ハレルヤ+アレルヤ×ティエリア
「うん。すごく似合うよ」
今日は1月1日。アレルヤは、振袖をまとい畳の上で正座するティエリアを見て言った。
「…苦しい。」
ティエリアは初めて着る晴れ着の締め付けに、顔をしかめた。
「まあまあ、そう言わないでよ。経済特区・日本のデパートでそれ見つけた時、
ティエリアにすごく似合うって思ったんだけど…」
落ち着いた赤地に、色とりどりの糸でユリをあしらった振袖。
「本当に似合うよ。想像以上だ。みんなにも見せてあげようよ。」
アレルヤが上から下までじっくり眺めながら感心して褒めるものだから、
ティエリアはつい顔が赤くなってしまう。
「…男の着るものではないと思うが。」
なんとかごまかそうと、ぶっきらぼうに答える。
「ははっ。そんなのは大昔の考え方だよ。今は男でも着る人は結構いる。」
アレルヤが楽しそうに言った。
「そ…そうか…もな。よし、では正月の挨拶に行こう」
ティエリアがその気になって、腰を浮かした。
「うっ…!」短時間正座していただけなのに、もう足がしびれてしまった。
「大丈夫かい?」
アレルヤがあわてて腕を支えてくれる。
(うう…足がピリピリする…。)ティエリアは感覚の麻痺した足の不快感に耐えた。
「ん?」アレルヤがふと気付いた。
「ティエリア…。それ、左前なんじゃない?」
「え…」着物のおくみを見る。
「いや…。あってるだろう。右前だから…。」
右側の身ごろを上に合わせていた。
「違うよ、ティエリア。僕もなんでか良く知らないけど、
そういう風に右を上に合わせるのを、死装束の左前っていうらしい」
「そうなのか…。それは正月から縁起が悪いな」
「誰に着付けてもらったの」
「刹那だ。彼は少しは日本に詳しいから…。」
ぴくっとアレルヤの眉が動いた。
(なんだ…。てっきりスメラギさんあたりだと思ってたのに)
不意に嫉妬心がわき起こり、アレルヤは慌てて首を振った。
(いや、何考えてるんだ僕は…!ティエリアも刹那も同じ仲間じゃないか)
「アレルヤ。死人の着付けでは挨拶に行けない。着なおすのを手伝ってくれ」
ティエリアが冷静に言った。
「…え!!」
アレルヤは戸惑った。
「急がないと昼食の時間になってしまう。
この着物では苦しくて食べられそうにないからな」
「う…うん。分かったよ。で、でも僕でいいの?」
「刹那は頼りにならないだろう。
帯の結び方だけしっかりしていればたいした問題はないはずだ。」
「そ…そうだね」
ティエリアは再び座布団に座った。
「足が痺れて立っていられない。
着る時はきちんと立つから、脱ぐ時だけは座らせてもらうぞ」
「あ…ああ。」
アレルヤはティエリアの後ろに回って、帯の結び目を確かめた。
「随分きつく結んであるんだね」
「蝶結びというらしい。どういう結び目か、きちんと覚えていてくれ」
ティエリアが冷静に指示を出す。
「分かったよ…」
結び目の形状を色んな場所からチェックする。
大体把握できたので、帯を解く事にした。
「じゃあ、ほどくよ」
ティエリアのうなじから覗く背中のラインがまぶしい。
思わず胸が高鳴る。
(ハレルヤ…僕はどうしちゃったんだろう。
振袖姿のティエリアが見たい、単純にそれだけだったのに…)
アレルヤは自問しながら、かすかに震える手でピンクの帯留めに手を掛け、外した。
続いて、帯の結び目に手をやる。
すっ…すっ…と帯を解いていく。
どうしても襦袢の下に見えるティエリアの白い肌に目をやってしまう。
(ハレルヤ…。緊張するよ…。和服ってとても…複雑な衣服だ…。)
(──────ツ!!)
