澪梓wiki内検索 / 「ロバとサラブレッド」で検索した結果

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  • ロバとサラブレッド
    ...スリー!」 ロバとサラブレッドの長い旅は、まだ始まったばかり──。 (おしまい)
  • ss1
    ...雨の放課後に 6 ロバとサラブレッド 7 ガチャ 無題5 8 澪先輩の誕生日がやってくる。しかし私はどうしても良さげなプレゼントが浮かばない。 無題6 9 25話より 無題7 10 Pretty jealousy 11 唯「おはよ~みんな~」 途中。無題8 12 澪先輩はとにかく人気者だ。 無題9 13 水着姿でつかまえて ~その後~ 水着姿でつかまえての続編。 14 澪「熱38度5分もあるし、風邪だよ」 無題10 15 優しい手のひら txt1 16 先輩方が卒業したあとのGW 無題11 17 澪は三十分も前から待ち合わせ場所にいた。 txt2 18 純「ねえ、梓」 txt3 19 お茶会のあと、そして 20 今日は部活は休み。 無題12 21 目覚まし時計の音で少し目が覚める 姉妹設定。無題13 一つ前のページにもどる
  • 恋文
    ハートマークがプリントされた便箋を前に、頭を抱え込んだ。 いくつもの言葉が、浮かんでは消え、書こうとすれば指先が止まる。 思いを届けたい、伝えたい結果がどちらにしても・・・。 もうすぐ、二学期も終わる。 来年は、先輩達も受験生になり忙しくなる。 だから、今、私は先輩にラブレターを書いている。 ボールペンを持った指先が迷う、私の心を、先輩への気持ちを伝える言葉を探して。 土日を費やし、書き上げた手紙をピンクの封筒に入れ、中央に『澪先輩へ』右下に、 『中野梓』と記入した。 後は、どうやって渡すかだ、それが一番難しいかも。 月曜日 朝、何時もより早く学校へ向かう、ベタだけど先輩の下駄箱手紙を入れる為、だが先輩の下駄箱には、既に何通かの手紙が入ってた、流石澪先輩、ファンクラブが有るから当然だよね。 私も入れようとしたけど、手が震え、また手紙を持つ指先が迷った。 本当...
  • 砂粒
    換気のために開けた窓から入ってくる外気が、微かな春の香りを運んでくる テーブルの上に置かれた砂時計(唯が100円ショップで買ってきたものだ)からは、白い砂がサラサラと小さな音を立てて流れ落ちている 隣に座った梓に目をやると、細い指を器用に屈伸させ新曲の運指を確認していた 小さな頭越しに見えた壁時計は17時を数分過ぎ、部室に射し込んでくる陽光には橙色が混じり始めている 「そろそろ帰ろっか」 「はい」 返ってきた返事とは裏腹に、梓の指は動き続けている 「先に帰るよ?」 「あ、はい。どうぞ」 素っ気ない返答に何故かムッとした 「お先に」 後も振り返らずに、梓一人を残し部室を出た 人気の少なくなった階段を降りながら、何に対して苛立っているのか自問した そしてそれに自答できないことが更に私を...
  • すとぱん! ~妖精占い~
     『すとぱん!』  ~妖精占い~ ────  スオムス。そこは広大な森と無数の湖、そして妖精たちの王国。     ◇  ◆  ◇ 「そういやムギって、占いとか得意なんだってな」  不意に律先輩の大声が耳に飛び込んできた。MP3プレーヤーのノイズキャンセラーを最大にしていたはずなのに、それでも律先輩の突然の前振りまでは消去し切れないらしい。それとも『占い』というステキワードに反応してしまった私の方の問題だろうか。こっそりプレーヤーの音量を下げながら、それまで閉じていた目をゆっくりと開け、そっと辺りの様子をうかがう。 「得意というほどよく当たるわけじゃないけど、好きなことは確かよ」  柔らかなトーンの声でムギ先輩が答えている。もっとも、この人が声を荒げる場面なんて、あんまり想像できないけど。  こうやって私たちがゴロゴロし...
  • 部活後の逢い引き
    「静かだな……」  ――窓の外では、夕焼けに染まった空が次第に暮れはじめている。  すでに部活は終わり誰もいない部室で、私は一人の女の子が戻ってくるのを待っていた。  と、部室の外からトットットッ……と誰かが階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきて。  その駆け上がる足音で誰がやってきたのか、私にはもう既に分かってしまっていた。 「お待たせしました、澪先輩」 「ふふっ、そんなに待ってないよ」  ドアが開き、荒い息遣いで部室に戻ってきた梓に私はふっと微笑む。  梓のことだから、私をあまり待たせないように急いできたんだろうな。 「唯先輩達には、宿題に使う教科書を教室に忘れたって言ってきました」 「ん、私は学校帰りにそのまま両親と外食に行くって言って別れてきたから、これで怪しまれることはないな」 「お互い行き先は別の場所なので、大丈夫です...
  • 曽我部先輩、最後の勝利
     贖罪。     ◇  ◆  ◇  秋山澪ファンクラブのお茶会は盛況のうちに終了し、今は参加者たちがひな壇に並んで記念撮影の真っ最中。もちろんその中心にいるのは我らがアイドル、秋山澪その人である。ズイブンと微笑ましい光景だ。もっとも当の本人の笑顔だけが、どこか引きつっているようにも見えるのは、ただの気のせいだろうか。大学受験も近づいていることだし、今のうちにメガネの度数に問題がないか、眼科で再検査してもらった方がいいかも知れない。  やれやれ。どうしてこう物事を斜に見てしまうだろう。我ながらつくづくイヤになってしまう。ファンクラブ会長であり、何よりお茶会の発案者という立場でありながら、おそらくこの私だけがこのバカ騒ぎを醒めた目で眺めているという現実に。いやむしろ、この後に──。  おっと、もう一人いたわね。この場から浮いている子が。会場の一角で所在なさげに撮...
