちに肉片のようなものがへばりついている。左手でズタ袋のような布を掴んでおり、右手には柄の長い斧が握られている。金属とアスファルトがこすれる音を響かせ、斧を引きずるようにして街を歩いていた。  しかしそんな彼に街の人間は誰ひとり気を止めてはいない。  誰...
  • 【壊物機 第五話】
     壊物機 第五話 『交差する長短針』 ラノで読む  人は運命を避けようとしてとった道でしばしば運命に出会う               ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ        ・・・・・・  溜まっていた会社の業務も一段落し始めた十一月のある水曜日。俺が会社に出勤すると妙な手紙が俺宛に届いていると部下が報告してきた。 「妙な手紙? あからさまな不幸の手紙でも届いたか?」 「いえ、普通のエアメールなんですが……その、差出人が」 「差出人?」  部下の言わんとすることがよくわからず首を傾げる。差出人が変ってのはどういうことだ? 当選したばかりの黒人大統領から手紙でも届いたか? 「ま、百聞は一見にしかず。自分で見れば一発だな。その手紙は?」 「社長のデスクの上に置いておきました」  部下と別れて執務室に入ると、たしかにその手紙は俺のデスクにあ...
  • 【怪物記 第一話】
    #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (怪物記2.jpg) 第一話【死出蛍】     兄ちゃん、蛍はなんで死んでしまうん?                    ――節子  F1という競技はそれより下位のF3などとは大きな違いがある。出場選手やスタッフのレベルの差もそうだが、マシンレギュレーションの違いだ。F3カーのエンジンの排気量は2000ccだがF1カーに搭載されるエンジンの排気量は2400ccだ。だからF1カーとF3カーがレースすればまず間違いなくF1カーが勝つ。  いささか回りくどくなったが、私が言いたいのは性能差は埋められないということだ。要するに、 「君達……もう少し、加減して、歩く気は、ないか……?」  双葉学園都市の生徒と比べればF3カーはおろか原付程度の私の体力はもは...
  • 【怪物記 第三話】
    #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (怪物記3.jpg) ラノで読む    白黒つけるぜ      ――ゼブラーマン  私と会長が隠れた商業区の路地裏の傍を数人の黒い生徒たちが駆けていく。 「……行ったのか?」 「行ったようだ」  我々は数千人の生徒に追われている。別に会長のファンクラブに追い回されているなどの事情ではない。大体そんなに大勢はいないだろう……いやひょっとするといるのかもしれないが。  我々が追われているのは、学園の生徒が白と黒の二色に分かれており、我々がそのどちらにも染まっていないからだ。  数ある色の中で白と黒の二色は最も対立している色だとされている。例えば一般に天使のイメージは白で悪魔のイメージは黒、正しいは白で悪いは黒。そして……チェス。  陰陽...
  • 【壊物機 第六話】
     壊物機 第六話 『未知の遭遇、そして始まり』 ラノで読む  何かを意味してるんだ。とても重要な何かを                   ――未知との遭遇  ・OTHER TIME  二〇〇九年前後の裏社会では『断片』というマジックアイテムの存在が噂されていた。  『断片』は四つに別れた『断片』全てを揃えればどんな願いも叶えることができるというありふれた効力を謳っていた。  ありふれた、そう言われるほどに似た類のマジックアイテムや異能は過去の歴史を紐解けば散見することができる。同時に、真物に百倍する贋物も歴史にはありふれていた。  その名が広まり始めた当初、『断片』は贋物の側だと思われていた。  願いを叶えるその触れ込みが真実ならば『断片』で願いを叶えた人物がいるということだが、『断片』で願いを叶えた人物は歴史上に誰一人として見つからなかった。...
  • 【壊物機 第九話】
     壊物機 第九話 『人間の証明』  その赤子は生まれたときに死に掛けていた。  先進国の病院で生まれた小さな命。  しかしその灯火はあまりにも小さかった。  医師は渋面を浮かべ、父親も悲しみを帯びながらどこか諦めた顔をしている。  未熟児。それも先天的な臓器の欠損という致命的な疾患を抱えていた。  判明したことが遅かったため、中絶ではなく自然分娩で生まれたが、長く続く命ではない。  しかし母親の、せめて一晩だけでも命を永らえさせてほしい、という懇願により、赤子は機械につながれ自力では保てない命を繋がれた。  幸か不幸か、その病院には延命ができるだけの設備があり、今も何人かの新生児が機械に繋がれている。  その新生児達の命も長くはない。今生まれた赤子のように翌朝には消える命ではなくとも、自分で世界を生きることは叶わない。  ある意味では、エゴによって延命させら...
