額と額がごっつんこ♪
目を覚まして起きてみりゃ♪
なんだか違和感ありまくり♪
渡され鏡を覗いてみれば、
「なんじゃこりゃー!?」
といった状況だったとさ。
「ぶつかった衝撃で入れ替わったって、どこのマンガですか」
説明を受けて呆れ顔なのはフシギバナ。
ほかのメンバーは混乱が増すだけといった理由で、説明を受けていない。
なので今の状況を知っているのは、この場にいる三人のみ。
フシギバナの目の前には、戸惑い顔で不安そうな鼻血マスターと至福といった表情なピジョンがいる。
どちらの表情も滅多に見れないもの。
だけど希少性よりも先に違和感がたつ。
「どうしたら元に戻れると思う?」
「さっぱり想像つかない」
困り顔なのは、ピジョンとフシギバナだけ。
少女はいまだに自分を抱きしめ、可愛いものそのものになれた幸福感を味わっている。
「マスターも何か考えてください」
フシギバナに呼ばれて少女は、はっと我に返る。
「そうよね! こんなことは滅多にないんだから、いつまでも浸ってないで行動しないと」
フシギバナたちの言いたいことの1パーセントも届いてないような言葉が飛び出した。
立ち上がった少女は、フシギバナとピジョンから少し離れる。
「私ね、一度でいいから空を飛んでみたかった!」
そう言うと、止める間もなく少女は走り出して空へと跳ねる。
ピジョンが空を飛ぶ様子を詳しく覚えていたのだろう、勢いをつけて地を蹴り、はばたく仕草がなにからなにまで一緒だ。
その様からピジョンをよく見ていたとわかる。
今、少女は夢を叶えて自由に空を飛んでいる……と上手くいくことはなかった。
はばたくまではよかったが、飛ぶことはできずに顔から地面に落ちた。
あれは痛い。誰もがそう思えるほど、見事に落ちた。
少女が飛べなくて当然だ。
人間は飛ぶという感覚を知らない。
鳥にとって飛ぶということは、本能に刻まれたこと。
その本能があっても、鳥だって生まれてからすぐに飛べるわけじゃない。
ましてや本能にすら刻まれていない人間が、飛べる体を得たとしても、いきなり成功することはありえなかった。
時間をかけて少しずつ慣れていって、ようやく飛べるといったところだろう。
「「大丈夫ですか!?」」
ぴくぴくと痙攣する少女のもとへ二人は駆けつける。
「いったー顔から落下する
「私の体なんですからあまり無茶
がふっ」」
「また?」
フシギバナの目の前で、勢いよく起きた少女と駆けつけたピジョンがぶつかっている。
打ち所がよかったのか、悪かったのか二人は再び気絶。
入れ替わったときと同じ衝撃を受けたのが功を奏したのか、目覚めると二人は元に戻っていた。
少女はあまりにも早く戻ったことを残念がり、ピジョンは痛みから顔を抑えてうずくまっている。
そんな二人をほおってフシギバナは、ピジョンのために傷薬を取りにいく。
その途中で、萌えもんと合体なんてことをやらかしたマサキならどうにかできたかもなんて思いついたが、すでに終ったあと。
すぐに忘れることにした。
最終更新:2008年02月15日 19:56