  • お茶会のあと、そして
    怖い話は苦手。 痛い話なんて聞きたくない。 でも一生に一度くらいは、立ち向かわなくちゃいけないことだってあるんだ。     ◇  ◆  ◇ ようやく地獄のような時間が終わった。 『秋山澪ファンクラブお茶会』は、なんとか無事に幕を閉じた。 いろいろグダグダだったけど、最後の新曲のお披露目と写真撮影には会員の人たちも大満足だったみたい。 そして終わってしまった宴のあとで、いつもの軽音部のメンバーに和 ──なんと二代目ファンクラブ会長なんだよ、コイツ── を加えて、簡単な打ち上げをやっている。 とはいっても私は、もっぱら盛り上がるみんなを横で眺めているだけだ。 「いやーしかし、会員の子たちの反応が初々しくてよかったよなー」 「澪ちゃんの『板垣退助』めっちゃ受けてたし」 「そうそう。あ、それと、やっぱり澪ちゃんへ百の質問とか、」 ...
  • 澪先輩はとにかく人気者だ。
    澪先輩はとにかく人気者だ。  1年次のライブで一躍スターになりFCまで存在する。  通学途中も、澪先輩は次々と声を掛けられる。  なんだろう……。この気持ちは……。 「梓、どうかした?」  澪先輩は急に振り返り、私の顔を覗き込んでくる。 「べ、別に何でも無いです」  私が答えるとふーん、と頷いて、澪先輩は律先輩とおしゃべりを始める。  けど、私は……。   ―――いつからだろう?  私がこんな気持ちを抱くようになったのは……。 「―――でさあ、あの時……」  澪先輩が誰かとおしゃべりするたびに、私の胸に鈍い痛みが走る。それは、醜くて今すぐにでも 捨ててしまいたい感情。 ―――嫉妬。  そう。私は嫉妬してるんだ……。澪先輩に近付くみんなに。  同じ学校の子。ファンクラブの子。そして、けいおん部の仲間である律先輩にさえも...
  • 十五夜
    ――日付も変わった現在、深夜一時。  大学寮の自室の窓から空を見上げると、輝く星々の真ん中に一際輝く月が真円を描いてその存在を現わにしていて。  どうやら日付が変わるまでずっと出ていた雲はようやく過ぎ去ってくれたみたい。 澪「綺麗だな……」  私は窓際に置いてある椅子に座り、ただ満月を見上げている。 外は静かで、ちょっとした風流を楽しむのにはもってこいだ。 ――と、 「んん……せんぱい……?」  すぐ横にあるベッドの方から、いかにも眠たそうに私を呼ぶ声が聞こえてきた。 澪「ごめん、起こしちゃったか梓」 梓「どうしたんですか……? こんな夜中に……」  そう言いながら梓はもぞもぞとベッドから抜け出すと、私に甘えるようにぎゅっと抱きついてくる。 澪「とと……私ならもうしばらくしたら寝るから梓は寝てていいんだぞ...
  • お引っ越し!
    ドキドキが止まらない。  この日をずっと待ちわびていた。  でも、この日を迎えると胸が高鳴ってもう収拾がつかなくなっちゃって。  別にステージに立つわけでもないし、ファンクラブのみんなの前でケーキカットをするわけでもなんでもないんだけど。  今日は、愛しの梓が私の下宿先に引っ越してくる日。  ふたりでの新しい生活が始まる日。  私たちの通う大学に進学すると梓が初めて私の下宿に遊びに来たときで――たしかGWの頃だったと思う――、こう言ったのを今も覚えてる。  『同じ大学に入って、澪先輩と一緒に住みます!!』  つい、嬉しくて。梓の頭を撫でながら。  『私は待ってるぞ』  と返した。  梓、純、憂と、みんな同じ大学を第一希望にして、3人揃って必死に勉強していた。私も力になってあげたいと思って、ちょこちょこと暇を見ては梓の家や平沢家とかで勉強を見たり...
  • 愛される温かさ、愛する嬉しさ
    ―キーンコーンカーンコーン。 「はあ・・・」 現在、6時間目の授業開始のチャイムが鳴り響いた所。 だというのに、自分は今こうして保健室の窓際にあるベッドで横になっているのは何ともいかがなものか。 「まあ、仕方ないといえば仕方ないし自業自得といえば自業自得だけど」 事は先程の5時間目の体育のバスケットの最中。 ジャンプシュートを放った時に着地がまずかったのか、片足を捻ってしまった。 最初はちょっと鈍い痛みぐらいだったので気にしないようにしてたが、授業が終わる頃には痛くてまともに歩くのも辛い状態になってしまい、律に肩を貸してもらう形で保健室にやってきた。 しかし、今日に限って保健の先生が出払っており治療としてはただテーピングでガチガチに固めただけ――先生がいないのに勝手に使っていいのかと思ったが、律が「ちょっとぐらい構わないだろ」と強引...
  • 天使との優しく甘い口づけ
    「澪先輩っ」 「ととっ・・・どうした、梓?」 学校が終わり私の家にやってきた梓は、私の部屋に入った所でいきなり抱きついてきた。 「あ、あのですねっ」 「?」 梓は私の背に両腕を回し、ぎゅうっと私を抱きしめながら頬を紅く染めてもじもじしている。 「い、いつもあの、先輩の方からキスしていただいてばかりなのでっ、たまには私の方から先輩にキスしたいって思いましてっ・・・」 「・・・む」 確かにそう言われると、梓にキスする時はいつも私の方からだった。 それは私自身が梓を守ると決めてから、私の方から梓を抱きしめて甘えさせてあげたいという気持ちがあったのでキスする時も私から、という考えがあったからなのだけど。 「たまには私の方からも先輩にキスしてあげたくって、いつも先輩からしてもらってばかりで悪い気がして・・・」 「梓・・・」 「い、いや...
