まいすたクリスマス
「以前のデータは見させて貰ったわ」
スメラギは掛けたままチェアをくるりと回した。
背後のモニターにはハロウィンの報告書が映し出されている。
「それで、今回も頼みたいの。ヴェーダの回答も貴方が最適任となっているわ」
「……解りました」
新たな任務を受けてティエリアは表情を変えずに頷く。
手には今回のミッションのために用意された道具、曰くクリスマスコスチューム。
更衣室でティエリアは中身を確認するとパイロットスーツに着替えるのと同じように手早く衣装を纏っていく。
「無駄な装飾ばかりだ……しかし、ヴェーダが選んだものだ。何か意味があるのだろう」
「ティエリアー、急いで。24日の夜のうちに済ませないといけないんだから。22:00から24:00が山場よ!」
「了解」
ハイネックでノースリーブ、胸元が大きく開いたデザイン。
たっぷりの布を用いたミニのフレアスカート。材質はベロアで裾と襟首にはふわふわのファー。
ソフトチュールの柔らかいパニエを仕込んでいるため、ティエリアの動きに合わせお尻の部分が可憐に揺れる。
そのワンピース姿を彩るのはやはりファーの縁取りがされた白の長手袋。
危うい絶対領域を描く黒いストッキングは柊の意匠に編み上げられており、金糸も織り込んであるため角度によってキラキラと光る。それは黒いガーターベルトで固定されていた。
そのすらりとした脚を更に包み込むのは白い革ブーツ。
大きめの高い踵、丸いラインの爪先は挑発的なワンピースとは対照的に可愛らしいフォルム。
ファーの縁取りがなされているのはワンピースと同様だ。
勿論大きなサンタ帽、首元には歩くたびにチリチリ鳴る金のベル。
そして背中には小さな天使の羽根。
全てを身に着けて更衣室を出てくるとスメラギは息を呑んだ。
「……完璧だわ……!」
感嘆にティエリアは当然だというかのような顔で応える。
「さぁ、これを持ってみんなの部屋を回って頂戴。それがミッションよ」
差し出されたのは大きな白い袋だ。
「了解した。ティエリア・アーデ、行きます」
1.
「メリークリスマス! 聖なる夜に介入する!」
インターフォン越しの声を聞いて刹那は首を傾げながら扉を開くと、猫のような大きな眼を見開いた。
「……ティエリア・アーデ。何をやっている……。そ、そんな恰好で……」
目の前のミニスカサンタに一瞬で動揺する。
泳がせる視線の先にはティエリアの顔、露わな胸元、あられもない太腿と脚線美。
何処に目を遣っても正視するには刺激が強すぎた。
「フン、君はクリスマスも知らないのか。刹那・F・セイエイ」
「知っている。……異教徒の……祭、だろう」
「だったらサンタクロースは知っているな? これはミッションだ。
今日の俺はヴェーダの意思の元サンタクロース役を請け負っている」
お前の信仰など知ったことかと言い出しそうな柔らかさの一切ない口調で
ティエリアは白い大きな袋を取り出す。
中にはプレゼントが幾つも詰まっているのが袋の外からも判った。
しかし、刹那は袋の中よりもそれを掲げているティエリアの方に意識が行ってしまう。
ティエリアは、自分を嫌っていると刹那は思う。
理由はたくさんあるだろうし、刹那自身が改善できることもあるだろうが無理なこともあるだろう。
だが、目の前のティエリアはなんだかキラキラして、とても綺麗に見えた。
「つまり、……受け取ればいいんだな」
袋の中身を受け取る時、手が触れてしまったら、と想像すると寂しくなる。
ティエリアの姿に心臓が少し動きを早めているというのに、彼は自分を嫌いなのだ。
それでも、ティエリアはそれを任務だという。そしてきっとその遂行以外は本当に興味がないんだろう。
そういうところは自分と似ているのに難しい。
「物分りがいいじゃないか。さて、君の靴下を探させて貰おうか」
「なに!」
ずかずかと音がしそうな勢いでティエリアは刹那の部屋に踏み入った。
その場でプレゼントを受け取ればこのなんとも言い難い空気が去ると思っていたのに予想を裏切られ、
刹那はティエリアの接近を両手を広げ阻止しようとした。
