moedra @Wiki内検索 / 「ドラゴンステーキ」で検索した結果

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  • ドラゴンステーキ
    もうそろそろ、この商売にも飽きてきた。 初めはスリルと興奮のある職業だと思っていたが、今では事が思い通りに運びすぎる程つまらない事はないって痛感している。 俺の仕事っていうのはそう、ドラゴンの捕獲だ。毎日毎日、依頼がある度に俺は巨大なドラゴンの巣の中に忍び込む。そして予め大量の眠り薬を仕込んだ餌を置いておき、巣に戻ってきたドラゴンに盛って眠らせる。後は急いで依頼者に知らせて一軒落着というわけだ。 まあ、全くスリルがないと言えば嘘になる。 でもそれは凶悪なドラゴンと殺るか殺られるかっていうような殺伐としたスリルなんかじゃなくて、予定通り餌を食ってくれるかどうかってことだ。 人間なんかより何倍も頭の良いドラゴン様のことだ。こんな今時ガキでも引っかからないような単純な罠に、俺はまさかドラゴンが引っかかるはずはないと思ってた。 古参の捕獲者に初めてドラゴンの捕獲方法を聞いた時は呆れ返っ...
  • ドラゴン学者
    ドラゴン。 そう呼ばれる種族の多くは巨大な体を持ち、外見は固い鱗でびっしりと覆われていたり、フサフサの柔らかい毛が生えていたり、はたまたつるつると光沢のある滑らかな肌をしていたりと様々で、太くて逞しい尻尾を持ち、大きく広がる翼や立派な角や恐ろしい爪や牙があり・・・ 驚くべきことに、中には人の言葉を話すことができるほど賢い者もいるという。 僕が若くしてドラゴンに興味を持ち始めたのは、ひょんな偶然からある遊び心たっぷりの書物に出会ったからだった。 その書物には、ほとんど誰も見たことのないドラゴンについての詳しい研究の記録が示されており、ドラゴンという生き物の少なくとも一部を理解するのには十分過ぎるほどの素晴らしいものだった。 ドラゴンが何を主食にしているのか、どんな攻撃方法を持つのか、体の造りはどうなっているのか、中にはドラゴンとの接し方や彼らの特異な習性、住んでいる地域までが...
  • 手乗りドラゴン
    「おーい、そろそろ帰るぞー」 遠くから、パパが僕を呼ぶ声が聞こえた。 薄っすらと紅葉を始めた赤と黄色と緑の森が、視界一杯に広がっている。 今年もこの山に遊びにくるのは最後になるだろう。 「うん、今行くー」 真っ赤に燃えながら西に傾きかけた太陽を恨めしく思いながら、僕はパパ達の元へ向かった。 その時、ふと大きな木の根元に不思議な色の石があるのを見つけた。 白と赤の斑模様で、見事なまでに真ん丸だった。 「なんだろ?これ」 10cmくらいのその石を持ち上げてみると、大きさの割りに少し軽く感じた。 綺麗な石だし、記念に持って帰るのもいいかもしれない。 僕はその石を背中に背負っていたリュックに放り込むと、大きなキャンピングカーに飛び乗った。 「ふあぁぁぁ・・・」 遊び疲れて唐突に襲ってきた眠気に目を擦りながら、車の中で石を取り出す。 軽く叩いてみると、コンコンと石にしては...
  • ドラゴンレース
    数多くのドラゴン達が平和に暮らす世界。 そこには人間界と同じように山があり、川が流れ、雄大な自然が満ち溢れていた。 世界各地に点在するドラゴン達の町では毎日多くの雄ドラゴンが狩りに出かけ、妻となった雌ドラゴン達が住み処を守り、中には原始的な娯楽にひたすら興じる者達もいた。 ドラゴンレース。 月に一度、腕に・・・いや、脚に自信のあるドラゴン達が一昼夜をかけて荒野を駆け抜ける。 レースの勝者は次のレース開催まで一ヶ月の間その町の長となり、毎日他のドラゴン達から狩り出した獲物を捧げ物として贈られるという名誉を授けられた。 もちろん他のドラゴン達はレースを賭けの対象として一日中熱狂し、その結果に一喜一憂するのが通例となっていた。 「う・・・ごふっ・・・」 「大丈夫か?」 町の外れに、年老いたドラゴンの夫婦が住んでいた。 夫のドラゴンは全身真っ黒な鱗に覆われ、太い手足や尻尾...
  • SS便乗者氏
    ...エロ)[絵茶発] ドラゴンステーキ(非エロ、捕食) ドラゴンの恩返し(♀竜×♂人間) ドラゴンレース(非エロ) ひととせの仔竜(♂竜×♂人間) ペット(♀竜×♂人間、♀竜×♂竜、Transformation) ワニ(微エロ) 王の贖罪(♀竜×♂人間) 会議(竜×♂人間、輪姦、捕食)[絵茶発] 願いの果てに(♀竜×♂人間、輪姦、Transformation) 希望の卵(♀竜×♂人間) 救出(非エロ、流血) 恐妻家(♀竜×♂人間、流血) 空からきた少年(非エロ、流血) 継承(♀竜×♂人間、捕食) 結竜の儀式(非エロ) 恒久の主従(♀竜×♂人間、流血) 黒竜の罠(♀竜×♂人間、♀竜×♂竜、捕食、Transformation) 獄中の宴(♀竜×♂人間、輪姦、捕食) 山小屋の一夜(♂竜×♂人間) 山中の追跡(非エロ、捕食) 手乗りドラゴン(非エロ、捕食...
  • ドラゴンの恩返し
    「いいか、今日こそは絶対に仕留めるぞ」 「ああ、今まで散々俺達の村を荒らしてくれた礼をしてやる」 武器を手に殺気立った数十人の男達が、深い闇に沈む森を睨みつけていた。 ここ数年、森から突然大きな赤いドラゴンが現れ、村の家畜をさらったり若い男を連れ去ったりするという事件が頻発していた。 これまではドラゴンの恐ろしさに手を拱いていた村人達も度重なる襲撃についに業を煮やし、一致団結して森に棲むドラゴンを退治することにしたのだ。 「あ~あ、嫌だなぁ・・・ドラゴンに戦いを挑むなんて、みんなどうかしてる」 ドラゴンへの怒りを燃やす村人達に混じって、溜息をつく1人の若者がいた。 村人総出の狩りだということで、彼はその気もないのにドラゴン退治に無理矢理駆り出されたのだ。 「よし、行くぞ!」 村人の1人が大きく声を上げる。ドラゴンが村を襲うのは、決まって夜になってからだった。 きっ...