  • Brilliant Morning
    温かい感触。 澪先輩が側にいる。温かい。 先輩の体温を感じる・・・。 「梓・・・」 ウトウトとまどろんでいた意識は、先輩の声によって現実に引き戻された。 「う・・・ん・・・おはようございます、澪先輩。」 目を覚ますと澪先輩の柔らかな笑顔。 そして・・・。 「?・・・きゃっ!」 先輩の姿を見て思わず小さく悲鳴をあげた。ベッドの上。 白いシーツに包まれた澪先輩が何も着てなかったから。 それに、私も。 「何を今更驚いているんだ、梓?」 隣で澪先輩がくすっと笑う。 「昨日、梓からあんなに・・・むぐっ」 「わっ、わっ・・・わかってますっ!思い出しましたっ!」 私は慌てて澪先輩の口を塞いだ。 もう私は朝から顔が真っ赤になっているに違いない。 「ぷはっ・・・ごめん。」 澪先輩は私の手をぎゅっと握り、塞いだ口を自由にした。...
  • 決戦の朝
    みんなとの待ち合わせには少し早い時間だったけど、両親にいってきますと言い残して玄関を開けた。 するとまだ暗い歩道に、小さな黒い人影が立っているのが目に映った。 「どうした梓。何かあったのか」 あわてて駆け寄る。白い息が身体にまとわりつく。昨日から雪が積もるほどの寒さだったから。 「昨日、夜、テレビを見てたんです。そしたら……」 そのままうつむいて言いよどむ。 「そしたら……?」 できるだけ優しい声音で私は先を促す。すると再び梓が顔を上げる。 「ストレスやプレッシャーに一番効き目があるのは『抱きしめてあげること』なんだって」 消え入りそうな声で。 「それで、今朝は本命の大学の受験日だから、きっと先輩もプレッシャー凄いんじゃないかと思って」 ひたむきな色をたたえた瞳で。 「だから、あの、もし私でよかったら...
  • 小ネタ 無題42
     とある人に勧められて借りた恋愛(?)マンガ。  課題も終わったし、寝るまでちょっと余裕があるから読んで見たんだけど――。  なんか読みふけっちゃって寝る時間をいつもより1時間ぐらいすぎていた。  今読んでる4巻まで読み終わったら寝よう! と決めてまた読み始めた。  ページをめくって、びっくりする台詞が目に飛び込んできた。  『ぶっちゃけ、その相手とやりたい?』  真っ赤になってマンガを閉じた。  私は――。   :   :   :  あーもう、寝よう寝よう!  ベッドに入り、寝ようと目を閉じた。  だけど、さっきの台詞が忘れられない。    流れるような、艶やかな黒髪。    小動物のように愛くるしい瞳。    小さくも桃のように甘く、みずみずしい唇。    私の腕の中にすっぽりと収まる感触。 「――!」...
  • 会長はネコ耳様!
     ──「あ、あの……何ですかこれ」  ──「何ってネコ耳だけど」  ──「いや、それはわかるんですけど……えと、これをどうすれば」                   (「けいおん!」#09「新入部員!」より)     ◇  ◆  ◇  可愛いマフラーを巻き終えた真鍋さんが、私に向かって別れの挨拶を告げた。 「それでは会長、お先に失礼します」 「はい、お疲れさまでした」  秋の日はつるべ落としなどと言われるが、つい先ほどまで明るかったはずの窓の外は、いつの間にかすっかり闇に包まれていた。どうやら少しばかり仕事に没頭しすぎたらしい。 「もうすっかり遅くなってしまったから、真鍋さんも気をつけて帰って」 「わかりました。会長も、あまり無理しないでくださいね」 「ありがとう。そうする」  ぱたん、と生徒会室の扉が閉まる。  ...
  • 小ネタ 無題40
     朝4時。新聞配達でかけずり回るカブのエンジン音が、夜闇に響く。そんな時間帯。  昼夜逆転廃人どもが寝ようかと思い始めているだろう時間に、彼女は目を覚ました。 「………」  のっそりと身体を起こし、無言で携帯を開き、時間を確認する。  もちろん目覚まし時計は使っていない。使ったら親にバレるからだ。  布団から少々身体を出した少女は、朝の冷え込みに身体を震わせた。一回布団に戻ろうとする仕草を見せたが、勇気を出して布団から抜け出し、準備を始める。  本当は、朝ご飯を食べたり、シャワーを浴びたかったり、髪をしっかり梳いたりといろいろと遣りたいことはあるけれども、今日は必ず成し遂げなければならないミッションがある。  普段着――といっても、かなりの防寒装備を施す――に着替える。  タイツを二重に穿き、ジャージを穿き、ウィンドブレーカーを穿いた。正直、ダサいと彼女も...
  • 守る想い、助けになる想い
    「ふう・・・一人で残ってやってたからって、ちょっと練習に熱を入れすぎたかな」 今日はどうにも練習での自分の演奏に納得が出来なかったので、先輩達が帰った後も私は一人で残って練習をしていた。 そうしてしばらく一人で練習したのち下校時間も近付き、外も暗くなってきた所で私もそろそろ帰る事に。 「もう他の生徒も残ってないだろうし、早く帰ろ・・・」 そうして部室前の階段を下りていた所、肩に担いでいるムスタングがずり落ちかけたので担ぎ直そうとした瞬間、 ―ずるっ、 「きゃっ!?」 ―だんっ!どさっ! 「いっ・・・いったあっ・・・!」 ムスタングがずり落ちかけたのを担ぎ直そうとした時に足元を見ずに階段を下りたのがまずかったのか、私は階段を踏み外してしまった。 幸い、ねんざとかはせずにムスタングも無事だったけど踏み外した時に階段に勢い...
