【情報文章】試算報告書 2005年10月09日

「ふうむ、となるとこれがこうなって……ふむふむ、なるほど」
 パチパチパチンと算盤を爪弾く音が鳴り響く中、一心不乱に

作業に励むクラノスケ。
サイカイ屋から聞き出したアソウ一家の雇い入れ金額に一瞬愕然と

した表情を見せた後、しかし、すぐに立ち直って雇用の為の試算に

入ったのは流石だろう。
 その試算の作業は、夜明け近くまで続き――
「ふむ、これで間違いないでござろうな」
 大きく息を吐いて、クラノスケは纏め上げた書類を満足げに眺める。
その報告書がサコンの元へ届けられたのは、早朝の事であったと言う。

 

≪アソウ一家雇い入れの試算≫

 現状のマウサツの財政を鑑みまするに、巧く遣り繰りを致せば

彼の者たちを雇い入れる事は十分に可能でござろう。
ただし、条件によっては支出も増え今後のマウサツの財政に

大きく影を落とす事にもなりかねませぬ。
 以下に、試算の概要とその他の条件に伴う支出の増加に

付いてを書き記してござる。雇用条件の選定にお役立て戴ければ幸いでござる。

・雇い入れ期間
 試算では一ヶ月間の雇用として算出致してござる。
基本的には期間の長さがそのまま雇用費用に比例しているのでござるが、

最長でも二ヶ月間しか雇い入れは出来ないようでござるな。

他にも1航海ごとでの雇用などもあるようでござるが、条件によって

雇用費用の方も様々だと言う事で今回は検討外と致してござる。
 ちなみにサイカイ屋は1航海ごとでの雇い入れが多いと言う事でござるぞ。

 

・活動内容
 試算では危険度の低い通常の航海として算出致してござる。
ただし、敵対している国の勢力海域や海賊が頻繁に出る海域に

入るなど危険度が増す航海の場合には通常の五割増し、

嵐が近付いている時に船出を望んだり他の船の襲撃を目的とするなど

危険性が非常に高い航海の場合には最低でも通常費用の倍額と

言う事になっているようでござる。
 ちなみにサイカイ屋は常に倍額以上を支払っていたとの事でござるな。

・船の賃貸
 試算では現状マウサツに船がござりませぬので、小型船込みとして算出致してござる。
中型の船ならば費用は倍額、大型の船ならば更に倍の四倍の費用が掛かりまする。
ただし大型船の場合には、海賊などに狙われる危険性も高くなるとの事で、
常に五割増しの費用を取られる事になるそうでござるが。
 ちなみにサイカイ屋は自前の船を出す事で費用を抑えているようでござるぞ。

 と、以上でござるな。


 ちなみに、契約の条件さえ満たしていれば、通商や海域警護など

如何様にでも働いて戴けるとの事でござる。
借り受ける船を中型船以上にする場合には、他の港との交易なども

視野に入れてもいいかも知れませぬな。
 また、船が大きくなればなる程、積荷などの積載量は

多くなるのでござるが、その分小回りが利き辛くなり、
海戦時などには立ち遅れる可能性が高くなりまする。

検討材料の1つにされるとよろしかろう。

 



最終更新:2007年05月08日 02:32