  • 【立浪姉妹の伝説 第六話】
      赤字・・・削除項目 緑字・・・訂正項目  立浪一家の新たな一週間が幕を開けた。  次女・みきは姉妹のなかで一番早く起床する。三人分の朝食を作るため、二人よりも早く起きるのだ。  すぐに三女も起きてくる。みくは買ってもらったばかりの水色のエプロンを身につけて、次女の調理を手伝いにキッチンへ入った。  今日は、みきが得意としているベーコンエッグだ。このような卵料理はみくの好物だった。昨日のお昼に作り方を教えてもらえたので、明日は彼女が姉妹の朝食を作ることで決定している。  みかもみきも、とても張り切る三女を微笑ましく見守っていた。  緑のだぼだぼとしたシャツに黒いスパッツという、普段着と大して変わらない長女が起きてきた。寝ぼけてあちこち壁にぶつかりながら、洗面所へ消えていった。  みかがリビングに戻ってくるときには、テーブルの上でベーコンエッグとトーストが湯気を立てて...
  • 【怪物記 第八話】
    ラノで読む  怪物記     何も知らぬことは最も幸福である               ――西洋の諺  日常に迫る恐怖というフレーズはよく使われる。  その迫ってくる恐怖というものは犯罪であったり病気であったり、人によってはラルヴァにもなるだろう。  しかし、本当に迫ってくるのは恐怖のほうなのだろうか?  日常が、自分自身が恐怖へと迫ってしまったのではないだろうか?  この【失踪事件】はそんな話だ。  ・・・・・・ 「これはまた何とも、徹底的だな」  私は屋敷の一室に入り、開口一番そう呟いた。  ここはH県某市にある日本屋敷だ。敷地面積はそれなり、錦鯉の十匹も住んでいそうな大きな池が掘られた庭があり、購入しようと思ったら一億二億では足りないだろう。  もっとも、今だったらその値段で買えるかもしれない。いわくつきの物件の値は下がる...
  • 【怪物記 第十一話】
     カレンダーが六月を示すようになってから三週間ほど経過して、梅雨の真っ只中のある日のこと。 私は藤乃君から「緊急の要件があります」というタイトルのメールを受け取った(久留間君、藤乃君、ラニ君、伊緒君のメールアドレスと携帯番号は聞いている)。  メールには時間と場所が記されており、ここに来てくださいとメッセージも添えられている。  藤乃君からの連絡ということは久留間戦隊絡みと思われるが、疑問もある。 「たしか今日は久留間君が八雲の家庭教師をしている日だが……」  久留間君は定期的に八雲の家庭教師をしてくれている。今も図書館で八雲に外見年齢相応の勉強を教えてくれているはずだ。(ちなみに先日の幽霊事件からこの家に住んでいるらしい幽霊のシズク君もついていったらしい。らしい、と繰り返すのは彼女が異能力者ならぬ私には見えないからだ。……気づけば住人はかつての倍になっているのに人間は一人も増え...
  • 【恋する少女に明日は来ない】
    ラノ  小気味いいお気に入りの目覚まし時計の音で目を覚ました私は、すくっとベッドから起き上り窓を開く。  春の温かな空気が流れ込み、小鳥のさえずりが私の耳をくすぐる。  なんて爽やかな朝なんだろう。昨日の大雨が嘘のように上がり、雲ひとつ無いからりとした天気になっていた。  そうして空に輝く太陽は、まるで希望の象徴のようだった。  恋は人生をバラ色に変えると昔の人は言った。  それは本当で、私はそれを自分の身を持って実感した。私は今、ある人に恋をしている。自分の気持ちに気付いた時、いままでなんでもなかった世界ががらりと色を変え、目に映る総てが色鮮やかに見えるようになっていた。  毎日が楽しい。  あの人がいる学校へ行くのが楽しみ。  いつもは朝ごはんを食べるのもおっくうで、適当にパンを牛乳で流し込んで登校するのだけれど、彼に恋をしてからは朝も気分がよく、食欲もわく。だ...
