【情報文章】暗雲の盟約~暗雲の盟約への対応・その2までの流れ 

●【情報文章】暗雲の盟約(2005年05月09日)
「そ、その話は真か!?」
 驚愕した表情で聞き返すクラノスケ。(ツバキ姫の言動以外)大抵の事では動じないクラノスケが、
思わず声を荒げたのも無理はあるまい。投降して虜囚の身となった野武士たちに尋問に
立ち会っていたクラノスケがその男から聞いた言葉、それは――
「ああ、間違い無い。トキタダ公は彼の国と結ぶ為、我等を捨石としたのだ。
西の大国、ジリュウと結ぶ為にな……」
 ゆっくりと、悔いるように告げる野武士。そして、野武士の証言を元にサコンが行った
霊査によって、それが事実である事が確認される事となり、直ちに護衛士たちに招集が掛かる。
「投降された野武士の方々から得られた証言で、トキタダ公の目的が明らかになりました。
彼がマウサツ方面の野武士に命じて襲撃を仕掛けさせていたのは、私たちの意識を
マウサツ本領に向けさせる為の陽動。真の狙いは、ジリュウの国――
つまり、サダツナ公との共闘体勢の確立にあったのです」
 護衛士たちを前に口惜しげに報告するサコン。憶測ながらも、そうした事態も予測している者もいた。
だが、証言や霊査での確認などの確証を得る事が出来ていない以上は、それを霊査士たるサコンが
口にする訳には行かなかったのだ。
「先程、トツカサのジンオウ様から、ジリュウ領内にて何か変事が起きているとの知らせが届きました。
どのような事が起っていたのかまでは判りませんが、その影にトキタダ公の動きがあったようです。
ですがその結果、トキタダ公とサダツナ公との盟約は成立したものと思われます」
 そう言い切ったサコンの言葉に護衛士たちは戦慄する。
現在、このセイカグドの地に於いて最大の勢力を誇る西の大国ジリュウ。
その大国がトキタダ公と盟を結ぶと言う事が何を意味するのか――
「サダツナ公が望むのならば、トキタダ公の手によってジリュウのグリモアは解放され、
私たちと同じ希望のグリモアの力をジリュウの武士たちも得る事が出来ます。
そして、彼らが手を結ぶと言う事は、再びこのセイカグドを暗雲が覆う事を意味するでしょう。
いえ、もしかするともっと多くの地がその暗雲に覆われる事も……」
 そこまで告げて口を閉ざすサコン。霊査の力すら及びかねる程、遠い異国の地で取り交わされた盟約。
「……我等が情報を得た経緯はともかくとして、トツカサにも知らせるべきでござろうな」
 クラノスケの告げた言葉にサコンも頷く。
「今後、ジリュウとトキタダ公がどのような動きをするのか、現状では残念ながら掴めておりません。
取り急ぎ、霊査を行ってその動向を探るつもりですが、今少し時間が必要だと思われます。
それまでの間、皆さんの判断で各自行動をお願いしたと思います。
現状で出来る事は少ないかも知れませんが、よろしくお願い致します」
 深々と護衛士たちに頭を下げるサコン。平穏を取り戻したかに見えたマウサツに
再び動乱の時が近付こうとしていた。

●【情報文章】暗雲の盟約への対応・その1(2005年05月12日 23時)
 サコンです。
 現在までに新たに判明した事実や状況の変化、霊査の結果などをご報告致します。

 懸念されていた妨害などもなく、トツカサへの向けて出発した伝令の第一報は無事に届いています。
この事により、トツカサ側もジリュウの動きに即応出来る様、国境付近の警戒を強める様子です。
 ただ、ジリュウ国内での異変に付いての続報や万一の場合のマウサツ・トツカサ両国の連携などに
付いては、折り返しの伝令が到着するまで今暫くお待ちください。

 ジリュウとの国境付近の警戒態勢ですが、護衛士の皆さんの迅速な対応によって著しく強化されています。
現在までにアルガ領内に入った侵入者などは確認されておりませんが、
相変わらず厳重な警戒が続けられている様子です。油断は禁物でしょう。
 また、国境付近に偵察に向った方からの報告では、国境周辺のトツカサ勢は
特に臨戦体勢を整えている訳でもなく、現状ではマウサツへの監視体勢を強めている可能性が高いとの事です。
 国境付近の拠点跡地の再整備も進められています。現状では、防衛拠点として使うには心許ないのですが、
周辺警戒や偵察活動の拠点としては申し分ないでしょう。

 一方で、ジリュウ勢が攻め入った場合の予想進軍ルートの調査も進められています。
現在までに有力視されているのは、大部隊での進軍は難しいもののアルガ領内に深く進出する事も
可能な旧アルガ第3領からのルートと、大部隊を進軍させる事が容易な海沿いからのルートの2つとなっております。
 ジリュウの軍船に対しての警戒も強めていますが、現在までに目撃情報は届いておりません。

 国境付近の住民たちの避難も滞り無く進んでいます。彼等の受け入れ先ですが、
一部の流民の多く出た農村などでは未だに手付かずの農地などもあり、そ
ちらの方で受け入れ態勢を整えて戴いているとの事です。

