moedra @Wiki内検索 / 「湖に漂う羨望3」で検索した結果

検索 :
  • 湖に漂う羨望3
    お、おじちゃんに逆らうのもなんか怖いし・・・もう少し様子を見てた方がいいかな・・・ 僕は明るい外から半分だけ顔を出して洞窟の中を覗き込むと、今まさに犯されようとしている雌竜の痴態を震えながら見つめていた。 僕に対してもそうだったように、おじちゃんは彼女に対してもそれほど酷いことはしないだろう・・・多分・・・ ズブ・・・ズブ・・・ 「あっ・・・や・・・やぁ・・・」 極太の肉棒に身を貫かれる恐怖と逃げ場のない快感に彼女が暴れる度、おじちゃんのモノが少し、また少しと赤毛の森の中へと沈んでいく。 そしてもはや大声で叫ぶ力もなくなってしまったのか、彼女が切ない顔に大粒の涙を浮かべて喘いでいた。 「あぅ・・・あうぅ・・・・・・」 ハァハァと荒い息をつきながら徐々に突き入れられる肉棒の感触に、憐れな雌竜が成す術もなく身を震わせる。 ジュブ・・・グチュッ・・・ズリュリュッ やがて堪えよ...
  • 湖に漂う羨望 ~外伝~
    湖に漂う羨望―外伝― 「少年ドラゴンの成長」 この住処の主、「おじちゃん」と呼ばれていた古竜も旅立ち早15年、 今はその住処に仲良く若夫婦とその息子が暮らしていた。 息子は「マツリ」という名で呼ばれ大変かわいがられていたのだが・・・・。 ちょっと深いところまで来たかな・・・。 マツリはそんなことを考えながら長い眉毛を揺らし、犬のようにペタペタと4足歩行で歩いていた。 父親譲りの凛々しい顔と母親譲りのスマートな体型で14歳ながらも 一人前の竜のような毅然とした態度で深い森を歩いていた。 両親のいるきれいな湖、暖かい洞窟にいるときとはまったく違う深い森の雰囲気、 獣の気配に少し心を乱されていた。 若いマツリは好奇心から住処から離れたこの森に冒険に来たのだが、 今ではその好奇心よりもこの森を抜け出せない焦燥感が大きかった。 「ふぅ...
  • 初心者A氏
    累計 - 今日 - 湖に漂う羨望 ~外伝~(♀竜×♂竜)[絵あり] ↓湖に漂う羨望(作:SS便乗者氏) ↓続・湖に漂う羨望 ~外伝~(♀竜×♂竜)[絵あり] 無題{改}(♀竜×♂竜、近親相姦) ↓無題3(♀竜×♂竜) 無題2(♂竜×♂竜) ↓無題2~続編(♂竜×♂竜、流血) ↓パディとバーニー(♂竜×♂竜、流血) stray dragon(♀竜×♂人間) 410氏にささげるSS(非エロ) 単発SS(♂竜×♀人間) ふたドラ(♀竜×♂竜、近親相姦) おまけ(♀竜×♂竜) ドラグーン・キングダム(♂竜×♀人間) 兄はやり手のドラゴンマスター(♀竜×♂人間)
  • 湖に漂う羨望
    明るい木漏れ日の差し込む森の中。 僕はさんざん追い掛け回してやっと捕まえた獲物の鹿を引きずりながら、住み処の洞窟へと向かって歩いていた。 ズル・・・ズル・・・ 「フゥ、フゥ・・・」 木々の葉に細められた陽光の織り成す斑模様の地面の上を見つめながら、荒い息をついて疲れ切った体に鞭を入れる。 しばらくして鬱蒼と茂る草木の奥にチラチラと岩壁のようなものが見え始めると、僕は心なしか足を早めていた。 やがて木々のトンネルの中から光差す外の世界へと足を踏み出し、すでに見慣れた目の前の景色に安堵の表情を浮かべる。 「あ~・・・今日も疲れたなぁ・・・」 視界一杯に広がった美しい湖。その波打つ水面がキラキラと陽光を反射し、思わず眩しさに目を細めてしまう。 奥に見える4つの大きな洞窟の前にはすでに仕留めていた2頭の鹿が並べられていて、遠目からではまるで鹿達が仰向けになって日向ぼっこをし...
  • 湖に漂う羨望4
    お、おじちゃんに逆らうのもなんか怖いし・・・もう少し様子を見てた方がいいかな・・・もう少しだけ・・・ 僕は明るい外から半分だけ顔を出して洞窟の中を覗き込むと、今まさに犯されようとしている雌竜の痴態を震えながら見つめていた。 僕に対してもそうだったように、おじちゃんは彼女に対してもそれほど酷いことはしないだろう・・・多分・・・ ズブ・・・ズブ・・・ 「あっ・・・や・・・やぁ・・・」 極太の肉棒に身を貫かれる恐怖と逃げ場のない快感に彼女が暴れる度、おじちゃんのモノが少し、また少しと赤毛の森の中へと沈んでいく。 そしてもはや大声で叫ぶ力もなくなってしまったのか、彼女が切ない顔に大粒の涙を浮かべて喘いでいた。 「あぅ・・・あうぅ・・・・・・」 ハァハァと荒い息をつきながら徐々に突き入れられる肉棒の感触に、憐れな雌竜が成す術もなく身を震わせる。 ジュブ・・・グチュッ・・・ズリュリュ...