  • 小ネタ 無題24
    紬「梓ちゃん大丈夫!?」 梓「ふぁ、ふぁーい‥だいひょうふれすよ~」フラフラ ドン! ?「おっと‥」ガシッ 梓(いっと‥あれ? いま誰かにもたれかかっているような‥‥) 梓「‥っってええええ み、澪先輩!?//」 澪「大丈夫か梓? だいぶフラついちゃってるけど」 梓「はっははっははいっ! す、すいません急にぶつかったりして‥//」かぁ~っ 澪「まったくアイツらは‥梓ゴメンな、急に皆で変なことしちゃって‥」 梓「い、いいえ 私は別に大丈夫ですから!」 梓(受験前なのに私の心配までしてくれて‥やっぱ澪先輩は優しいな‥//) 澪「」じ~~~~っ 梓「‥‥って、えと、澪先輩、私の顔に何か?//」 ギュッ 梓「ちょおっ、み、みみみ澪先輩!?」 澪「ホントだ‥唯の言った通り抱き...
  • 澪先輩と私のパフューム
    「おはよう、梓」 眩しいくらいの陽射しと、澪先輩の声と、コーヒーの香り。 それに加えてわずかに知らない匂い。いや、昨日までは知らなった匂い。 ええと、なんだっけ、この匂いは。 「……おはようございます、先輩」 寝ぼけまなこをこすりながら挨拶を返す。あれ、どこだっけ、ここ。 「梓は意外にお寝坊さんなんだな。ひょっとして低血圧?」 「……それは……昨日、あんな夜遅くまで付き合わされたからじゃないですか」 しれっと笑顔で話しかけてくる澪先輩に、思わず口答えしてしまった。 少し遅れて、昨夜のいろんな記憶がよみがえってくる。 先輩の柔らかな感触とか。先輩の大きさとか。先輩の汗とか。先輩の……声とか。 それと……昨日初めて知った、匂い。 「コーヒーは飲める? やっぱミルクと砂糖は入れた方がいいかな」 「……それじゃ、ミルクだけ」...
  • 優しい手のひら
     雨の音がする。  そう、「雨の音」が開いた窓の向こうの世界から鳴り響いていた。  “しとしと”という擬音は誰が考えたのだろう。ただの水の雫が空から落ちてきて、いろんなものに当たって音を立てている情景を、なんともうまく表しているように感じる。 「雨……、やみそうにないですね」  窓を開け、今日の天気の空模様を確認して、中野梓は隣の彼女へと呟いた。 「そうだなぁ」  ほんの10センチほど高い位置で、同じように窓の外を眺めていたこの部屋の主である彼女――秋山澪が返事をする。 「どうしましょう……」  雨は絶えず降り続いている。それほど激しい雨ではないけれど、心なしか梓がここまで来た時よりも雨足が強くなってきた気がする。 「これじゃあ出かけるのは無理かな」 「……そうですね」  休日のお昼にも程近い頃。梓は澪の家までやって来ていた。本来だったらこのまま二人で出かけるはずだっ...
  • 静かな夜に
    最近そろそろテストが近いという事もあり、私は今日は澪先輩の家に来て勉強を教えていただいていました。 最初は受験生である澪先輩の手を借りるのは迷惑では、と思っていたけれど澪先輩は「私としても基礎の見直しになるよ」と言ってくれて付き合ってくれたのは何だか申し訳なく思いつつも嬉しかった。 「澪先輩、この部分はどう・・・」 「それはこうだよ」 「なるほど・・・ありがとうございます」 澪先輩はすぐ隣で親身になって、分からない所も丁寧に教えてくれるので一人でやる時より苦にならず勉強に集中する事が出来ました。 「ふう、大体の範囲はこれで終わったかな?」 「そうですね、大体ここまでです」 「そっか・・・じゃあ一通り終わったな。お疲れさま、梓」 「こちらこそ今日はありがとうございました、澪先輩っ」 私はぺこりと頭を下げて感謝を表す。 「ううん、私としてもい...
  • 結ばれる絆、繋がる心
    「はぁ・・・やっぱり落ち着くな・・・」 「・・・あ、あの」 先輩達の卒業式が間近になってきたある日、澪先輩から「大事なことがあるから家に来てくれないか?」と、こうして先輩の家にやってきたのだけど・・・。 「こうしてるとやっぱり心が安らぐ・・・」 「・・・あのっ」 ええっと・・・澪先輩の家に来て、そして自室までやってきて。澪先輩がベッドに座って、「大事なことって何ですか?」と私が言いながら近づいたら、こうして膝の上に乗せられて、後ろからぎゅーっと抱きしめられて。 いや、勿論こうして澪先輩から抱きしめられるのは嫌などころかむしろ嬉しいし、私を抱きしめてすっごく幸せそうな顔をしてる澪先輩を見てるとこっちも何だか幸せになってくる。 けど少々いきなりすぎて、頭が軽く混乱してる。 「あ、あのっ・・・澪先輩っ?」 「ん?・・・ああ、ごめん。部屋まで来たら何...
  • 私は中野梓、今年桜ヶ丘女子高に入学しました。
    私は中野梓、今年桜ヶ丘女子高に入学しました。 新歓のクラブ発表で、軽音部の演奏に感動して 入部する事にした楽しみだな。 顔合わせの日がやってきた。 私が自己紹介を始めるとすぐに質問責めに有った 中々に明るい部らしい。 質問してきた先輩お二方はカチューシャを付けた 人とヘアピンを付けた先輩・・・ 確かカチューシャの先輩はドラムでヘアピンの先 輩はギター&ボーカルの先輩だ。 この先輩のギターの音色、テクニック云々じゃな くて暖かく優しい感じのする音に憧れたんだよね。 でも、自己紹介が進まないで困惑してると、2人 の後ろから、「落ち着け、中野さんが困ってるだ ろ」と制止てくれた。 声の方を振り向くと別の2人の先輩が・・・お一人は ニコニコと優しい笑みを湛え、もうお一人はやれやれ と呆れ顔でこちらを見ていた。 落ち着いた所で自己紹介を続け終わらせる。 次に先輩...