「待て、ティエリア」
しかし。
「あ」
ガッ、グラッ、びたーん。
歩き慣れないヒールのブーツに足が縺れ、ティエリアは盛大に転んでしまった。
「何をやっている、刹那! 君はどうしていつも……」
刹那の目の前で転んでしまったことにティエリアは羞恥を感じ、
その責任をティエリアの歩を邪魔した刹那に求めた。
きっと睨み付けた眼の下の頬は少し赤く染まっている。
「大丈夫か?」
刹那は手を差し伸べようとして愕然とした。
倒れたティエリアの、スカートが捲れ上がっているのだ。
「どうして君はいつもミッションの支障になることばかり……刹那?」
ティエリアは刹那の様子がおかしいのを察し、首を傾げる。
刹那の視線の先にはティエリアの小さなお尻があった。
それを包み込んでいるのは純白の、フリルとレースで構成された、
腰のところがリボンになっている……女物のパンツだった。
「ティ、ティエリア……女だったのか」
「は? 何を言っている、刹那・F・セイエイ。それより少し足を捻ってしまった。手を貸せ」
「ロックオンが見せてくれた雑誌やビデオの女は、そういうの穿いてた」
ティエリアが苛ついた表情で手を借りるのを諦め起き上がろうとするのを刹那は両手でティエリアの肩を押さえ、留める。
「ドキドキする。ティエリアが悪い」
「なっ、刹那! 何をするっ!」
刹那の下で抵抗するティエリアを見ながら、刹那は兄貴分のロックオンが教えてくれた情報を整理した。
クリスマスは異教徒の祭だから余り興味はなかったのだが、
ロックオンはそれをとても寂しいことだと嘆いていた気がする。
年に一度の聖なる夜に子供は素敵なプレゼントを貰えるし、恋人たちは一晩中、愛を語り合うのだ。
興味はなかった。
だが、酷く幸せそうな日なのだということはロックオンに伝え聞いただけでも理解できた。
そしてその夢物語のような出来事が今、目の前の現実としてあった。
けれどその幸せな夢は所詮は夢。ティエリアの嫌悪が胸に痛い。
しかし、刹那は夢を現実にする魔法の言葉を知っていることを、まさに天啓のようにひらめいた。
「ティエリア、これはミッションだ。ファーストフェイズ、開始する」
刹那の唇がティエリアの反論を封じ込めた。
掌に触れる薄い布地はすべすべとして触り心地がよかった。
刹那が今まで触れたことがある記事の中でも特別、気持ちのいい感触。
「ティエリアも、気持ちいいのか?」
刹那はティエリアの耳元に問いかける。
息が当たってティエリアはぶるっと身悶えした。
「あ、……は。そ、そんなわけ、あるか」
「嘘だ」
刹那は更にティエリアの尻を撫で回す。
小振りの双丘を掌で十分味わうと、次は谷間の窄まりに指を這わせる。
「ひゃうっ……馬鹿、やめっ」
触れた途端、ティエリアが上擦った声を上げ、ひくんとそこが反応した。
それが可愛らしく感じられて刹那は執拗に、ひくつく窄まりを布地の上から何度もなぞる。
こすこすと前後に擦りつつ、尖った指先を入り口に宛がい下着の布ごと穴に押し込んだりを繰り返す。
「ティエリア、気持ちいい?」
「や……っ」
耳に息が掛かるように囁く。
先ほどからそうするとティエリアが女の子のような声を上げることに気がついた刹那は、
時折、ティエリアの耳朶を噛んだり甞めたりしながら、わざと空気を孕んだ声で語りかけるのだ。
ちゅっ、っと音が出るように耳に唇と舌が触れる度にティエリアは真っ赤な顔で震える。
「素直になれ」
そういってティエリアを後ろから抱き起こす。
片脚を抱えて股を開かせ、スカートを捲ると純白の布地に覆われた下半身が現れる。
「見てみろ」
「くっ……せつな、なにを……」
刹那の視線の先ではティエリアの下半身が女性物の下着の中で窮屈そうにしていた。
今にも起ち上がった先端が飛び出てしまいそうになっている。
それをティエリアは見ようとせず、首をふるふると振るばかりだった。
その度に首元の金のベルがチリチリ鳴る。
「ティエリアのいった通りだった。女じゃなかったな」
ティエリアの手を掴み、硬くなったティエリア自身に触れさせる。