  • 湖に漂う羨望2
    だめだ、やっぱり見ちゃいられない! ズブ・・・ズブ・・・ 「あっ・・・や・・・やぁ・・・」 絶望に染まった彼女の喘ぎ声に意を決すると、僕は洞窟の入口からおじちゃんに聞こえるように大声を上げた。 「やめて!おじちゃん!」 その声にわずかながら驚いたおじちゃんが動きを止め、クルリと僕の方を振り向く。 「何だ小僧、ワシに何か文句でもあるのか?」 「か、彼女を許してあげて。僕なら何でもするから・・・さ・・・」 それを聞くと、おじちゃんが無抵抗になった彼女の顎を片手でそっと持ち上げて僕の方を向かせた。 そしてフサフサと赤毛を靡かせる彼女の顔に頬を擦りつけながら、こちらをギロッと睨みつける。 「ほう・・・お前がこの小娘の身代わりになるというのか」 勢いでおじちゃんを止めに入ったまではいいものの、はっきりと"彼女の身代わり"などと言われてしまってはついその覚悟が...
  • 続・湖に漂う羨望 ~外伝~
    「マツリー、どこー」 真昼とはいえ、頭上を覆う木々のせいで陽の差さない暗い森の中を ピンクの体をしたメスの竜が歩いてくる。 豊満な体を揺らし、誰かを探しているみたいだ。 彼女の名はステファ。 ここの森を縄張りとするドラゴンである。 今日は久々に年下の恋人マツリとの会うらしく 毛繕いをして、うきうきしながら待ち合わせ場所まで歩いていた。 数週間前に自分の森に入ってきた侵入者・・・マツリに初めて会い、 軽い遊びのつもりで相手をしていたらお互いに恋に落ちてしまったのだ。 (今日はどんなことしようかな♪) ステファも年の差など気にせずに少女のように浮かれていた。 ザバッ・・・・ 「マツリー!こっちに居・・・」 ステファは待ち合わせ場所近くの湖のほうで水音を聞きつけ、マツリがいるかとむかったのだが。 マツリはその方向の場所に居て、案の定湖...
  • SS便乗者氏
    累計 - 今日 - 我が翼を想いて(♀竜×♂人間、♀竜×♂竜、捕食、流血、Transformation)[絵あり] ↓美女と野竜(非エロ、流血) ↓受け継がれた救い(非エロ) ↓禁断の意匠に抱かれて(非エロ) 地に墜ちた女王(非エロ、流血、MH) ↓悠久の欠片(非エロ、流血、MH) ↓忘れようとした記憶(♀竜×♂人間、流血、ザッピング、MH) ↓渇望の日々(♀竜×♂人間、流血、MH) 森に走る閃光(♀竜×♂人間、流血、Transformation) ↓禁忌の報い(♂竜×♀人間、♂竜×♀竜、流血、捕食、Transformation)[絵あり] ↓妃の笑う夜(♀龍×♂人間、捕食、Transformation)[絵あり] 分かたれた者達(♀竜×♂人間、流血) ↓捨てたはずの剣(♂竜×♀人間、♂竜×♀竜、捕食、流血) ↓追憶の闇(♂竜×♀人...
  • オロチ
    「ふぅ・・・今日も暇ねぇ~・・・」 大きく広がった真っ赤な耳をひらひらとはためかせながら、透き通るような黄色いドラゴンがふうっと溜息をついた。 眠気眼に涙を浮かべながら、退屈を紛らわすために真っ白なドラゴンの首にかぷりと噛みついてみる。 「あいた!や、やめてよいたたた・・・」 唐突に首筋に牙を突き立てられて、白いドラゴンが身をまかせながらも控えめな抵抗を試みる。 首を捻ってみるが、黄色いドラゴンはなかなか口を離そうとしない。 「あら、面白そうなことしてるわね~?あたしにも噛ませてよ」 紫色の綺麗な巻き角を頭に載せた桃色のドラゴンが、それに便乗して白いドラゴンの首をパクッと咥える。 「ちょ・・・2人ともやめて~!」 手加減と悪意を同時に感じる嫌がらせに、白いドラゴンは半べそをかきながら暴れた。 「ほらほら、どうせ逃げられないんだからおとなしくしてよ」 首筋に舌をペロペロ...
  • 湖の邂逅
    正直、私は暇だった。 いつ見ても変わらぬ輝きを放つ金や銀の財宝の山の上で、私は大きなあくびをした。 ゴォーという低く重い音が洞窟中に響き渡り、周辺にいた動物達が恐れをなして草陰に飛び込む。 この洞窟に篭って早100年。時折人間の町を襲っては、世に宝物と呼ばれる金品の類を奪い集めていたが、同胞の多くが持つこの趣味に、私は既に飽きていた。 もし、この洞窟に人間がくるようなことがあったら、ちょいと気晴らしにおちょくった後にでもこの財宝の山を全部くれてやろうかとも思っていた。 ぽっかり見える洞窟の入り口は燦燦と降り注ぐ太陽の光を乱反射して真っ白に輝いている。 そうだ、ここでボーッとしているくらいなら、近くにある湖にでもでかけてみようか。 どうせこんな山奥に財宝を求めて入ってくる人間などいまい。 いや、そもそももう財宝などに未練はないのだから、人間がきたなら好きに持って行けばい...
  • 味のある男
     左右を森に挟まれた道を俺は歩いていた。舗装なんてされてない砂利道だ。 道の両脇は俺の腰の高さくらいの草が生い茂っている。そこのむこうがわには森が広がっていた。 高い木々が左右にあるというのは、何とも言えない圧迫感があり落ち着かない。 「近道だからって、こっちに来るべきじゃなかったか……」  一言小さく呟いて、俺は背中のリュックを背負い直す。街に買い出しに行った帰りだった。 俺の家は結構街から離れているので、買い物に行くのも一苦労。往復に時間が掛かるので、いつもこうやって買い溜めをしているのだ。  風が吹く。周囲の木々を揺らして音を立てる。 それが不穏な響きに聞こえ、俺は思わずビクッと肩をすくめていた。 慣れない道に対する不安から、木々の動き一つでも過敏に反応してしまう。 雨が降りそうだから早く帰りたい。だからこの道を選んでみたのだが。 空はどんよりと曇っていて重...
