豆太郎その2 モニー生産施設


名無しオンライン sage 2006/06/06(火) 22:37:23.89 ID:UGpwrpqP

「買って下さいもにぃ、お願いですもにぃ」
今日も何時ものように通りかかる旅人達に声をかける、
彼に処分場送りの所を助けられ強制的にバナミル売りをさせられるようになってから早や数週間、
やっと露店の売り子にも慣れてきた。
売上の方も上々で主人である彼の着せたモニコン受けする可愛らしい服や
看板代わりに使っているイクシオンの豆太郎がお客を引き寄せてくれることもあり
1000個単位のバナミルも夕方には全て売れてしまっている。
しかし例えバナミルを売り切ったとしても彼が難癖をつけてその度に酷い暴力を振るうことは変わらなかった。

最近は私のそんな境遇を察したお客さん達が内緒で食べなとお菓子などをよく持ってきてくれる。
食事は私がげっそり痩せられると売上に響くという理由でミニウォーターボトルとミニブレットの最小限の物は貰っている、
しかし豆太郎の分のエサは貰えない、少ない私の分を半分に分けて二人で飢えをしのいでいると言うのが現状だ。
なのでお客さんから貰うお菓子は私達にとっては貴重な食料である。
そして元々甘い物が大好きだった私にとってお菓子を豆太郎と一緒に食べるその時間は
この地獄のような生活の中で唯一幸せを感じる瞬間でもあった。
今日も仕事が終わり逃げ出さないように鍵のかかった部屋に閉じ込められるとその時間がやって来る、
私は扉に鍵がかかるのを確認するとゾウのリュックサックに隠しておいたお菓子を取り出す、
今日はショートケーキだ、リンゴ飴もある。
思わず笑みをこぼしながら丁寧に均等にそれらを2等分し豆太郎と分け合った。

「はい、豆太郎の分。豆太郎はリンゴ飴が好きだったもにぃ?、私の分一つあげるもに。」
私は豆太郎に二等分したお菓子を手渡すと、
それとは別に自分の分の中からリンゴ飴を一つ掴み豆太郎の所に置いた。
「グェッグェッ!」
豆太郎は嬉しそうに鳴くと今度は豆太郎が私の所にさっきとは別のリンゴ飴を一つ置く。
「え、いいもに?」
私がそう言うと豆太郎は私が上げたリンゴ飴を掴みグェグェと嬉しそうに鳴きながらそれを口に運ぶ。
「有難うもにぃ、豆太郎。」
私も豆太郎のくれたリンゴ飴を口に含み笑った。
そんなつかの間の幸せの中悲劇は襲う・・・。

ガチャ!

突然部屋の扉の鍵が外れる音が響くそしてギーという重たい音と共に扉が開いた。
「!?」
彼が来た!私は慌ててお菓子をかき集めるとゾウのリュックサックにそれを詰め込み隠した・・・

名無しオンライン sage 2006/06/06(火) 22:37:52.34 ID:UGpwrpqP

「おい何してる!?」
私は何事も無かったかのように振舞うが彼は私の不自然な口の動きを見逃さなかった。
彼は私の口からリンゴ飴を吐き出させると、
私の持っていたゾウのリュックサックを取り上げ、ひっくり返し中の物を床一面にぶちまけた。
「チッ!こんなモン影で食いやがって!ハハッさすがもに子、糞モニコンの男共に媚びて買ってもらったのか?」
彼は床に落ちたお菓子を踏み潰すと鋭い目つきでこちらを睨みつけた。
「丁度良い、そんなにモニコン共に媚びるのが上手いなら明日からはバナミルの他にも品物を売ってもらおうか
そうだなPot類なんか良いな。」
ニヤニヤしながらこちらに近づいてくる彼。

「く、薬調合のスキルなんて無いもにぃ・・・」
彼の威圧感にガクガク震えながら私はそう応えた。
「Potは俺が作るから大丈夫だ、お前は手伝ってくれるだけで良い。」
また彼に酷いことをされる、
直感した私は豆太郎に待てを命じ近づいてくる彼に合わせてあとづさった、
が狭い室内、すぐに壁に追いやられてしまう。

待てを命じられた豆太郎が不安そうにこちらを見ている。
豆太郎には私が酷いことをされる時は部屋の隅で待てをさせている。
何故なら少し前、仕打ちを受ける私を助けようとした豆太郎が彼に噛み付き
それに怒った彼が豆太郎を本気で殺そうとしたからだ。
その時は私が彼を必死に説得、私が豆太郎の分の罰も受けることで何とか許してもらった。
頭の良い豆太郎、それ以来自分が抵抗すれば私がもっと酷い目にあうという事を理解し
今はこうやって部屋の隅で私に対する仕打ちが終わるのをじっと堪えて待っている。


