一話 不思議
「どうだ、この飯は!これがフラウビ村が誇る米だ!」
フラウビ村の村長は我が村自慢の米をさっき迷い込んできた俺に差し出した。
「君は名を何と?この村では見かけぬ顔だが」
「あ、自分はヒイラギ村の村長の息子でして・・・名前はドラグニルといいます」
「ヒイラギ村・・・?はて、聞いたことない村だな。これでもこの世界の村の名前は全て熟知しているはずだが・・・」
何かおかしい。ヒイラギ村出身の俺もフラウビ村なんて名前聞いたことがない。
父さんにはさんざん村の名前を聞かされたはずだが、こんな村は・・・
「ゴホンッ・・・気にせず食べなさい。それでまた、何でこの村に君はいるんだい?」
気まずい空気を軌道修正し、村長は言った。
「いや・・・気が付いたらココに・・・」
「気が付いたら?そりゃまた可笑しな話だな」
村長は俺がジョークをかましてるのかと思いこみ、派手に大笑いした。
「まぁいい。よそ者だろうが、ウチは大歓迎だよ。ここは見ての通り温かい村だ。だから農作物もすぐに育つ。この米は俺の村でしか採れない貴重なものなんだよ」
俺の村は年中冬だから、この温かい気候がうらやましい。とてもいい場所だ。
「それより、今日はどうするんだね?もし良かったら泊っていくかい?
「あ、じゃぁそうしたいと思います」
本当は早く帰りたい。だが、ここがどこだかも分からないから、どうしようもない!もとはといえば、何で俺はこんな村にいるんだ!?
1時間前________________________
「父さん、
アオアシラでも狩ってくるよ」
「おいおい、お前新米なんだから無理して大型なんか行って怪我でもしたら、どうするんだ」
「大丈夫だよ。もう
訓練所で
ドスジャギィに勝てたんだから」
「うむ・・・それならいいだろう。ただし、気をつけなさい」
「分かった!じゃあ行ってくる!」
これが悲劇の幕開けだった・・・
俺は訓練所で習った通り、慎重にアオアシラへと近づき、愛用しているロングホーンで攻撃した。
アオアシラははちみつを食べていた所からムクッと立ち上がり、こちらを見て遠吠えした。
これはドスジャギィで見慣れているから大丈夫だ、と油断した隙にアオアシラが突進してきて、俺は吹っ飛ばされた。
そして、目の前が真っ暗になった・・・
そして目を覚ましたら、この村にいたんだ・・・
最終更新:2011年02月20日 23:49