  • 【金色蜘蛛と逢魔の空 】
    ラノで読む 1 物語の始まり、あるいは無関係な出来事  炎が、まるで黄金の輝きのように夜闇を照らし、金色に塗り潰す。  交通事故だ。  車が燃え、鉄と肉の焼ける音と臭いが周囲に充満する。  ほんの少し離れたアスファルトの上、車から投げ出された少女が血を吐く。  満身創痍、全身を朱に染めて息も絶え絶えの状態で、少女は命を乞う。 「助けて……誰か、ソラを助けて……」  父も母も死んだ。車の中で即死し、炎に包まれて無惨な肉塊となっている。  そしておそらく自分も、もうすぐ死ぬだろう。  ああ、それはいい。  だが……だからこそ。  少女は抱きかかえた弟を想う。  まだ息はある。だがそれも時間の問題かもしれない。  自分と同じく、死んでしまう。  それは駄目だ。それだけは駄目だ。  誰か、弟を助けてください。おねがいします。 「お願い...
  • 【怪物記 第四話】
    怪物記 虎は……何故強いと思う? もともと強いからよ             ――前田慶次 4.<ワンオフ>  研究者や一部の異能力者、そしてラルヴァの間で<ワンオフ>と呼ばれるラルヴァ達が存在する。  <ワンオフ>、一度限りという名称は彼らに同種の個体が存在しないためである。彼らはこの世界に一種族一体限りの希少なラルヴァだ。彼らが生まれる経緯は多様であり、既存のラルヴァから突然変異で生まれるものも、無から生まれるものも……人の体から生まれるものもいる。  では、世界に一体しかいないラルヴァは全て<ワンオフ>なのかといえばそれは違う。<ワンオフ>には希少さ以外にもう一つ条件がある。  それは至極単純な条件。  その条件とは強さ。  最強・唯一・理解不能。それらいずれかの領域に至った力の持ち主であることが<ワンオフ>の条件だ。  T県火遼岳...
  • 【壊物機 第八話 後編】
    ラノで読む  ――おまえはナマエからダメなんだよなー  ――え? どうして、おねえちゃん  ――そんなしにそうなナマエだからよわいんだ  ――ひどいよー……  ――だからアタシがとびっきりツヨそうなナマエかんがえてやるよ  ――いらないよー……  ――いいからいいから、そうだな――■■■■だ!  ――みょうじまでかわってるよー  ――いいんだよ! つよくてわるそうで、しにそうにないナマエだろ!  ||||||  語来音色《ネロ》は自分を普通の人間だと思っていた。  異能力者やラルヴァといった裏側の意味ではなく……単純に自分は平凡な人間だと思っていた。  彼は両親を早くに亡くしている。それだけで十分に不幸で、平凡ではないはずだが、やはり彼は自分を平凡な人間だと思っていた。  その理由は彼の姉と弟に起因している。  年子の姉は、何と言うか、『漫...
  • 【壊物機 第三話 中編】
    壊物機 第三話 中編 ラノで読む  ・OTHER SIDE  マスカレード・センドメイル首領、レオナルド・ダ・ヴィンチは一言で言えば天才だった。  そのコードネームの由来である歴史上の万能天才芸術家と同じようにダ・ヴィンチの発想は常人の域を易々と越え、人類が未だ手を届かせることの出来ない超科学の技術さえも手に入れている。  超科学。それは身体強化・魔術・超能力と並ぶ異能の四大系統の一つ。  しかし四大系統の一つでありながら他の三系統とは趣を異にする系統である。  なぜなら、超科学は理解不能だからだ。  使っている者の多くにさえ、それが何であるか理解できない未来的な、あるいは異界的な技術の結晶……それが超科学のアイテムだった。  超科学の異能力者の中には天啓の閃きと共にアイテムの設計・作成を行う者や、部分的に知りえた超科学の知識を用いて試行錯誤の末にアイ...
