ARMORED CORE 4

アーマード・コアシリーズの第十一作目。

ストーリー

政府が統治能力を徐々に失い、それに伴い各地でテロ行為や暴動が頻発していた。それらを鎮圧し、秩序の回復を図るため、軍隊はより強力かつ高度に機械化され、軍に様々な兵器を供給する軍産企業もまた、数社の企業から成る強固な軍産複合体を形成し、その影響力を強めていった。

加速する世界の破綻により、ついには経済システムが存亡の危機に陥るに至り、新たな統治体制の確立を目指し、実質的最高権力組織となっていた6つの企業組織が、政府に対し全面戦争を開始した。

後に国家解体戦争と呼ばれるこの戦争は、企業側が投入した最新鋭兵器、特に、コジマ技術などの最新技術を盛り込んだわずか30機にも満たない新兵器ネクストACによって、数多くの国家軍隊はなすすべもなく壊滅し、勃発からわずか一ヶ月程度で、企業側の圧倒的勝利で終結。これにより、企業による統治が開始された。

企業による新たな統治が開始されてから5年後、世界は様々な問題を内包しつつも表面上での安定を保っていた。

組織

GA (Global Armaments)

GAアメリカを筆頭に、欧州法人で兵器開発分野で独自性を発揮するGAヨーロッパ、電子系を母体とするハイテク企業MSACインターナショナル、ロケットエンジン技術に優れるクーガー、軍用車両や炸薬開発に強い有澤重工等の企業を抱える。 GAアメリカとGAヨーロッパの間で内紛が起こっており、GAヨーロッパはGAグループと対立関係にあるレイレナード系の企業、アクアビットとコジマ技術部門で提携している。これに対し、GAアメリカは協調関係にあるローゼンタール系のオーメル・サイエンス・テクノロジーのコジマ技術を用いている。また、BFFとは化石燃料市場を巡り対立関係にある。 ネクストに関しては技術的にも戦力的にも他社の後塵を拝しており、主人公を傭兵として受け入れる要因となった。

ローゼンタール (Rosenthal)

汎用的な兵器を得意とする軍事企業。ネクスト技術において、BFFとは民族関係を背景に協調関係にあったが、現在は主義の違いを理由に対立関係にある。 コジマ技術の独自開発に成功したオーメル・サイエンス・テクノロジーと提携しており、高い技術力を誇り、西アジアに拠点を構えるオーメル・サイエンス・テクノロジーは歴史的経緯からイクバールとも協力関係にある。その反面、コジマ技術のリーディングカンパニーであるアクアビットを擁するレイレナードとは対立関係にある。 『アナザーストーリーVol.1』に登場するミヒャエル・フランチェスカはローゼンタールに所属しており、Vol.3『リンクスレポート』を執筆しているという設定のミド・アウリエルはオーメル所属のリンクスである。

レイレナード (Rayleonard)

元々はエネルギー関連の企業であったが、超高密度水素吸着合金やコジマ技術を用いたAC用ジェネレーターの開発を行うなど、ネクスト技術の根幹を担う。軍需品はネクストAC用に特化しており、高機動型ネクストが知られている。本社はカナダ北部の湖上にある施設「エグザウィル」。一風変わった施設の構造をしているため、その施設を支える柱の破壊が施設への致命的なダメージになってしまう。 コジマ技術のリーディングカンパニーであるアクアビットとは密接な関係にある。アクアビットは北欧に拠点を構える伝統あるエレクトロニクス系軍事企業であり、GAヨーロッパともコジマ技術部門で提携している。 インテリオル・ユニオンとはノーマル開発期から提携関係にある。 最新のコジマ技術を有すると共に所属するリンクスの質も高く、企業間戦争の急先鋒的な存在でもあったが、逆にネクスト戦力に偏った戦力からBFFが壊滅すると軍事インフラの低下を招く。その後、自社の所有するネクストを総動員し反撃を試みるも最終的に主人公にそのほとんどを各個撃破され、本社『エグザウィル』の壊滅により崩壊する。 二社共にノーマルの開発を行っていない。劇中に登場するレイレナード社製の新型ネクスト002-Bはリンクスが搭乗しておらず、制御は自社リンクスの統合制御体のデータを使い作られたAIであるとされ、未完成のため制御がおぼつかない時がある。 企業名は男性の名前「レイ(Ray)」と「レナード(Leonard)」をあわせたものである。

BFF (Bernard and Felix Foundation)