  • 無題{改}
    太陽がようやく暑くなってくる時間だったが2頭の竜はまだ眠気眼で飛んでいた。 青い空の下、2頭の竜とまばらにある雲の影だけが下の草原に映っている。 住処から目指す湖までそこそこの時間を2頭は飛行してきた。 途中後方の竜が何度も「引き返そう」と思い立ったが前方の竜にいさめられてここまできたのだ。 真っ白な体で前を飛んでいる♀の竜の名前はエミネス。 一児の母として、常に息子に愛情を注いできた母竜である。やや勝気ではあったが、さっぱりとしていて周りとうまくやっていける性格が幸いし母子家庭ながらいままで苦労してなんとか自分たちの縄張りと住処を確保してきた。 後方を飛んでいる青空のような全身青い色で覆われた若い竜の名前はヴァイン。エミネスの一人息子である。 エミネスとは対照的におとなしい性格だがしっかりしていてエミネスの至らない部分をよくサポートしてきた。 現在160歳でまさに成...
  • おまけ
    「じゃあ精の付くエサを取ってくるからな。楽しみにな」 そういうと寝床でぐったりしているリランを尻目に ツヤツヤとした顔をしたベルが外に向かう。 「ハハハ・・・いってらっしゃい」 それをぐったりしたリランがぎこちない笑顔で送り出した。 先日の出来事以降リランがエサを取りに行く回数が減った代わりに ベルがエサを取りに行く回数が多くなった。 先日ベルが言っていた 「狩りがうまくなっていいメスを探して独り立ちする」 という目標がいらなくなったからである。 (実際はベルが夜のためにリランの体力を温存させておきたい という裏の狙いがあったが) 「ふふ・・・リランめ、興奮してアタシの首を噛むとは生意気な・・・」 今夜もリランをかわいがってやろうといろいろ考えて 顔がにやけてしまうベル、思わず独り言が口をつく。 そんなベルも狩りのときはさすがに真剣な顔で次々と獲物...
  • 単発SS
    ―3年間ずっとこの日のためにずっと修行をしてきた。 ここの土地のドラゴンは成竜になる前に試験というかある洞窟の場所に行かなければならない。 その場所で試験官に飛行能力、炎を吐く火力、声量などを見極められ、 その試験にパスしなければ一人前(一竜前?)のオスと認められないのだ。 「はぁ~自信ないなぁ・・・」 ここにまさに今日誕生日を向かえ、試験の土地へ行こうとしている若いドラゴンが1頭いた。 彼の名前をエリスという。 「エル、頑張ってこいよー」 「噂だと死んだやつもいるらしいぜー」 仲間たちが励ましたり、おどかしたりする中、ブルーな気持ちでその洞窟の場所へ向かっていった。 わりと時間がかかったがやっとその場所が見える山の近くまでたどり着いた。 もう人間の住む村と目と鼻の先くらいの場所だった。 「はぁ・・・もう着いちゃうな・・・優しい試験官だといいんだけど・・...
  • ドラグーン・キングダム
    第一章「洞窟のドラゴン3兄弟アル、ブル、チャル」 ドラゴンが住むといわれた森―― その森の中心に近い薄暗い洞窟に3頭の兄弟の竜がいた。 森に入った者がその姿をちょくちょく目撃しており、その国を治める長は その存在を大変恐れて、たびたび討伐隊を組んでドラゴンを捜索させていた。 しかし発見してもうまく逃げられたり、尻尾でなぎ倒されたりと結果は散々だった。 「人間をさらう、食われる、慰み者にされる」 などの噂も流れており国の人々も大変恐怖していた。 ただ、実際にそういう被害報告はないのだが・・・ 洞窟の奥の一室―― 「ただいま」 アルはいつもの落ち着いた声で自分たちの洞窟へ帰ってきた。 いかにも冷静な様子はスマートな外見と白い体毛によく似合っていて 3兄弟の長男という自覚を常に持った賢いオスだった。 ――しかし、洞窟に入ってその...
  • ふたドラ
    いつからだろうか。 その洞窟には1頭の母ドラゴンと2頭のオスの仔ドラゴンが住んでいた。 彼らの縄張りの周りには他のドラゴンがいなかったせいか 3頭寄り添うような形で暮らしていた。 これを聞けば普通のドラゴンの生活と思われるだろうが ちょっと変わった関係だったのだ・・・。 兄「今日はちょっと遠くまで飛んだな」 弟「このへんもエサが少なくなってきたしね・・・」 エサ狩りから帰ってきて、洞窟に戻ってきた双子のウィン(兄)とヴィック(弟)はエサを 片手にしゃべっていた。 「ん?母さんいないの?」 母から「おかえり」と返事が返ってくると思ったのだが、ヴィックはしーんとなった洞窟の奥に声をかけた。 だが、いつも中で待ってるはずの母ローズの姿はなかった。 この周りの環境は危険は少ないと分かっているので兄弟ともそんなに心配は なかったが不思議がって顔を見合わせた...
