潜移暗化~陰鬱な心と癒せない傷を抱いて~ > コメントログ

  • 一気読みしました。刺さりました。4回くらい。
    1章の松田さんがリアリティあって憎いんだけど憎みきれなくて愛なんて微塵もない社会そのものへの嫌悪にチビりそうになりました。
    そして奈緒のビンタ。この話の中で1番の優しさだったんじゃないでしょうか。
    一番ゾクゾクしたのは爺ちゃんの描写でした。挙動ひとつひとつセリフひとつひとつに、家族の特有の容赦なさがバチバチ出てて
    深爪のところで「これだよこれ」と唸ってしまいました。
    このへんからわたしも暗化してきたのかも知れません。
    そして最後の方のトラブルごめんだPの態度の登場で、
    めでたくわたしも、ぶつけよつの無い大きな塊を背負うこととなりました。
    読ませる展開、人物の浮き立たせ方、見事です。
    -- (なかやま) 2020-06-12 01:36:57
  • タイトルの通り、作中での様々な経験によってひなたはすっかり変わってしまった。
    後半のひなたの精神性からは我々がよく知る彼女の面影がすっかり消えているが、ひなただからこそここまで変わってしまったのだとも感じた。
    ひなたにとって一番の不幸は、もう他人を信じられなくなったことだと思う。誰のどんな言葉も、どんな行動も、きっと彼女の心を温めることはできない。
    本作はエロなしのR-18Gだが、だからといって血肉飛び散るスプラッタなシーンが続くわけではない。
    ただ、健全な青少年に読ませられない話なのは間違いないと思う。健全でない青少年にはもっと読ませられない。 -- (MRMT) 2020-06-12 11:53:55

  • 読みました。予告の時点で楽しみにしておりました。
    とても揺さぶられました。
    まず題材にしたアイドルがひなたってのが確信犯。
    2章のオーディションの下りからもうジェットコースターで読み切ってしまいました。只者ではないモンが来たなぁ…と 高揚感と恐怖が。
    各章ごとのサブタイトルで嫌な予感しかしない上に、実際に様々な人や状況や時間に打ちのめされ、そして変わっていく様がひなた目線で刻々と語られていきます。
    章が進むごとに目を背けたくなるような痛みをともなう読書体験ですが、少女の1つのアイドル譚(けして後味の良いものではないが)を見事に描ききっており、不思議な読後感でした。 -- (伊丹) 2020-06-12 11:58:56
  • バッドエンドという内容・展開に対して真摯に向き合われた作品。なのでそれを許容できる方にだけ強くオススメしたい。巧妙に作られた鬱。
    アイドルという過酷な業界に紛れ込んだ「彼女」は、アイドルとして決定的に何かが足りていない。初めの方こそ木下ひなたに見えるが、それは徐々に露見する。
    タイトルの『潜移暗化』の通り、純朴な白い花は次第に社会、そして東京という毒水を吸い続け、枯れ落ちる。そして彼女は木下ひなたでもアイドルでもない「モブキャラ」と化す。……あるいは初めから、彼女は木下ひなたではなかったのかもしれない。

