ルーン

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ルーン(ルインとも)は、ケルト神話に登場する武器であり、アイルランド古文学を代表する名槍である。広くは「槍」の意味を持つ]が、特にアルスターの戦士「ケルトハル・マク・ウテヒル(英語版)」特有の槍をさす。ドゥフタフなど、他人が使用する場合もやはり「ケルトハルのルーン」と称される。

ルーンは、その穂先をどす黒い液(血の煮液、毒液)に浸しておかないと柄が燃焼し、手に持つ人間を危険にさらすという特徴がある。

性質


この発火性の槍を、ケルトハルが取りに現れる戦記(『ロスナリーの戦い』)もあるが、一般に知られるのは、ドゥフタハ・ダイル・テンガが、この「ケルトハルのルーン」を借用し、その発火性の槍を大釜につけて御しているところを目撃される描写である(『ダ・デルガの館の崩壊 』)。 ダ・デルガの館の見張り役は目撃情報を提供し、物識り役は槍の正体を言い当て、それがマグ・トゥレドの戦で見つかったものだと付け加える。

ルーの槍との符合

つまり、この槍はトゥアハ・デ・ダナーン神族の品だったことを暗示している。しかも、この描写は最古の写本にあるものである。ただし、それが神族のひとりルーの槍(日本では通称ブリューナク)だとまでは、アルスター伝説群の諸物語にも明言されていない。 にもかかわらず、長腕のルーが求めた賠償の槍が、のちの「ケルトハルのルーン」であり、さらにのち、コルマク・マク・アルト王の片目を失明させたオェングスが使用した槍であることは、早くからオカリー講義集(1862年没)によって説かれていた。

ルーが賠償に求めた槍は、近世の物語『トゥレンの子らの最期』では、水を張った窯につけておかないと都市を燃焼させるという、ルーンとまったくよく似た性質である。だがその類似性だけで同一視するのではなく、れっきとした根拠もあることは、ヘネシーが、15 - 16世紀の書物「TCD所蔵H 3.17写本(現1336写本)の第723欄にある一節を紹介したことであきらかになった。一節のくだりによれば、

「トゥアハ・デ・ダナーンの長のひとりルー・マク・エスリンの槍は〈森の名だたるイチイの樹〉として知られ..、
コンホヴァル・マク・ネサの時代は〈ケルトハルのルーン〉、また、コルマク・マク・アルトの時代は、
〈ビフダッハのクリヴァル〉と呼ばれていた。(以下略)」

ブラウンの論文は、ルーンが登場する典拠に詳しいが、その主論は、アーサー伝説の聖杯・血槍・剣の原点がアイルランドの神々の四秘宝であるというものであり、ルーンを長腕のルーの槍ばかりか、鍛冶師ゴヴニウの槍ネスとも同一視する。

自滅の凶器

ケルトハルは、自分の飼っていた黒犬ダイルクー(Daolcú)が近所迷惑となったため、この槍を使ってしかたなく退治したが、その時に犬の血が槍をつたって彼を貫通し落命している(『ケルトハル・マク・ウテヒルの最期』)、さらにはドゥフタハ自身も、フェドリウィド(Fedlimid) が振るったこの槍によって斃されたいう記述がある。

アルスター王コンホヴァルの息子クースクリド・メンまでも、コナハトの勇士マク・ケヒトに殺されている。アルスターにとっては、いわば諸刃の剣だったようだ。

予兆の槍

コノートの見張り役はドゥフタハを見知らないが「槍がその発作(興奮)に取り憑かれたとき、そいつは大槍の石突を手のひらを横なぞりに打ち、すると穀袋いっぱいほどの嵩の、煌々とした火の粉火花が槍の穂先と尖端に噴出した」と目撃情報を報告した。また、興奮した槍を漬け込んだ、血黒い釜の中の液体(毒液)の正体は「夜中に魔法を使い、犬と猫とドルイド僧の血を使って作られたもの」だったという。

報告を受けたクーロイは「(前略)真赤な鮮血の釜が直前に置かれるのは、もしその毒血のなかに漬けこんでおかないと、槍の柄か、槍を持つ人間を焼いてしまうからだ。そしてその槍は、戦が間近だと予兆している」と説明した。槍が発作(興奮)にかられるというのは具体的に「感受性のある槍は..その震動によって、戦や殺戮が間近だと予兆する」ことだと編者ヘネシーにより解釈されている。
最終更新:2013年03月07日 22:14