【情報文章】マウサツレポート・その18   2007年01月19日

 

 サコンです。
 昨年1年でマウサツを取り巻く環境は大きく変遷しました。今回は此処暫くの

護衛士の皆さんによる活動の成果のご報告と併せて、現在のセイカグド各国の

状況についての纏めなどをお届け致します。

 

●マウサツの国
 昨年、ジリュウ側の強引な介入によってアルガ地方から撤退を

余儀なくされたマウサツですが、その後のアルガからの移住者の受入などの

諸事も一通り終了し、穏やかな新年を迎える事が出来ています。
 当初は不安視されていた移住者の方々とマウサツの地元民の皆さんとの

軋轢なども護衛士の皆さんの活動などによって回避され、良好な関係を

構築しつつあります。
 治安面では現在も良好な状態を維持出来ていますし、今年は冬場の

食糧事情などにも特に問題はなく、マウサツ領内に於いては安定した

環境が整っていると言えるでしょう。
 ただ、他国との関係については色々と微妙な状況となっています。
 現在のマウサツですが、ジリュウが実質的な後ろ盾となって国政の

立て直しを図っているアルガの国との不安定な関係が禍し、国境線を鎖され

他国との陸路が断たれる形となっている為、半ば陸の孤島と化す事となりました。
 元々、マウサツ地方は他国との通商に依存している訳ではなく、

民衆の日々の暮らしに与える影響は余り大きく取り沙汰されていませんが、

他国から安価で仕入れられていた物品の値が高騰するなど、
徐々にではありますが問題が表面化して来ています。
 今後のアルガの国との関係も問題視されていますが、もっとも大きな問題は、
これまでは陸路によって連携が容易であった友好国のトツカサとの往来に

大きな支障が生じている事でしょう。
 海路によって辛うじてトツカサとの間の連絡及び通商は可能となっていますが、
危急時に於ける両国間の連携に大きく遅れが生じるだろう事は

確実視されています。
 国境線をアルガ側が鎖している事によって、逆に不審者などの侵入が

防がれる形となっている事は皮肉な利点ではありますが、他の問題を

補いうるものではありません。
 先日、こうした事態を打破する為にアルガ側との交渉が執り行われ、

最終的な合意にこそ至りませんでしたが、友好的な関係の構築を前提とした

交渉の継続を双方が確約し、第1回目の交渉は閉幕する事となりました。
 この交渉の席ですが、アルガ側からの年始の挨拶の折に来月初頭にも

執り行いたいとの要請があり、開催の時期について調整を行っている所と

なっていますので、近日中に護衛士の皆さんに対応をお願いする事と

なるかと思います。
 これは確認事項となりますが、現時点に於けるマウサツのみが持つ

他国との交渉材料と成り得るものとして、領内に同盟本土との往来が

可能なドラゴンズゲートを有している事と、護衛士の皆さんを始めとする
人的資源の2点が大きく挙げられます。
 前者につきましては、此処暫くのアルガとジリュウとの親密な関係を

鑑みれば既にドラゴンズゲートの秘事はジリュウ側にもある程度

漏れていると見做した方が妥当ですし、
後者の護衛士の皆さんの実力につきましては他国も周知の事でしょう。
 勿論、これ以外にも交易権や物資・金銭の授受など交渉の際に

提示出来る材料はあるかと思いますが、主に財政的な面でに問題が多い事を

クラノスケさんより指摘されています。
 これらの交渉材料をどのように使うのか、もしくはこれらを用いずに

交渉を如何様に纏めるのかが、今後の他国との交渉に於ける重要な課題と

なる事でしょう。
 さて、先日執り行われた資材調達ですが、護衛士の皆さんのお力添えも

あって当面必要とされる分の資材の調達に加えて、余剰分の材木を得る事が

出来ています。これで普請工事などの必要経費を抑える事も可能となり、

資金不足の為に滞りがちであった幾つかの普請作業を
早期に執り行う事が出来るようになるでしょう。
 現時点で優先すべき普請工事ですが、修繕や補強が必要とされている

堤防などが数ヶ所、
新規開拓地へと続く街道の整備、マウサツの街に於ける居住区画の拡充などが

挙げられています。
 また、現在余剰分の材木については転売してマウサツの運営資金に

回す事なども検討していますが、他の活用法などがある場合には

その旨をご提案などをして戴ければと思います。
 交易に関しましては、近隣の船を所持する商人を介しての交易に付いて

ある程度の利潤を得られる目処が立つ事となり、サイカイ屋さんから

借り受けていた商権の返還までに得られた利益もマウサツの運営資金の
増加に一役買う事となりました。
 こうした事情に加えて、陸路が鎖されている事によって海運に大きな期待が

