5スレ>>548-1

イワヤマトンネル。
洞窟の中は一切の明かりがなく、
フラッシュの使える萌えもんがいなければ通り抜けることはまず不可能だ。

フラッシュなしで通過しようとする無謀なトレーナーもいるが…
大半は遭難し、救助を待つという憂き目にあっている。



そしてまたここに、無謀なトレーナーが約一名。

「うんいい天気! 絶好の冒険日和だねぇ、ムウマ?」
「冒険なんてゲームの中だけで十分ですよぉ~…」

そんなことを言い合いながら、洞窟の中へ入っていった。




うん、認識が甘かった。 激甘。砂糖とかハチミツとか目じゃないくらい。

懐中電灯の一本じゃ何の役にも立たないほどの暗闇!
マジで足元しか照らせない! 一寸先は闇・闇・闇!

「マスター、大丈夫! 右手を壁につけて」
「え? はい」
「そしてそのまま壁伝いに歩けばきっと外に出られるから! これぞ『右手の法則』!」

…そう簡単にいくものでもないと思うんだが。

「根拠は?」
「ゲームの中でそう言ってた」

ダメだこいつ、早くなんとかしないと…




まぁでも、壁伝いに行くのはいいアイデアだと思う。
そんなわけで『右手の法則』とやらを実行してみることに。

歩き始めてすぐ、ムウマが腕にしがみついてきた。
「どうした?」
と、声をかけてみる。

「…………怖いよぅ…………」

それはそうだ。こんな真っ暗な中で、道しるべも全く無いんだから…
正直言って僕も怖くなってきた。

「うわーん、もう無理っ! ガラガラさぁぁぁん、助けてーーーーーッ!!」



「はいはい~。 …って、ずいぶん暗いわねぇ」
「そりゃ洞窟の中ですから」

あっさりと一瞬で来てくれた。
一体どこに待機してるんだろう…霊界とか?

「ガラガラさぁん、怖かったですよぅ…」
「よしよし、大丈夫だから…ね? なでなで」

こうしていると親子のようでほほえましい。

とりあえず、ガラガラさんに洞窟出るまでの護衛をお願いすることにした。
何事もなく快諾してもらえたのでよかった…
断られたらホントどうしようかと。



進んでいる間にも、たびたび野生の萌えもんが襲い掛かってきた。
ライトで照らせない横とか真後ろからも来るのでかなり怖い。
全てガラガラさんが一撃の下に切り伏せてくれているけど…
彼女がいなかったらどうなっていたことか。

っていうかどうやったら暗闇の中から襲ってくる敵を迎え撃てるんだろう?
そのことについてガラガラさんに尋ねると

「見えない敵を斬るのも剣の道よ? うふふ」

と、達人らしい言葉が返ってきました。頼もしい限りです。




野生の萌えもん、そしていくらかいるトレーナーを撃退し(てもらい)つつ、
右手の壁伝いに何時間か歩いてみると……


外に出られました。見覚えの無い景色です。 どうやらハナダ側に出られたようです。

……マジで?

「やったじゃん! ゲームって案外凄いよね、マスター♪」

とかムウマが喜んじゃってます。ちょっと調子乗んなお前
偶然だってば絶対。




並み居るトレーナーを蹴散らしながら進んでいきます。
岩系だろうが全部ふといホネの一撃でダウン。まさに無双としか言えない強さ。
そして細い木をいあいぎりで切り倒し、めでたくハナダシティに到着しました。

「…ガラガラさん、本当にありがとうございます。」
「ん~、さすがにちょっと疲れたわぁ… 休ませてもらってもいいかしら?」
「あれ、ガラガラさん帰っちゃうの? ここまでありがと、またね~♪」
「それじゃ…またね、ムウマちゃん♪」

本当にお疲れ様でしたガラガラさん。
あなたがいなきゃあんな洞窟突破できませんでした。





「さて。街についたことだし、まずは萌えもんセンターへ… って、ムウマ?」

あれ、ムウマが見当たらない!?
地図を見てた間にどこかへ行っちゃったのか…
とにかく捜さないと。

うーん、あの子が行きそうな場所といったら…

・ゲーム屋
・ゲーセン

…それ以外にありえないよなぁ。




案の定ゲーム屋でワゴン漁ってました。

「見てみてマスター! 星のカービィSDXが三桁価格で売ってたよ~! 買って買ってー♪」
「…………今後、勝手にどっか行かないと約束したら買ってあげる」

僕も大概甘いなぁ。
でもムウマのリアクションが可愛いんだもの…

「やったーっ! マスター大好きっ♪」

…こんなこと言われて抱きつかれたら、誰だって甘くもなるよね!