  • 【怪物記 第五話】
    怪物記    幸せは歩いてこない         ――星野哲郎  昼食を食べに週に一度のスパンで利用していた中華料理店に行ったところ、トラックが店につっこんだらしく休業していた。  こんなこともあるのかと思いながら、別の店で食事をとろうと飲食店を回ってみるがどこもかしこも満員で席が空いていない。  仕方なくコンビニで済まそうかと手近なコンビニに入るも、なんとコンビニ強盗に遭遇。風紀委員により犯人が捕まるまで店内に拘束され、結局その日は昼食をとり損ねた。  帰宅後、助手に「センセってば人質似合いませんねー」などと揶揄される。  その日は厄日だった。  ピーターパン事件で何日か学園都市を留守にしていたが、帰ってくるなり風の噂にラルヴァが流行っていると聞いた。  ラルヴァが流行っているとはどういうことだ。ウィルス型のラルヴァが蔓延したのか。それとも会長...
  • 【オニ×モモ 2話】
    ラノです読む  さて、諸君は追われる恐怖というものを感じたことがあるだろうか。  鬼ごっことかでの、スリルとかそういうものではなく、純然たる恐怖を。  ホラー映画とかである、殺人鬼が追いかけてくる恐怖を自分の身で体験したことのある人間はそうそういないと思う。  なにがおそろしいかって、相手は歩いてる。こっちは走ってる。なのに距離が離れないどころか縮まってくる。  あの恐ろしさは並大抵のものじゃない。  どこまで逃げても追ってくる。  どこに逃げてもやってくる。  これを恐怖といわずして何と言う?  前置きが長くなってしまったが……俺、浦尾晃一とそして吉備津すももは、逃げていた。  追ってくる、怪物としか形容できない追跡者に。 「大丈夫かな……」  すももが不安げに見上げてくる。 「大丈夫だ、鍵はちゃんと閉めてる」  俺達は、理科準備室へと逃げ込...
  • 【招き猫の飼い主 第二話】
    ラノで読む  なんとか母親と妹からの質問攻めを誤魔化し通し、|福永《ふくなが》|幸助《こうすけ》は「まね子を送り届けに行く」と嘘をつき、彼女を連れて家を飛び出した。 「――まね子……まね子かぁ」  幸助がその場の勢いで|木根《きね》まね子と名付けた招き猫の少女が、彼から顔を背け何やらブツブツと呟いている。彼女の表情が伺えず幸助は困り果てた末、 「ねぇ、どうかした?」  気弱な幸助は意を決してまね子へと声をかけた。 「えっ!? ……ってお前《めぇ》「どうかした?」じゃねぇよ! こんなだっせぇ名前付けてくれやがって!!」  自分の世界へと入り込んでいたまね子にとってそれは余りに唐突で、大慌てでその場を取り繕うかのように険しい表情で幸助を睨み――額の傷があるとはいえ普通にしていれば十二分に可愛い容姿をしているというのに――大声でまくし立てた。 「えっ!? ごめん、...
  • 【ゴーストヘッドにうってつけの日 第一話】
    ※この物語はフィクションです。作品には暴力的、残酷的な描写を多く含みます。苦手な方はさけてください。 ラノで読む  act.1「マーダー・ライド」  大学部の一室にわずかな明かりが灯っていた。  夜の校舎を闇と静寂が覆っている。キャンパスには誰も残ってはいない。当然だろう、もう時刻は零時を過ぎている。  だが一人の老練な紳士だけがその部屋に籠っていた。  歳のわりに姿勢はよく、手足は長い。皺の刻まれた顔には老眼鏡がよく似合っている。髪はもう黒い部分が残ってはいなかった。それでもどこか彼に若々しさを感じるのは、老人とは思えぬ鋭い目つきのせいであろう。それは狩人の目だ。撃ち滅ぼすべき宿敵を睨みつけているような、怒りに満ちた狩人の目であった。  その紳士、宗像《むなかた》逸夫《いつお》教授は録画された映像をスクリーンに映し出し、自分の研究室でそれを見てい...
  • 【時計仕掛けのメフィストフェレス 第四話】
    ラノで読む  時坂祥吾は、間が悪かった。  赤点を取った補習の帰り。  たとえば、生活費を降ろそうとしたコンビニのATMがメンテナンスで使えなかったり。  仕方ないから、買い物ついでに銀行でお金を降ろそうとしたら、 「この銀行は我々が占領した! 貴様ら全員大人しくしろ、命が惜しくばな!」  銀行強盗のみなさんとランデブーしたりとか。  というか。  間が悪いってレベルじゃねーぞこれ。  第四話 (どうしよっかなあ、これ)  銃を突きつけられながら、時坂祥吾は考える。  さすがに、これは初めての経験だった。というか人生でこんな経験が何度もあってたまるか。  時坂祥吾は、異能者である。  だが、その能力はつまる所、「人造の悪魔の召喚」である。  永劫機メフィストフェレス、その力を操作し、戦う。  逆に言うと、それ...