寄せられている事もあり、マウサツに於ける交易の活性化への機運は

高まりつつあります。
 諸々の事情もあって他州との交易に踏み切る商人が極めて少ないのも

現状ですが、他国への働き掛けや商人たちとの繋がりを強める事によって、

他州との交易をより発展させる事も可能かも知れません。
 これから本格的な作付けの始まる春先までに掛けては比較的平穏な日々が

続くかと思われますが、その後の為の活動などを積極的に執り行って

行きたいものですね。

 

●トツカサの国
 現在、セイカグド州でマウサツと唯一の友好国たるトツカサの国ですが、

今年は食糧難などもなく、国内の面に於いてはさして大きな問題は

起こっていません。今年の年始の挨拶にも両国間の良好な関係を
このまま維持し、セイカグド州の安寧の為に共に手を付くそうとの言葉を

ライオウ様より戴いています。
 しかし、アルガの国の独立によってマウサツとの陸路が断たれる形となり、

対外的には厳しい状況となっている様子です。
 潤沢な資金を背景にアルガの国の復興に積極的に関与しているジリュウに対し、
ライオウ公はあくまで復興はアルガ側の自主性に任せると宣言して、

アルガへの援助はジリュウ側と比べて少ないものとなっています。
 結果、半ば強引に進められたジリュウ側の提示した復興案の施行によって

アルガ国内の景気は上昇傾向となり、復興への機運が高まっています。
 この為、アルガ国内ではジリュウとの結び付きを持て囃す風潮が主流となり、

トツカサにとっては厳しい逆風になる事となりました。
 勿論、トツカサ側がアルガに対する援助を惜しんでいる訳ではなく、物心共に

相当な援助を行っているのですが、ジリュウ側の援助が常軌を逸しており、

結果としてジリュウとアルガとの親密化に歯止めが効かない状況と

なっているようです。
 ジリュウ側が軍事的な動きを控えている事もあり、一触即発と言う状況で

こそありませんが、アルガの国と親密な関係となる事でトツカサの国を

地勢的に孤立させようと言う動きもあるように見受けられます。
 トツカサとしてはこれ以上の両国の親密化を阻止したいとの考えもある一方、

ジリュウに対抗してアルガの国に過剰な援助を行う事を疑問視する意見も多く、

これ以上の援助は控える方針との事です。
 こうした事態を受けて、トツカサではアルガの国との関係改善を図る為、

予てよりアルガ側より提案のあった両国間の関税の撤廃と通行税の徴収に

対して基本的に合意する方向で調整を始める予定であるとの通達がありました。
 これらの背景には、トツカサ側の事情もさる事ながら、ジリュウの影響力を

出来るだけ削ぎたいと考えているアルガ国内の反ジリュウ派の思惑なども

深く関わっている様子で、アルガの国の立ち位置を巡る水面下での綱引きは

更に激化する傾向にあるようです。
 ただ、対アルガ政策に関してはマウサツと協調すべきとの意見も根強く、

近く意見交換の場を設けたいとの打診もありました。加えて対ジリュウ政策に

関しても意見調整をする必要性もあるかと
思いますので、護衛士の皆さんのお力をお借りする事となりそうです。

 