その時、ピキーンと脳内に電流のような痛みが走った。
「う…う…」
アレルヤは思わず帯から手を離し、畳に両手をついて、震えながら頭痛に耐える。
「…?」ティエリアがアレルヤを訝しんで見た。
「う…ああ…ぁ…ッ!」
アレルヤが絞り出すような叫び声をあげた。
「お…おい…。どうした…?」
ティエリアがおずおずとアレルヤの肩に手をやった。
「……!」
その手をぎゅっと強く掴まれて、ティエリアは驚いてのけぞった。
アレルヤの目がきつくなる。
「…何言ってんだ、てめえッ…!」
アレルヤの雰囲気が急に荒々しく変わった。
「よく言うぜ…!なにが着物が似合うと思って、だ。」
「──!?」
「本当はこいつとヤリたくてヤリたくてしょうがなかった癖によぉ!!」
突如人格変更したハレルヤが、驚くティエリアの首根っこを掴み、
畳に後ろから押し付けた。
「ぐッ…!!」
ぐりぐりと畳に額が当たり、擦れる痛みにティエリアは唸った。
「な…何を…する…!アレル…」
「黙れ!!」
ハレルヤは後ろからさらに体重を掛け、ティエリアを畳に押し付けた。
「こいつはずっとお前とこうしたがってた。
お前のために高い金出して振袖まで買ってやってよ…」
くくっと口元をゆがめるように意地悪く笑う。
「…な、何を言って…俺達はただの…ガンダムマイス…」
「そうだな。お前の言う通りだ。高潔な理念のために集まったエラい人たちだ…。」
ハレルヤは見下すように言った。
(ハレルヤ…ハレルヤ…!ダメだ、ハレルヤ…。僕はそんな事、望んでない!)
ハレルヤの頭の中にアレルヤの懇願が響く。
ハレルヤは無表情で顔をあげると冷静に言った。
「でしゃばるなアレルヤ。お前の嘘は聞き飽きた。
いつもいつもいい子ちゃんぶりやがって…。
いい加減うんざりだ。そこでじっくり見ていろ」
(ハレルヤ…!!)
「仲間ならソイツの欲求不満を解消してやらなくちゃなあッ!!!」
ハレルヤはティエリアを片手で押し付けながら、帯を強引にほどいた。
しかし帯は結び目だけでも結構な長さがあり、手にぐるぐると巻きついてしまった。
「ちっ…!」ハレルヤは巻きついた帯をほどこうと、ティエリアの首から手を放した。
その隙にハレルヤの体をすり抜け、ティエリアがふすま目がけて走り出した。
「───ッ!!」
しかし足の痺れが取れていない上、振袖の裾が足に絡みつき
ティエリアは前のめりで頭から転んでしまった。
「…おいおい」
ハレルヤが帯の端を持って、ティエリアの後方に仁王立ちした。
「おいたはいけないなあ、ぼうや」
ハレルヤはにたーっと笑うと、帯を両手でぐいっと引っ張った。
「………あぁ……ッ!!」
ティエリアの体が帯の巻き取りに比例してくるくる回る。
「あはははははははっ!!どっかの時代劇で見たとおりだなあアレルヤ!!
これがしたかったんだろうがてめえ!!」
ハレルヤは笑いながら豪快に帯を巻き取っていく。
「うう…っ!」遂にティエリアは帯から解放され、今度は仰向けに畳に叩きつけられた。
ハレルヤが帯を投げ捨てて、ティエリアの腰のあたりを跨ぎ、立ったまま上から見下ろす。
ティエリアがきっとハレルヤを睨みつける。
しかしその顔には隠しきれない動揺が浮かんでいた。
「なんだよお前…ビビってんのか?」
嘲るように口元を歪めるハレルヤから逃げるように、
ティエリアは後ろ手で体をじりじりと後退させた。
「おっと、逃がさないぜ…!!」
ハレルヤはティエリアの振袖の襟元を掴んで引き寄せた。
二人の顔がほんの数センチまで近寄った。
ティエリアはハレルヤから逃れようと、懸命にもがいた。
ハレルヤの手の甲にぎりぎりと爪をたてて抵抗する。
「ッてえぇ…!うざいんだよてめえ!」
ハレルヤがティエリアに思い切り張り手を食らわせた。
(ハレルヤ…!乱暴はよせ…!!)
