条約法に関する東京条約
条約法に関する東京条約とは、アセリア歴1990年11月4日に署名された条約である。発行は、アセリア歴1991年5月17日となっている。この条約は、条約法に関する一般条約で、
国際連盟総会の付属機関である国際法委員会が条約に関する慣習国際法を法典化したものである。条約に関する国際法上の規則を統一したものだが、条約の無効原因としてのユス・コーゲンス(jus cogens, 強行規範)の承認など、条約の漸進的発達の側面も有している。
現在、合計38の加盟国が存在する。
1.内容
第一部 - 総則
第二部 - 条約の締結及び効力発生
第三部 - 条約の遵守及び解釈
第四部 - 条約の無効、終了及び運用停止
第五部 - 寄託者、通告、訂正及び登録
第六部 - 最終規定
条約正文
条約法に関する条約
締約国は、国際条約の歴史における基本的な役割を考慮し、
条約が、国際法の法源として、また、国(憲法体制及び社会体制のいかんを問わない。)の間の平和的協力を発展させるための手段として、重要性を増しつつあることを認め、
自由意思による同意の原則及び信義誠実の原則並びに「合意は守られなければならない」との規則が普遍的に認められていることに留意し、
条約に係る紛争が、他の国際紛争の場合におけると同様に、平和的手段により、かつ、正義の原則及び国際法の諸原則に従つて解決されなければならないことを確認し、
この条約により規律されない問題については、引き続き国際慣習法の諸規則により規律されることを確認して、
次のとおり協定した。
第一部 総則
第一条 この条約は、国家間の条約について適用する。
第二条 この条約の適用上、用語の定義は以下のものをさす
一号 「条約」とは、国家間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意をいう。
二号 「批准」、「受諾」、「承認」及び「加入」とは、それぞれ、そのように呼ばれる国際的な行為をいい、条約に拘束されることについての国の同意は、これらの行為により国際的に確定的なものとされる。
三号 「全権委任状」とは、国の権限のある当局の発給する文書であって、条約文の交渉、採択若しくは確定を行うため、条約に拘束されることについての国の同意を表明するため又は条約に関するその他の行為を遂行するために国を代表する一文は二以上の者を指名しているものをいう。
四合 「留保」とは、国が、条約の特定の規定の自国への適用上その法的効果を排除し又は変更することを意図してへ条約への署名、条約の批准、受諾若しくは承認又は条約への加入の際に単独に行う声明をいう。
五号 「締約国」とは、条約に拘束されることに同意した国をいう。
二項 この条約における用語につき規定する第一項の規定は、いずれの国の国内法におけるこれらの用語の用法及び意味にも影響を及ぼすものではない。
第三条 この条約は、自国についてこの条約の効力が生じている国によりその効力発生の後に締結される条約についてのみ適用する。
第四条 この条約は、国際機関の設立文書である条約及び国際機関内において採択される条約について適用する。ただし、当該国際機関の関係規則の適用を妨げるものではない。
第二部 条約の締結及び効力発生
第一節 条約の締結
第五条 全ての国は、条約を締結する能力を有する。
第六条 条約文の採択若しくは確定又は条約に拘束されることについて、次の者は、職務の性質により、全権委任状の提示を要求されることなく、自国を代表するものと認められる。
一号 条約の締結に関するあらゆる行為について、元首、政府の長及び外務大臣
二号 派遣国と接受国との間の条約の条約文の採択については、外交使節団の長
三号 国際会議又は国際機関若しくはその内部機関における条約文の採択については、当該国際会議又は国際機関若しくはその内部機関に対し国の派遣した代表者
第七条 条約文は、第二項の場合を除くほか、その作成に参加したすべての国の同意により採択される。
二項 国際会議においては、条約文は、出席しかつ投票する国の三分の二以上の多数による議決で採択される。
第八条 条約文は、条約文に定められている手続又は条約文の作成に参加した国が合意する手続により真正かつ最終的なものとされる。
第九条 条約に拘束されることについての国の同意は、署名、条約を構成する文書の交換、批准、受諾、承認若しくは加入により又は合意がある場合には他の方法により表明することができる。
第十条 条約に別段の定めがない限り、批准書、受諾書、承認書又は加入書は、これらについて次のいずれかの行為が行われた時に、条約に拘束されることについての国の同意を確定的なものとする。
