ロックオン×ティエリア
ハロウィン
「トリック・オア・トリート」
ドアの外から聞こえた呪文にロックオンは一瞬何のことかと思った。
「ああ、ハロウィンか」
10月31日。
西暦が2300を超えても蘇る魔女と怪物と幽霊たちの宴。
子供の頃、妖精たちが子供を浚いに来るからと大人たちに散々脅されたことを思い出し、
一瞬、故郷のアイルランドに想いを馳せる。
「開ける開ける、待ってろ」
クリスティナでも待ち構えているんだろうとロックを解除して開いたその先には。
魔女の姿をした、妖精がいた。
「ティエリア。お前、何やってるんだ」
「スメラギさんの企画だ」
纏っている衣装にも拘らず平然と答えるティエリアにロックオンは頭を抱える。
所々に紫のリボンが縫い付けられた黒のワンピース。
胸元が蝙蝠の羽を意識したラインにカットされ彼の白い肌が大胆に露出している。
そこから眼を逸らそうとすると紫レースのパニエで膨らませたフレアミニスカートから
スラリと生脚が覗いているから困る。
ご丁寧にストッキングとガーターベルトまで。
蜘蛛の巣を模したネットで織られたそれはティエリアの脚を包み込み、
膝の下からは黒いブーツに飲み込まれている。
勿論、ティエリアの紫の髪の上にはとんがり魔女帽がちょこんと乗せられているのだ。
それには何故か猫耳までついていた。
「……流石スメラギさんだ。完璧だな、おい」
そう言って脱力するロックオンをティエリアが星の飾りのついたステッキで小突く。
「菓子類を提供しなければ作戦行動を開始するが……」
「作戦行動?」
「曰く、悪戯だ」
再びロックオンは頭を抱える。
そんな格好で『悪戯』などと言われたらいけない想像をするなという方が難しい。
「他の奴らの所には行った?」
ロックオンは眼を少しだけ見開いて尋ねる。
ティエリアは小首を傾げて訊き返した。
「まだだ。それが何か?」
「いや、それならいいんだ……ティエリア」
ティエリアの紅い瞳が見上げている。
真っ直ぐ見つめてくるその視線にロックオンは芽生えた甘い邪心で抗った。
「申し訳ないが要求には応じられない……だから」
悪戯をしてもらおう!!!!!!!!!!!!!!11
彼の眼は、真剣そのものだった。
「これを……咥えるのか」
ソファに身を預けたロックオンが少し下げたズボンから逞しい男性自身を覗かせて脚を開く。
その両膝の間に跪いたティエリアは指先で
ロックオンの裏筋から亀頭にかけてを、つつっとなぞり上げた。
「そそ、俺の故郷のアイルランドはハロウィンの本場でな」
ティエリアの指先が上下する快感に、少し興奮気味にロックオンは語る。
欲望の前に嘘への罪悪感など微々たるもの。
「本来はこういのが正式な悪戯なんだ。
儀式には則った方が作戦の精度としては好ましいと思うぜ!」
寧ろこ誘惑に対する誠実な対応なのだと胸さえ張らんばかりの饒舌。
最後には親指まで立てて見せた。
「そうかもな」
ティエリアは目の前の屹立にゆっくりと口を開き、先端をぱくっと含んだ。
「……くぅ、ティエリア……そうそう、歯は立てないで、飴でも舐めるようにだな……」
「ぁむ……うう、んぐ」
喉の奥に先端が当たる。
「ぢゅる、んむ……」
唇が吸い付く。
「ちゅく、ん……はぐ」
滑らかな舌がねっとりと纏わりつき、舐め上げる。
カリ首を舌先で丁寧になぞり、口に含みきれない部分を指で扱く。
「……あ、いい。……ティエリア、いい子だ……」
任務だと言われている所為なのか一心不乱に舐め続けるティエリアの髪を撫でながら、
ロックオンは湧き上がってくる愛しさに似た感情に騙されることに酔った。
どうせこの余興が終われば仕舞いなら流されるのも悪くないだろう。
「そう……あ、そこいい。続けろ……」
一晩だけの想い人の可愛い顔に視線を向けた時、
丁度ティエリアの潤んだ上目遣いと眼が合ってしまった。
「あ、やば……、出るっ」
不意に駆け上がってくる射精感。
このまま出してしまったら悪いという思いと寧ろ出してしまいたい思いが一瞬鬩ぎ合う。
「っ! んんぅっ!!」
どくんと脈打つように迸るのを感じた。
「あ……悪い」
恍惚。放った後も柔らかい粘膜に包まれている例え様のない心地よさ。
ロックオンの欲望と自制心の勝敗はあっさりと決した。
後ろめたさはあるが、寧ろ享受こそ快楽とそれを齎すものへの誠実さなのだと心の中で言い訳する。
お詫びにその後ろめたいものを吐き出して貰うためにティッシュを差し出した。
だが。
「ちょ、ティエリア。ティッシュ……」
「仕方ないだろう。口の中に溜めておけないし、コスチュームも汚せない」
ケホケホと少し咳き込みながらティエリアは舌なめずりをする。
ロックオンは答えを察しながらも恐る恐る尋ねた。
「飲んじまったのか」
「問題でも?」
「い、いや」
狼狽を隠せないロックオンに対し、ティエリアは至って冷静にずれた眼鏡を掛けなおした。
不意に、ロックオンはティエリアを抱き締める。
鼻が紫の髪に埋もれて、いい匂いがした。
「なぁ、このまま俺の部屋に泊まっていけよ」
「そうはいかない。まだ任務があるからな。くだらない作戦だが、仕事は仕事だ」
「そっか……そっかー……」
腕の中からことも無さげにふわりすり抜けていく妖精を掴みあぐねて、ロックオンは小さく手を振った。
最終更新:2008年01月03日 02:23