脳内でアレルヤの声が響く。
「ち…ッ。分かってるよ…!」
ハレルヤは乱暴に言うと、ティエリアの表情を伺った。
ティエリアの口が切れ、端に血が滲んでいる。
そして額には畳の擦り傷が出来ていた。
「悪かったよ…ぼうや。ほら」
ハレルヤはティエリアの額の傷に軽く口づけた後、
唇に滲む血を舐めとるように強引に口付けた。
「───んんッ!」
ティエリアは嫌悪の表情を浮かべ、逃れようとした。
しかしハレルヤはさらに唇を密着させ、舌を深く差し入れた。
ティエリアは舌を奥のほうに巻き、逃げようとしたが、ハレルヤに絡めとられてしまった。
「…ぐぁッ!」
その瞬間、ティエリアが思い切りハレルヤの舌に噛みついた。
ハレルヤはあまりの痛みに顔を離した。舌からの出血を認める。
「てめえ…。人がせっかく優しくやってやろうと情けを掛けてやったのによ。
…あいつがなんと言おうと、もう許さねえ…!!」
「き…君は…!」見た目はアレルヤなのに、まるで知らない男のようだ。
ハレルヤの顔が怒りで歪み、ティエリアは思わず恐怖を感じた。
ハレルヤはティエリアを畳に力をこめて押し倒した。
後頭部が打ち付けられ、一瞬目の前が真っ暗になる。
(ハレルヤ…!やめてくれ…!!頼むから…!)
「黙ってろつっただろうが!!」
ハレルヤは大声で怒鳴ると、振袖のあわせに手を掛けて、
襦袢ごと引きちぎるように左右に開いた。
ティエリアの白い肌があらわになる。
「おらっ」ハレルヤはそのまま振袖を脱がそうとしたが、
帯紐が何本も邪魔して、思うように行かない。
「なんだよ…この着物ってのは!くそめんどくせえ…!!」
ハレルヤはイライラしてわめいた。
(ハレルヤ…もうやめてくれ…)
アレルヤの意識が強まってくるのを感じる。
「くそが!!このまま終わってたまるかよ…!」
ハレルヤはティエリアをうつぶせにひっくり返し、
腰を引き寄せて四つんばいにすると、振袖の裾をめくりあげた。
「うあッ…」ティエリアがうめく。
ティエリアの下半身がハレルヤの目の前に露出した。
「ふ…ハハッ…!見てみろよ。アレルヤ。たまんねえよなあ」
ティエリアの白い太ももが小刻みに震えている。
白足袋にも負けない位、滑らかな白い肌に、ハレルヤは興奮を抑えきれなくなった。
息遣いが荒くなる。
「やめッ…」
ティエリアの声を無視して、彼の下着を一気に剥ぎ取った。
まだ少年の面影が漂う、繊細なラインが現れた。
ハレルヤはごくっと生唾を飲み込むと、ティエリアの腰をぐっと掴んだ。
(ハレルヤ!いけない!!それだけは…)
意識の奥で、アレルヤの必死の懇願が伝わってくる。
「ここまで来て…知るかよ!アレルヤ!!いただくぜ!!」
そのまま自分の怒張を一気に差し込んだ。
「あぁああぁっ…!!!」
ティエリアの悲鳴と、アレルヤの嘆きが、シンクロしてハレルヤの耳に響く。
「─はぁッ…はぁッ…!」
ハレルヤはティエリアの腰を掴んだまま、本能のままに突き込んだ。
「うう…うぅ…。」
パンパンと肉のぶつかる音に加え、ティエリアの苦痛を帯びた声が響く。
ティエリアはあまりの激痛に顔を引きつらせ、固く閉じた目からは涙が零れていた。
(ハレルヤ…あんまりだ…ぅぅ…)
「なんだよ、…はぁッ…泣いてんのかアレルヤ」
ハレルヤが腰を動かしながら呟いた。
ティエリアの締め付けで気持ちいいはずなのに、
頭の中ではどうしようもないほどの切ない感情が満ちてくる。
「アレルヤ…。なんでそんなに哀しんでんだよ…お前もやりたかったんだろうが…!
楽しもうぜ…!アレルヤ!!」
(ハレルヤ…君にはわかりっこない…。
僕は…ティエリアをこんな風に傷つけたくなかった…!)