一号 締約国の間における交換
二号 寄託者への寄託
第二節 留保
第十一条 いずれの国も、条約が当該留保を付することを禁止している場合又は当該留保が条約の趣旨及び目的と両立しないものである場合を除くほか、条約への署名、条約の批准、受諾若しくは承認又は条約への加入に際し、留保を付することができる。
第十二条 条約が明示的に認めている留保については、条約に別段の定めがない限り、他の締約国による受諾を要しない。
二項 条約が国際機関の設立文書である場合には、留保については、条約に別段の定めがない限り、当該国際機関の権限のある内部機関による受諾を要する。
三項 留保を付した国は、留保を受諾する他の締約国との間においては、条約がこれらの国の双方について効力を生じているときはその受諾の時に、条約がこれらの国の双方又は一方について効力を生じていないときは双方について効力を生ずる時に、条約の当事国関係に入る。
四項 留保に対し他の締約国が異議を申し立てることにより、留保を付した国と当該他の締約国との間における条約の効力発生が妨げられることはない。ただし、当該他の締約国が別段の意図を明確に表明する場合は、この限りでない。
五項 いずれかの国が、留保の通告を受けた後相当な期間までに、留保に対し異議を申し立てなかつた場合には、留保は、当該国により受諾されたものとみなす。
第十三条 他の当事国との関係において成立した留保は、以下の効果を持つ。
一号 留保を付した国に関しては、当該他の当事国との関係において、留保に係る条約の規定を留保の限度において変更する。
二号 当該他の当事国に関しては、留保を付した国との関係において、留保に係る条約の規定を留保の限度において変更する。
二項 第一項に規定する留保は、留保を付した国以外の条約の当事国相互の間においては、条約の規定を変更しない。
第十四条 留保は、条約に別段の定めがない限り、いつでも撤回することができるものとし、撤回については、留保を受諾した国の同意を要しない。
二項 留保に対する異議は、条約に別段の定めがない限り、いつでも撤回することができる。
第十五条 留保、留保の明示的な受諾及び留保に対する異議は、書面によつて表明しなければならず、また、締約国及び条約の当事国となる資格を有する他の国に通報しなければならない。
二項 留保の撤回及び留保に対する異議の撤回は、書面によつて行わなければならない。
第三節 条約の効力発生
第十六条 条約は、条約に定める態様又は交渉国が合意する態様により、条約に定める日又は交渉国が合意する日に効力を生ずる。
第三部 条約の遵守及び解釈
第一節 条約の遵守
第十七条 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。
第十八条 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない。
第二節 条約の解釈
第十九条 条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。
第三節 条約と第三国
第二十条 条約は、第三国の義務又は権利を当該第三国の同意なしに創設することはない。
第二十一条 前条の規定は、条約に規定されている規則が国際法の慣習的規則と認められるものとして第三国を拘束することとなることを妨げるものではない。
第四部 条約の無効、終了及び運用停止
第一節 総則
第二十二条 条約の有効性及び条約に拘束されることについての国の同意の有効性は、この条約の適用によってのみ否認することができる。
二項 条約の終了若しくは廃棄又は条約からの当事国の脱退は、条約又はこの条約の適用によってのみ行うことができる。条約の運用停止についても、同様とする。
第二節 条約の無効
第二十三条 いずれの国も、条約についての錯誤が、条約の締結の時に存在すると自国が考えていた事実又は事態であつて条約に拘束されることについての自国の同意の不可欠の基礎を成していた事実又は事態に係る錯誤である場合には、当該錯誤を条約に拘束されることについての自国の同意を無効にする根拠として援用することができる。
第二十四条 いずれの国も、他の交渉国の詐欺行為によつて条約を締結することとなつた場合には、当該詐欺を条約に拘束されることについての自国の同意を無効にする根拠として援用することができる。
第二十五条 条約に拘束されることについての国の同意の表明は、当該国の代表者に対する行為又は脅迫による強制の結果行われたものである場合には、いかなる法的効果も有しない。
第三節 条約の終了及び運用停止