  • 手乗りドラゴン2
    「・・・・・・」 何度も何度もここから逃げ出す算段を考えるが、そのどれもが満足のいかない結果に落ち着いてしまう。 不遜な人間への怒りを滾らせようと努力してみるが、餌を与えられたせいか、それとも満腹になったのが原因なのか、ワシは今一つこの人間を憎み切れなくなってしまっていた。 このままではいかん。こんなことが長く続けば、ワシは本当に身も心も人間如きのペットに成り下がってしまう。 それだけはなんとしても避けなくては・・・だが一体どうすれば・・・ 両手で頭を抱えて蹲りながら、答えの見えない迷宮に何度となく迷い込む。 激しいストレスに悩まされ続けている間に、ワシは満腹加減も手伝っていつしか深い眠りについていた。 グオー・・・グオー・・・ 突然、ドラゴンからおかしな声が聞こえてきた。何事かと思って反対側から覗き込むと、ドラゴンがまるで地震に驚いてテーブルの下で震えている時のよう...
  • サキュバス・バニードラゴン
    「マスター、水割りをもう一杯くれ」 「あいよ」 ドラゴン達が住む町の一角に、寂れたカクテルバーがあった。 一昔前までは毎晩溢れ返らんばかりのドラゴン達で賑わっていたが、次々と押し寄せる新しい時代の波に押され、今では1日に2、3人の常連が訪れるだけになっていた。 カクテルを作らせたら町一番と評判だったマスターも、近頃はかわいいバニードラゴンと2人だけで厳しい経営を切り盛りしていた。 水割りの飲み過ぎで泥酔した最後の客が店を後にすると、バニードラゴンは酒で汚れたテーブルをひとつひとつ丹念に磨いていった。 また、明日の夜までは1人の客もくることはないだろう。 マスターもグラスをキュッキュッと磨くと、それを棚にきれいに並べ始めた。 カランコロン・・・ その時、1人の客がバーに入ってきた。 酔ってはいないようで足取りはしっかりしていたが、その肌色のドラゴンはカウボーイハット...
  • 娘とドラゴン(太陽編)
    ばっさばっさ  どすん。 『娘、久しぶりだな』 「一昨日会ったばっかりじゃん。トゲが小さくて抜けないとか泣き付いてきて。  最近村の人達に怪しまれてるんだからあんまり呼び出さないでくれる?」 『黙らぬか。 今日はその、なんだ、貴様にこれを呉れてやろうと思ってな』 がらがらがらがら 「なにこれ」 『ふっ、やはり貴様達人間は物の価値を知らぬ。 これは媚薬の原料だ。  まず種を取り出し、それをよく炒るのだ。 次にその種をすり潰す。  滑らかにすり潰すのだぞ? まあ人間には無理かもしれんがな。  それに砂糖と牛の乳を少量加え、なべで焦がさぬよう練り上げる。  こうして出来た物を更に滑らかにすり潰し、十分に時間をかけて  冷やし固めるのだ。  どうだ、驚いて言葉も無い様だな。  まあ御前のようなはねっかえり娘には媚薬を盛るような男...
  • 兄はやり手のドラゴンマスター
    「10歳のドラゴンマスター(見習い)」 僕が兄と一緒にドラゴンマスターを目指して何年が経っただろう? 今も兄と一頭のメスドラゴンと一緒に旅をしているが、まだまだ兄のようにドラゴンと心を通わせられない自分がくやしかった。 その夜もいつものように山の途中で野宿をしていたのだが、その不安を紛らわすには寝るのが一番簡単だった。 しかし、今日はあまりうまく寝付けなかったせいか変な声で目を覚ましてしまった。 反射的に周りを見回したが兄とメスドラゴンのソウルが自分の近くにはおらず 不安になって焚き火の周りを探し始めた。 「グゥッ・・・フルゥ・・・」 ソウルの鳴き声が聞こえたがいつものような勇ましい声ではなかった。 「ふふふ、ソウルったらいつものような大声はどうしたんだい」 兄の声もそのあとに聞こえてきた。 何を話しているのか理解できず、勇気を出してもっと近寄って...
  • 正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました
    累計 - 今日 - 正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました 1話 (非エロ、Transformation) 正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました 2話~7話 (非エロ、Transformation) 正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました 番外編 (竜♂×竜♂、Transformation)
  • ドラネ・コンティ
    「85年物の赤ワインとチーズケーキをお持ち致しました」 高級な雰囲気を醸し出す三ツ星レストラン。 リボンのような大きな赤い耳を持った黄色のドラゴンは、運ばれてきた美味しそうなチーズケーキを見て微笑んだ。 レストランでバイトをする若いウェイターが、透き通ったワイングラスに真紅の美酒を注ぎ込んでいく。 ムシャ、ムシャ・・・ 一言も発せずに黙々とチーズケーキを頬張るドラゴン。 その様子を横目に、ウェイターのドラゴンはかしこまった様子でグラスいっぱいまで注がれたワインのボトルを戻そうとした。ところがその時・・・ ムシャ、ムシャ、パキッ、バリッ、ボリッ、ビキッ・・・ 聞き慣れない音に驚いて黄色いドラゴンの方を見ると、彼女はなんとチーズケーキばかりか皿の方まで美味しそうに食べている。 「あ、あの・・・お客様・・・?」 その信じられない光景にウェイターはボトルを傾けたまま石のように固...