    いやホント、本物のひなたちゃんはこうじゃないから。本物の彼女を思い浮かべながら読むのは(特にひなたPは)危険かも。
    とても良くできた飲みやすい劇薬でした。 -- (まいてぃん) 2020-06-13 03:21:02
  • 面白かったです。引き込まれました。序盤の奈緒がビンタするシーン印象に残っています。
    たしかにひなたはああいうとき、譲りそうです。それで綺麗なお話的シナリオだとリベンジして見返すみたいなのありそうなのですが、
    現実的に考えたら、ドタキャンしたアイドルというレッテル貼られてまあ終わりですよね。
    しかもそいつもうまくない。ありそうです。出てくる人悪意がある人も多いんですが、でも実際これぐらいの人はたくさんいる。
    読み進めていてしみじみ思いました。
    私の読解力のせいだけど、話の完成度があるだけにラストの終わり方が少し気になりました。
    え、ここで終わりか的な。
    たぶん、ひなたの回想というか想像というオチなのかピンときませんでしたが、ちょっともう一回読み返してきます。
    たたのしかったです。 -- (パク) 2020-06-13 13:25:53
  • 全部読み終わりました。各章のタイトルとか、思わず笑ってしまうような所が多々あって面白かったです。
    登場人物がだいたいクズばかり。他のアイドルやモブはおろか、ひなたまでもがクズ化していて面白かったです。
    クズが堕ちていく様を見るのは、中々すっとするものがありますね。6章までの爽快感は、正直読んでて面白かったです。
    ただ、折角6章ですっとしていたのに、7章のオチはちょっとよくわからなかったです。妄想オチ?
    残念なのは、作品外で「バッドエンド」と盛大にネタバレされていたことです。
    多少幸せになっても「どうせこの後堕ちるんだろうな」とか、お爺さんが出てきた時も「どうせ死ぬんだろうな」とか考えてしまい、先の展開への期待が薄れてしまいました。
    本当だったら「ひなたに成功してほしい」とか、「幸せになってほしい」とか、期待しながら読めたはずなんですが。
    その後、テレフォンパンチの如く約束されたバッド展開が来た時には、悲しいシーンのはずなのに笑ってしまいました。折角のバッドエンド展開なのに。
    あと、作者が喫煙者嫌いすぎてて草です。 -- (バルス) 2020-06-13 21:28:42
  • 時の流れがある分リアルさがありますねこの世界。
    意味がない行動なんですけどミリシタの遊び方変えようと思いました。 -- (そやつ) 2020-06-13 21:58:15
  • 読んでいて強く感じたのは、環境で人も考え方も変わるということでした。
    あの時「もし」違う選択をしていたら、ターニングポイントはいくつもあったのに、そこで最適解を見いだせないひなた。
    誰かに頼ることも尋ねることも出来ないまま、時間だけが過ぎていく。その結果、アイドルとしても木下ひなたという一人の人間としても何ひとつ得られなかった彼女。
    最終章はそんな空っぽの自分と夢を語る他のアイドルの姿を比べて、「ほらね?やっぱりあたしと皆は違うんだ…」という諦観に似た自嘲を浮かべているように感じられました。
    世界は決して明るいだけじゃないという部分を徹底して描かれていて面白かったです。 -- (uskP) 2020-06-14 22:46:49
  • 冗談でなく、参りました。大好きです。

    みんな夢に向かってキラキラ、努力と友情と勝利で突っ走れ!を基調としているアイドル作品では、きっとこういうお話は本編では描きにくいでしょう。特にアイドルマスターでは絶対に無理です。だからこそ、読み応えのあるお話でした。
    アイドルに限らず、競争社会で生きている人々の中には今作のひなたのような人の方が多いのだと思います。願望に見合わない成果と、初めは遠くにあったのにだんだんと目に見えて近づいてくる才能の限界。周りの同期はどんどん前に進み、自分だけが1人取り残されてしまっていく。
    アイドルマスターという題材なので、これはどうしても悲劇に見えてしまいますが、これは悲劇というより極々毎日世界のどこかで当たり前のように繰り返されている現実のように思いました。
    そう思わせてくれたのは、紛れもなく作者の文章表現の巧さ、精密に作り上げた世界観の賜物なのでしょう。お手上げです。このお話を読む前に投稿することに専念して正解でした。この会は交流目的なので、コンテストではないのですが、もしこれがコンテストなら、投稿前にこれを読んでしまっていれば、僕は自作をポケットに引っ込めて、感想を書く役に徹していたと思います。

    大きなモヤモヤを抱えながらも、アイドルに縋り付くように小さなハッピーを血眼で探して、裏切られてを繰り返すひなたに、ただただ何か一つでも納得して終われればいいなと祈りながら読んでいました。でもラストはあぁで、ほんとにバッドエンドや...と頭を抱えてしまいました。