  • 奇妙な仲介人
    世の中には、山に登ることを趣味としている人達はたくさんいることだろう。 だが一口に山といっても、その環境は場所によって全く変わってくる。 吹雪と強風の吹き荒れる雪山にしか登らない者もいるだろうし、あるいは灼熱の炎噴き上げる活火山の魅力に取り憑かれた者もいるだろう。 だが俺にとっての魅力ある山とは、切り立った断崖が立ち並ぶ岩山のことを指す。 遥か眼下を流れる川を飛び越すようにして吊り橋を渡る時の興奮、世界の全てが見渡せるような絶景。 森も少なく野生の獣もほとんどいないこの岩の楼閣に、俺は第2の故郷といったような親近感を覚えるのだ。 使い慣れた登山用具を背負ってお気に入りの岩山へとやって来た俺は、今日こそまだ到達したことのない山頂を目指してみようと心に決めていた。 普通は登山用具といえば精々テントに食料、後はいろいろと役に立つ7つ道具と着替えくらいのものだろう。 だが、岩...
  • 氷炎の恋物語3
    FlameDragon-side IceDragon-side 世に人間という種が姿を現すよりも遥か太古の昔、世界は今よりもずっと厳格な秩序の下に統治されていた。 その地上に台頭していたのは大陸の南方にある活火山に棲み轟々たる火と大地を司ったという炎竜の一族と、北方の海に浮かぶ凍てつく氷山の奥地に集落を構え、荒らぶる風と水を操ったとされる冷たい氷竜の一族。 彼らは特に種族的な対立をしていたわけではなかったものの、決して相容れぬ存在としてお互いに異種族の竜達と関わりを持つことを固く禁じていた。 だがある時、これまで1度も破られることのなかったその絶対の掟に敢然と立ち向かう雌雄の竜が現れる。 この物語はそんな許されざる恋に身を投じた、1匹の雌氷竜が歩んだ生涯の一節である。 深い藍色に染まる原始の海に、厚い氷で覆われた巨大な大陸が浮かんでいる。 その年中通して激しい...
  • 秘湯
    「ふう・・・ここがこんなに険しい山だとは知らなかったな」 鬱蒼とした森林に埋もれた山の中腹をひたすらに歩きながら、俺は切れてきた息を整えるようにゆっくりと呟いた。 1度山登りを覚えると、いろんな場所の山に登ってみたくなるのが人の心理というものだろう。 俺もそのご多分に漏れず登り慣れた山から離れて新たな頂を求めてみたが、標高が低い割に険しい道程に少し不安を抱え始めていた。 時刻は午後の5時。まだ雪が降るような季節ではないものの、さすがに空は薄っすらと朱に染まり始めている。 「こりゃあ夜は冷えるだろうな・・・」 一応簡易テントと寝袋は持っていたものの、今まで登山は日帰りが多かった俺には山中での宿泊はほとんど経験がないのだ。 分厚く茂った木々のお陰でさほど肌寒さは感じないものの、それでも時折吹き込んでくる風の冷たさに冷え込みを予感させられる。 とにかく、どこか風だけでも凌げる場所...
  • サキュバス・バニードラゴン
    「マスター、水割りをもう一杯くれ」 「あいよ」 ドラゴン達が住む町の一角に、寂れたカクテルバーがあった。 一昔前までは毎晩溢れ返らんばかりのドラゴン達で賑わっていたが、次々と押し寄せる新しい時代の波に押され、今では1日に2、3人の常連が訪れるだけになっていた。 カクテルを作らせたら町一番と評判だったマスターも、近頃はかわいいバニードラゴンと2人だけで厳しい経営を切り盛りしていた。 水割りの飲み過ぎで泥酔した最後の客が店を後にすると、バニードラゴンは酒で汚れたテーブルをひとつひとつ丹念に磨いていった。 また、明日の夜までは1人の客もくることはないだろう。 マスターもグラスをキュッキュッと磨くと、それを棚にきれいに並べ始めた。 カランコロン・・・ その時、1人の客がバーに入ってきた。 酔ってはいないようで足取りはしっかりしていたが、その肌色のドラゴンはカウボーイハット...
  • スティルカ2
    その日、学校が終わって、僕は行くのを止められたはずのハーバーに行く。 ミイラになってしまった父さんよりも、どこと無く居心地の悪い町よりも、 寂れたハーバーのほうがずっと心が安らぐのだった。 ボートはクレーンで持ち上げられている、 それなのにいつもいるはずのスティルカはいない。 「スティルカーっ!」 大きな声で呼んでみたが、帰ってきたのはさざ波の音だけだった。 スティルカのいないハーバーで一人たたずんでいると、 なんだか僕は急に、独りぼっちになってしまった気がした。 クラスのみんなも先生も、父さんすら分かってくれない。 急に胸が苦しくなって、涙が出てきた。 「スティルカ!スティルカってば!」 「お~い!」 泣きそうになったがバカみたいだった。 声のした方を振り向いたら、スティルカはそこで釣りをしているところだった。 「ごめんごめん、懐かしくて夢中になってた...
  • 湖の邂逅1
    翌日目が覚めたのは昼の少し前だった。 隣の大きな寝床で寝ていたはずのドラゴンは、いつのまにか財宝の山の頂上に寝そべっている。 すると、物音に気付いたのかドラゴンがこちらを振り向いた。 「覚悟は決まったか?」 「あんたの夫になるよ」 その言葉に、ドラゴンの顔に穏やかな笑みが浮かんだ。 俺はそれから、食料の調達方法を何とかしなければいけなくなった。 水はドラゴンが毎日あの澄んだ湖へと連れて行ってくれるため心配は要らなかったが、食べ物となると話は別だ。ドラゴンは長い間何も食べなくても平気でいられたが、俺はそうはいかない。 木の枝を加工して手作りの槍を作ると、俺は毎日狩りに出かけ、兎や鹿を狩って帰って来るようになった。 ねぐらでは組み上げた薪にドラゴンが炎を吐きつけ、焚き火を起こす。 そして、狩ってきた動物の肉を焼いて食べるのだった。 初めて...