  • 映画
    ●「DRAGONHEART」 ┗ドレイコ ●「エラゴン 遺志を継ぐ者」 ┗サフィラ ●「シュレック」 ┗赤竜 ●その他ドラゴンの登場する映画 ┗ドラゴンストーム ┗ドラゴンファイター 炎・獣・降・臨 ┗ネバーエンディングストーリー ┗サラマンダー ┗アルゴノーツ ┗ブレイブサーガ ┗ダンジョン&ドラゴン ┗ニーベルンゲンの指輪 ┗ロードオブザリング ┗ジークフリートの冒険 ┗ハリーポッターと炎のゴブレット ┗コンクエスタドール
  • 分かたれた者達
    アルコールの匂いとベタつく光沢が染み込んだ、小さな樫の木のテーブル。 その前でグラスを片手に椅子に腰掛けながら、俺はカウンターの奥の壁にかけられた丸時計へと目をやった。 「あの・・・」 突如背後からかけられた、おどおどした小さな声。正に時間通りだ。 俺は顔色1つ変えずに後ろを振り向くと、そこに立っていた小柄な町長の姿に目を止めた。 「この度はありがとうございました。これが・・・謝礼の金貨50枚です」 そう言って、町長がズッシリと金貨の詰まった麻袋を俺の前に差し出す。 「ああ、悪いな。また何かあれば言ってくれ。すぐに駆けつけるよ」 「は、はい・・・」 俺が金貨の袋を受け取りながらそう言うと、町長は俺に対してある種の恐れでも抱いているのかしどろもどろに歯切れの悪い返事を返してきた。 その様子を一瞥し、ガタンという音を立てながら軋む椅子から立ち上がる。 そして呆然と俺の後ろ...
  • 森の主達
    直径2キロにも満たぬ、四方を深い森に囲まれた小さな村。 全部で100人程の村人達は皆食料を自給自足し、必要な品々は隣人との物々交換で補っていた。 とはいっても決して文明から取り残された村などではなく、人々は実に近代的で充実した生活を送っている。 だがこの村には、絶対に破ってはならないと言われる1つの掟が存在していた。 それは、村を囲む森の中に入ってはならないということ。 20年程前にこの村が作られた時、村の創始者達は森に住むある者達と契約を取り交わしていたのだ。 そのある者達とは、黒い鱗を全身に纏った巨大なドラゴン達。 元はドラゴン達の物であった森の一部に人間が住むことを許し決して村は襲わないという条件と引き換えに、人間達もまた彼らの領域である森を侵さないという不可侵の契約だ。 村の創始者達はそんなドラゴン達を酷く畏れていて、これまでその掟が破られたことは1度としてなかった...
  • 会議
    「う、うーん・・・」 暗い闇の中で、俺は眠りから目覚めた。いや、眠った記憶はない。 ・・・そうだ、街で夜遊びしてから帰る途中、俺は突然誰かに襲われたんだった。 最後に見たのは人間のものとは思えない不思議な形をした影だったような気がする。 辺りを見回しても、平らな床にここが屋内だということがわかった以外は何も見えなかった。 ここはどこだろう・・・?いや、ここがどこかなんてことはどうでもいい。 問題は俺がなんでこんなところにいるのかってことだ。 きっと俺を襲った何者かがここまで運んできたんだろう・・・でも、何のために? そこまで考えた時、俺はふとそばで何かの息遣いが聞こえることに気がついた。 暗闇に遮られて何も見えないが、確かに俺の右隣からスースーという寝息のような音が聞こえてくる。 その音に耳を澄ませると、波長の違う様々な呼吸音が、気配が、そして不穏な空気が、闇の中...
  • 分かたれた者達2
    「ん・・・」 チュンチュンと小鳥の囀る声が聞こえ、俺はゆっくりと目を開けてみた。 真っ暗だった外は何時の間にか明るくなっていて、燃え尽きた焚き火からは黒い煙が立ち昇っている。 どうやらあの後、快楽の余韻を楽しむようにドラゴンの腹にしがみついている内に眠ってしまっていたらしい。 体を押し包んだ柔らかな感触が、全裸で寝ていた俺の体をポカポカと暖めてくれていた。 ドラゴンの方もあのまま眠ってしまったらしく、ぐってりと仰向けになったまま満足げな寝顔を岩の地面の上に横たえている。 心から信用している者にしか見せないであろうその可愛げな寝姿に、俺はしばらくの間顔がにやけてしまうのを抑えながらじっと見入っていた。 その日の昼頃、俺はこのドラゴンにエルダという名前をつけた。 足の痛みはまだしばらくは消える様子がなく、当分の間はこの洞窟で暮らすことになると思って俺が彼女に名をつけること...
  • 捨てたはずの剣
    「おお、こいつはまたでかい獲物だな!それにここらじゃ滅多に採れない薬草までこんなに!」 「全部で幾らだい?」 「これなら金貨10枚は払うよ。それで譲ってもらえるならワシとしては安い買い物だ」 目の前に並べられた大きな2頭の猪と化膿止めや痛み止めに効果のある薬草の束。 それらを目にして、町の通りに露店を開いていた老齢の店主が喝采の声を上げる。 「よし、それで売ろう」 その提案に快く交渉成立の声を上げると、俺は彼から金貨の入った麻袋を受け取った。 空を見上げれば茜色に染まった山々の稜線が、町の周囲をグルリと取り囲んでいる。 もう日が落ちる・・・町の外で待たせている彼女も、そろそろ痺れを切らしてくる頃だろう。 「ありがとうよ、若いの!」 帰りがけに背後からかけられたご機嫌な店主の声に片手を上げて応えると、俺は家への帰路につく人々の群れに混じってそっと山道へと続く町の門を...
  • 常世の寝室
    「ハァ・・・ハァ・・・」 山裾に広がる小さな町の中を、輝くような黄色い毛を靡かせた小柄なドラゴンが懸命に走っていた。 「いたぞ!あっちだ!」 武器を持った数人の男達が、あちらこちらで怒号を上げる。 私はほんの少し、ほんの少しの家畜を奪って逃げるだけのつもりだったのだ。 ここ数年の異常気象のせいで、すでに私の住む山の食料は枯渇していた。 空腹に喘ぎながら人間の街へ忍び込み、放し飼いにされていた鶏を襲ったまではよかった。 そこを運悪く人間に見つからなければ、こんなことにはならなかったというのに・・・ 必死で建物の角を曲がりながら殺気立つ人間の気配から離れようとしているうちに、私はいつしか町の奥深くへと迷い込んでしまっていた。 「こっちに逃げたぞ」 「あそこの道は塞いだか?」 周囲から聞こえる私を探す者達の声。もし捕まれば、まず生きてはいられぬだろう。 私は建物の陰...