●アルガの国
 現在アルガの国では、他のセイカグド3国と国境を接する事を活かして

通商の要としての立ち位置を確立するべく、ジリュウの潤沢な資金援助の下、

街道整備を中心とした復興事業を推し進める事によって国の立て直しを

図っています。
 この結果、普請特需によってアルガ国内の景気が上向き、領民たちの

新生アルガに対する期待と信頼は日に日に高まっている様子です。
 しかし、それらが呼び水となってアルガとジリュウとの結び付きは今までになく

強固なものとなりつつあります。
 現時点に於いて、アルガ武士団の武士数は他のセイカグド州の国々の

武士団と比べて圧倒的に少なく、他国からの軍事的な侵略を独力で退けるだけの

実力がない事もジリュウとの関係強化を助長する大きな要因となっています。
 しかし、一方でアルガ国内の反ジリュウ勢力は、これらの融和政策の裏には

アルガの国をジリュウの属国にしようと言う悪辣な陰謀があるに違いないと

激しい非難の声を上げており、国内は決して一枚岩とは言えません。
 現在、アルガの国政はアルガ武士団を中核とした代表者たちによって

暫定的に統治されていますが、ジリュウとの関係を巡って2つの陣営が

対立する事によって国主の選定もままならず、アルガ国内に
混沌とした状況を生みつつあります。
 こうした親ジリュウ派と反ジリュウ勢力との対立は外交面でも顕著に

なりつつあり、トツカサやマウサツに対するアルガ側の働き掛けの影には、

両陣営の駆け引きが深く関わっているとみていいでしょう。
 このままジリュウとアルガとの親密化を黙認するか、それとも両者の間に

楔を打ち込むのか。
今後のセイカグドの行く末を占う、大きな転機となりそうです。

 

●ジリュウの国
 先年の交渉決裂以来、マウサツとの直接的な関係を絶っているジリュウですが、

他国を通じて幾つかの近況などが報告されています。
 まずはジリュウ国内での動きについて、トツカサより入手した情報をご報告します。
 ジリュウの国政ですが、現国王のサダツナ公がその全てを掌握し、卓抜した

才腕の下に統治が行われていました。しかし、最近になってジリュウの統治体制に

大きな変革が見られるようになりました。外交を含めた国政の一部を、

サダツナ公の嫡子にして後継者と目されている大将軍カツシゲが

引き継ぐ事となったのです。
 ジリュウの大将軍カツシゲと言えば、軍事的な才覚は父王を凌ぐと言われ、

次期ジリュウ王の座に最も近いとされる人物ですが、これまで正式な形で

国政に携わる事はありませんでした。
 それが此処最近になって国政の様々な場面にカツシゲ公が大きく関わるように

なり、トツカサとの住民返還問題や新生アルガへの援助を始めとした他国との

交渉などにも精力的に取り組み、成果を上げています。
 この時期に来てのジリュウ国内でのカツシゲ公の台頭をどのように見るべき

なのか。今後も注目したい所です。
 また、アルガとの間に様々な約定を取り交わそうとしているとの未確認情報が

あります。
 これは新年の挨拶の折に旧知のアルガ武士よりの伝聞したものとなりますが、

マウサツとも調整を行っている通商関連の約定に加えて、武士団の

アルガ領内への派遣などがジリュウ側より提案されているとの事です。
 ジリュウから経済的な支援を受けているだけではなく軍事的に脆弱なアルガ側が

この提案を無下に扱う事は難しく、既にアルガ領海への海上警戒と称して

ジリュウ水軍が出張っているとの情報もあります。
 アルガ国内の反ジリュウ派が他国との関係強化に躍起になっているのには、

この辺りの事情も大きく関わっている様子です。
 今後の私たちの対応如何では、アルガ国内でのジリュウ派閥の勢力強化にも

繋がるかと思いますので注意が必要でしょう。
 こうした一連のジリュウ国内の動きですが、その裏にはセイカグド統一を目論む

サダツナ公の何らかの思惑がある事は間違いないかと思われます。此処暫くは

強硬な手段は手控えられ、搦め手的な動きが中心となっていますが、

今尚セイカグド随一の勢力を誇る西の大国ジリュウ。
 その国主サダツナ公の真意が何処にあるのかは、いまだようとして知れません。
 新年の挨拶についても門前払いに近い形での対応をされたとの事ですが、

それに屈する事なく、今後も粘り強く対応を図る必要がありそうです。

 とりあえず、今回のご報告は以上となります。今後、関連する業務に付いての

ご相談やお仕事の依頼などを順次執り行って戴きたいと思っていますので、

護衛士の皆さんのお力添えの程、どうかよろしくお願い致します。(礼)

 


最終更新:2007年05月10日 12:02