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ヴァーチェ×ティエリア
@機動


 シートに沈み込むと同時に、ティエリアは身を固くする。
 いつもと同じ感触がくる緊張を、ティエリアは目を閉じて
耐えた。ガンダム搭乗のたびに襲い来る儀式。それは戦闘前で
昂ぶったティエリアの精神を引き締める。
 ノーマルスーツの内側がざわめき、ティエリアにそのときが
来たことを知らせた。
「く……っ」
 特殊繊維で出来たノーマルスーツの内側は、柔らかく蠢いて
ティエリアの素肌を嬲る。ざわめいているのはスーツなのか、
それとも自分の素肌の方なのかわからないまま、胸の先をいじられて
ティエリアは声を漏らした。
「あ………ぅん」
 声紋照合。完了。
 ロック解除をしめすライトが付いたのを見て、ティエリアは
唇を噛みしめた。ここのところ、ロック解除までの時間が短くなり
つつある。出撃に関してなら、それはかなり良い傾向だ。しかし
それは、ティエリアの身体がこの刺激で快楽を感じつつあるのを
示していた。最初の搭乗など、声紋照合は感じた声ではなくて
悲鳴だったではないか。
 嫌な記憶を振り払うように、ティエリアは頭を振った。
 次の瞬間、べたりと嫌悪感をもよおす何かがスーツ内に侵入
してきてティエリアの足の付け根を襲う。
「ひ…っ」
 思わず見開いたティエリアの瞳へ、赤い光が走った。
 網膜照合。完了。ロック解除。
 こんなの慣れるはずなんかないと、ティエリアは思う。
 次にどうされるか知っているので、ティエリアは足を閉じたかった。
しかし、こうしなければ出撃が出来ない。重要なことなのだ。
他人にぜったいガンダムを渡さないための、重要な。
 自分に言い聞かせて、ティエリアは腰を浮かせる。それ、が
侵入しやすいように。

 簡単に、それはティエリアの中へ入ってきた。
 先がブラシのようになったそれは、内側を擦り、くすぐる。
もどかしさを煽るのは、そうプログラムされているから。まったく
趣味の悪いことだと、ティエリアは声を押し殺す。
 奥から中身をこし出すようにそれが動いて、ティエリアは肘掛けを
握りしめた。
 指紋照合。完了。ロック解除。
 あとひとつ。ただ、それこそがティエリアには憂鬱だ。
 ごく一部とはいえ、知っている人間がいる。ヴァーチェが起動するのは
ティエリアが快楽に身を投げ出しているからだと。仕方のないことだと、
その他人は言ってくれるだろうか。下卑た笑いで見下されるのがオチだ。
「あ、くうっ……」
 プライドの高い自分が他人に見下される。そんなことを想像して、
ティエリアは背筋を痺れさせた。
 最後のロックはまだ解除されそうにない。ティエリアの潤んだ
瞳にほっとした色が宿る。それはまだ、自分でも気付いていない被虐の証。
 解除に時間がかかっているため、プログラムは次の段階に移行したの
だろう。ティエリアの中でそれは膨れて大きくなった。スーツと同じ
特殊樹脂のそれは表面を硬化させ、ティエリアの中をえぐる。
「あっ……あっ!」
 ティエリアの目元が紅をさした。それでも、ロックは解除されない。
 早く出撃しなければ。
 ティエリアの焦りは、自分でも思いかげない行動で表された。
 ノーマルスーツの前をはだけ、そこへ手を差し込む。指先に触れる
ふくらみを摘み、こねる。
「ん、っく……!あ、あっ」
 気持ちよさで、脳が痺れた。そして、自分はなんてことをと背徳的な
行為に目眩を起こす。
 しかし、手は止まらなかった。そのまま、侵入されたままのいりぐちへと。
「あっ!あっ!もう…………っ!」
 遺伝子照合。完了。ロック解除。
 何事もなかったかのようなコクピットに、ヴァーチェの起動音が響く。
 達し損ねたことを悔やんでいる暇は、ティエリアになかった。
むしろその方がありがたいと思った。無機質にいかされるなんて、
プライドが許されない。
「こんなの……慣れるはずがない」
 下腹の疼きはとぐろを巻くように、ティエリアを火照らせる。
 もし慣れたら……どうなるのだろうかと、ティエリアは思った。
責めはもっとひどくなるのだろうか。そうなってしまったら、自分は。
 ぞくりとティエリアは身体を震わせる。それには怯えと期待が
含まれていた。
「ヴァーチェ、起動確認。ティエリア・アーデ、行きます」
 居住まいを正しそう言う姿は、さきほどまで乱れていたとは思えない。
 開いた回線に、他のマイスターたちの通信が入った。
「っっっくぅっ!ロックオン・ストラトス、出るぞ!」
「はぁはぁ……く、もう、駄目だよ、ハレルヤ……!」
「……………………うっ」
 ヴァーチェに搭載されている認識システムが、他のガンダムに
付いていないわけがない。
 快楽に慣れたとしても男の喘ぎ声なんかに慣れてたまるものかと
眉をひそめながら、ティエリアは通信回線を途絶した。
最終更新:2008年01月03日 03:47