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ティエリア×スメラギ


「ふう…。やはりここが一番落ち着く…」
ティエリアは温かいお湯につかって、心底くつろいでいた。
トレミー内の浴室。
シャワースペースは他にちゃんとついているので、湯船と洗い場のある
この浴室は、大人二人も入ればいっぱいいっぱいのスペースしかない。
それでも、ティエリアにとって、無機質な空間が居並ぶトレミーの中では、
自室を除く唯一のリラックススペースといっていい場所だ。
湯船に深く身を沈めて、後ろの壁に頭を預け足を伸ばす。
ティエリアはうとうとと眠ってしまいそうな快感に包まれていた。
間接照明が心地いい…。

ガチャッとドアを荒っぽく開ける音でハッと我に帰る。
「さーってと!あったまるかな♪」鼻歌交じりに、聞きなれた声がした。
「…スメラギさん。入ってます」
ドアはティエリアのもたれている壁と平行の位置にあるので、
タオル一枚身に付けただけのスメラギを真横に見て注意すると、
ティエリアは即座に正面に向き直った。
「脱衣所に俺の服があったでしょう。きちんと確認してもらわなければ困ります。」
「あっ…あら…。ゴメンね」
スメラギが謝ったので、すぐ出て行くだろうと思い、
ティエリアは先ほどのように壁に頭を預けた。
「でも、今じゃなきゃ駄目なのよね…。…ちょっと失礼するわね」

…バシャッ!!勢い良くスメラギが湯船に飛び込んだ。
「ちょ…迷惑です!俺が先に入ってるんですから、後にしてください。」
ティエリアは急いで下半身をタオルで隠した。
「まあ、そう言わないで…ね?」
スメラギはタオルを体に巻いたままだ。
「タオル巻いてれば大して問題ないでしょ?年も随分違うんだし」
能天気に答える。

「そういう問題じゃない!あなたは仮にも上司でしょう!
しかも女性なのに…。非常識です…!」
「全く、いっつもお固いんだから…。上司と部下、腹を割って話しましょ」
「…!!」ティエリアは言葉を失った。
「それに…今じゃないと駄目だって、言ったでしょ?」
「何がです?」
ティエリアは怒りを交えて聞き返した。
「……。」
スメラギは無言で微笑を浮かべると、壁に備え付けてあるリモコンを取って、
ボタンを押した。
「あっ…!」
浴室の照明が落ちる。
外の脱衣所から漏れる、わずかな光以外は何も見えなくなってしまった。
「何をふざけているんですか。俺はもう上がります…!」
ティエリアが湯船から立ち上がろうとするのを、スメラギは諌めた。
「まあ、待ちなさいよ。…ほら。」
スメラギは違うボタンを押した。カタカタカタ・・・。
機械音が響いたかと思うと、なんと洗い場の一番奥に掛けてあった大鏡が
マジックミラーになって、宇宙空間を映し出した。
「…!!」
ティエリアは息を呑んだ。トレミーの移動にあわせて、
漆黒の闇に美しい青い惑星が現れた。
浴室全体が青く染まる。

「これは…」
「そう、地球よ」
ティエリアの言葉を引き取って、スメラギが夢見るような優しい声で話しはじめた。
「…私達の、ふるさと……。今日の、この時間の軌道上でしか、見れないから。」
「…。」
ティエリアは一瞬で地球の美しい青に魅せられてしまった。
目が、離せない…。
「見て…。あの星に、とてもたくさんの人間が住んでる…。
本当に、気が遠くなるような昔から、ずっと…。なのに…」
スメラギの声がわずかに曇った。
「人間は…その長い歴史の中で、一度も本当の平和を達成した事がない。
必ず、あの星のどこかで、命を奪い、奪われているの…。」
「スメラギさん…」
ティエリアは青く照らされた、スメラギの表情を伺った。
スメラギは、じっと地球を見つめている。
その目にはうっすらと光るものがあった。

「あんなに、きれいな星なのに…。誰でも一度は目にして、
その美しさに心洗われるっていうのにね…」
「スメラギさん…」
ティエリアが姿勢を正し、湯に波が立った。
湯の動きを感じ、スメラギが正気に戻った。
「…ふふっ。ごめん。あなたは、地球がキライだったわね」
スメラギがティエリアから少し顔を背けるようにして、涙をぬぐった。
「嫌いなのは地上の重力で、星そのものではありません」
ティエリアはその時初めて、スメラギの弱さを感じた。

湯の中で、慰めるようにスメラギと手を重ねた。
スメラギは親指で軽くティエリアの手の甲をさすり、慰めに応えた。
「ごめんね…こんなところ見せちゃって…。でも、時々不安になるの。
私達のしている事は、本当に正しい道なのかって…。
本当はあの星を傷つけてるんじゃないか…って。」
スメラギの細い肩が震える。
ティエリアはそっと抱きしめた。
スメラギは抵抗することなく、身を任せていた。

ティエリアは心が引き裂かれるような、複雑な気持ちだった。
この上なく美しく育てた花が、徐々に色彩を失っていくのを
手立てなく見ているしかないような、心が乱れる感じ。

ティエリアは急に寂しくなって、スメラギを力いっぱい抱きしめた。
タオル越しに、スメラギの体温を感じる。
湯は既にぬるくなってきていたので、スメラギの体温が肌に心地よかった。
「ちょ…っ」急に抱きすくめられたスメラギが、さすがに声をあげた。
「ティ、ティエリア」
「…黙って……!」さらに肌を強く合わせる。
スメラギの胸が、ティエリアの胸に押し付けられた。