    とにかく刺さりすぎたのでごめんなさい。怪文書失礼しました。 -- (タオール) 2020-06-14 23:35:13
  • こういうタイプの作品は正直かなり苦手なのですが…。それでも続きが気になり
    最後まで読み、案の定暗い気持ちになってしまいました。こういうタイプの
    熱量もあるのだなと思いました。書き上げた作者様と読んだ自分にお疲れ様を言いたいです笑 -- (徒然) 2020-06-15 13:25:31
  • 入念に折っていく感じでしたね。
    どこまで行ってもひなたの根っこは素直で純粋で、ことあるごとに人を思ってしまうんだろうなというのが読みながら感じたことでした。
    そう言われるのも本人は嫌いそうですが。
    「何もない」コンプレックスを抱えていたひなたが最後には何かを手にした。それを見届けられたのは幸いだと思います。
    力作をありがとうございました。 -- (ビンゴ) 2020-06-16 21:29:06
  • 文字数多いからまあゆっくり読むかというつもりでしたが一気に読んでしまいました。
    序盤の常習犯ちゃん以外はとくにこれといった悪人もいませんしひなた本人にも非があるというわけでもありませんが、置かれている世界と彼女という需要の噛み合いでここまで堕ちてしまうものなのだと読んでてずっと落ち込んでいました。
    こういう生々しいドラマは個人的には正直苦手です。要するにそれほどこういう種類の作品として色の主張が明確で、はっきりと味のわかる完成度の高い作品でした。出会えてよかったです。でも再読する気力は残されていません。 -- (だんがいP) 2020-06-16 23:53:33
  • この話を読んで最初に思ったのは、
    もう少し、アイドルやPがひなたに手をさしのべるべきだよなと思いました。
    アイドルマスターという作品である以上、アイドルたちとの間にある絆や大人たちの気遣いは描いて欲しいなと。
    その描写があった上で、ひなたが差し伸べられた手を手に取れず落ちていくのはしょうがないと思うんですけど。
    その点だけがもやもやしましたという感想で終わるはずだったんですけど、
    オチのちゃぶ台がえし。
    このちゃぶ台がえし、個人的にはものすごい最悪で、上記の「アイドルやPがひなたに手をさしのべるべきだよな」という点が、
    このひなたは、最悪を考えた場合、Pもアイドルもまったく信用していない。助けてくれると思っていない。と考えているという事になってしまう。
    そしてそれが、このお話の肝になってしまうところでしょうか。
    救いのない話を書きたかったというなら、十分な作品だったと思います。
    ただ、個人的には救いがなさ過ぎて苦手です。
    -- (kotobuki) 2020-06-17 23:42:16
  • 楽しませていただきました。
    自分を見ることができずに周りを見ることができるひなたは、少し足を踏み外しただけで一気に転げ墜ちるんだなと感じました。
    勘違いした、確認をしなかった、余裕がなくなった。ありとあらゆる選択が"間違い"に動いてしまい、何度「辞めれば幸せになれる」と思ったことか。それでも辞めなかったのは、間違いであると同時に強さ(裏返せば弱さ)なのかなと思いました。
    なによりも、悪人は誰もいない舞台の中で堕ちていくというお話が、読んでいてとてもすっきりするので読み終わったあとの余韻も楽しめました。 -- (300円) 2020-06-18 12:35:15
  • この文章はただの身勝手な感想です。もしもこの場に不適切なのでしたらどうぞ削除していただきますようお願い致します。

    私が最初にこの作品を読んだ時はこんなものかと「別の世界線の765プロの話」で片付けて、そのまま忘れておりました。
    本日作者様がフォロー祭りをされていたそうで、フォロー通知が届きました。
    失礼ながら作者様の名前を憶えていなかったもので、誰でしょうとプロフィールや呟きを確認してこの作品を思い出したのです。
    その流れで作品へのコメントログを読んで、ものすごく胸にもやもやとしたものが溜まってしまいこの文を書き散らしています。