  • 発情期
    ローレンスは困惑していた。 テメレアは初めての発情期を迎えた。雌雄の区別を持つ生き物であれば珍しくもない成長過程のひとつだ。 だが、ドラゴンはただのけだものではない。人間と同等、いや、それ以上に賢いのだ。 ドラゴンは発情期の衝動を自制できる、そのケレリタスの言葉に疑いはない。 彼は上官であると同時に数百年を生きたドラゴンでもある。説得力は相当なものだ。 しかし、自身のテメレアに対する接し方 ──特に日常的な世話のあり方が他の担い手と比べて特殊であることをローレンスは自覚していた。 ロック・ラガン基地に赴任して間もない頃、食事で汚れたテメレアを洗ってやっていたローレンスを見て少年兵たちはこう言っていた。 ドラゴンは自分の体を自分で舐めて掃除するものだ、と。 ドラゴンの世話はパートナーの責務。ローレンスは自論に自信を持っていたが、 日常のあらゆる局面において自分に大き...
  • ドラグーン・キングダム
    第一章「洞窟のドラゴン3兄弟アル、ブル、チャル」 ドラゴンが住むといわれた森―― その森の中心に近い薄暗い洞窟に3頭の兄弟の竜がいた。 森に入った者がその姿をちょくちょく目撃しており、その国を治める長は その存在を大変恐れて、たびたび討伐隊を組んでドラゴンを捜索させていた。 しかし発見してもうまく逃げられたり、尻尾でなぎ倒されたりと結果は散々だった。 「人間をさらう、食われる、慰み者にされる」 などの噂も流れており国の人々も大変恐怖していた。 ただ、実際にそういう被害報告はないのだが・・・ 洞窟の奥の一室―― 「ただいま」 アルはいつもの落ち着いた声で自分たちの洞窟へ帰ってきた。 いかにも冷静な様子はスマートな外見と白い体毛によく似合っていて 3兄弟の長男という自覚を常に持った賢いオスだった。 ――しかし、洞窟に入ってその...
  • 子育て2
    チュルチュルチュルチュル・・・ 「あ、は・・・はぁぅ・・・」 永遠に続くかと思われた"授乳"も、もうすぐ終わりを迎えようとしていた。 俺の周りでは満腹になるまでミルクを吸った仔ドラゴン達が9匹、お腹を抱えるように腹の上に両手を上げてすやすやと眠っていた。 最後に残った白い仔ドラゴンが、1匹で寂しく俺のペニスを貪っている。 チュ~~~チュパッ! 「うっ!」 最後の一滴を吸い尽くし、白い仔ドラゴンはお腹がいっぱいになったのか 俺の腹の上にゴロンと寝転がって昼寝を始めた。 「キュウ・・・」 「はぁ・・・はぁ・・・」 1匹の仔ドラゴンに10分以上ペニスを吸い続けられ、授乳は2時間あまりにも及んだ。 俺はぐったりと首の力を抜いて横たわった。 なんとか気を失わずに耐えることができた。所詮は子供、あのピンク色のドラゴンの本気の責めに比べたらこれくらい・・・。...
  • 希望の卵
    地を這う人間達の遥か頭上をゆったりと飛びながら、レモンのように眩しい黄色い体毛に覆われたドラゴンが下界を見下ろして深い溜息をついた。 「ふう・・・一族の掟とはいえ、このような者どもの中から伴侶を選ばねばならんのか・・・」 つい数日前に人跡未踏の山奥にひっそりと存在するドラゴンの里を旅立った彼女は、これから先の生涯をともにする者を見つけるために連日雲の切れ間から自分に相応しい人間を探していたのだ。 雄のドラゴン達は外界で暮らすことが多かったが、そのほとんどが心無い人間達によって狩り出され、すでにその存在が絶えて久しかった。 それ以来、生き残った雌のドラゴン達は不本意ながらも人間を伴侶として里で暮らすことに決め、これまで子孫を残してきたのだ。だが、人間を里に引き入れ始めてからの約100年間、待望の雄のドラゴンが産まれることはついになかった。 結局、人間と我らの間には屈強な雄のド...
  • 卵を求めて
    もはやジャングルと呼んでも差し支えのない険しい森の中を、俺は息を殺しながらゆっくりと進んでいた。 一生遊んで暮らせるほどの大金が手に入るという、稀少なドラゴンの卵を盗み出すためだ。 ドラゴンは年中卵を産むことができるが、中でもこの季節になると産卵が活発になる。 森の中には産んだばかりの卵を守る雌のドラゴンや、卵を狙って、あるいは肉欲を満たすために産卵後の弱った雌ドラゴンを襲う雄のドラゴンが出没することがあるという。 正直俺は武器を取ってドラゴンと戦えるような人間ではない。 それどころか虎やなんかの猛獣に出遭っただけでも一目散に逃げ出すことだろう。 だが、こっそり目的の物を盗んでくるというのなら話は別だ。 薄暗い木々のトンネルの中を進んでいくと、大きな木の根元にドラゴンの卵が5個産み落とされていて、そのそばに真っ黒い色をした母親のドラゴンがぐったりと蹲って眠っていた。 ...
  • 生贄の少年2
    「ようこそ我が家へ」 一方のドラゴンが口を開いた。その声には聞き覚えがあった。 僕が死んだとき、あの不思議な空間で頭の中に響いてきた声だ。 「あ、あの・・・」 「あなたの言いたいことはわかっています」 ドラゴンが僕の言葉を遮る。 「あなたの考えている通り、不運にも命尽きたあなたをここに連れてきたのは私です」 「僕はここで何をすればいいんですか?」 もう一方のドラゴンが答える。 「その答えは1週間後にわかります。それまでは、どうぞ私達の国でゆっくりと寛いでいってください」 どうやら2匹とも雌のドラゴンのようだ。 僕は家を出た後、一緒にいた赤い子ドラゴンに聞いてみた。 「あのドラゴン達は君の両親かい?」 「ちょっと違うわ」 子ドラゴンはちょっと真剣な顔になって続けた。 「この国には今雄のドラゴンがとっても少ないの。だから1人の雄が何人も妻を持っているのよ」 「ど...
