ワタクシはフリーザ。
伝説の萌えもんの1種で今はある一人の青年と旅に出ている。
カントーに居たの伝説の萌えもんのワタクシとサンダーは既に青年と一緒に旅をしている。
今度は離れ島である7島へと旅は続くようだ。
ワタクシ達、青年とその旅の同行萌えもんは7島のパスを持つと言うマサキと呼ばれる人物に会いに来た。
しかし、マサキは居らず萌えもんだけが居たので、話しかけてみると―――
「やぁ、僕、萌えもん――――じゃない! ワテ、マサキちゅーモンや。
萌えもんの転送実験に失敗してもーて、こんな姿になってしもたんや
少しだけ協力してくれへんか?」
「協力…と言ってもな?」
「いや、ワテが機械に入ってからワテのPCをチョコッと弄って貰うだけでええんや」
「その程度なら」
「おおきに! なら、早速!」
萌えもんは機械へと入って行った。
青年が近くにあったPCを弄ると機械が動いた。
数秒して反対側の機械から男性が出てきた。
「いやー、すまへん。手を煩わせたなぁ」
「いや、こっちも貴方に用事があったので
「用事? 直接とは珍しいなぁ?」
「あぁ、7島へと行けるパスを貴方なら持っている…と聞いてその入手方法を聞きに来たんだ」
「7島へ? えろう珍しいな? 目的は何や?」
「伝説の鳥を探してる」
「……伝説の鳥? ……まぁ、ええか。悪い目的では無さそうやからな」
青年の目を見つめて数秒、マサキは何やら机をゴソゴソと探っている。
取り出したのは1枚のカードだった。
「ほれ」
「1島~3島通行パス! ……いいのか?」
「あぁ、目と萌えもん達を見れば大体判るわ。
島への便は大体1週間に1回ぐらいや。クチバの港から出るからな」
「……そうか、ありがとう」
ワタクシ達も礼を言ってマサキの家を後にする。
「青年、これからどうする?」
「ん? ……そうだな」
7島への連絡船が来る日はもう3日あった。
ワタクシが聞くと青年は少し考えた後、『家に戻ってみるかな』と呟いた。
――それから青年はワタクシ達を連れてタマムシシティへと赴いた。
青年の話によるとタマムシシティに青年の家はあるらしい。
「ここだ」
1軒の家の前で青年は止まる。ごく平凡な1軒家である。
そのまま青年はチャイムを押す。
中から『はーい』と女性の声が聞こえてきた。
「はい、どちら様―――」
「ただいま」
「まぁ! お帰りなさい! アナター! 帰ってきたわよー!」
そう女性は騒々しく家の中へと戻って言った。
それを見た青年は『騒々しくてすまんな』とワタクシ達に謝っていた。
それからワタクシ達は家に招き入れられた。
「――あ、おかえり、お兄ちゃん」
「ん、ただいま。……起きてて大丈夫なのか?」
「うん。今日は調子がいいの」
「そうか……」
その家のリビングで1人の少女と会う。
この子が青年の言っていた妹か。
「おぉ、久しぶりだな。おかえり」
「ただいま、父さん」
リビングに先ほどの女性と男性が戻ってきた。
どうやらこの2人が青年の父親と母親らしい。
「それで成果は?」
「……まだ、だ」
「……そうか。……ま、急かす訳じゃないがな。お前はお前で道を見つけてみてくれ」
「……あぁ」
父親が青年に小さな声で耳打ちする。
どうやらこの一家、妹の病気を一丸となって治すつもりらしいが、その事を妹に伝えたくは無いらしい。
現に妹が父親に『何のお話してるの?』と聞くと父親は誤魔化した様に『いや、どこでこんな美人を引っ掛けて来たのか聞いたんだ』
と嬉しいのか鬱陶しいのかよく判らない発言をした後に母親に後ろから殴られていた。
「主人、7島への便が来るまでここに? それとも宿を探しますか?」
「俺としては大勢だから宿を取りに行きたいが―――」
「何言ってるの、あんたは。子供がそんな気を利かせなくていいのよ」
「―――だそうだ」
その日の夕食にワタクシ達は青年の両親に正式に紹介してもらった。
青年の母親の料理は美味しかった事をここに記しておく。
夕食も終わり、皆、寝静まった頃……、
眠くならないワタクシは夜空を見にベランダへと出る。
「今宵も月が綺麗なものね、そう思わないかしら…………妹さん?」
「!!」
夜空を見ていると気配を感じた。声を掛けると小さくだが反応が帰ってくる。
「こんな夜更けに起きてると体に障るわよ。それとも何か御用かしら?」
「あ、あの、フリーザさん……」
おずおずと言った感じで青年の妹が顔を上げた。
「お兄ちゃんの旅の目的、知ってますよね?」
「……えぇ、知ってるわ」
「なら―――」
「青年の妹よ。帰ってきた兄は主の眼から見てどう見えた?」
「……はい?」
ワタクシの質問によく判らないと言った感じで答える妹。
困惑している青年の妹に続けて言う。
「目的をワタクシの口からは言え無いわ。
それを口にする資格があるのは青年の家族だけだと思うから」
「……知るのも、ですか?」
「ええ。それに男性を待つのも女の仕事よ。
男の帰ってくる場所を守るのも仕事、……少し時代錯誤かしら?」
青年の妹はワタクシの言葉で悩んでしまう。
「まだお主には早かったみたいね。今日は寝なさい。
いくらいい夜だからと言っても風邪をひいてしまうわ」
ワタクシは青年の妹と共に部屋へと戻る。
今日はゆっくりと眠れそうである。
―――次の日。
「それじゃ、行って来る」
「はい。いってらっしゃい。気をつけてね」
「期待しないで待ってるぞ」
「……」
家の前で青年の家族が見送りワタクシ達が見送られる。
不意に黙っていた青年の妹が―――
「お兄ちゃん……、待ってるね。
ここはお兄ちゃんのお家だから!」
「っ! あぁ、待っててくれ。必ず戻る」
そう言って見送った。青年もそれに答える。
別れを済ました後、クチバの港を目指す。
この時間なら7島への定期便が到着しているだろう。
7島の定期便でタマムシシティの方向を見て一言。
「妹のヤツ、どうしたんだろう……」
「さぁね? あの娘も成長してるって事じゃないの?
青年の知らない所でね」
「かもな」
そう言った青年の口元は少し笑っていた。
自分の帰る場所が再認できて嬉しいのか、それとも兄として妹の成長が嬉しいのか、
はたまた両方なのか。そんな青年達を乗せながら連絡船は7島へと向かう。
寝不足の脳で考えた難産の4話-Fin-
最終更新:2007年12月21日 00:56