  • 先輩方が卒業したあとのGW
    先輩方が卒業したあとのGW 久しぶりに5人揃ってスタジオに集まり、音合わせをしました 練習し終わったあと、私達は澪先輩の家のアパート(大学の下宿先)に集まりました 私ももう3年生、勉強に手を抜いている場合じゃありません 先輩方と一緒の大学に行くためにも・・・ 澪先輩に勉強を教えてもらっていました 澪:ここはこうして、で、ここは・・・ 梓:なるほど 唯:あーずにゃん!えい! 唯先輩が私に抱きついてきました 梓:ひゃ!! 澪:こら!唯!勉強の邪魔をするな! 律:おらーーーーーーー 律先輩は唯先輩にアームロックをしかけました 唯:り!りっちゃんギブギブ!!! 律:はっはっは!私の勝ち~~! 澪:梓の勉強の邪魔だろ、まったく・・・ 澪先輩が愚痴を言っています この二人のテンションは高校の...
  • 澪「熱38度5分もあるし、風邪だよ」
    澪「熱38度5分もあるし、風邪だよ」 梓「頭痛いです・・・」 普段は元気な梓は、風邪を引きベッドでうなだれていた。 梓「うう・・・」 梓はシーツで軽く顔を隠した。くすりと笑うと私は梓の手を握る。 澪「今日はゆっくり休むんだな」 午後になり梓はますます具合が悪そうだった。 澪「お粥作ったけど食べられる?」 梓「・・・ハイ。澪先輩の作った物なら何でも・・・・」 ゆっくりと起き上がった梓の息は荒い。 澪「はい、あーん」 梓「猫舌なんでふーふーしてください」 澪「・・・・ほら、ふーふー」 多少照れ臭かったがリクエストには応えておいた。 梓「美味しいです」 にこりと微笑む彼女を見て、一気に心拍数が上がった。屈託のない笑顔はそれだけで心を掻き乱す。 澪「梓、喉乾いたろ、...
  • バレンタイン・ストーム ~その3 可能行動~
        ◇  ◆  ◇  定期試験直前といった特別の理由でもない限り、放課後になると私たち軽音部の部員は誰からともなく部室へと集まってくる。もちろんそれは今日も例外じゃない。バレンタインデーに女子ばかりで集まっているというのがちょっと悲しいが、裏を返せば今年も抜け駆けした子がいないという意味でもあるから、まったく悪いことばかりとは言えない。  私が部室に顔を出したときには、すでに他の二年生部員が全員そろっていた。つまりリードギター担当の平沢唯とキーボード担当の琴吹紬、そして我が不肖の幼なじみにしてパワーに溢れすぎなオデコのドラマー、部長の田井中律である。するとそれまで唯とバカ話で盛り上がっていた律が、急に私の方を振り返った。 「澪。なんか今、ものすごく失礼なこと考えてただろ」 「……別に」  平静を装いながらも内心で舌を巻く。ほんと、こういうところだけは鋭...
  • 澪先輩と二度寝
    「んー……」  あたたかく、柔らかな日差しと感触を感じてゆるゆると目を覚ます。  重い寝ぼけまなこをぱちぱちさせながら、ベッドの横にある時計を見ると7時ちょっと過ぎ。  今日は休みだし、なんだか寝足りない気もするのでもうちょっと寝ようかなと思い目を閉じかけ、 「ん、あんっ……」 「ふえっ?」  寝返りを打とうとした所、むにゅ、と柔らかい感触を体に感じ、それと同時になんだか艶めいた声が聞こえたような……ん、そういえば感触?  そこでようやくまどろんでいた意識がはっきりしてきて、横にある時計とは逆の方に目をやると。 「すー……すー……」  見た者10人いるとするならば、10人全員の視線を釘付けにするような。  綺麗でかつ可愛い、澪先輩の寝顔が目の前にあった。 「うーん……あずさ……?」 「み、澪先輩」  私が目を覚...
  • 茜色の触れ合い
     ――西に大きく傾いた太陽の夕日が室内を照らしている。  今は茜色に染まっている外もあと一時間もすれば真っ暗になる代わりに、空にはまばゆい星の海が見えるだろう。 「ん……」 「ん……んん……」  茜色に染まる家の自室が少しずつ暗くなりはじめようとする中、私は澪先輩とベッドに座った状態で唇を重ね合い、先輩とのキスにひたっている。  先輩とのキスはとっても甘くて、長くしていたらとろけちゃいそうなぐらい。  静かに唇が離れると当時にゆっくりと目を開くと、先輩は頬を赤く染めながらも柔らかな笑みで私を見つめる。  私もきっと先輩と同じように、頬を赤く染めているって思う。 「……くすっ」 「ん、どうした?」  はにかみながら笑みをこぼす私に、先輩が耳元で優しくたずねる。 「もう何回目でしょうね、こうして澪先輩とキスするの」 「んー、何回...
  • 膝枕
    「こんにちは」 放課後。 私は、纏わりついて離れない眠気を振り払うように、元気に部室のドアを開ける。 だが、そこには誰も居らず、がらんとした空間が空しく広がっていた。 「あれ?みなさん、まだなんだ」 私の、いささか拍子抜けした呟きが、無人の部室に大きく響く。 仕方がないので、個人練習でもしようとムッタンをケースから出し、ストラップを肩にかけた時、 「あっ」 私は思わずふらつき、ムッタンのヘッドを派手に床に叩き付けそうになってしまった。 (危ない危ない) 私は、冷や汗を拭きながら、体制を立て直した。 (いくらなんでも夕べはやりすぎたな) 私は、夕べ、ほとんど寝ていなかった。 というのも、今度やる極を練習していて、かっこいいフレーズを思いついたのだが、それがうまく弾けず、できるまで練習し続けてしまったのだ。 ...
  • 小ネタ 無題60
    チュンチュン…… 梓(ううん……むにゃ……ん……?)フニュッ 梓(あれ、なんだろ……すごくあったかくて、やわらかいものにだきしめられてるような……) 梓(きもちいい……このままずっとこうしてあまえていたいな……)ギュッ 「んー……あずさ……」 梓(え……今の声って?)パチリ 澪「すー……」 梓(み、澪先輩!? な、なんで澪先輩が私のベッドに……!?) 梓(あっ、そっそうだ、昨日、先輩がキスしてくれて、抱きしめてくれて、そのままっ……) 梓(……///)カァッ 澪「ん……梓?」パチリ 梓「ひゃっ、澪先輩……起こしちゃいましたか?」 澪「おはよう、梓……んっ」グイッ 梓「んっ? んんー!」チュッ 梓「はぁっ……せ、先輩、起きていきなりキスするなんて///」 澪「ふふ...