  • 森に這う鎖
    咽返るようなビールとワインの香りが漂う、この町でも随一の大きな酒場。 酒に酔った男達がそこらじゅうで浮かれ騒いでは、せわしなく店の中を走り回る若い娘の給仕に容赦なく注文を投げかけている。 そんな喧騒の中、年季の入った小さな樫のテーブルを挟んで俺の向かい側に1人の狡猾そうな小男が座っていた。 "なんでも屋"という割には裏の仕事しか入ってこないこの俺に、何やら頼み事があるのだという。 「で・・・俺にどんな用だい?」 まだ顔に幼さの残る可愛い給仕がなみなみとビールの注がれたジョッキを2つテーブルの上に置いていくと、俺はグイッと身を乗り出して相手の返事を待った。 「あんた、この国の南東に広大な森が広がっているのは知っているだろう?」 「そりゃあここに住んでる人間ならそんなことはガキの頃に習うからな。それがどうかしたのか?」 「じゃあ・・・その森の中にでかいドラゴ...
  • 沈黙の胸の内2
    「ん・・・」 意外なことに、俺は目を覚ました。なにやらフカッとした柔らかい地面の上に裸で寝かされている感触がある。 そして体の上には、あのドラゴンが俺の目覚めを待っていたかのように嬉しそうな顔で覆い被さっていた。 ここは・・・どこかの洞窟の中だろうか? 辺りの様子は暗くてよく見えないが、なんとなくそんな気がする。 それにしても、どうせ食うなら俺が寝ていてわからない間にさっさと済ませて欲しかった。 覚悟は決まっているとはいえ、やはり死ぬのが怖いのだ。 俺がゴクリと唾を飲み込んだのを確認し、ドラゴンがゆっくりと大きな口を近づけてくる。 だがそれは生暖かい唾液に濡れた牙の生え揃う口ではなく、熱い愛液に濡れた肉襞の蠢く口だった。 「うぅ・・・な、何を・・・」 眠っていたせいかさっきよりは大分体が動くようにはなっていたが、予想外の事態に思わず固まってしまう。 パクッ 軽く空気...
  • リオレイア
    モンスターハンターに登場するメスの竜。竜盤目・獣脚亜目・甲殻竜下目・飛竜上科・リオス科。ゲーム上では雌飛竜、またはワイバーンと呼ばれる。その名の通り腕と翼が同化したワイバーン型の竜で、全身は緑の鱗と甲殻で覆われている。雄竜、リオレウスとは同じ種族で、つがいになる存在である。突出したアゴと翼に浮き出た凡字のような模様が特徴。他のゲームのドラゴンのような高度な知性を持たないため、人間の言葉を理解したり、話すことは無い。 気持ちよさそうに丸まって寝息を立てたり、水浴びをしたり、あくびをしたりと、仕草やモーションがとても豊富。また、ドラゴンに好き勝手にいたずらが出来る、という事で、サディスティックなファンからも人気が高い。
  • 美女と野竜
    プロローグ バン! 巨大な扉を勢いよく蹴り開ける音で、我は目を覚ました。 暗闇の中に目を凝らすと、腰に長剣を携えた気品の高い人間の若者が、数人の従者を伴って我の寝床にずかずかと踏み入ってくる所だった。 その胸元に、真っ白に輝く細かな装飾の入ったペンダントを身につけている。 「ようやく見つけたぞ!忌まわしきドラゴンめ!」 「・・・人間か・・・我に何の用だ?」 その無謀な若者は、冷たい眼で睨み返す我に向かって白刃を突き付けると大声で名乗りを上げた。 「私の名はアルタス!罪なき人々を襲う邪悪なドラゴンめ、我が父ルミナス王の命により貴様に天誅を下す!」 「愚か者めが・・・後悔することになるぞ・・・」 眠りを邪魔された怒りに我がのそりと首をもたげると、アルタスと名乗ったその若者はけたたましい雄叫びと共に剣を振り上げて飛びかかってきた。 我の頭を目掛けて、鋼鉄の剣戟が思い切...
  • 忘我の温もり2
    ユサッ・・・ユサッ・・・ユサッ・・・ 僕の上で巨大な白い塊がゆらゆらと踊る度に、フサフサの毛皮が擦れる快感とじわっとした熱が擦りつけられていく。 「フフ・・・満足か・・・?」 「ま、まだ・・・もっとあっためてよ・・・」 ただただ温もりを求めるために毛皮の中に自ら体を埋めようとする僕を見下ろしながら、ドラゴンはニヤニヤと笑っていた。 ヌフフフ・・・外は風雪吹き荒れ身も凍る寒さだというのに、この人間のなんと暖かいことか。 できれぱ冬が明けるまでずっとこうしていたい気分だ。 それに・・・人間もこの温もりに虜にされてもう逃げる力も残ってはおらぬだろう。 いつ食い殺されるかわからんというのにワシの体に抱きついて自ら体を擦りつけているのがそのよい証拠だ。 フフ・・・寒さが和らいだら、ゆっくりと味わっていただくとしよう。 快適な寝床と食べ物が1度に手に入るなど、今年の冬は寒さこ...
  • 竜と人と
    「ローレンス、ドラゴンと結婚した人間はいないのかな?」 ローレンスは音読の途中だった小難しい天文力学の本を閉じ、驚いたそぶりを隠すことなくテメレアに視線を向けた。 この唐突な質問自体が驚きに値するものだったが、 普段は自分の朗読にじっと耳を傾けているテメレアが急に話題を切り出したことに、ローレンスは面食らった。 雲ひとつない穏やかな星空の下、ランプの灯りにゆらめくテメレアの表情がどこか寂しげに見える。 「どうしてそんなことを聞くんだい?」 驚倒の表情を取り繕い、あたかも平静にローレンスが言った。 質問を質問で返されたテメレアはしばらく考え込むように目をつむっていたが、やがてそのままの状態でこう続けた。 「ずっと不思議に思ってたんだ。  ドラゴンと人間はこんなにも仲がいいのに、結ばれたって話を聞いたことがないから。  いけないことなのかな?ドラゴンと人間が結婚するのは」 ...
  • 常世の寝室2
    「・・・これからどうするのだ?」 ドラゴンが不安と申し訳なさを顔に滲ませながら、細々と声を絞り出す。 「奴らが見張ってるかもしれない。出かける用事があるって言ってしまったんだ」 「では、出かけるのか?」 「すぐに戻ってくるよ。目くらましにちょっと出てくるだけだ」 だが、ドラゴンは一層不安の色を濃くさせていた。 「どうかしたのか?」 「お前が出て行けば、お前のいない間奴らはここに押し入ってくるのではないか?」 ドラゴンにそう言われ、僕はハッと息を呑んだ。 しまった・・・確かに奴らならやりかねない。だが僕が出て行かなければやはり疑われてしまうだろう。 「くそっ、僕の考えが甘かった・・・どうすればいい?」 「もし私が見つかれば、お前もただでは済むまい。だが、そうかと言って他に隠れる場所もない」 ドラゴンの言葉の真意を悟り、僕は背筋に冷たい物が走るのを感じた。 「・・・強...