    作者様はこの作品を「毒薬」だと呟いていました。
    この作品へのコメントで皆さまは「悪人は誰もいない舞台の中で堕ちていくお話」とか、「登場人物クズばかり」、「違う選択ができたはずなのに(意訳)」と評しておりました。

    えぇ、えぇ、私のもやもやはきっとこれらを読んだからなのです。
    この作品に対して私の感じたものに最も近いコメントは「TrueEndへの選択肢がない(意訳)」というもの。
    なぜなら作中の「プロデューサー(以下作中P)」は「木下ひなた担当"ではない"プロデューサー」だということ。(作中P≠作者様ですよ念のため)
    悪人だっているじゃあありませんか。作中Pと(未登場の)社長です。
    誰も悪くないだなんて、本当に面白いコメントですこと。違う選択ができたはず? きっとあなたが作中Pならそうなのでしょう。
    登場人物クズばかりとはすっかり視点人物に感情移入されてらっしゃる。きっとこの作品を心から楽しまれたんでしょうね。

    章立てて語られるお話の中で、まず0章の時点で違和感を、1章の時点で作中Pとひなたの関係はダメだとわかるお話。
    まずもって作中Pは「木下ひなた」と信頼関係を築けていない。というよりもそもそも「木下ひなた」を見ていない。
    作中Pがアイドルを輝かせられない無能なら仕方ないでしょうけれど、おぼろげに語られる他のアイドルの活躍から想像すると、作中Pはただの無能ではないように思います。
    書かれていない範囲なので勝手な想像ですが、業務量が作中Pに合っていないか、もしくは木下ひなたに魅力を感じていないかのどちらかでしょうか。恐ろしいほど熱量が少ないように感じるんです。
    もし業務量が作中Pに合っていなかったり、あるいは適切な熱量を向けられる人員配置ができないのは(未登場の)社長の責任です。
    なのでこの作品の木下ひなたに主軸を置いた場合、まず最初に悪だと言えるのは作中Pと(未登場の)社長でしょう。
    そして同じような話を別のアイドルに置き換えても成立する話です。だって成長の機会が得られなかったらFランクのまま引退するのがアイマスでしょう? それともZエンドがよろしいですか?

    さて、この文章はあくまでも、私の想像で身勝手な感想です。
    この話、視点を変えるととても嫌な話になるんですよ。
    これを読んでるあなたのミリシタ内で、ファン数や親愛度が低いアイドルは誰ですか?
    この作品では木下ひなたがそこに当てはまりましたが、あなたの世界線では他の誰かがこのポジションにいますか?
    なのになんでしょう? 作品へのコメントを見ると「偽物」だの「最初から木下ひなたではなかったのかも」だの、愉快なコメントがついているじゃあありませんか。
    あれもまた作中の世界線での「木下ひなた」なんですよ。「偽物」でもなければ「別の誰か」でもない、紛れもなく「『潜移暗化』作品世界の木下ひなた」ですよ。
    だからこそ私はこの作品が好みではないのです。文章の善し悪しではなく「別の世界線の765プロの話」で、私の世界には合わないんですもの。
    -- (名無しさん) 2020-06-23 19:02:00
  • 楽しく読ませていただきました。

