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2スレ>>789

「勝負あり!勝者○○!」

「俺のドラゴンが負けるなんて……」

「苦戦はしたけどね、だが結果は俺の勝ちだ。
悪いけど早いところ道開けてもらえるかい?不動のチャンプの鼻をへし折らにゃならんのでね」

「……マスター。口がすぎる……」

「健闘をたたえ合うってか?勝者が敗者に何をいっても憐みにしかならねぇのに」

「っふ……だがここのチャンピオンは俺達四天王より遥か高見にいる。
かてるものなら―」

「一度死んだ身でね。死地に赴くのにさほどの苦労はしないのさ」

(隻腕のトレーナーが強いとは聞いていたが……これほどまでとは)

「さ、おしゃべりはもういいかい?
早いところどいてくれ。次の勝負を終わらせないと昼にありつけないんだ」

―――――

―――

―

馬鹿に長いトンネルを歩く。その先にいる覇者に会いに。

…やれやれ、ちょっと前まではリーグ予選ですらひぃひぃ言ってた俺がねぇ……
あの一件で腕を失ってからか、どうにも相手の覇気が温い。
バトルが始まる前に勝負が決してるようなもんだ。相手が勝手に気圧されて自滅してく。

―勝つ

その一つを目指しているトレーナーには悪いがその程度じゃどうにも足りない。
命のやりとりを楽しもうってわけじゃない。
だが踏み外せば奈落の底に落ちるような、
手を滑らせれば二度と戻れないような、

そんな殺気に魅入られちまったんだ。
そして7年間その座を守り続けたチャンピオン。

―死ぬには十分すぎる相手だよな

「さ、いくぞ。これが最後の試合……いや、死合だ」



―――――

―――

―


第一印象は暗かった。
ただっぴろい草原の中ほどにキュウコンを傍らに据えて立つそいつ。
黒いシャツに濃青色…いや、濃紺とでも表現すべきほど濃いジーンズ。
目はこちらを向いているがこちらを捕えていない。
咥え煙草から延びる煙がいやに背筋を寒くさせた。


「あんたが……チャンピオンかい?」

「…………」

「ま、聞くまでもねぇか、俺は―」

「御託はいい……悪いが気が立ってる。速効で終わらせてもらうぞ」


おいおい、そりゃまぁこれほどの殺気を望んでここに来たわけだが……
どう見ても俺をトレーナーとして見てないよな。この目は……

あの時のあいつと同じ目。
自分の領域を侵した相手に向けられる目。
これじゃまともな勝負してくれそうにねぇな……何がりゆ―

ログハウスの方から食欲をそそる香りがする。

(そういうこと……ね)

「わかった、そっちの飯が終わるまで待ってるからそのあと勝負してくれ」

「な……」

「時間ギリギリにいって受付嬢がどうにもしぶってた理由はそれかい?
まぁ他人のプライベートに関わるとろくなことがないのは身を持ってしってるんでね。
1時間でも2時間でも待たせてもらうからそっち先すませてきてよ」

「……そうか、戻るぞキュウコン」



「……ふぅ」

腰を下ろす。

「珍しいわね、せっかく相手がすぐにやらせてくれそうだったのに」
上から様子を見ていたフリーザーが近くによってくる。

「あいつお前より強いぞ多分」

「ふぅん……たかが人間が私より?」

「お前は俺をたかが人間だと思う?」

「人間でしょ、その辺の連中と違って頭の螺子が外れてそうだけど」

「あいつは……なんていうのかな、住む世界が違う。
それこそフリーザー。お前が棲む世界の人間だよ」

「ふぅん……楽しみじゃないの」

「あぁ、この戦いなら最後の華を添えるにゃ十分だ」

「あら、違うでしょ?勝って華を添えなきゃ」

「……厳しいこと言うなよ。
お前らの実力信じてないわけじゃないがかりにも7年間もチャンピオンやってる相手だぜ?」

「だったら……僕らでマスターを10年以上チャンピオンにいさせてあげればいい」

「根無し草の俺が10年もここにねぇ……?まぁ耄碌爺は喜びそうだが―


コトン。


「ん?あんたはチャンピオンのとこのキュウコン―

「マスターから。そっちも昼食べてないならどうぞって」

「敵から塩を送られるとはな、ありがたい。いただくよ」

「皿はそこのテーブルにおいといてくれればいいから……」


そう言うとキュウコンはログハウスの方に歩いて行った。

「まさか毒とか……」

「そんな馬鹿が7年間チャンピオンやってるはずねぇだろ。
しかしまぁ7人分用意してくれるとは、キュウコンの尻尾ってのはあそこまで器用に―
って突っ込むところはそこじゃねぇな、食べるとしますか」


最後の晩餐を敵さんから頂くことになるとはいやはや……
んむ、上手い。キリストの最後の晩餐は質素だったろうが俺の方はずいぶん豪華になったもんだ。


風が吹き抜ける。
四天王たちのバトルフィールドとは打って変わって大自然の中に在るフィールド。
そうだな、勝ったらここに墓を作る許可をもらおう。こんないい場所で眠れるなら死ぬのも悪くない。


「またせたな……」

「そうでもないさ、最高の食事を頂いたからな」

「……そうか」

「あぁそうさ、だから早く始めよう。気分がいいうちに始めたいんだ」


与太話は好きな方だがいまはいらない。
はやく始めさせてくれ、こんなに気分がいいのは久々なんだ。

俺のラストバトル。最高の好敵手を見つけたんだからな。

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最終更新:2007年12月21日 00:24
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