 マウサツ領内では、活発になった間諜の捕縛が数件報告されています。
霊査を交えた調査では、ジリュウの間者であるだろう事は確認していますが、
マウサツ領内での活動に付いての詳細に付いては掴めていません。
尋問など、更に調査が必要でしょう。
 また、万一の場合に備えての避難経路の確認や避難所の確保に加え、
物資や人材を各地に向けて迅速に手配出来るよう調整が推し進められています。

 謎のグリモアレベルの上昇に付いてですが、状況的にジリュウのグリモアが
トキタダ公の手によって解放された物と考えて間違い無いだろうと思われます。
この事が事実ならば、ジリュウ王サダツナ公は新たな力を手に入れ、
トキタダ公は新たな同志を得た事になります。
 この2人の真意が何処にあるのかは定かではありませんが、共に乱世に覇を唱えていた人物なだけに、
新たなる戦乱を招く事は必至でしょう。

 最後に、ジリュウの動向に付いての霊査ですが、国境付近の偵察でも明らかになったように、
アルガ領に向けての進軍は、近日中には行われないものと思われます。とすると、次に可能性が高いのは
トツカサへの進軍ですが、現在までの霊査では確認出来ておりません。
 無駄足になるかも知れませんが、トツカサに加勢するならば、移動時間も考慮すれば早急に部隊を
編成する必要がありそうです。

 取り合えず、今回ご報告出来るのは以上となりますが、今後も皆さんのお力添えよろしくお願いします。

●【情報文章】暗雲の盟約への対応・その2(2005年05月14日)
 サコンです。
 ジリュウ国王サダツナ公からの書状などもあり、混迷の度を深めている昨今ですが、
トツカサよりの折り返しの使者も到着し、新たに判明した事柄なども多数ありますので、取り急ぎご報告致します。

 まずは、サダツナ公より送られた野点の席への招待状に付いてです。
既にご存知の方も多くおられるでしょうが、ジリュウ国王のサダツナ公より、親書が届いております。その内容は、

『我がジリュウ特産の今年の新茶をマウサツの諸兄らに振舞いたく思う。
季節柄、新緑の下での野点が風情もあってよろしかろう。我が領内にて、野点の席を催そう。
共に風流を楽しみ、大いに語らおうぞ。マウサツの諸兄らの来訪を心より願う』

 という物でした。
 もちろん、この野点への招待状が、トキタダ公が仕掛けた罠である可能性は否定出来ません。
ただ、サダツナ公と直接対談出来る数少ない機会である事も確かです。
どう対応するべきか、護衛士の皆さんの間で闊達な意見を交わして戴けますと幸いです。

 続いて、ジリュウとの国境周辺の状況ですが、上記のような事情もあり、特に異常な動きは見られません。
先日も申し上げましたが、近日中にこの地で戦闘が起る可能性は極めて低い物と思われます。
 周辺住民の避難や拠点の強化など、その他の作業に付きましても引き続き順調に進められていますので、
このまま現状を維持して戴ければと思います。

 マウサツ方面での間諜の活動は、ひとまず小康状態になっています。
捕らえた間諜に付いての尋問ですが、現状では滞っているとの事です。
近く、知りたい事に付いて護衛士の皆さんの意見などを聞く場を設けたいと思いますので、
ご協力戴けますと幸いです。

 アルガ城下での間諜の動きですが、現状では確認されていません。
それと、現在アルガ方面の警戒や雑務などに従事してもらっている元アルガ家臣団の方々ですが、
現状を知っても、トキタダ公とは既に袂を別っており迎合する気は毛頭無いと明言され、
それでも疑うのならば入牢はおろか自刃する事すら厭わないとまで申されているそうです。
 護衛士団を預かる者として、彼等の言葉を全て信用するべきではないのかも知れませんが、
私個人の意見としましては、彼等の武士としての矜持を信頼して、今までと変わらず接する事を提言しておきます。

 さて、先のジリュウ領内での異変に付いての続報ですが、どうやらジリュウ領内での反サダツナ勢力の
掃討作戦が展開されていた模様です。
更に、その討伐作戦の際に、異形の武士たちが先陣を任されていたらしいとの情報が寄せられているとの事です。
詳細については不明な点も多いようですが、サダツナ公が国内の大きな憂いを排した事は確実なようです。
 また、トツカサ第3領(最北部)近辺の国境付近にジリュウの部隊が集結しつつあるとの未確認情報もあり、
まったく予断を許さない状況にあります。トツカサの将兵の間からは、マウサツはもちろんの事、
カザクラへも援軍要請を出すべきでは無いかとの声もあったようです。ただ、現在カザクラ方面に
伝令などは出されておりませんので、この凶報を知らせるには今少しの時間が必要となるでしょう。
 万一の事態に備えてトツカサへと援軍を送るのならば、早急に準備を整えるべきかと思います。

 以上、此処までが現状までのご報告となります。今後も護衛士の皆さんのお力添えよろしくお願いします。

最終更新:2007年05月07日 12:23