    僕の劇場のひなたとは違うと思いつつ、でもこうなる未来もあり得たと思わされてしまいました。
    ひなたの取る選択がことごとく悪い方に転んでいってリカバリーできなくて……どんどんと歪んでいくのがなんともあり得そうでした。
    このひなたには手を差し伸べてくれる人がいなかったのか、いたのにひなたが気付いていなかったのかは分かりませんがどこかに救いの手があればまだなんとかなったのかもしれませんね。
    まぁ救われないからこそこの作品なんでしょうけど。 -- (レン) 2020-06-25 13:06:47
  • 面白かったです。
    二次創作において設定する問題って結局一番悩むところだと思うんですが、
    この作品は難しいテーマにも関わらず作品として作りきっているところがベリー凄いと思いましたね。
    いったいどこから作り始めたのか聞いてみたいです。
    -- (譜代) 2020-06-29 09:41:42
  • 読ませていただきました。
    予告通り、全体として暗いトーンの話で、芯の部分は良かったんじゃないかと思います。
    ひなたがだんだんと、打算的といいますか、疑心暗鬼といいますか、そういったマイナスの方面へ足を踏み入れて行き、結果最後には自分自身さえ見失ってしまうと、そんなストーリーかなと受け取りました。
    その中で一つ、批評させていただきたいところがあります。最も分かりやすいのが、第2章の奈緒がひなたを引っ叩いたシーンです。
    これはもしかすると、私の常識か読む力が足りないのかもしれませんが。
    何故奈緒は、ひなたを引っ叩いたのでしょう?
    これがどうにも引っかかって、そのシーン以降はしばらく集中して読めないほどでした。
    一旦登場人物のキャラなどは置いといて、単純に人が人を引っ叩くというのは、一体どういう感情の表出なのかを考えてみましょう。
    初めに思いつくのはやっぱり、怒りですね。
    暴力は一般的に、興奮状態からもたらされるものですから。
    ただ別パターンとして、愛情の裏返しというのもあります。平手打ちに関しては、この二種で大概区別できるかと思います。
    さて、では今回の場合はどうなのか。
    まず奈緒がひなたに怒っていたら。怒っていたらとは言いますが、小説において突然湧き出してくる感情は存在しません。つまり怒る理由が存在したはずです。
    しかし、奈緒がひなたに怒る理由は、イマイチ読み取れません。
    どちらかと言うと、愛情の裏返しであると考えるべきでしょうか。
    事実奈緒はひなたのことを可愛がっていて、相談してくれなどの発言もします。
    が、これもやはり相応しいとは言えません。
    その後の奈緒の描写を見ると、どちらかと言えば先程の「怒り」という描写に偏っている風に読めます。
    元々愛していたからこその怒り、つまりひなたを信じていたのに裏切られたから、ならば通るのか?
    いえ、それもまた理解しがたいのです。
    そもそも奈緒はひなたに怒りをぶつけているようですが、それ自体少々不思議なのです。
    ひなたが簡単に仕事を渡してしまったから?
    奈緒の立場としては同僚、まぁ人生の先輩として数年長生きはしていますが、それでも殆ど同じ立場にいるはずです。だというのに、ひなたに対する信頼の置き方というのが、同僚のそれではありません。
    プロデューサーが殴るのなら、話としては分かります。彼の立場は上司ですし、年齢を考えても親心のようなものが芽生えておかしくありません。
    しかし今の描写を見る限り、まるで、ひなたを殴りたかったけれど自分で殴るのは嫌だから奈緒に殴らせた、と言わんばかりの描写です。
    そうではないとは信じていますが、この描写では、そういう意図があるのかもしれないと取られかねません。
    このシーンだけでなく全体として、少々理由付けの不足が目立つ箇所があり、その最たる例として出させていただきました。
    特にこの話はダークなものですので、カジュアルな作品に比べて、正確な論理展開が求められます。その点においては、もう少し頑張ってほしかったなぁと思いました。 -- (ムッタ) 2020-07-01 18:07:57
  • 今作に登場している人物は、その殆どが「他人のせい」にしてばかりです。表面上は綺麗事を言って繕っていても、自分からは積極的な行動を起こさずに、基本、責任の矛先からは逃れようとばかりしている気がします。責任とは、決断です。
    そのくせ格好だけはつけたいから、一端の人情家であるかのように彼ら彼女らは振舞っている。卑劣であります。醜悪であります。でも、読者を含めて人はみな、そういう所があるんじゃないかと思います。人の振り見て我が振り直せ、なんて昔からの言葉がありますが、まさに本作は悪しき例としての『人の振り』で、同時に鏡のようであると。……誰だって身に覚えのある自分勝手さを、普段は見ないふりをしてる、考えないでいる腹黒い自分を「ほら! こんなに醜いのだ!!」と鼻先に突きつけられて愉快な気分にはなれないでしょう。
    個人的には保身第一のプロデューサー、肝心な場面では利害を天秤に掛ける所恵美など見応えの有るシーン(要は他の作者ならまず書かない展開)が印象に残りますが、やはり全編を通して変わり続ける木下ひなたが心に残り。結果的に彼女は「救われたのかそうでないのか?」――決めかねる私はソレの選択すら作者さんのせいにして、モヤモヤとここに筆を置こうかと思います。……余談ですが、普段はこれとは真逆の爽やかな話も書いてらっしゃる作者さんだけに、この手の作品を持って来られるとギャップに驚かされてしまいますね。 -- (餡煮詰め) 2020-07-01 21:55:26
  • 良かったです!読む前はR-18Gの表記と文字数にビビりましたが、読みやすくて最後まで一気に読んでしまいました。
    読んでいる間、「こういう人居る!」「こういう事ある!」「こういう気持ち私にもある!」と何回も思いました。どんな出来事でも悪いように受け止めればどこまでも悪く認識できてしまうものですよね。
    どれだけ恵まれている人でも、自分が持っていない物を数え始めると不幸せな気分になってしまいます。作中のひなたも芸能活動とアルバイトを数年続けていたなら、得たものが何もない訳がないはず。でもそれを何もないと思えてしまえるようになるまでの過程が、自然に描かれているのが巧みだなと思いました。
    最後に。変な言い方かもしれませんが、バッドエンドだと最初から分かっているおかげで安心して読めました。 -- (azuu) 2020-07-02 16:05:52
  • 楽しかったです。登場人物像が偏ってるというか寄ってるなと思ったら、最後でなるほどなーって思ったです。 -- (さむお) 2020-07-03 18:10:55
  • アイドルって存在にあまり共感が持てなくて、ミリオン以外のアイドルものはあまり興味が持てず、いっそミリオンもうアイドルものじゃなきゃいいのになと思うんですけど。やっぱりアイドルってやだなあと。 -- (ririwo) 2020-07-04 05:54:20
  • 非常にサクサクと読める作品でした
    全体的に暗めの話というのは最初の四字熟語の説明、
    そしてタグからわかっていましたが、それでもこれだけ
    重い話をスッと読み進めさせる地の文に感動いたしました。