「何言ってんだよお前…。」
アレルヤの感情が堰を切ったように流れ込んでくる。
ハレルヤの脳裏に、遥か昔の記憶が蘇った。
まだ二人が一人だったときの平和な記憶…。
そして、死の恐怖に心を引き裂かれたあの時の記憶…。
電流が走る。
「ぐっ…あぁぁあああ!!!」
ハレルヤの顔が一瞬苦痛に歪み、動きをぴたっと止めた。
ティエリアは突き込みから解放されて、腕を折って畳に体を預けたが、
ハレルヤは中から去ろうとせず、怒張も熱くたぎったままだった。
「…分かったよ。アレルヤ」
ハレルヤは埋め込んだまま、諦めたように静かに呟いた。
「…お前の気持ちは良くわかった。後はお前に任す。…それでいいんだろ?」
空気が変わったのが分かる。
ティエリアは異変に気付いて、恐る恐る後ろの男を振り返った。
男はうつむいて涙を流していた。
「ア…アレ…ルヤ……?」
先ほどとはまったく違う様子に、ティエリアは屈辱を忘れて思わず声を掛けた。
「……ごめん…ティエリア…」
涙混じりにアレルヤが呟く。
アレルヤが顔をあげて泣き顔のままティエリアと目を合わす。
いつものアレルヤだ…。ティエリアは本能的にそれを感じた。
「ハレルヤ…僕はどうしたらいいんだ…ティエリア…」
アレルヤは混乱して体を震わせた。
(アレルヤ…しょうがない奴だなお前は…。)
憐れむような声が響く。
ティエリアの視線が刺す様に痛い。
「ハレルヤ…僕は…。何も出来ないよ…」
(何言ってんだアレルヤ…!ほら、こうやるんだよ…!)
アレルヤの体が一瞬ハレルヤに操られたような気がした。
「──ッ」ティエリアの顔が上気する。
アレルヤはティエリアの前に右手を伸ばし、ティエリアをやさしく握り締めた。
そのまま上下に擦りあげる。
「…あっ…ん……っぁあ……!」
明らかに様子が変わり、ティエリアの声が湿り気を帯びて響く。
「ティエリア、痛くないかい…?」
「…そ…そんなこ…と……聞く…な……ッ!」
ティエリアは熱い息を吐きながら答えた。
(そうだ。それがお前らしい。アレルヤ、そいつはもう大丈夫だ…)
「ティエリア…。僕も…いくよ」
アレルヤはティエリアの前を攻めながら、自らも動き始めた。
ティエリアの様子を伺いながら、出来るだけやさしく、ゆっくりと動く。
ティエリアの感じるリズムをつかみ、擦りあげる。
いつの間にかティエリアの前は、べとべとになっていた。
「あぁぁっ…んっ…あぁっ…やぁっ…ぁぁ…!」
やがて、ティエリアの声が切羽詰ってきた。
「…ティエリア、…ティエリア!」
アレルヤは振袖から覗くティエリアの白い肌を
目に焼き付けるように眺め、徐々に動きを大きくしていった。
「──あぁぁあああぁっ!!!」
ティエリアが放出する。
きゅっと締め付けが強まり、その刺激でアレルヤは
ティエリアの中に欲を放った。
「ご…ごめん!!」
すぐに我に帰り、アレルヤは急いで自身を引き抜いた。
それには、ティエリアの血が全体に付いていた。
アレルヤは顔を歪めた。
「ごめん…ティエリア…。僕…。」
「…どういう事だ」ティエリアが息を乱しながらも、冷静に聞く。
「…うまく…説明できない…。僕の潜在意識…なのかも知れない。
僕であって、僕でない…。
…傷つける気なんて全然なかった…のに…」
「…俺を抱きたかったという事か」
「…分からない…。君を、特別に思ってたことは確かだけど…。
でも、こんな事…。すまない…。」
アレルヤは両手で顔を覆ってうなだれた。
ティエリアは涙を流すアレルヤに、辱めを受けた怒りが霧消するのを感じた。
同情心が不意に湧き起こる。
「…もう、いい。」アレルヤに近寄って、囁いた。
「さっきのあれは…いつもの君ではなかった。それは俺にもわかる。それに…」
ティエリアはそっとアレルヤに手を重ねた。
「君はさっき、自分を止めようと努力していただろう…。それで、十分だ。」
「ティ…でも…僕は…」
「もういいと言っただろう。今度からは、もっと自分を律するように
努力する事だ」
ティエリアはだらしなく着崩れた振袖のまま、すっと立ち上がった。
「挨拶には、もう行けないな…。…私服に着替える。」
アレルヤは、肩を大きく露出して、振袖を引きずりながら出て行く
ティエリアの後姿を見つめるしか出来なかった。
最終更新:2008年01月03日 03:37