「あっ、当たり前だ……、ん」
布越しだというのにティエリアが触れた部分はじっとりと濡れており、
ティエリアは頭の中が一気に熱くなるのを感じた。
刹那はその下の柔らかい膨らみをふにふにと軽く握る。
「こっちも、ちゃんとついてる」
「……っ」
ティエリアは恥辱と屈辱に顔を歪めた。
頭の中に篭った熱は今にも涙になって零れてしまいそうだ。
同時に前の方にも痛いくらい熱が集中してきてしまっている。
けれど、これ以上、体の中の熱を外に出すことは耐え難いほど恥ずかしい。悔しい。唇を噛み締めた。
「俺のも触るか?」
刹那がまた耳元を狙って囁いてきた。
「やだ、やだっ……んう……っ」
とんでもない。そんなことをしたらきっと欲しくて堪らなくなってしまう。
そうしたら、刹那に何と言えばいい。素直に、ください? もしくは挿れろと命令か?
葛藤する間にも勃起したものに当てられた自分の手を上下させてしまいそうになる。
「いやだぁあっ……! やだ、いやだ……っ! ううっ」
想像でしかないのに自分の懇願する声がティエリアのプライドを傷つける。
胸が痛んだ瞬間、涙腺が熱を感じて水滴を散らした。
「ふ、あう……っ。ぃや……、うっ」
「わかった」
泣き出したのを悟られまいと顔を伏せて首を振るティエリアを刹那は両腕で抱き締める。
そして、一度耳元にキスをするとティエリアの熱く固まって遣り場なさげな屹立に手を伸ばす。
先走りでびちゃびちゃになったそこは何の抵抗もなくされるがままだ。
「え、あ……、駄目っ、せつな……っ。ひぁっ、あぅん」
「俺に任せておけ、ティエリア」
片手でしっかりとティエリアを抱いたまま、刹那はティエリアを愛撫する。
それに合わせてくねくねと腰を動かしてしまうティエリアは刹那に翻弄される屈辱に再び涙を噛み締めた。
なのに屈辱すら快感を増幅させているように感じてしまう。
「いや、……そ、んなのっ……ああん、ああっ! や、んっ」
程なくしてティエリアは刹那の掌の中に白濁を迸らせた。
「俺が嫌いか? ティエリア・アーデ」
「……刹那?」
面と向かって問われ、ティエリアは少し口篭った。
あんなことをしておいて、何を言い出すかと思ったら、である。
刹那は作戦の進行に障害となることが多い。何故彼がガンダムマイスターなのか、未だに疑問だ。
しかし、好きなのか、嫌いなのか、ティエリアは判別し兼ねていた。
そもそも好きということがよく解らない。ならば嫌いということもよくは解らないのだ。
生き物の形をしたものを食べることだけは生理的に受け付けないが、
刹那のことは生理的に受け付けないわけではない。
気に入らない、とは思うけれど。
意固地なまでの壁はあるけれど。
「別に、嫌ってはいない」
「……そうか」
ティエリアは嫌悪丸出しで自分を罵倒してくるに違いない。
そう思っていた刹那は胸の中が少し軽くなるのを感じた。
そのまま心のように少しだけ軽くなった腕をあげ、ティエリアを正面からゆっくり抱き締める。
刹那よりも背は高いのに筋肉が薄く、骨が当たる。華奢だな、と改めて思った。
刹那の体温を感じながらティエリアが沈黙を破った。
「任務だ。……君は気にしないで忘れてくれればいい。それよりも、だ」
真っ直ぐ見上げてくる刹那と視線を合わせないまま、ティエリアは白い大袋に手を伸ばす。
「本来は靴下に入れなければいけないんだが、君の靴下には少々大きいだろう」
プレゼントだ。
そういって刹那の前に取り出されたのは1/100エクシアのガンプラだった。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! お……、」
刹那の顔が輝く。
「俺がガンダムだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
異教徒で、しかも『いい子』などではない自分には聖夜の幸せなど関係ないと思っていた刹那は
先ほどティエリアに感じたのとは違う性質の胸の高鳴りに震えた。
ティエリアは歓喜する刹那に、次の任務があると言い残し彼の部屋を後にした。
2.