  • 竜の呪い2
    スッと彼女の目が開いた。そして、視線がゆっくりとアレンの方へ移動した。 それを認めたアレンの顔に希望の色が浮かんだ。 「ミーシャ姫!」 だが、ミーシャはもう一度ゆっくり目を閉じた。そして・・・ 「うああ、ああ、ああああぁ!」 苦しそうな悲鳴とともに激しい痙攣を起こした。アレンには何が起こったのかわからなかったが、すぐに事の異常さを認めた。 彼女の手に金色の毛が生え始めたのだ。それは瞬く間に全身に及び、腹の辺りを残して彼女はフサフサの短毛に覆われた。残された腹の皮膚も、徐々に白くなり、人間の皮膚ではなくなっていく。 そして、彼女の美しかった顔は鼻を前に長く伸ばしたような形になり、口が左右に大きく裂けた。頭部には艶のあるすらりとした角が伸び、腹の下からアレンの太腿よりも太い尻尾が伸びている。 ミーシャが人外の変化を遂げている間、アレンは次第に重くなる彼女を支えきれず転倒し、彼女...
  • 誕生2
    私の体を貫いている肉棒から放たれた煮え滾る粘液の刺激に、私は今まで押し隠していた本能が呼び覚まされていくのを感じた。 彼の肉棒を押し包んでいる器官にグッと力を入れ、物凄い力でそれをギュッと締め上げる。 「あぐぁっ!」 突然の反撃と強烈な刺激に驚いた彼が、私から肉棒を引き抜こうと反射的に腰を引く。 「だめ、逃がさないわ」 彼の腰に素早く桜色の尻尾を巻きつけて引き寄せると、私はさらに両手で彼のごわごわした肩を抱き締めた。 それでも抵抗しようとする彼を黙らせるように、再び最大の弱点である肉棒に圧搾を加える。 グシュッ 「ぐ・・・ま、待ってくれ・・・」 あっという間に逆転した形勢に、彼は半ば落ち着きを失って私に懇願した。 だが彼がそうであったように、私も自らの快楽を求める本能に歯止めを効かせることはできなかった。 ゴシュッ・・・グシッズリュッ・・・ 「うあっ、うああああっ!...
  • 竜の呪い
    「何?姫がいないじゃと?」 城下町が感謝祭で賑わう日曜日、ミリアン王国の王バルスは、姫のお目付け役の兵から報告を受けたときも、大して驚きはしなかった。 あの御転婆娘のこと、また勝手に城を抜け出しては町の人々と一緒にワルツでも踊っているのだろう。 「よいよい、いつものことじゃ」 王は手をひらひらさせながら兵士にそういうと、兵士は困惑した表情で玉座の前から退いた。 感謝祭の日くらいは好きにさせてやろう。叱るのは後でもできる。王は内心溜息をつきながらも、傍らの小さな台に乗っていたグラスワインを呷った。 盛大な宴が続き、夕日に空が赤く染まる頃、祭りの熱気は最高潮に達していた。 誰もが酒瓶を片手に踊り、笛と太鼓の音が夜遅くまで響いていた。 そして、バルス王の最愛の娘ミーシャは、ついに帰ってこなかった。 城下町の騒ぎが収束に向かい、松明の火がひとつ、またひとつと消えて行く段にな...
  • スティルカ
    スティルカがこのあたりに越してきたのは、つい1ヶ月前のことだ。 ドラゴンのDNAが入った人間がやってくるとのことで、僕の町はものすごい騒ぎになった。 正確には、人間に無い特徴を関連付けようとする試みで、 最終的な目標となっている、すべての生物の遺伝子を持ち、端麗な姿を維持した生体の創造。 歴史の生き証人を作り出すこと、そのプロジェクトの名前が「ドラゴン」らしい。 スティルカはその元で、水棲生物のいくつかのDNAを調合された者である。 スティルカは、プロジェクトの進歩した証なのだ。 本来なら、進行途中に出来上がる生物は奇怪な容貌でもかまわないのだが、 それでもスティルカ達のような途中過程の生物が、 プロジェクトの名前等しい容貌を持っているのは、 研究員の純粋な遊び心と美的センスの産物だった。 美しい、たくましい、それぞれの特異な外観を持った生物。 そんな生物たち...
  • 宝玉の主2
    ―――72年前 「そっちへ行ったぞ!」 「矢は当たったか!?」 厚い木々に覆われた薄暗い森の中で、黒いドラゴンが木の陰で蹲っていた。 弩から放たれた矢を肩と背中から引き抜くと、傷口から真っ赤な鮮血が滴り落ちる。 「グググ・・・おのれ人間どもめ・・・」 突然の人間の襲撃に怒りを燃やしたドラゴンは、背後にガサッという物音を聞いて振り返った。 その瞬間、無防備だったドラゴンの背中に植物毒が塗られた矢が数本、ドスドスッという鈍い音とともに突き刺さった。 「グアアッ!」 強烈な激痛にドラゴンが仰け反る。 矢に塗られた劇毒で体が痺れ、指の先から尻尾の先までがピクピクと痙攣した。 「仕留めたぞ!」 「よし、馬で引きずっていこう」――― 「人間どもは体の自由を奪われたワシの尻尾に縄を結び付け、数頭の馬でワシを引きずっていった」 ドラゴンは依然怒りを湛えた眼で俺の顔を覗き込...
  • 子育て
    "辰子山の行方不明者 例年の3倍" "秋の入山禁止令発令" 夏のある日、僕は大学から帰る途中にたまたま見つけた図書館で、去年の新聞を読み耽っていた。 ここ数年、9月から10月にかけて辰子山に登った人達が行方不明になるという事件が頻発し、世間を賑わせているらしい。しかも、行方不明になるのは決まって若い男性ばかりだった。 この不気味な謎は、将来新聞記者を目指す僕の好奇心を掻き立てずにはおかなかった。 きっと謎を解いてやる。そう思い立つと、僕はもうすぐ来る秋に向けて期待を膨らませた。 例年になく暑かった夏が終わり、肌寒い秋風が吹き始めた頃、僕は登山の準備をして辰子山に出かけた。 去年から入山禁止令が出されていたが、その原因を突き止めに行くつもりの僕には関係無い。 人目につかぬように張り巡らされた「立入禁止」のテープをくぐると、僕は鬱蒼...
