5スレ>>668

「5スレ>>668」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

5スレ>>668」(2009/01/25 (日) 02:56:29) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

冬のある日、俺がトキワジムリーダーに就任して数週間経った頃。 かりかり。 「…………」 かりかり、かりかりかり。 「……はぁ」 「…マスター、お疲れですね」 「正直相当しんどい…延々と自分の名前と丸だけ書いてるのは果てしなく面倒だ」 「でも、これも仕事だからね。バトルで私達が頑張るんだから、マスターはこっちで頑張ってもらわなきゃ」 「…………頭痛ぇ」 いつもと変わらない暇なトキワジム、いつもの書類仕事。 俺はシャワーズとフーディンに手伝ってもらいながら、サインやチェックをくりかえす。 シャワーズが俺が書き終えた書類を整理しながらお茶を入れ、 フーディンは書く前の書類選別。本来一人でやらなければならない事を考えるとだいぶ楽なのだが…。 「あ゛ー…」 いい加減頭も飽きているのか、頭痛がしてきた。 少し頭がぼうっと、もやがかかったような感覚がする。昨日シャワーズが寝かせて…ゲフンゲフン。 「…咳まで出てきやがる…てか、寒くないか?どこか窓でも開いてるんじゃ…」 俺の素朴な疑問に、シャワーズとフーディンが顔を見合わせる。 「…マスター」 「ん?…って、つめたっ!?」 耳に触れる冷たい感触。そして、小さく高い「ピピッ」という金属音。 「…体温計?」 「38.5℃」 …は? 「…風邪ですね」 「風邪だね」 「…え?」 …翌日。 俺はベッドの上で布団をかぶり、何もせずに横になっていた。 診断結果は幸いなことに普通の風邪。最近はやっているインフルエンザやポケルスB型ではないらしい。 身体を冷やさないようにして、栄養と休養を取ること、だそうだ。 ―――が、しかし。 「…暇だな」 昨日まで忙しかっただけに、この暇は少々辛い。 薬のおかげで熱も頭痛も抑えられていて、若干ぼやけた感覚以外はすべて普段どおりなのがまた逆効果だ。 「はぁ…」 そう言えば俺は、旅を始める前の数年間、風邪をひいた記憶がない。 それがまた心細さを掻き立てる。 トキワジムは今日は閉鎖、ということになっている。 窓から見ると、ライチュウとキュウコン、プテラがキャッチボールをしている。 こちらに気づいたライチュウが手を振ってくるので、振り返した。…今日も平和だ。 「…いい天気なのにな…」 「でも、窓から脱出しようなんて考えないでくださいね?」 「いや、流石にそれはない」 部屋の入口からかけられたシャワーズの言葉に、反射的に返す。 というか、俺はそんなに逃げ出しそうに見えるのか。 「ミュウツーの事件の後から、ジムリーダーになって、休みもなしに働いてた反動ですよ。  ちゃんと看病しますけど、マスターが休まないと治らないんですからね?」 「分かってるよ…悪いな」 ベッドの横の机で林檎を剥き始める。…器用なことに、皮を一つなぎにしてくるくると剥いている…。 出来る人には簡単なのかもしれないが、俺には全く出来る気がしない。…できなくてもいいような気もする。 「フーディンとフライゴンがいま夕食の買い出しに行ってます。…具合はどうですか?」 「薬が効いてるから何とも言えねーな。正直治ってからの書類を考えてると気が重い」 「あんまり何も考えない方がいいですよ…出来ました」 見れば、見事に切られたリンゴが皿の上に整列している。芯と皮は袋に入れて捨てるようだ。 で、爪楊枝を刺して… 「はい、マスター。口開けてください」 「……………」 「食べないとよくなりませんよ?はい、あーん」 「…いや、普通に自分で取って食うけd『駄目です!』何故に!?」 …ものすごい圧力だ。これは…もし自分でとったりしたら今後が怖い。 「……あー」 「はい、どーぞ♪」 「…どーも」 うん、普通にうまい。流石だといいたいが…いや、もう何も言うまい。 「私、こういう看病したことないので…一度してみたかったんです」 「…なるほどな」 考えてみれば、シャワーズが仲間になってから、寝込むほどの病気になった奴は誰もいない。 ロケット団に捕まってる間は論外だし…その前はあまり看病の必要性がなかったんだろうな。親がいたし。 「…シャワーズ」 「なんですか?」 「もう一つ欲しい。取ってくれ」 「…はい!」 …まぁ、折角だしたっぷり看病されてやろう。 どうせこういう機会はなかなかないし。 「…ごちそうさま」 「お粗末さまでした。…マスター、寝たらどうですか?」 「暇すぎて逆に眠れないんだが…なんか落ち着かないしな…やっぱり起きて書類片付けたりは…」 「だめです」 …まぁ、そりゃそうか。 暇なんだが、逆に下手してこじらせると厄介だしな…たかが風邪、されど風邪。 「…シャワーズ、何か暇をつぶす方法はないか?できれば頭に負担をかけないのがいいんだが」 「うーん…じゃあ、こうしましょう」 「?」 言うが早いかシャワーズはベッドに腰掛け、掛け布団の下に手を入れて、俺の右手を握った。 水タイプの体は割と冷たい、などと言われるが――― 「自分以外の体温を感じてると、安心しませんか?」 「…うつるぞ、風邪」 「その時はマスターが看病してください」 「…リンゴは剥けないからな」 ―――シャワーズの手は、あたたかい。 「…意外と、効くかもな、これ」 「何か言いましたか?」 「…いや、なんでもない。もうしばらく頼む」 冬の昼下がり。 シャワーズに手を握られ、俺は眠りの海へと沈んでいった…。 あとがき。 風邪には気をつけましょう。ストーム7です。 所要時間2時間の割に、内容のないものとなってしまいました。 いまだに受験生なので長いのは書けない、というのもありますが、 ブランクが開き過ぎたのが大きいようです。 これからもちまちまリハビリとして作品を投げ込んでいくので、よろしくお願いいたします。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。