刹那×ティエリア
無人島の木立ちに隠れるように設えられた格納庫で、ガンダムマイスター達は次のミッションに備えて待機していた。
最低限の広さしかないとあって、休息のために与えられたのは、ベッドが二つやっと入る程度の二人部屋。
そのうちの一つで仮眠をとっていたティエリアは、扉の開く音と共に人の気配を感じて、浅い眠りから意識を浮上させる。
しかし、入ってきた人物を確認するのも億劫だと言わんばかりに、背を向けたままでいた。
先刻から一言も発しないその人物が誰かは想像に難くない。
――と、不意に掛け物を捲られ、ついで背後に潜り込む、小柄な感触。
こんなことをする奴は、一人しかいない――いや、一人で十分だ。
「……君のベッドはここじゃないだろ、刹那」
すげない態度も、当の刹那には効いている風もない。
それどころか、背後から抱き締められ、肩口に顔を埋められた。
――けれども、何故か、その腕を振り解く気にはならなくて。
自分の裡の、理解できない感情に、戸惑う。
「……暖かい」
肩越しに耳を擽る声には、僅かな安堵がこもっていた。
振り返って、文句の一つも言ってやろうと身動ぐと、柔らかな感触が頬に触れた。
「……」
離れ際に、刹那の唇が僅かに、動く。
「……刹那?」
返事はない。
――代わりに、微かな寝息が聞こえてきた。
「――」
小さく、溜息をつく。
そして、刹那の手に、自分の手を、そっと重ねる。
――抱き締め返すのはまだ、照れ臭いから。
今は、これくらいで丁度良い。
不思議と満ち足りた思いで目を閉じると、眠気はすぐに訪れた。
最終更新:2008年01月03日 04:53