積極的なM&Aを進めることにより力をつけてきた総合企業。単体の企業のみで構成されているものの、その規模は欧州最大を誇る。軍需品は狙撃用パーツなど精密なものが多い。 伝統的にローゼンタールと協調関係にある。ただし、公式サイトの企業相関図には、民族主義から対立している事が記されている。 極端な中央集権体制を敷いており、本社機能は大型艦「クィーンズランス」に集約されているが、逆にこれが仇となり、同艦撃沈によって大打撃を受けた。以後、各地でBFF残存勢力が残党化し、抵抗は続くがBFFの軍事インフラに頼り切っていたレイレナード陣営は戦力不足に追い込まれていく事となる。

インテリオル・ユニオン (Interior Union)

レオーネメカニカ、メリエス、アルドラの三社による連合企業。エネルギーを用いた兵器を得意とする。 レオーネメカニカはインテリオル・ユニオンの盟主を務めるハイテク系軍事企業であり、欧州2位の規模を誇る。メリエスはレーザー技術部門におけるリーディングカンパニーであると同時に、ロケットエンジン部門でも専門性を発揮する。アルドラはアクチュエーター開発に優れ、実弾兵器部門にも進出している。 アナザーストーリーに登場するリンクスの1人、セーラ・アンジェリック・スメラギはレオーネメカニカに所属している。

イクバール (Eqbal)

豊富な人的資源と生産力を武器に、南アジア経済圏を実質的に支配する企業体。有機的な意匠と高い機動性を持つネクストを開発しており、他グループとは異なる発想の装備も開発している。 支配地域に紛争地域が多く含まれているため実戦テストを行いやすい環境にあり、その結果が兵器開発に反映されている。 歴史的経緯からオーメル・サイエンス・テクノロジーとは協調関係にある。 子会社のテクノクラートは総じて技術レベルが低いため、イクバールとの提携が命綱となっている。 この世界にて射突ブレードを開発した唯一の企業。3系で言うところのキサラギにあたる。

用語

アナトリア

主人公が所属する小規模なコロニー。かつてはイェルネフェルト教授の生み出した最先端技術を基幹産業としていたが、教授の死後に技術が流出したことで存亡の危機に陥り、エミールの発案により技術研究用のネクストを用いた傭兵業で生き残りを図った。主人公の目覚しい活躍によって発展を遂げることになるが、ジョシュア・オブライエンが駆るプロトネクストに襲撃され多大な損害を受けた。

コジマ粒子

国家解体戦争の7年前に発見された新物質。発見者の名前を取ってコジマ粒子と命名された。 アクアビットとオーメル・サイエンス・テクノロジーがこれを軍事技術へ応用する事に成功し、現在ではネクストをはじめとしてプライマルアーマー、コジマキャノン等に転用されている。 環境に対して非常に大きな悪影響を及ぼす汚染物質でもあり、使用には厳しい制約が伴う。また恒常的にコジマ粒子に晒されているリンクスは、概して短命であるといわれる。

コジマ技術

コジマ粒子の特性を用いた技術、とりわけ軍事方面における先端技術を指す。プライマルアーマーやコジマキャノン、ネクスト用オーバードブーストなどがこれに該当する。 現在ではレイレナード、アクアビット、オーメル・サイエンス・テクノロジーの3社がこの分野における先端企業といわれる。

国家解体戦争

人口爆発による、食糧およびエネルギー資源の慢性的な不足などによって統治能力の低下した国家に対し、新しい秩序の構築を目指す巨大企業グループによって引き起こされた全面戦争。 企業側の一方的な奇襲によって始まった、人類史上に類を見ない大規模クーデターであり、短期間の内に企業側の圧倒的な勝利によって決着した。この戦争に切り札として投入された少数のネクストACが、従来の戦力を圧倒し、企業の支配権が確立する事となる。

コロニー

一種の特権階級にある企業関係者を除き、人口のほとんどが住む居住区。小都市国家級から、小さな村落まで、大小様々な規模なものが存在する。 市場経済の流れは企業とコロニーの代表の間にのみ成立しているため、一般のコロニー居住者は、その外に置かれ、労働の対価として衣食住および安全を配給されている。 食糧や資源の不足は解決しておらず、コロニー間の直接取引も公式には認められていないため、一部の例外を除き、生活は極めて貧しい。

ネクストAC

ノーマルをベースに最新技術を惜しみなく投入した次世代AC。国家解体戦争で初めて実戦投入され、企業側の切り札となった。 アクアビット社のコジマ技術、アスピナ機関のアレゴリーマニピュレイトシステム(AMS)など多くの先端技術を使用し、ノーマルとは比較にならない戦闘能力を持つ。アナザーストーリーVol.4『熱砂の嵐』の主人公、シーモック・ドリはノーマルとネクストの能力差を、T-34でM1A2に挑むようなものと語っている。 企業の持つ強大な権力の象徴でもあり、パイロット適格者と技術的、政治的理由により、通常はコロニーあるいは武装勢力がネクストを有することはできない。