第二十六条 条約の終了又は条約からの当事国の脱退は、条約に基づく場合もしくはすべての当事国の同意がある場合に行うことができる。
第二十七条 多数国間の条約は、条約に別段の定めがない限り、当事国数が条約の効力発生に必要な数を下回る数に減少したことのみを理由として終了することはない。
第二十八条 終了に関する規定を含まずかつ廃棄又は脱退について規定していない条約については、当事国が廃棄又は脱退の可能性を許容する意図を有していたと認められる場合もしくは条約の性質上廃棄又は脱退の権利があると考えられる場合を除くほか、これを廃棄し、又はこれから脱退することができない。
二項 当事国は、第一項の規定に基づき条約を廃棄し又は条約から脱退しようとする場合には、その意図を通告しなければならない。
第二十九条 条約の運用は、条約に基づく場合もしくはすべての当事国の同意がある場合に、すべての当事国又は特定の当事国について停止することができる。
第三十条 二国間の条約につきその一方の当事国による重大な違反があつた場合には、他方の当事国は、当該違反を条約の終了又は条約の全部若しくは一部の運用停止の根拠として援用することができる。
二項 多数国間の条約につきその一の当事国による重大な違反があつた場合には、他の当事国は、条約の全部若しくは一部の運用を停止し又は条約を終了させることができる。
三項 この条の規定の適用上、重大な条約違反とは、条約の否定であってこの条約により認められないもの及び条約の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定についての違反をいう。
第三十一条 条約の実施に不可欠である対象が永久的に消滅し又は破壊された結果条約が履行不能となつた場合には、当事国は、当該履行不能を条約の終了又は条約からの脱退の根拠として援用することができる。履行不能は、一時的なものである場合には、条約の運用停止の根拠としてのみ援用することができる。
第三十二条 一般国際法の新たな強行規範が成立した場合には、当該強行規範に抵触する既存の条約は、効力を失い、終了する。
第四節 条約の無効、終了又は運用停止の効果
第三十三条 この条約によりその有効性が否定された条約は、無効である。無効な条約は、法的効力を有しない。
第三十四条 条約に別段の定めがある場合及び当事国が別段の合意をする場合を除くほか、条約又はこの条約に基づく条約の終了により、当事国は、条約を引き続き履行する義務を免除される。
第三十五条 条約に別段の定めがある場合及び当事国が別段の合意をする場合を除くほか、条約又はこの条約に基づく条約の運用停止により、運用が停止されている関係にある当事国は、運用停止の間、相互の関係において条約に定める権利の履行及び権利による保護を停止される。
二項 当事国は、運用停止の間、条約の運用の再開を妨げるおそれのある行為を行わないようにしなければならない。
第五部 寄託者、通告、訂正及び登録
第三十六条 交渉国は、条約において又は他の方法により条約の寄託者を指定することができる。寄託者は、国、国際機関又は国際機関の主たる行政官のいずれであるかを問わない。
二項 条約の寄託者の任務は、国際的な性質を有するものとし、寄託者は、任務の遂行に当たり公平に行動する義務を負う。
第三十七条 寄託者は、条約に別段の定めがある場合及び締約国が別段の合意をする場合を除くほか、特に次の任務を有する。
一号 条約の原本及び寄託者に引き渡された全権委任状を保管すること。
二号 条約への署名を受け付けること並びに条約に関連する文書、通告及び通報を受領しかつ保管すること。
三号 条約の効力発生に必要な数の署名、批准書、受諾書、承認書又は加入書の受付又は寄託の日を当事国となる資格を有する国に通知すること。
四号 この条約の他の規定に定める任務を遂行すること。
第三十八条 条約は、効力発生の後、登録又は記録のため及び公表のため国際連盟事務局に送付する。
二項 寄託者が指定された場合には、寄託者は、第一項の規定による行為を遂行する権限を与えられたものとする。
第六部 最終規定
第三十九条 この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連盟事務総長に寄託する。
第四十条 この条約は、10カ国以上が批准したときから3日後に効力が発生する。
以上の証拠として、王名の全権委員は、それぞれの政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。
(署名略)
最終更新:2009年01月31日 22:37