  • いけない夢
    現在、時刻は夜12時を過ぎた所。 ムスタングの手入れをしてたらすっかり寝るのが遅くなっちゃった・・・そろそろ布団に入って寝よう、と思ったとき。 「梓、起きてる?」 「お姉ちゃん?今寝ようかと思ったとこだけど・・・どうしたの?」 お姉ちゃんがテスト前でもないのにこんな時間に起きていて、尚且つ私の部屋を訪ねてくるなんて珍しい。 「澪お姉ちゃん?」 「ああ、いや、そのなんだ・・・」 部屋に入ってきたにも関わらず、黙りこみ何やら頬を赤らめてもじもじしている。 と、何か意を決した様子で口を開くと、 「今夜、一緒に寝てもいいかな・・・?」 「・・・え?」 そんなコトを、口にしていた。 「い、一緒にって、私もうそんな幼い歳じゃ」 「・・・もう、この歳になったんならどういう事か分かってるくせに」 「・・・え、え?」 「意地悪だぞ、梓」...
  • 純情な寝ぼけ眼(まなこ)
    いつもの朝。緩やかに目が覚める。 上体を起こし軽く伸びをしてからベッドを出て、閉まっているカーテンを開くとまばゆい朝の陽射しが部屋に流れこみ残っていた眠気を払拭することが出来た。 とその時、部屋をノックする音が。 「みおおねーちゃん、おきてる・・・?」 「?・・・ああ、今起きたところ。入ってきていいよ」 ガチャリと部屋のドアが開き、入ってきたのが私の自慢の妹である梓。 何かと恥ずかしがり屋で引っ込み思案な私にとって、しっかり者で強気な性格である梓は私にとってはとても頼もしい。 体が一般の女性に比べると小さい事を本人は気にしているが、そんな所はまた可愛いと思ったり。 「今日は休みなのに随分と早いんだな、梓。いつも休みの日はまだ眠ってる時間じゃないか」 「だって・・・たまたまだけど、はやくめがさめたからぁ・・・たまにはわたしからおねーちゃんをおこ...
  • 懲りない人たち
    「正直、和先輩にはすごく感謝してます」 「え……そうなの。どうして?」 訳が分からないわ、という戸惑いの表情を浮かべながら、和先輩は私の顔をのぞき込んできた。 まるで春風のようなさりげない仕草に、年齢差以上の格の違いを見せつけられたような気がする。 それはとてつもない羨望と、ほんの少しの敗北感。 とてもじゃないが、私はこんな人にはなれそうにない。 「私一人じゃ、とてもここまで来る勇気はなかったので」 生徒会長まで勤め上げ、国立の法学部に入れるほど頭がよくて、それでいて面倒見もいい。 だいたい、あの唯先輩と幼なじみをやっていられるという時点で、尊敬の念を抱いてしまうくらいに。 さらに澪先輩とのことで、一度ならず背中を押してもらったこともあったし。 「もっとも私も、曽我部先輩が大学の寮にいるから、というのもあるんだけどね。だからお互い様よ」 「あ、...
  • 二人の時間
     ダムが決壊して水が押し寄せるように、いろいろなことを喋った。  他の人たちにとって些細なことも、梓と私にとっては一つ一つ大切なコト。  まだまだ話したかったけど――時計をみたら日が変わろうとしていた。  徹夜は良くない。健康にも、美容にも、ね。 「もう十二時回るし、寝よっか」 「あ、そうですね。寝ましょう」  二人で一階に下りて、洗面所に。 「はい、歯ブラシ」 「あ、ありがとうございます」  梓にお客様用の歯ブラシとコップを渡して、自分の歯ブラシを手に取る。  二人で歯を磨いている姿は本当に姉妹みたいで。中学入ったばっかりの私にそっくり。  妙な恥ずかしさを感じながら歯磨きを続けた。  :  :  :  部屋に戻って。 「じゃあ寝ようか。先に布団入ってて。電気消すから」 「はい!」  満面の笑みと返事を返してくれた。  梓が布...
  • 胸に届く、想いと温もり
    「うーん……」  カーテンの隙間からもれだす朝の陽射し、ぼんやりと明るい自分の部屋の様子にゆっくりと目を開ける。  今日からいよいよ新学期を迎え、私もついに三年生。  早く起きなきゃ、と目蓋をこすりつつも4月上旬の朝方はまだまだ寒くって。  布団のあったかい心地よさから出られずについもう5分だけ……と布団の中でもぞもぞと体を丸くする。 「んー……」  このままじゃ5分どころか30分近くは二度寝しちゃって、その結果慌ただしく朝の準備をして登校時間ぎりぎりに学校に到着することになるのは目に見えてるのに……。  そう思いながら意識が薄れていく直前、  ~♪~♪  枕元の近くに置いてある携帯から着信音――設定音からしてメールではなく電話――が鳴り響いた。 「んんー……」  こんな朝からいったい誰……ふざけたいたずら電話だっ...
  • 試験勉強後の一時
     ――チッ、チッ、チッ……カリカリカリ……。  時計の針の進む音、それに机でペンを走らせる音だけが部屋に静かに響いていた。 「んー……疲れたぁ……」  ようやく試験勉強が一区切りつき、少し椅子を机から離して大きく伸びをする。  部屋の外がずっと静かからか、あるいはずっと机に向かい集中していたからなんだろうか。  まるでこの自分の部屋だけが、世界から断絶されたように感じるくらいだった。  ――と、 「梓、入っていい?」  部屋をノックする音と共に、外からお姉ちゃんの声が。 「うん、いいよ澪お姉ちゃん。入って」  私の声に応じて部屋のドアが開き、お姉ちゃんがゆっくりと部屋に入る。 「ごめん、まだ勉強中だった?」 「ううん、ちょうど今ひと息付いたところだよ」 「ホットミルク入れてきたんだけど、飲まないか?」 ...