  • 継承
    「へえ・・・ここかぁ・・・」 すでに日が暮れて暗くなった山の中に建てられていた山小屋を見ながら、僕は感嘆の溜息をついた。 切り株や小さな畑が辺りに点々と作られていて、誰かがつい最近までここで生活していたことを物語っている。 先日、僕は20歳の誕生日の贈り物に父が所有していた小高い山を譲り受けた。 ほとんど手付かずの森林の中にポツンと山小屋が一軒だけ建っていて、父は少なくとも数年の間ここで暮らしていたという。 だが、どうにかして手に入れた大きなお金で新しい家を建てるらしく、父は僕にこの山の登記所を手渡す時にこう言った。 「お前なら、きっと私より有意義な生活を送れるはずだよ」 その言葉の意味はよくわからなかったが、まだ若い僕にとっては自分の土地が手に入ったということが何とはなしに嬉しかった。 しっかりたてつけられた扉を開けて小屋の中に入ると、青と緑のチェッカー模様の布団が...
  • 湖の邂逅1
    翌日目が覚めたのは昼の少し前だった。 隣の大きな寝床で寝ていたはずのドラゴンは、いつのまにか財宝の山の頂上に寝そべっている。 すると、物音に気付いたのかドラゴンがこちらを振り向いた。 「覚悟は決まったか?」 「あんたの夫になるよ」 その言葉に、ドラゴンの顔に穏やかな笑みが浮かんだ。 俺はそれから、食料の調達方法を何とかしなければいけなくなった。 水はドラゴンが毎日あの澄んだ湖へと連れて行ってくれるため心配は要らなかったが、食べ物となると話は別だ。ドラゴンは長い間何も食べなくても平気でいられたが、俺はそうはいかない。 木の枝を加工して手作りの槍を作ると、俺は毎日狩りに出かけ、兎や鹿を狩って帰って来るようになった。 ねぐらでは組み上げた薪にドラゴンが炎を吐きつけ、焚き火を起こす。 そして、狩ってきた動物の肉を焼いて食べるのだった。 初めて...
  • ヴォリー
    「ンモオオォォォオオ!」 さんさんと陽光降り注ぐ穏やかな昼下がりの牧草地で突如として上がった牛の悲鳴。 泥棒か、狼か。考えられる原因はそんなところだが、何せこんな真っ昼間である。 人にしろ獣にしろ、白昼堂々と牛を掻っ攫うような真似はしないだろう。 そういう輩は夜を待つものだ。 つまりそれは、招かれざる客がそのどちらでもないことを示唆しているに違いなかった。 芝生に身を放り投げていた農夫は牛の悲鳴にようやく重い腰を上げて、喧騒の中心に視線を投げた。 そして、仰天した。 「ド、ドラゴン…!誰か!誰か助けてくれ!」 ドラゴン。…にしては随分と小さいが、立派な翼と頑丈な四肢はまさしくドラゴンそのもの。 それが手塩にかけて育てた牛の尻にかじりついているともなれば誰だって驚く。 農夫は竜がちらつかせる鋭利な鉤爪にびくびくしながらも、 大切な家畜を放り出して逃げるわけにもいかず、...
  • 山中の追跡
    「また行方不明か・・・」 出かける前少しだけ広げてみた新聞の記事に、俺はつい目を奪われた。 といっても、別段珍しいニュースが載っていたわけではない。 極めてありふれた、とはいえ他人事と無視することもできない事実が、白黒の写真つきで紙面に躍っている。 山菜を採りに山へ入った老人が行方不明になったというものだ。 これが他の人であれば夜の寒さに凍えてしまったのだろうとか、道に迷ってしまったのだろうなどと勝手な憶測に終始してしまうのだが、俺にとっては割と身近な問題と言えた。 何しろその老人が消えた山というのは、俺がこれから趣味のキノコ採りに向かう予定の山だったからだ。 確かに年老いているが故の不覚で災難にあったのであれば、若さに溢れる俺には心配することなど何もない。 だがクマや何かに襲われたというのなら、話は変わってくる。 まあ、その時はその時で採取用のナイフでも投げつけてやれば...
  • ひととせの仔竜
    「気をつけて行ってくるのよ」 「なに、ほんの1年のお別れだよ」 2匹の大きな生物が、体長1メートルくらいの小さな生物に交互に話しかけた。 「うん、行ってくる!」 小さな生物―――短いフサフサの毛に覆われ、小さな手足と尻尾を持った黄色のドラゴンは、両親の見送りの言葉に後押しされて人間界へと旅立った。 ドラゴンの世界では、13歳になった雄のドラゴンを、人間界で1年間旅をさせる慣わしになっていた。 もっとも、人間界のことをよく知らぬ大抵の子竜は、高校や大学へ通う1人暮しの男の子の家に突然押しかけてはそこでひっそりと1年を過ごし、またドラゴンの世界へと帰るのだ。 小さなドラゴンは、高鳴る胸を押さえながら人間界へと通じる光の扉をくぐった。 突然、フッと体が軽くなった気がした。人間界って不思議なところだなぁ・・・などと考えていたが、すぐにドチャッという音がして子竜は都心部から少し...
  • 悲劇の秘薬2
    「ああ、あ、あぐ、うああぁ!」 ミリーは全身を激しく痙攣させながらのたうち回った。 両手足に激痛が走り、皮膚が赤く変色して厚い皮膚に変わっていく。 指の先からは爪が物凄い早さで伸び、股間から太い尻尾が生え伸びた。 そして、背骨に沿ってオレンジ色のたてがみがバッと花が咲くように生え、背中には大きな赤い翼がせり出した。 「あ・・・あ・・・これ・・・は?」 次第に全身を襲っていた苦痛が引いていく。ミリーは、意外な豹変を遂げた自分の体を見回した。 どこからどう見ても、山の洞窟で出会ったあのドラゴンとそっくりだ。 「あの・・・血のせいなの・・・?」 床で砕け散ったビンの破片を見つめながら呟く。 試しに外に出て翼を羽ばたくと、驚くほど簡単に体が浮いた。 そして、彼女は南の山に向かって飛び始めた。 山の中腹まで飛び上がり、洞窟を探す。空から探したせいか、目的の洞窟はすぐに見...
