3スレ>>568

「3スレ>>568」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

3スレ>>568」(2007/12/21 (金) 02:00:26) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

   おつきみ山からニビシティにかけての道を、もえもんトレーナーが歩いている。  山越えをしてきたのか、どことなく疲労が見える。  顔には疲労だけではなく、数日振りに柔らかいベッドの上で眠ることができると、嬉しさも滲み出し始めていた。  やがて、土の道から舗装された道に変わったとき、どこからかゴンッという音が聞こえてきた。 「またか」  トレーナーは音に聞き覚えがあるのか、聞こえた音を不思議がらずに、慣れた様子で地面に耳を寄せる。  地面からは、しくしくと泣き声が。  トレーナーは、呆れながら地面に向かって話しかける。はたから見ると、ただの変人だ。 「ディグダ、何回頭ぶつけりゃ気が済むんだよ」 「痛いぃ、舗装された道嫌いぃ」  舗装された道の前、土の道からおでこを赤く腫らした涙目のディグダが現れた。  どうやら、舗装された道に気づかず、突っ込んだらしい。  しかも、今回が初めてではなく、何度も繰り返しているということ。 「いい加減、ぶつかる前に気づけるようにならないのか?」 「努力はしてるけど……」 「努力は実らないと、意味ないぞ? 自分が痛いだけだろうに」 「頑張りますぅ」  まだ痛いのか、おでこをさすりながら答える。  実は努力云々という話ではなく、トレーナーの足音が、ディグダにとって心地よいリズムで、  聴き入っているうちに、土の変化に気づかずぶつかるのだ。  そのことを言うのは、照れくさいというか恥ずかしいので、気づかないということにしている。 「ほら」  トレーナーが両手を、ディグダへと伸ばす。  ディグダも慣れたもので、土の中から出てきて、トレーナーが抱き上げやすいような体勢になる。 「えへへ~」  抱き上げられたディグダは、上機嫌で笑う。 「鳴いたカラスがもう笑ったってか」  トレーナーは苦笑しながらも、ディグダの服についた土を払ってやる。  そして、抱いたまま歩き出す。 「マスター、ありがとうございます」 「ん、いつものことだろ。礼なんていいよ」  足音よりも大好きなトレーナーの心音と体温を感じながら、ディグダは会話を楽しむ。  舗装された道は嫌いだけど、こうやってトレーナーに抱き上げてもらえるから、  全くないのも嫌だと、心の中で呟いたディグダだった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。