  • 25話より
    25話より ~生徒会室にて~ 梓「はっ‥こ、これって‥一昨年の学園祭のDVD!?」 律「そう、一昨年のライブといえば‥」 紬「澪ちゃんを一躍スターダムに押し上げたあの‥」 律・紬「伝説の~!!」キラキラ 澪「思い出させるなッ!!」 梓「ぐふっ‥!」ガクッ 澪「お、おい‥梓?」 ついつい思い出しちゃった‥ いや、忘れもしない‥あの伝説の学園祭‥ 澪先輩が最後にスッ転んで私達を導いたあの縞々の楽園に‥ ただ私はあの光景を生で見ることが出来なかったそれだけが今でも悔やまれるっ‥ 澪「お、おおおオイ梓しっかしりろっ!」 梓「あ‥あれ? み、澪センパ‥イ?」 澪「急に倒れかけたからびっくりしたじゃないか! ‥だ、だだだ大丈夫か!?」 梓(私が倒れた時一番早くに駆けつけてくれたんだ‥澪先輩優しい‥...
  • 小ネタ 無題30
    25話より ~生徒会室にて~ 梓「はっ‥こ、これって‥一昨年の学園祭のDVD!?」 律「そう、一昨年のライブといえば‥」 紬「澪ちゃんを一躍スターダムに押し上げたあの‥」 律・紬「伝説の~!!」キラキラ 澪「思い出させるなッ!!」 梓「ぐふっ‥!」ガクッ 澪「お、おい‥梓?」 ついつい思い出しちゃった‥ いや、忘れもしない‥あの伝説の学園祭‥ 澪先輩が最後にスッ転んで私達を導いたあの縞々の楽園に‥ ただ私はあの光景を生で見ることが出来なかったそれだけが今でも悔やまれるっ‥ 澪「お、おおおオイ梓しっかしりろっ!」 梓「あ‥あれ? み、澪センパ‥イ?」 澪「急に倒れかけたからびっくりしたじゃないか! ‥だ、だだだ大丈夫か!?」 梓(私が倒れた時一番早くに駆けつけてくれたんだ‥澪先輩優しい‥...
  • 朝焼けの光
    「んん……むにゃ……ん……?」  ぎゅっと抱きしめていた感触がいつの間にか無くなっていて、朝を迎えたのかなとまどろみの中で無意識に思って重いまぶたをゆっくりと開く。  しかしまだ室内はぼんやりと薄暗くて、夜が明けはじめてはいるみたいだけど太陽はまだ顔を見せていない……そんな時間帯のようだった。  そんな中に、 「きれいな髪……」  ――窓際に佇む、黒く艶やかな黒髪。  ――同じ女性の私から見ても美しいって感じる横顔。  寝ぼけまなこな今の私でも、自然と目が釘付けになる。 「あ、ごめん起こしちゃったか?」  私の視線を感じたのか、澪先輩がこちらを向く。 「どうしたんですかぁ……こんな朝早くからぁ……あっ」  むくりとベッドから起きて窓際にいる先輩に近寄ろうとした所、足がもつれて転びそうになる。  しかし、 ...
  • 沖縄から帰って来てから数日
    沖縄から帰って来てから数日 梓「み~お、電話だよ」 あの星空での告白以来変わった事が少しある。  私が澪先輩に対して名前だけで呼ぶ事  私とみお、2人の左手薬指のリング、これ私がみおに頼まれ デパートに取りに行った品物だったのはビックリだった。  一番大事なのが、私こと中野梓から《秋山梓》になりました/// これに至るまでは大事な事なのに、拍子抜けする位ポンポンと話 が進んじゃたんだよね。 (回想)  沖縄から帰ってすぐに、みおが自分の両親と私の両親に家に来 るように連絡して都合の合う日に来て貰った。 澪「大事な話が有ります」 みおは2人の両親の前で切り出したんだよね緊張しちゃたよ。 澪「私と梓は、同性しか好きになれないんだ。   そして2人は交際していて、夫婦とかにはなれないけど、   梓と一緒に生きて行きたいんだ、だから2人でいる事を   許して下さい...
  • すとぱん!
     『すとぱん!(前篇)』 ────────────  小さいころ、あの空の向こうにあるって信じてた。  友だち、夢、名誉、恋、運命。  その、全てが。     ◇  ◆  ◇  ここ数日では一番に眺めがよくて、絶好の飛行日和だった。  水平視界は極めて良好。上空は蒼い空だけど、眼下には地平線まで真っ白な雲海が広がっている。おまけに上方やや左手から照り付ける太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。これが観光旅行だったら雄大な景色に歓声のひとつも上げたいところだけど、残念ながら現在は作戦の真っ最中。とてもそんな不謹慎な真似はできない。  高度34,000フィート。気温マイナス53℃。大気圧は地上の半分以下。魔法がなければ10秒と命を保っていられない、この成層圏という名の異世界。そんな天国と地獄の境目を、今日も私たちは音速のおよそ80パーセントと...
  • 誰だよ澪にあんなマンガ読ませたの
    「澪先輩。明日、勉強教えてくれませんか?」 「明日? いいよ。どこでやる?」 「あ、親がライブ行くので遅くまで帰ってこないので、私の家でやりませんか?」 「ああ、いいよ。じゃあ、明日……3時ぐらいからにする? あんまり長くやっても疲れちゃうし」 「そうですね」  そう、このときは梓を押し倒そうなどとは考えていなかった。   :   :   :  とある人に勧められて借りた恋愛(?)マンガ。  宿題も終わったし、寝るまでちょっと余裕があるから読んで見たんだけど――。 「もう12時か……」  ふと時計を見ると、日が変わっていた。  もうそろそろ寝ないと明日起きれない。明日のお昼過ぎから梓の家で勉強を教えることになっているしね。  でも、あと少しで主人公(?)の女の子が告白するところまで来ているから――。 「……よし、4巻読み終わったら寝よう...