  • 【怪物記 第二話】
    #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (怪物記3.jpg)     風の唸りに血が叫び 力の限りぶち当たる                ――仮面ライダーV3 1.  世界の『裏側』で戦っていたラルヴァと異能力者の有り様は二十年前から大きく様変わりした。ラルヴァが『表側』に現れ始め、同様に『裏側』にいた異能力者もまた『表側』に出て来はじめたからだ。  いや、出て来たというのは誤りだろう。この学園の生徒の大半は『表側』で生まれたのだから。恐らくはラルヴァも異能力者も『裏側』から『表側』に出てきたのではない。『裏側』だけでなく『表側』でも生まれるようになった。それだけなのだ。  しかし『表側』に生きる人々にとってはそれだけでは済まない。ラルヴァの中には人を食料とする種類もいるし、無自覚や制御不能...
  • 【とらとどらの事件簿 三冊目】
    ラノで読む(推奨) 『すぐ地図の場所まで来てくれ』  夏休み最終日の9月1日、友人である錦 龍《にしき りゅう》、通称ドラから、そんな添付ファイル付きメールが飛んできた。  宿題関係ではない。それはおとといに来たメールで、その中身を写し終えたのを俺は確認している。ならば、何か……厄介な予感しかしない。  曲がりなりにも大親友と言っていい奴であり、その奴がSOSを出しているのだから、行かざるを得ないだろう。  問題は、外の天気。天気予報を見ると、今年初の台風直撃コースだ。まだ雨は降り出していないとはいえ、不気味な潮風が外では渦を巻いている。 「仕方ねーな……」  愚痴をこぼしつつ、雨具の準備だけして寮を出る……そして例によって、俺、中島虎二《なかじま とらじ》は、厄介なことに巻き込まれるのだ。  とらとどらの事件簿  三冊目「ぼくら...
  • 【立浪姉妹の伝説 第四話】
      らのらのhttp //rano.jp/1080    立浪姉妹の伝説 -その栄光と末路-    第四話 大熊のラルヴァ   二十一時を回った、遅い時刻。  立浪みかは帰宅するなり、すぐに寝室のベッドに突っ伏した。前のめりに倒れるよう、彼女はばったりと倒れこんだ。 「はあー、いくらなんでも百体連続でロボットと戦うのは無理だってぇ!」  そう、わざとらしく大声で言ってみせる。  しかし、みかは本当に疲れていた。本当はそのように明るく振舞うことが困難なぐらい衰弱していた。彼女の思ったほど、声は出ていなかった。  そんなみかの枕元に、三女のみくがやってくる。ボロボロになった姉を前にして、涙が溜まっていた。みかはそれを見ると、傷だらけの顔で笑みを作ってみせた。 「なーに泣いてんだい。お姉ちゃんは全然平気だよ。こんなの全然、へっちゃらだよ」  そして、寝室...
  • 西野園ノゾミ
    西野園ノゾミ(CN キャスパー・ウィスパー)  「私は魔女。人の心に潜り、掌握し、操る。世界に相対する存在」 基本情報 スペシャルキャラクター 名前 西野園ノゾミ(にしのその のぞみ) 学年・クラス 高等部 2年A組 性別 女 年齢 17 身長 170 体重 55 性格 典型的なお嬢様を演じているしかし実態は人の命をなんとも思わない魔性の女 生い立ち ラルヴァ信仰団体“聖痕”の殺し屋異能に目覚め、大量殺戮を行っているときスカウトされた 基本口調・人称 丁寧な口調だが、上から目線。~あなた。~私 特記事項 超美人実はレズっ娘 キャラデータ情報 総合ポイント 27 レベル 7 物理攻防(近) 1 物理攻防(遠) 1 精神攻防 6 体力 2 学力 5 魅力 7 運 2 能力名 『ウィスパー・ボイス』 特記事項 スペキャラ その他詳細な設定 能力:人...
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