  • 老龍と仔竜
    なだらかな山の中腹を覆う、広大な深緑の森の中。 明るい木漏れ日と小鳥の鳴き声に目を覚ました僕は、今日で100歳の誕生日を迎えた。 産まれた時はお母さんの卵から出て来たくらいだから、大きさで言えば精々人間の頭くらいのものだったはずだ。 それが100年経った今では大きくて硬い水色の鱗を背負い、腹の辺りは蛇腹状になった肌色の甲殻で覆われた立派なドラゴンとして成長を遂げていた。 だがそんな僕にもある1つの悩みがある。 それは、この歳になってもまだ両親と同じ洞窟で3匹揃って暮らしているということだった。 親子仲良くといえば聞こえはいいかもしれないが、仲間のドラゴン達からは何時まで経っても親のもとを離れられない子供だといって馬鹿にされてしまうのだ。 「ねえ、お父さん・・・」 「ん・・・どうした?」 濃い青紫色の鱗を纏った大きなドラゴンが、ゴロゴロと洞窟の地面に寝そべったまま力の...
  • 氷炎の恋物語
    FlameDragon-side IceDragon-side 世に人間という種が姿を現すよりも遥か太古の昔、世界は今よりもずっと厳格な秩序の下に統治されていた。 その地上に台頭していたのは大陸の南方にある活火山に棲み轟々たる火と大地を司ったという炎竜の一族と、北方の海に浮かぶ凍てつく氷山の奥地に集落を構え、荒らぶる風と水を操ったとされる冷たい氷竜の一族。 彼らは特に種族的な対立をしていたわけではなかったものの、決して相容れぬ存在としてお互いに異種族の竜達と関わりを持つことを固く禁じていた。 だがある時、これまで1度も破られることのなかったその絶対の掟に敢然と立ち向かう雌雄の竜が現れる。 この物語はそんな許されざる恋に身を投じた、1匹の雄炎竜が歩んだ生涯の一節である。 見渡す限り一面が暗い赤と黒に覆われた、灼熱のマグマ噴き上げる広大な火山地帯。 その不毛な丘陵...
  • 禁忌の報い
    活発な人と物資の流れに栄えるノーランド王国。 隣国の領土へと伸びる幾本かの街道を除けば周囲をグルリと深い森に囲まれているこの国の名は、ほんの6、7年程前までは非常に危険な国の代名詞でもあった。 決して、国の治安が悪かったわけではない。 国の兵達は皆健康で団結心が強く、今は隠居している当時の王も民に善政を敷き大いに慕われていた。 だがこの国に向かって延々と深い森の中を突き進む街道やその周辺の森には自由に人間に姿を変えることのできる危険なドラゴン達が数多く巣食っており、それらが道行く人々を襲っていたのだという。 やがて大勢の死者や行方不明者が後を絶たなくなって数ヶ月が経った頃、王はようやく森に棲むドラゴン達の退治に乗り出した。 元々強大な兵力を持っていたノーランドの軍勢はドラゴン達との戦いで夥しい犠牲者を出しはしたものの、約1年後には街道でドラゴンに襲われたという話はほとんど...
  • 我が翼を想いて
    今ではもう数少ない書物の片隅でしか語られることのなくなった古き時代・・・ 大陸の方々に散らばる小さな国々が、領土を広げるために幾度となく制圧と統合を繰り返した時期があった。 とは言っても、国同士が血で血を争うような戦争を繰り広げていたというわけではない。 ある程度の纏まりを見せ始めた幾つかの国が我先にと競うように行っていたのは、国境に面した未開の地に生きる無数の蛮族達の平定である。 そしてそんな彼らの軍事力として最も貢献していたのは、日々の訓練に明け暮れている屈強な兵士などではなく、当時の人間達にとって最も身近な存在だったとされる竜と竜騎士達の働きだったと言ってもいいだろう。 それ故にたとえ外見がどれ程華奢で非力な頼りない風貌であったとしても、天駆ける竜達と心を通わせて彼らを操ることのできた竜騎士の存在は国から非常に重宝されていた。 これはそんな竜騎士に憧れて騎士養成所を訪れた...
  • 願いの果てに
    不老長寿・・・相反する2つの願いがこめられたこの言葉は、遥か昔から特に女性が憧れた言葉のひとつだった。 健康的な食事、睡眠、生活。これらを忠実に実践するならば、ある程度不老長寿を実現可能ではある。 だがある時、古くから霊峰と呼ばれていた巨大な山の奥に、食べることで不老長寿になることができるという幻の果実の噂が広まった。 たった1つ食べるだけで永きに渡る若さを保つことができる・・・ そんな誘惑にかられて、ある者は家族の反対を押しきり、またある者はほとんどの財産を売り払ってその果実を手に入れようとした。 だがどういうわけか、果実を取りに山へ登っていった人々が無事に成功を収めて下山した例は皆無だった。 山を中腹まで登ったにもかかわらず果実を諦めて下山した人の話によれば、その山には大きなドラゴンが跋扈しているらしい。それも、何匹ものドラゴンを大量に見かけたというのだ。 つまりこれまで...
  • 命の契約
    薄っすらと漂う古書の匂い。 端から端までぎっしりと本の詰まった巨大な本棚の間を歩きながら、僕は特にこれといった目的も持たないままブラブラと周囲に視線を泳がせていた。 僕は今、ある無人の図書館にきていた。無人とは言っても入口と出口は完全に別々になっていて、本が無断で持ち出されたりといった不正や犯罪が起きないように一応の管理はされている。 だが本の借り出しや返却に人の手を借りる必要がないため、ひっそりとあまり他人に知られたくないような本を借りていくには最適な環境が整っているのだ。 と同時に、他の図書館ではまず置いていないような一風変わった本が置かれていることも多い。 大学へ通うために下宿暮らしをしている僕にとっては、こうして図書館で時間を潰すのが一番お金がかからずに済む娯楽なのだ。 「・・・ん?」 比較的本の傷みが激しい古書の書棚を巡っていたその時、僕は面白そうな題名の書か...