    全体的にひなたの一人称視点で物語が進んでいく中、
    ひなたの内面が簡潔に、しかし軽いものではなく
    確かな重みをもって伝わってきました。
    これだけの心情描写を難しい言葉を使わず、ひなたの言葉に
    その時期のひなたの成長、変化に寄り添って書かれており、
    それがまた読みやすさの一翼を担っていたのではないかと思いました。

    テーマとして大変重いものを扱っていながら、読み手にまったく
    負担をかけずに読み進めさせる文章、大変好みのものでした。

    結末の方に関しては、ひなたの一人称視点を外したことによって
    彼女の結論を見せない、その時の心境を明かさせない。
    読者から見えないようにして、最後の彼女の心境を考えさせる。
    そして言葉として明示しない。
    彼女が何歳か、明確に絞り込める要素を徹底的に排除しているあたり、
    考察のしようがなくてモヤっとした部分も残りましたが、
    そういう意図があるのであれば見事にしてやられた、と思いました

    視点の使い方を上手く行っており、読みやすく、意図もくみ取りやすく
    大変読みやすい作品でした。
    面白く、というのは不謹慎ではありますが。
    続きが気になる、早く次のページへ、とまるで紙媒体を読んでいる
    ような高揚感を覚える一作でした。 -- (ゴーヤ) 2020-07-12 02:55:29
最終更新:2020年07月12日 02:55
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。