「ごめんなさいもにぃ!嫌もにぃ止めてもにぃ・・・!」
条件反射のように謝罪の言葉が漏れる、しかし彼はそんな謝罪の言葉で許してくれる筈は無い。
生産の時に流れるBGMを口づさみながら彼は嫌がる私を捕まえる、
そして私に向かって”人間薬つぼ”だと言って笑うと口を掴み、
彼のリュックから取り出したノアパウダーを口に放りこんだ。
「ゲホッゲッホ・・・や、やめてもにぃ・・・ゲホ」
粉っぽい感触が口いっぱいに広がり、器官に入ったノアパウダーで激しくむせる私、

「まだまだ材料は沢山あるんだぜ?」
彼はそう言うとニカワ、スライミーオイル、トリートメントなどなど
薬調合に使うありとあらゆる液体を次から次へと口に流し込んでいった。
私はその都度飲むまいと歯を食いしばり口を結んで抵抗する、
しかし彼はそんな私を見るとヴィガーを詠唱して対抗した。
補助魔法のかかった手で力任せに口を開くと顔を上に向けさせ無理やりにそれらを口から体内に流し込んだのだ、
材料を放り込まれる度に気持ちの悪い味と感触で口の中が一杯になる。
そして最後に彼が手に取ったのは蛇や蜘蛛から取った大量の毒。
「・・・そ、それだけは、それだけは止めて下さいもにぃ」
涙を流し口の周りをベットリと今まで流し込まれた材料で汚しながら私は必死にお願いをした。
しかし彼は当然のごとくやめようとはしない、
笑いながらBGMを口ずさみ何の躊躇もなく楽しそうに毒を注ぎ込もうとする。
「んーーーんー!」
さすがにこんな物を飲んだら死んでしまう、さっきよりも頑なに口を結び必死に抵抗する私。
しかし彼はpre仕様のメイジ、war仕様とは違い筋力も人並み以上にある。
只でさえ強い力にヴィガーによる補助も加わった彼の手の力は
たかが生産職の”必死の抵抗”などで対抗出来るような物ではなかった。
さっきと同じようにいとも簡単に私の口をこじ開けると彼は毒を流しいれていった。

名無しオンライン sage 2006/06/06(火) 22:38:25.80 ID:UGpwrpqP

「よし材料を入れたら次は混ぜ合わせないとなw」
彼はそう言うと私の1髪を掴み軽々と持ち上げた、
私を掴んでいる方とは逆の手には律儀にも混ぜ棒が握られている、
「いやぁああああ!!!!やめtもにぃぐへぇ!」
私は空中で生産ルーレットのように何回も振り回されると
その勢いのまま床に強く叩きつけられた。

空中を何度も振り回され目が回ったことによる酔いと
即効性の毒の効果で私の顔は一気に青ざめ、HPもみるみる減っていく。
早く吐き出さなければ死んでしまう!
私は叩きつけられた床に這いつくばりながら喉の奥に指を入れ必死に胃の中の物を吐き出そうとした、
「そうだな早く吐き出さないと死ぬよな、手伝ってやるよ吐く時はそのバケツに吐けよ?」
彼はそう言うとさっきのように髪を掴んで持ち上げ今度は私のお腹を何度も殴りつづけた。
お腹を殴られた激痛と嘔吐の時の不快感が同時に私を襲い、勢いよくバケツに向かって戻してしまう私。
「おげぇええええげぇえええー」
私の体内から吐き出されたどろどろの液体は異様な色と胃酸臭の混じった酷い悪臭を放っていた。

「グレートエルモニーポーションコンバイン成功1セット!w」
彼はバケツに溜まった液体を見ながらケラケラ笑いそう言うと、
バケツを持ち上げ未だ毒が体内に残りウーウーと床で苦しんでいる私にそれを勢いよく浴びせかけた、
「GEPの効果は余りの臭さに誰も寄り付かなくなりますってか?ちゃんと後始末しておけよ?」
彼はキュアポットを一つ放り投げると臭い臭いと笑いながら部屋を出て行ってしまった、
私は体に残っている毒を抜こうと床に転がったキュアポットに一目散に飛びつき栓を開け飲み干す、
そして体から残っていた毒が抜けると私はまた床に倒れ込んでしまった。
自分が吐き出したものを全身に浴び濡れた髪や衣服が体に纏わりつき体全体が悪臭を放つ、
そんな気持ちの悪い状況も気にならないほど私は消耗していたのだ。

待てを命じて隅で一部始終を見ていた豆太郎がたまらず駆け寄ってくる。
「大丈夫もに、心配いらないもによ・・・」
そういって心配そうにグェグェと鳴く豆太郎を撫で続ける、
そしてしばらく経ち落ち着くと私は立ち上がり無残に汚れた部屋を見渡した。
「明日からはもうお菓子貰えないもにぃ・・・。」
私は床に転がる潰れたリンゴ飴やショートケーキを見つめてそう呟く
唯一の楽しみも今日で終わり、明日からはまた苦痛しか無い地獄の様な毎日がただ延々と繰り返すだけ、
そんな絶望や諦めに打ちひしがれながら私は部屋の後始末を始めたのだった。



名前:
コメント:
最終更新:2007年07月28日 23:04