  • エリザ
    世にドラゴンという種族が発見されてから100年。 現在では小さな子供のドラゴンは犬や猫同様に愛玩動物の仲間入りをし、多くの家庭でドラゴンの子供が飼われていた。 その上、10年もすればドラゴンは人語を操り体も人間に比べて非常に大きくなるため、そのままドラゴンと結ばれるという飼い主が少なくなかった。 ドラゴンと結ばれた一部の飼い主達はドララーと呼ばれ、正しい飼い方の浸透していないドラゴンを世に広める役目を担っていた。 いわゆる犬で言うところのブリーダーであり、彼らはドラゴンの子供達によるコンテストを開いたり、全国で講習を行ったりしてドラゴンの飼い主を増やしていたのだ。 もっとも、ドララーの多くはドラゴンとの主従関係が逆転していたのだけれども。 俺は突然降り出した雨に、朝に傘を持って家を出なかったことを激しく後悔した。 カバンを頭上に掲げて大学からの帰り道を急いでいると、電柱...
  • 森の主達2
    ジョリ・・・ 「うあっ・・・」 だが予想に反して先に顔に触れたのは冷たく伸びた爪の先ではなく、唾液に熱く湿ったドラゴンの舌だった。 ビクビクしながら薄っすらと目を開けると、ドラゴンの2つの青い眼が俺の顔を覗き込んでいる。 「まだ我を信用しきれておらぬようだな」 「だ、だってあんなことされたら・・・誰だって殺されると思うに決まってるだろ・・・」 「フン・・・勘違いしているようだから言っておくが、我らは決して邪悪な生物などではないのだぞ?」 ドラゴンは少しばかり怒っているのか、組み敷いたままの俺の体にさらにズシッと体重を預けながら先を続けた。 「空腹の時を除けば、我らは誰も殺しはせぬ。月の出ぬ晩に貴様らの村へ鹿を届けるのも、それが契約だからだ」 「じゃ、じゃあ・・・本当は俺を殺す気なんてないのか?」 息苦しげにそう聞き返すと、まるで黙れとでも言うように再び頬を思い切り舐め上...
  • stray dragon
    プロローグ ヨーロッパで最初のドラゴンが発見されてから20~30年は経っただろうか。 ドラゴン本来の能力、知性と人間の科学力によっていまやドラゴンは犬や猫と 同じほど人間のパートナーとしてメジャーになった。 いや、人間と会話できる分ドラゴンのほうが人気が勝っていただろうか。 だが10年前のドラゴンペットブームも過ぎ、今は世間のドラゴン熱も落ち着いて ペットショップでも普通に猫や犬と同じに扱われていた(正確には会話ができるので他の動物より2ランクほど上の住まい、値段だが) もちろん人気のある種類(翼がある飛行タイプ、火を吐けるブレスタイプなど)は今でも人気で 普通のサラリーマンの月給ではとても届かない値段で扱われていた。 しかし、翼もなく火も吐けない特徴のないドラゴンも生まれる場合があり そういうドラゴンは値段も他と比べると安かった。 それでも養育費で...
  • 禁断の意匠に抱かれて2
    次の日、俺は昨晩の激しい疲労のせいか昼近くまで深い眠りについていたらしい。 目を覚ました時には既に太陽は南中を迎えており、青々とした草木の萌える初夏の香りが辺りに立ち込めている。 「そうだ、あのドラゴンは・・・?」 俺はふと昨夜の出来事を思い出すと、まだふらつく足取りでよたよたと玄関の扉を開けて外の様子を窺ってみた。 その家の目の前で、一見すると石像に見える黒々としたドラゴンがじっとその巨体を地面の上に横たえている。 だが扉を開けた様子で俺の気配に気がついたのか、ドラゴンはおもむろに大きな頭を地面から持ち上げると心配そうな眼差しをこちらに向けた。 「おはよう・・・よく眠れたかい・・・?」 返ってくるのは小さな唸り声だけだと知りながらも、何故かこのドラゴンにはついつい気軽に話し掛けてしまう。 それは恐らく、昨日の一件で彼が随分と心の優しいドラゴンであることが容易に想像できたか...
  • 生贄の少年
    「なかなかちょうどいい子がいないわね」 「そりゃそうよ。だから私達、いつもいつも10日以上も時間をかけて探してるんじゃないの」 「あ、みてあの子、命数がのこりわずかよ」 「あらほんと、それに年もいい感じだし。あの子にしましょうか」 僕は今まで「特別な事」に出会ったことがなかった。 テレビや雑誌で出てくるようなドラマティックな出来事なんて絵空事だと思ってたし、僕にとっては身の周りに起こらないことなんて、宇宙の外で起こってることと変わりなかった。 高校からの帰り道、僕はいつものように長い長い通学路を歩いていた。 なんてことはない1日。365日、金太郎飴を切ったときみたいにどこをとっても変わり映えしない1日が永遠に続いているようだ。 家まであと100メートル。交差点を曲がって車通りの多い道に出る。 その時、突然キーッという甲高い悲鳴のような音を立てて、対向車線を走っ...
  • ペット
    朝目が覚めると、僕は裸で見知らぬ部屋にいた。 明らかに自分のものとは異なるベッド、テーブル、調度品。 そしてなにより、独特な獣の臭い。 ええと、昨日の夜は何をしていたっけ? 必死に記憶を辿る。確か、友達と飲んで、酔って帰る途中だったのは覚えている。 でもそこから先の記憶がない。 ということは、どこかで倒れて誰かの家で介抱されたのか? でもそんな見知らぬ酔っ払いを普通こんないいベッドに寝せるものなのかな?しかも服も着せずに。 みれば、僕のいた部屋は綺麗に片付けられていて、ホコリ一つ落ちていない。 その上ベッドときたら2メートル四方の大きなもので、明らかに部屋の中で異常な占有率を誇っていた。 僕はとりあえずベッドから這い出すと、窓を覗き込んで驚いた。 「一体何階建てなんだこの家は!?」 窓の外には霞がかった一面の空の下に深緑の絨毯が敷いてあるように見えた。 だが...
  • @wiki全体から「ドラゴンステーキ」で調べる

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