俺×ティエリア
新婚+α
「ハンカチは?」
もった。ティエリアが刺繍してくれたイニシャル入り。
「財布は?」
もった。中身が少なくなるといつのまにか増えてる、妻の愛情入り。
「定期入れ?」
もちろん、ティエリアの写真入り。
「車に気をつけていってこい」
いってらっしゃい、じゃないのがまたイイ!って俺も飼い慣らされてる
なあ。
悪戯心が湧いて、俺は自分の頬をつっついた。そう、いってらっしゃい
のキスを要求する。それはいつものことだったので、ティエリアも
すぐに俺の言いたいことがわかったようだった。
俺の肩に手を置いて、ティエリアがつま先立つ。俺はそれを支える。
「いってらっしゃいませ、ダーリン……って感じか」
ティエリアを後ろから引き寄せ、俺の耳元でロックオンが囁いた。
「いってらっしゃい。はい、お弁当」
アレルヤ……おまえいい嫁さんになれるよ。だからさっさと嫁いで出てけ。
刹那……なんでおまえは俺の腕を噛んでるんだよ。ああ、そうか。
両手は茶碗と箸で埋まってるもんな。なんで俺こんなに慣れてんだよ。
毎朝これだからか。
「君も、少しは積んだ経験値を活かせ」
ティエリアは困った子を見るような目で、俺を見た。眼鏡をはずす。
「いってらっしゃい」
そうして、ティエリアはふわりと俺の頬にキスをした。
ロックオンは悔しそうに見てる。アレルヤはハレルヤに変わってる。
刹那は鼻にしわをよせながら俺の腕をごりごり噛んでる。
ああ、ティエリアをお嫁にもらえてほんとうによかった!
「あーあ、幸せな顔しやがって」
「殺す。あとティエリアは犯す」
「ガンダムが俺」
刹那、悔しいのはわかるがちょっと落ち着け。にやにや。
「今夜は何が食べたいんだ?」
ティエリア、というお約束を我慢して俺は考え込む。ふたりで
鍋をつっつくのがいいなあ。こたつで鍋。日本最高。
「わかった。食べたい鍋が決まったらアレルヤにメールしてくれ」
あ、やっぱりふたりきりじゃないんだ。まあティエリアが
よそってくれるならいいや。あいつらとの鍋は怖すぎるが。
玄関で、四人並んで手を振ってくれる。くそう、あの三人め。
「ガンダムの出番がない平和がいちばん」なんて言いながら日がな
だらだらしやがって。働けよ!
ぶつぶつ呟きながら駅まで歩いている俺に、アレルヤからメール。
もうハレルヤから戻ったようだ。またティエリア襲おうとして
往復ビンタくらったか、ハレルヤ。
『今日のお弁当はティエリアが作ったよ。他のふたりには内緒』
アレルヤ……おまえいいやつだな。こんなことがなかったら、
親友になれたかもしれない。
俺は昼休みまで我慢できず、路地裏に入るとお弁当の蓋を開けた。
ティエリアのことだから、野菜メインだろう。いやいや。精進
料理というものもあるし、ティエリアが俺のために作ってくれたんだ。
文句なんてあるものか!
かぱり、と蓋を開ける。
ごはんの中に、ひのまるがあった。
蓋のところに、三枚付箋紙が貼ってある。
『いっしょうけんめい詰めたんだからほめてあげて アレルヤ』
『かわいそうなので食べないでおいてやる ロックオン』
『ごはんの間にのりが敷いてあるから 刹那』
刹那のこれはあれか。あまりのことに同情か。てゆーか、はしっこに
不自然な隙間があるのは、何故だ刹那。
たとえ中身がどうであれ、ティエリアが詰めてくれたお弁当。愛妻弁当世界一!
男泣きする俺を、通りすがりのエースパイロットが同情の目で見ていた。
そして昼休み、愛妻弁当を完食した俺に弁当の底から現れたメッセージ。
『あいしてる』
俺も、俺も!
俺の嫁さんは宇宙一!不満がありゃガンダムでもなんでも持ってこい!
あ、やっぱガンダムは反則。駄目。
最終更新:2008年01月03日 04:48