いっぱい歩いて疲れたし、ゲーム屋巡りは明日にして今日はもう休まない?
と言うと、ムウマもしぶしぶ同意してくれました。

もう眠い…早く宿とって寝よう。そうしよう。




翌日。
起きてみるとムウマがいませんでした。

……開店前からゲーセンの前で待ってました。

「…普通そこまでする?」
「やりたいゲームいっぱいあるもん! このくらいしないと全部やれないよ~」
「や る な ! やりたいなら自分で稼いでよ!」
「働いたら負けなのー。養ってよマスタぁ~」

養うだけならまだいいが…
ゲ ー ム 代 ま で 出 せ る か ッ ! !




相変わらずムウマのゲーム技術には脱帽です。

「ここで覚聖してっと… この面のボスの弾幕は早回しした方が避けやすいんだったよね」

弾幕シューティングなんて本当に出来るものなんですね。なんで避けられるのそれ…

「慣れよ慣れ」とか本人は言いますが、見てる分には絶対無理だと思います。
ギャラリー沸いてるし…あっさりクリアしてるし…



とりあえず1000円使った時点で強制的に引きずり出しました。
この調子でやられちゃ、いくら金があっても足りない…

「マスター、お願いぃ~…もう少しやらせてよぉ」
「自分で稼いだ金ならいいよ」
「んな殺生なー、お代官様~」
「取り立てられてるのはこっちじゃい!!」


で。

「漫才はさておき、ジムへ行こうと思うんだけど」
「いってらっしゃーい」
「…萌えもんが行かないでどうすんだよッ!!」





逃げようとするムウマの襟首捕まえて、ハナダジム到着!

「私がジム挑戦とかありえないってば~」
「さぁ入ろうか」
「私なんて戦闘力たったの5のゴミだよぅ~」
「うん頑張ろうね」
「あーもー、助けてガラガラさぁぁぁん!!」

結局こうなりますか。
ムウマ、たまには自分で戦おうよ…





「地面タイプ一人でこの私に挑戦なんて… アンタ、このカスミをなめてるの?」
「すいませんこの人しかまともに戦える萌えもんいないんです、本当ごめんなさい」

やっぱり怒られました。
そりゃー…なめてると思われてもしょうがないよね。
そもそも萌えもんどころかその霊だし。

…と、そこでガラガラさんが口を開いた。

「あらぁ? このくらいのハンデがあったほうがいいんじゃないかしら…ねぇ。」

ガラガラさーん! なに挑発してるんですかーッ!!



「ふ、ふふふ…いいわよ、全力で叩き潰してやろうじゃないの! 行きなさいヒトデマン!」

ヒトデマンがボールから出た瞬間、ガラガラさんの強烈な突きが叩き込まれる!
まさに外道。

「先手必勝…ってね。状況を見てボール投げないとダメよぉ?」

カスミさんも怒り心頭なようで。
後で謝ろう…


「……やってやりなさい、スターミー!」

再び先手を取って打ち倒そうとするが、スターミーは素早くバックステップで回避!
みずのはどうを連続で打ち込んでくる。どうやら接近戦に持ち込ませない作戦のようだ。
ガラガラさんも避けてはいるが… 完璧に相手のペースに持ち込まれた。

…と、思ったのだが。

「まったく…撃ってくるのは小技ばかり。面倒よねぇ」

いあいぎりでみずのはどうを一刀両断! そんなのアリか!?
そして急接近。が、相手の次弾の方が早い!