  • 森に這う鎖
    咽返るようなビールとワインの香りが漂う、この町でも随一の大きな酒場。 酒に酔った男達がそこらじゅうで浮かれ騒いでは、せわしなく店の中を走り回る若い娘の給仕に容赦なく注文を投げかけている。 そんな喧騒の中、年季の入った小さな樫のテーブルを挟んで俺の向かい側に1人の狡猾そうな小男が座っていた。 "なんでも屋"という割には裏の仕事しか入ってこないこの俺に、何やら頼み事があるのだという。 「で・・・俺にどんな用だい?」 まだ顔に幼さの残る可愛い給仕がなみなみとビールの注がれたジョッキを2つテーブルの上に置いていくと、俺はグイッと身を乗り出して相手の返事を待った。 「あんた、この国の南東に広大な森が広がっているのは知っているだろう?」 「そりゃあここに住んでる人間ならそんなことはガキの頃に習うからな。それがどうかしたのか?」 「じゃあ・・・その森の中にでかいドラゴ...
  • 神竜の村2
    「どうする?なんなら今すぐ貴様を食ってやってもよいのだぞ?」 「わ、わかった・・・や、やればいいんだろ」 「クク・・・では・・・」 楽しそうな笑みを浮かべながら、ドラゴンが蹲った。 体の上に、巨大なドラゴンの肉棒がドスッと押しつけられる。 「う・・・ぐ・・・」 「早くすることだな。朝日が昇るまでにワシを果てさせられなければ、貴様はワシの腹の中だ」 重い・・・俺は息苦しさを堪えながら、ドラゴンの肉棒を両手で抱き締めた。だが、腕が反対側まで回らない。 両足でもその巨根を挟み込み、全身を使って必死でドラゴンを感じさせるべく体を揺する。 スリ・・・スリ・・・ 「ほう・・・なかなかうまいではないか。だがその程度では・・・ククク・・・到底足りんぞ」 「く、くそ・・・これならどうだ!」 俺は肉棒の先端の近くに顔を埋めると、グリグリと顔を擦りつけて刺激した。 「ぬ・・・ぐ・・・」...
  • 光と闇
    ~プロローグ~ 時は中世・・・各国の臣民が武力にモノを言わせて自らの領土を広げんと活躍していた時代、北欧のあるところに他国からの侵略も全く受けつけなかった大国があった。 民の声を聞き善政を敷くマルケロス王をはじめとして、彼の国民達はみな争いを好まぬ静かな人々である。 そして周囲の国々の中でもずば抜けて広大な領土を持ちながらも他国と不可侵条約を取り交わす王の器の大きさに、固い忠誠を誓う者達が続々と集まってくるのだった。 だがそんな平和を望む王のもとに仕えながら、心中に不穏な企みを宿している者がいた。 マルケロス王の右腕とさえ言われている大臣、バローネである。 彼は子息のいない王を亡き者にして王位の座につこうと画策し、日夜仲間達とその計画を練っては柔和な物腰を装って王の隙を窺っていた。 ~第1章~エルガイアの式典 「おはよう、起きたか?」 自分自身も眠気眼...
  • 毛鱗の番い
    冬の訪れを告げる木枯らしが吹く深い森の中、1匹の雌のドラゴンが暗い面持ちを湛えて当てもなくさ迷っていた。 全身から伸びたフサフサの赤い短毛に、真っ白な2本の角。 腹の辺りから尻尾の裏側にかけてだけはやや灰色がかった毛に覆われていて、長過ぎず短過ぎない小振りな尻尾がバランスを取っているかのようにフリフリと左右に揺れている。 まだ若い彼女は周りの仲間達に比べれば小柄で気もあまり強い方ではなく、今年も番いを見つける唯一の機会である繁殖期に手頃な雄を1匹も見つけられずに深く落ち込んでいた。 「あーあ・・・今年もだめだったわ・・・早く子供が欲しいなぁ・・・」 もう数年も前からの話なのだが、私は自分の力で小さな子供を育ててみたいという衝動に駆られている。 だが歳が離れているとはいえ周囲の仲間達が楽しそうに子育てしている姿を見るにつけ、番いとなる夫も見つけられずに落ち零れている自分が情...
  • ひととせの仔竜
    「気をつけて行ってくるのよ」 「なに、ほんの1年のお別れだよ」 2匹の大きな生物が、体長1メートルくらいの小さな生物に交互に話しかけた。 「うん、行ってくる!」 小さな生物―――短いフサフサの毛に覆われ、小さな手足と尻尾を持った黄色のドラゴンは、両親の見送りの言葉に後押しされて人間界へと旅立った。 ドラゴンの世界では、13歳になった雄のドラゴンを、人間界で1年間旅をさせる慣わしになっていた。 もっとも、人間界のことをよく知らぬ大抵の子竜は、高校や大学へ通う1人暮しの男の子の家に突然押しかけてはそこでひっそりと1年を過ごし、またドラゴンの世界へと帰るのだ。 小さなドラゴンは、高鳴る胸を押さえながら人間界へと通じる光の扉をくぐった。 突然、フッと体が軽くなった気がした。人間界って不思議なところだなぁ・・・などと考えていたが、すぐにドチャッという音がして子竜は都心部から少し...
