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風邪っぴきティエリア


 …これだから地上は嫌いなんだ。
 …ライノウイルスなんて撲滅してしまえばいいのに。
 …急に寒くなったり暑くなったりするのも面倒だし。
「……っ、けほっけほっけほっ」
「大丈夫か」
 …いいかげん枕元から離れろ、刹那。
「おいティエリア、オートミールのポリッジなら喰える?」
 …不味そう。
 …だいたいアレルヤ、その犬のぬいぐるみは何だ。
「ほらティエリア、これで寂しくないよね」
 …いや、だから。
 …なんで寄ってくるんだ。皆して。
 …………伝染ったらどうする。
 ……まったく。

 冷水で絞ったタオルが額に載せられる。
 …風邪による発熱には効果なんてないと、言ってやるべきなのか。
 …喉が痛くて喋るのも面倒だ。とりあえず冷たいのは気持ちいい。
 スプーンがそっと差し出される。
 …赤ん坊じゃあるまいし一人で食べられると断るべきなんだろうが、鬱陶しいので好きにさせる。
 …見た目ほど不味くはないが、他にもっと手軽に栄養を取れそうな食べ物がありそうだ。
 頬にふかふかしたぬいぐるみの感触。
 …病気となんの関係があるんだ。肌触りは嫌いじゃないが。

 ああ、全く。調子が狂う。

「眠いならもうすこし、寝とけ」
 本当はやらなきゃいけないことがたくさんあるのに。自分だけでなく他の皆も。
「ここ最近忙しかったからね。ゆっくり休んだ方がいい」
「……早く治せ」
 忌々しいことに、声すらちゃんと出ない。
 皿やら何やらを片づけて、三人が席を立つ。
 …そう。伝染したらいろいろ面倒だからさっさと出てけ、と、目でそう言ったつもりだった、のだが。
 …なんで三人とも座り直すんだ。
 …頭を撫でるな気持ち悪い。
 …しょうがねえなあとか言うな、何がしょうがないのか説明しろ。

 ティエリアがごそごそと上掛けに潜り込むのを見て、三人は顔を見合わせた。
「しょうがねえなあ」
「だね」
「……そうだな」
 頬が赤いのは熱だけの所為じゃないのを、認められないのは本人だけ。
最終更新:2008年01月03日 02:10