みずのはどうがガラガラさんに直撃……したと思った瞬間、その姿が掻き消えた。

「ふふ、そのくらい読めてるわぁ。」

当たったように見えたのはかげぶんしんで、本体は…

「はぁい、チェックメイトね」

既に相手の眼前。ふといホネの一振りで、スターミーは吹き飛んだ。
そして大きな水しぶきを上げ着水。あっけない幕切れだった。



「まさか私のスターミーがここまでやられるなんてね… いいわ。ブルーバッジ、あなたにあげる」
「ありがとうございます。そして本当にスミマセン」
「いいのよ、ジムリーダーだからって驕ってたのかもしれないし。 この経験は次に活かすわ。」

ジムリーダーだけあって、負けてもなんかさっぱりしている。
トレーナーとしての格ではまだまだかなわないなぁ…と思った。





しかしさすがガラガラさんだ、苦手タイプでもなんともないぜ!
何にせよこれで一つ目のバッジを手に入れたわけだ。

「やりましたねマスター! 今日は宴会しましょう宴会!」
「ふ・ざ・け・る・な☆ 君は何もしてないじゃないかぁぁぁぁ!!」
「マスターだって何もしてないじゃないですかぁーーーっ!!」

とりあえず宴会はやめて、ガラガラさんにビール一本プレゼントで決着しました。






「さぁマスター、ゲーム屋巡りに行きましょう!」
「……はぁ。いいよ。」

二人でのんびりと店を見てまわる時間。
お金を使わないなら、こういうのも悪くない。

「不思議のダンジョンを買うなら、スーファミの風来のシレンがオススメですよ~」
「なんで? 新しいのはいっぱいあるのに」
「一番バランスがいいんです! 初めての人がやるのに向いてるんですよ。」

僕もゲームはそれなりに好きだし、ムウマが色々解説してくれるので結構楽しめた。

「んでマスター、このMGS4」
「買 い ま せ ん 。 ってかPS3じゃん! せめて携帯ゲームソフトにしようよ…」





そのまま二人で散歩していると、男の人に話しかけられた。
ジム戦を見ていたらしく、その強さに感服したとのこと。

「ねぇねぇ君たち、ロケット団に入らない?」

ロケット団…あの黒服集団か。
悪の秘密結社ともっぱらの噂だが。

「はいっ、質問です! ロケット団って、やっぱりひみつきちとかあるんですか!?」

なんかムウマが興味津々なんですけど…

「おぅ、そこで作戦を練って悪事を働くんだ。かっこいいだろう?」
「すごいです!! マスターマスター、入りましょうよ!!」

はははムウマは元気だなぁ。だが…

「…一つ、条件があります。」
「ん、何だい?」
「その制服ってもらえますか?」
「もちろん! 服とバッジはちゃあんと支給されるぜ。」
「乗った!!!」

かっこいいよね、あの制服!


「マスター、秘密結社ですよ秘密結社! 男の浪漫ですねぇ~」
「君は女の子でしょ…」



本部に連絡をつけるから、明日まで待ってほしいとのこと。
あぁ、これで憧れのあの黒服が着られるのかぁ…楽しみだなぁ。
活動内容は気になるけど、スカウトされるくらいなんだし大丈夫だろう!

制服が届くのを楽しみにしながら、僕は床についたのだった…


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・ムウマ Lv16
 タイプ:ダメ幽霊
 わざ: 食べる ゲームする 寝る 降霊術

 とくせい:オールラウンダー(全てのジャンルのゲームができる)
 もちもの:「実はマスターのリュックの中に、PSoneを入れてあるんですよ~」

お金は稼ぐものじゃなく使うものだと考えているダメ幽霊。
秘密結社とか秘密基地とかそういうのに憧れている。
当然『アジト』は三作ともにプレイ済みだ!



・ガラガラ Lv49
 タイプ:じめん
 わざ:いあいぎり つばめがえし ホネこんぼう かげぶんしん など

 とくせい:おたすけキャラ(初期能力は高いが成長率は悪い)
 もちもの:ふといホネ

ソードマスターお姉さん。
今回もお助けキャラの本領発揮で大活躍でした。
ムウマがロケット団に入ることについては
「いいんじゃないかしら? きっといい経験になるわよぉ」
とのこと。

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最終更新:2008年08月27日 13:57
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