(ああっ…)ティエリアは溜息が出るようなうっとりした感触に、
理性が崩れていくのを感じた。
スメラギの息が、肩にかかる。
柔らかい肌が、ティエリアの体を包むように密着している。
「……ッ!!」駄目だ!!ティエリアは急にスメラギを突き放した。
「キャッ…」スメラギが軽く悲鳴をあげる。
「どう…したの…?」
急にそっぽを向いたティエリアに、スメラギが近寄った。
「駄目です…!」ティエリアは後ろの浴槽ギリギリに身を引いた。
しかし、狭い浴槽内ですぐにスメラギと体が触れ合ってしまう。
スメラギの太ももが、ティエリアの下半身に触れた。
「……!」スメラギはティエリアが反応しているのに気付いた。
ティエリアはうつむいたまま、何かを必死で堪えているような表情をしていた。
「…そっか。男の子…なんだよね…」
スメラギが小さい声で呟いた。
「…もう…出ます!」
ティエリアは耐え切れなくなって、湯船からあがろうとした。
その手を、ぐっと掴まれる。ティエリアは息を乱して、スメラギを見た。

「…いったい…何を」
薄闇に目が慣れて、お互いの表情がはっきり見える。
「…いいのよ。…いいの。」
スメラギが、自分に納得させるように、ゆっくりうなづいた。次の瞬間、
「……あぅッ……!!!」
スメラギはティエリアの下半身のタオルを素早く剥ぎ取ると、
ティエリアの敏感な部分をしっかりと握った。
ティエリアは自身を握られて、声も出せずに固まってしまった。
スメラギの指が、軟体動物のように艶かしく動き始めた。
湯の中だというのに、指はまるで水圧など問題ではないかの様に、するすると動く。
「ぁっ…!!」ティエリアの口から、我慢できずに声が漏れる。

スメラギが規則正しく扱きながら、ティエリアの首筋に口付けてきた。
「───ッ──!!」
ティエリアは首筋をすぼめる様に体を震わした。
スメラギが首筋から耳たぶに唇を這わしながら、体を押し付けてくる。
ティエリアはたまらずスメラギの背中に手を回した。
引き降ろすよう形で、意図せずタオルを剥いでしまった。
「ぁん…っ」スメラギが溜息を洩らした。
スメラギの胸が直接ティエリアの肌に当たる。
動くたびに、ティエリアの肌に刺激されて、スメラギの先端が固くなる。
「はぁ…ッ…はぁ…ッ」スメラギの吐息が熱を帯びてきた。
スメラギは指を離し、ティエリアからわずかに離れた。
顔は上気し、大人の女の情欲が確かに漂っている。
ティエリアは眩暈のする思いで、それを見ていた。
「ス…スメラギさん…」
「…しっ」スメラギはティエリアの唇に人差し指を押し当てた。
「大丈夫…私にまかせて。いいわね」
反論の余地はなかった。

スメラギは腰を浮かすと、ティエリアの腰の上に乗り、一気に体を落とした。
「──はぁッ──…!!」
二人とも、同じタイミングで歓喜の声をあげる。
スメラギはティエリアの肩に首に手を回すと、静かに上下に動き始めた。
「あ…ん……や…ッ…ぁッ…あっ…」
スメラギが動きにあわせて喘ぐ。
ティエリアはその声を聞きながら、スメラギの中の感触を味わった。
「…ぁ…あ…ッ…スメラギさん…スメラギさん…!」
スメラギがすっぽりとティエリアを包みこみ、きつく締め付ける。
「う……っ……うう…っ」
思わず声がでてしまう。
ぱちゃっぱちゃっ…湯が揺れる音が響く。
ティエリアの鼻先でスメラギの髪が揺れる。
鼻腔をシャンプーの香りがくすぐる。
初めて経験する快楽に、ティエリアの男が目覚めてきた。
やがて、ティエリアの腰がスメラギの動きにあわせる様に動き始めた。

「…んん…ッ!」
スメラギが一段と声をあげて、ティエリアの首に強く抱きついた。
「あっ…ティ…エ…ッ!あな…た…っ!」
ティエリアはスメラギの体を支えて、下から思い切り突き上げはじめた。
「きゃ…あぁああん…ッ…ぁあああ…ぁぁぁん」
何度も、何度も本能に従って強く突き上げる。
スメラギはもはやティエリアにされるがままになっていた。
「はぁッ…はぁッ…!ティ…大きく…て…んっ…気持ち…い…い!!」
ティエリアの動きがより速く深くなり、快感の度合いを増していく。
「っぁぁあ…ぁあん…ぁ…ぁ……も…もうだめぇ…ッ!」
スメラギがティエリアの耳元で叫んだ。
「う…ああぁっ…!!!」
同時にティエリアがスメラギの言葉に合わせるかのように、大きく体を震わせた。

「…はぁ…はぁ…」
抱き合ったまま、肩で息をして、呼吸を整える。
「い…今のことは…。」
「分かってるわ。二人だけの秘密ね…」
「で…でも…」
戸惑うティエリアに、ふっとスメラギが笑った。
「あなたも立派な男の子なんだもの。こういう事があったって…ね?」
スメラギは最後にティエリアを軽く抱きしめると、タオルを体に巻いて、
湯から上がった。
「風邪…引かないようにね」そう言い残し、去っていった。
ティエリアは遠ざかる地球の青にしばらく目をやり、そして浴室を後にした。
最終更新:2008年01月03日 03:37