アーマードコア(AC)

劇中ではネクストに対比して「ノーマル」と呼称される。国家の統治能力減退に比例するように顕在化したテロと暴動の脅威に対抗すべく開発された「圧倒的な火力、制圧力を実現する人型汎用兵器」。 国家解体戦争以前においては、戦場における最大の脅威となった兵器であったが、企業統治下の現在では、一部の最新型あるいは特化型を除いて、その戦闘力や重要度は、PAとAMSを搭載したネクストACに遠く及ばない。 一方で、ネクストと異なり量産可能である事から企業軍の量的な中核という地位は健在であり、コロニーあるいは武装勢力のレベルでは、ノーマルが未だ最強の部類に属する。動力源は燃料電池。

パックス・エコノミカ

国家解体戦争の勝利によって世界を実質的に統治するようになった巨大企業体のスローガン。そもそもはパックス・ロマーナから派生した言葉であり、ラテン語で『経済による平和』を意味する。 パックスは作中における世界行政体制の略語として位置付けられている。

マイノリティ

人種や意見など、何らかの類別を行った際に、人口に対する割合の少ない集団のこと。少数派。設定上では、ミド・アウリエルなどが人種的マイノリティとされている。

マグリブ解放戦線

ホワイトアフリカに本拠を置く反体制武装組織。GAやイクバール製の兵器を中心とした戦力の他、「イレギュラー」と呼ばれる管理機構下にないネクスト二体を保有している。単なる武装勢力と呼ぶにはあまりに充実した戦力を持っており、テロの名を借りた大企業間の代理戦争を担っているという側面もある。

リンクス

ネクストACを駆る者の事。 ネクストの操縦システムであるAMSは搭乗者の能力を機体の戦闘能力にダイレクトに反映させる反面、特異な知的能力を要求する。これを訓練などによって獲得することは極めて困難であり、生来の素質が重要となる。AMS適性の低いリンクスの場合、人間型の手首を廃し、武装を直接内蔵した武器腕をネクストACに採用することで操縦の負担を軽減している例もある。 一種の天才とも評され、軍人ではなく、企業に囲われた被験者や被験体であった場合も多い。 企業管理機構により管理ナンバーが振られているが、国家解体戦争当時からのリンクスはオリジナルと呼ばれる。現存するリンクスの過半数はオリジナルであり、戦後新たにリンクスとなった者は少ない。 表記はLinksだが、山猫を意味するLynxと同じ発音であり、そちらの意味合いに掛けて使われることもある。

リンクス戦争

本作の舞台となる大企業同士の全面戦争。 GA本社が行った、アクアビットと水面下で提携していたGAEハイダ工廠への粛清、それに対するアクアビット社のGAグループへの宣戦布告に端を発し、企業群をオーメル、レイレナード陣営に二分する世界戦争へと発展した。すでに国家に代わり世界を支配していた企業の存亡をかけた戦いは、ネクストをはじめとしたコジマ兵器同士の大規模戦闘を招き、結果としてコジマ汚染が世界中に拡大。最終的にレイレナードとアクアビットの壊滅により、戦争が終結した。戦後、いくつかの企業は崩壊の道を辿り、生き残った企業もまた支配体制の維持が困難なほど疲弊した。

レイヴン

FF以外の既存作品においては主人公を含めた多くの傭兵がこの職業にあり、戦場の花形的立ち位置にあったが、本作ではレイヴンとはノーマルに搭乗する職業傭兵の総称として扱われている。 高い単体戦力と搭乗者の専門性を持つが、国家解体戦争の後、著しい不遇に喘いでおり、その多くは企業の犬となるか、端金でコロニーの自警を担うか、武装勢力に身を窶している。主人公もフィオナに救われる前はレイヴンだった。

オリジナル

国家解体戦争に参戦した26名のリンクスの呼称。国家解体戦争での功績順に番号が振り分けられており、番号が若ければ若いほど多大な戦果をあげた実力者ということになっている。但し、国家解体戦争ではネクスト同士が敵対することはなかったため、対ネクスト戦における実力とは必ずしも一致しない。NO.10以上のオリジナルは各企業内の最強戦力とされ、彼らの使用しているネクストの兵装は各企業が彼ら専用に開発した物である。NO.1ベルリオーズはその実力から、特例として系列外企業のパーツ使用を許されており、敵対陣営である企業のパーツすらも使用している。
最終更新:2012年04月16日 19:45