  • 天使のささやき
    私は自室でベッドに横たわり、天井を見つめている。 頭には鈍い痛みがありつつも何だかぼんやりとした妙な感じで、体全体はだるく、腕にはどうにも力が入らない。 ――今の状態を簡単に説明すると、どうやら私は風邪を引いてしまったらしい。 「三十七度四分・・・やっぱり熱ありますね。幸いかなりの高熱ってわけじゃないのはまだよかったです」 測った体温計を見て少しほっとした表情をする梓。 ゆるゆると手を額に当てるとそれなりに熱いので、ある程度の熱があるのは覚悟していた所。 「それで熱以外はどうですか?頭が痛いとか、喉が痛いとかは・・・」 「ああ、ちょっと頭に鈍い痛みがあるけど我慢出来ない程じゃないし、喉が痛いとかは無いよ。体がだるくて力があまり入らないっていうのはあるけど横になってる分にはあまり関係ないしさ」 変に梓を心配させないように、私はあくまで症状は軽い...
  • バレンタイン・ストーム ~その2 想定状況~
     危機管理において、発生しうる状況の予測は、初期のもっとも重要な問題とされる。     ◇  ◆  ◇ 「あれ? 憂」  ひんやりとした空気が頬をなでていくのを感じながら、お店の外へ一歩を踏み出そうとした、ちょうどその時でした。 「あ、梓ちゃん」  ちょっとびっくりです。こんなところで会えるなんて思いもよりませんでした。身体の奥底からこんこんと嬉しさがわき上がってきます。たったこれだけのことで、真冬の外も小春日和のように感じられてくるのですから、ほんと不思議ですよね。 「……それってバレンタインの材料?」 「そだよ?」  ところが梓ちゃんには、私が両手に下げた買い物袋にどうやら面食らったらしく、可愛らしい桜色の唇をちょっぴりへの字に曲げています。 「一体何人にあげるのよ……」 「え? お姉ちゃんにだけだよ?」 「一人分!...
  • バレンタイン・ストーム ~外伝2 クリスタルナハト~
     戦いにはたいていの場合、勝者と敗者が存在するものだ。  しばしば全員が敗者ということもめずらしくない。  そして全員が勝者になれるケースは稀有である。     ◇  ◆  ◇  そろそろ世間一般では深夜と呼んでも差し支えない時間。いちおうは閑静な住宅街だというのに、今夜はびっくりするほど無数の星々が夜空をにぎわせています。そんなどこかミスマッチな光景を、さきほどから車の後部座席の窓越しに、ぼんやりと私は眺めていました。もうメールの返事をいただいてから随分と待たされているのですが、かの人は未だにあらわれず。  ──クリスタルナハト。  記憶の深淵から忌まわしい言葉が浮かんできたのと同時に、暗い路上で何かが動いたような気がしました。そちらに視線を向け、目をこらします。もしかしたら勘違いでしょうか。いえいえ、確かに動きました。さらにその暗がりを注目してみまし...
  • 『私の大切な――』side 澪.
     私は、いま、思い人へ告白をする。 「――の事が好きなんだ」 「ごめんなさい、――のことは好きになれません。……――がそんな人だとは思わなかったです」  私の言の葉は思い人の心を揺り動かす力もなく、無情にも振り払われた。 「では」  私の前から去っていく思い人。 「――待って!!」  私らしくもない大声を上げても――思い人は振り返ることはなかった。  その場に立ち尽くす。  ぽっかりと、私の心に穴が開いた感覚。  足下が無くなり、ただひたすらに墜ちていく感覚。  ――暗転する世界。  ――――  ――目が覚めた。まだ外は薄暗いし、目覚まし時計も鳴ってない。  手探りで携帯を手に取り、携帯を開いた。  ……まぶしい。反射的に目を閉じてしまった。  うっすらと目を開けて、携帯の液晶を見た。  決戦の日。朝の...
  • シックス・イレブン作戦
     また、夢を見た。もうひとつの世界での私達の夢を。     ◇  ◆  ◇  そうこうしてるうちに、先輩から絶え間なく吐き出されるジェット噴流が、かすかに細く長い飛行機雲を発生させはじめた。それをかぶってしまわないよう、私はほんの少しだけ高度を下げる。すると必然的に、先輩の身体を下から見上げるような形になる。たとえば風になびく長くつややかな黒髪とか、ストライカーユニットからチラリと見える真っ白いフトモモとか、そして何よりも野暮ったい軍服の上からでもはっきりとわかる女性らしいシルエットとか──。  と、その時。 『エニワ02、梓。ちゃんと空中警戒してる?』 「は、はい。すいません、先輩」 『何に気を取られてるか知らないけど、もう少し集中しような』 「了解です。気をつけます」  全身から冷汗が吹き出し、同時に鳥肌が立つのを感じる。私より前を飛んでる...
  • 風邪の引き方直し方
     ──「私が代わってあげられたらいいのになあ。風邪、うつして貰って」  ──「うつすって……どうやって?」  ── 思いがけない憂の言葉に、梓は身を乗り出していた。  ── もしそんな方法があるというのなら、ぜひ教えてもらいたいものだ。                     (「けいおん!」#12「軽音!」より)     ◇  ◆  ◇  たまに窓をたたく雨の音が聞こえてくる。おそらく外は、冬の始まりを感じさせる冷たい雨なのだろう。  外に出ないですむのは幸運。  でもその理由が風邪なのは不運。  初めての学祭ライブは結果的に大成功だった。最初、唯先輩が抜けた時はどうなることかと思ったけど、なんとか残りのメンバーでその穴を埋めてつないで。最後は戻ってきた唯先輩も加えての『ふわふわ時間』で、そりゃもうメチャメチャ盛り上がった。  だけ...
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