  • 禁忌の報い2
    どんよりと曇った胸の内とは裏腹に美しく晴れ渡った大空へと舞い上がると、俺は広大な森の様子を遥かな上空から一望した。 そんな深緑の絨毯の中にぽっかりとした丸い穴が空いていて、そこからキラキラと陽光を反射する水面が覗いている。 彼女が・・・イザベラが、毎日のように水浴びを行っているあの湖だ。 ここ数日の記憶を辿ってみれば、昼過ぎの今頃は丁度イザベラが冷たい水面を泳ぎ回っていることだろう。 一目惚れとはいえ1度は恋に落ちた女性に、俺はこれから襲いかかろうとしていた。 あの場所ならば、たとえ彼女が大声で泣き叫んだとしても助けはやってこないに違いない。 やがてなるべく羽ばたく音を立てぬように湖の上空まで静かに飛んでいくと、眼下では案の定イザベラが心地よい一泳ぎを終えて水から上がろうとしているところだった。 今だ・・・! そして気付かれないように素早くヒュウッとイザベラの背後に回...
  • ドラゴン学者
    ドラゴン。 そう呼ばれる種族の多くは巨大な体を持ち、外見は固い鱗でびっしりと覆われていたり、フサフサの柔らかい毛が生えていたり、はたまたつるつると光沢のある滑らかな肌をしていたりと様々で、太くて逞しい尻尾を持ち、大きく広がる翼や立派な角や恐ろしい爪や牙があり・・・ 驚くべきことに、中には人の言葉を話すことができるほど賢い者もいるという。 僕が若くしてドラゴンに興味を持ち始めたのは、ひょんな偶然からある遊び心たっぷりの書物に出会ったからだった。 その書物には、ほとんど誰も見たことのないドラゴンについての詳しい研究の記録が示されており、ドラゴンという生き物の少なくとも一部を理解するのには十分過ぎるほどの素晴らしいものだった。 ドラゴンが何を主食にしているのか、どんな攻撃方法を持つのか、体の造りはどうなっているのか、中にはドラゴンとの接し方や彼らの特異な習性、住んでいる地域までが...
  • 氷炎の恋物語2
    掟を破ったことでどんな咎めを受けるのかなど、最早知ったことではない。 だが失意の底に溺れながら火山地帯へと向かって飛ぶ間、私はずっと彼女のことばかり考え続けていた。 彼女のあの悲しげな表情が脳裏に浮かんでくる度に、すぐにでも引き返したくなる衝動を必死に押さえ付ける。 やがて不安と後悔を胸に秘めたまま住み処の傍までやってくると、案の定数匹の仲間達がまるで周囲を監視するかのように待ち構えていた。 そんな不穏な雰囲気の山間部へ向かって、堂々と正面から降りていく。 その瞬間私の姿を見つけた仲間の1匹が、慌てた様子で私のもとへとやってきた。 「おい、最長老様がお前のことを探していたぞ。何かやったのか?」 どうやら、彼らは事の詳細を知らされぬまま私を探していたらしい。 もし彼に真実を告げたなら、彼は一体どんな反応を示すのだろうか? 「ああ・・・わかっている」 私は力無くそれだ...
  • Lunatic(another failure)
    月の光がもたらす狂気。 視界に伸ばしたその腕は、漆黒の鱗をまとう。 山々が赤と黄色に染まりきる紅葉の季節半ば。 道路にもその色使いの落ち葉が敷き詰められた山道。 1台の紅いステーションワゴンが軽快なエンジン音を唸らせ、 夜が更けて真っ暗な山道を登っている。 何のことは無い。 私がこんな所にいる理由はただひとつ、走ることだ。 このあたりの地方では雪が降らないし雨も少ない。 腕を上げるためには、低いグリップの元での限界走行が最も肝心だという。 しかし、この当たりには安全に走れるダート路面すらない。 そのため、私はこの季節になるといつもこの道を走っている。 数少ない雨が、道路に落ちて腐り欠けた葉に吸収されたとき、 この道路が真の姿を現す。 アスファルト特有の強い摩擦と、濡れた落ち葉独特の氷のような弱い摩擦。 一歩間違ったら吹き飛んでしまうようなス...
  • 深淵の冷熱
    雲1つない快晴の空から降り注ぐ眩い陽光が、遥か彼方まで続く真っ青な海を照らし出している。 そんな優しげなそよ風に揺れる海面の数メートル下で、全身を黄緑色の鱗で覆った1匹の雄龍と、キラキラと水中に差し込む陽光を反射する紫色の雌海竜が戯れるようにして泳いでいた。 彼らはほんの数日前、大陸棚の水底にその口を開ける海中洞窟で出会った新たな番い。 水を掻き尾を靡かせて泳ぐ龍と大きな胸ビレを巧みに操ってその身を躍らせる海竜は、種族こそ違えど互いに深い理解と愛情を交わし合った仲だった。 初めて海竜と過ごした幻想的な一夜から3日後、ワシはすでに日課となりつつある妻との狩りにでかけていた。 ワシがかつて住んでいた湖とは違い、この海には実にたくさんの獲物となる魚達が住んでいる。 だがこの数日間妻とともに過ごして学んだことは、海で魚を狩ることがいかに難しく、そしてワシがいかに井の中の蛙だったか...
  • Locus of Control
    少しだけおどおどした龍の男の子。 幼馴染のあの子が近くの家に住んでいる。 今日は、ひょんなことからお酒を飲んじゃって、思い切って告白することにしてみた。 僕は、いつもこんな事なんてしないんだけど、 さっき飲んだ果物のお酒のせいかな。 僕の尻尾は、まるで別の生き物みたいに振れている。 そして今、こうして君の家の前で、大切なことを君に言おうとして立っている。 ドアをノックして、君がでてくるだけで良い。 君のきゃしゃな鱗の体を僕の腕で抱きしめて、 「前からずっと好きだった。付き合ってください!」 そういうだけで良いんだ。 それだけなのに、どうしても一歩が前に出ない。 お酒が入って、雲の上を歩いているようなふわふわした感じ。 僕に羽があったなら、きっと月まで飛んでいってしまうだろう。 景色がはっきりと冴え渡って、何でも出来る感じ。 それなのに、どうしてもこ...
  • 忘れようとした記憶
    Lioleia-side Hunter-side また、茹だるような暑さの照り付ける季節がやってきた。 不思議な絆で結ばれた人間と愛娘を森に残してこの鬱蒼とした木々の茂る密林に移り住んでから早4週間。 毎晩のように降り頻る激しい雨や涼しい洞窟の中に巣食う不快な虫どもに幾度となく辟易しながらも、私は何とか新たな塒となりそうな美しい縦穴のある洞窟を見つけてほっと胸を撫で下ろしていた。 今頃はもう、あの娘も成体といって差し支えない程に大きく成長しているに違いない。 それにあの人間も・・・ 私はそこまで考えると、滝の流れる涼しげな巨洞の地面に蹲ったまま大きく溜息をついた。 この先、もう人間如きとあれ程深く関わることはないだろう。 この密林には私の敵となるハンター以外の人間などは滅多に訪れぬだろうし、あの可愛い娘と離れてしまった今となっては目の前に現れた人間どもを生かし...
  • 妃の笑う夜2
    くそ・・・なんてことだ・・・俺としたことが・・・ 薄暗い燭台の明かりが揺らめく地下の独房で、俺は自分の軽はずみな行動が生んだ最悪の結果を呪っていた。 辺りを見回せば、いかにも犯罪に手を染めそうな凶悪な面をした奴からどうしてこんな若者がと思ってしまう程に邪気のない顔をした精悍な男達が、1人ずつ鉄格子で隔てられた檻に繋がれている。 そしてその自分勝手な基準で見るならば、俺は正に後者に当たる男だった。 俺がこの独房に繋がれることになった罪状は、小さなパン切れを1つ盗んだこと。 俺は産まれたときからこの国に住んでいるから、どんな罪がどんな裁かれ方をするのかは大体知っている。 そして少なくとも3~4年くらい前までは、こんな軽微な罪で牢屋に繋がれるなんてことは絶対に有り得なかった。 なのに・・・ここ数年、この国は何処かが変わってきているような気がする。 所詮一般庶民の俺には政治や城の内...
  • 捨てたはずの剣
    「おお、こいつはまたでかい獲物だな!それにここらじゃ滅多に採れない薬草までこんなに!」 「全部で幾らだい?」 「これなら金貨10枚は払うよ。それで譲ってもらえるならワシとしては安い買い物だ」 目の前に並べられた大きな2頭の猪と化膿止めや痛み止めに効果のある薬草の束。 それらを目にして、町の通りに露店を開いていた老齢の店主が喝采の声を上げる。 「よし、それで売ろう」 その提案に快く交渉成立の声を上げると、俺は彼から金貨の入った麻袋を受け取った。 空を見上げれば茜色に染まった山々の稜線が、町の周囲をグルリと取り囲んでいる。 もう日が落ちる・・・町の外で待たせている彼女も、そろそろ痺れを切らしてくる頃だろう。 「ありがとうよ、若いの!」 帰りがけに背後からかけられたご機嫌な店主の声に片手を上げて応えると、俺は家への帰路につく人々の群れに混じってそっと山道へと続く町の門を...
  • 捨てたはずの剣2
    「さあ、我を満足させるのだ・・・もし爪や牙を立てたりしたら、どうなるかわかっておるだろうな・・・?」 私はその言葉に震える両手で雄竜のモノをそっと掴むと、ゴクリと大きく息を呑んだ。 決して爪を立てないように柔らかな皮膜に覆われた指の腹でゆっくりと極太の肉棒を扱き上げながら、その先端を静かに口に含んでいく。 「ふ・・・ふぐ・・・」 やがて屈辱的な奉仕をさせられているというのに逆らうこともできない悔しさと情けなさに、きつく瞑った目からポロポロと大粒の涙が溢れてきた。 ともすれば抑え切れなくなった激情にまかせて思い切りこの肉棒を噛み千切ってしまいたくなるが、そんなことをすればまず間違いなく恐ろしい目に遭わされた挙句に殺されてしまうだろう。 何とか命を繋ぐためにも、今はひたすらに耐えるしか他に道はないらしい。 レロ・・・ヌチュ・・・シュル・・・ やがて心の中では強硬に反発しながらも...
  • 押掛女房朱鷺色恋記2
     エプロンの紐がキツイのか、尻尾で押し上げた瞬間はっきりと。思ったよりこじんまりとしておくゆかしい奥さんタイプというか。あ、いやもとい。  (俺はいったい……どうしてしまったんだぁ!)  ヴィストは己の下半身を呪いながら、とり急ぎ顔を背け緊急避難。しかし彼の眼球は大胆にも主人に異を唱えた。くねくねと大胆に踊る雌竜の尻尾。その下にある秘密の場所に視線を送り込もうと反抗を続ける。  (ウソだうそだろ嘘だって! 俺は人間以外に欲情したりしねぇええええ)  また、見えた。踏ん張ったせいか今度はよりしっかりと――御開帳。  自身の唾を呑む音が、やけに大きく聞こえた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  ――ゴクッ!  また聞こえた。ヴィストさんが唾を飲み込む音。いい匂いが辺りに立ち込めてい...
  • @wiki全体から「湖に漂う羨望3」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

目安箱バナー