ティエリアは自分がやってしまったこととはいえ、
濡れて気持ちの悪いパンツを捨ててしまったことを後悔していた。
時間は少しだけ遡る。
刹那の部屋での任務が完了したティエリアはセカンドフェイズに移行するため、ロックオンの部屋に移動した。
「メリークリスマス! 聖なる夜に介入する! プレゼント受け渡しのため部屋の開錠を要請する!」
そう呼び掛けると部屋の主であるロックオンの「入ってこいよ!」という声と共にガチッという開錠の音が響いて部屋の扉が開いた。
「おー! 色っぽいじゃないかティエリア! またミス・スメラギの見立てか? 流石だな」
部屋の中で髪に櫛を入れていたロックオンがミニスカサンタのティエリアを見て歓声を上げる。
ティエリアはそうだ、と短く答えた。
「そういう貴方こそ、随分とめかし込んでるじゃないですか」
「お? これか?」
指摘を受けてロックオンは羽織っているジャケットの裾を掴み、広げて見せた。
「クリスマス・イヴだろう? そりゃあ、天下のソレスタル・ビーイングだって聖なる夜は女の子と過ごすのさ」
「……プトレマイオスのクルーと? 呆れたな、ロックオン・ストラトス」
照れたようにふふ、と笑うロックオンにティエリアは肩を竦めて嘆息する。
「まぁ、相手はまだ子供だしな。ハメは外さねえよ、欲求不満は溜まるがな。それも醍醐味と思えば楽しめるさ」
「プトレマイオスの中でくれぐれも痴情の縺れだとか妊娠騒ぎは起こさないようにな。
誰が相手だとかは訊かないが誰であってもクルーであることに違いはない」
確かに、この限られた船の中で若い男女が揃っているのなら『そういうこと』があるのかも知れない。
ガンダム・マイスターとしての自覚さえ失わなければそれも構わないだろう。
いずれにせよ、興味のないことだ。
苦言を呈すティエリアにロックオンは、ハイハイと苦笑いを返した。
「なら、逢引き相手が待っているんだろう? こちらも任務がある。プレゼントを受け取って貰おうか」
「了解。よろしく頼むぜ、可愛いサンタさん」
刹那よりは話もし易いとティエリアは早速白い大袋を持ち出す。
所が、その時見えてしまったのだ。
袋の中身を確かめるべく屈んだティエリアのスカートの中からちらりと覗いたのは下着ではなく、
白い滑らかな双丘だった。
「なっ!!!!!!!!! お、お前っ、ティエリア!」
「何だ?」
ロックオンは見えてしまったものの意味を計りかねてあからさまに狼狽した。
それに気がつかないティエリアは不思議そうにロックオンを見つめたが、数秒経っても言葉がない。
仕方が無いので気を取り直し、眼鏡のブリッジを押し上げて作業を再開した。
「……ゴクリ」
これは一体どういうことなのか。
ロックオンはアレコレと思索を巡らせる。
──コイツは服にも無頓着だし、もしかしたら下着を着ける習慣がないとか?
いやそんな馬鹿な。
じゃあ何か? アレルヤや刹那と何かあったのか? いやいやいやまさかそんな。
だが、女の線はもっとないだろう、常識的に考えて!
じゃあなんだ? もしかして俺を誘っているのか、ティエリア!!!!!!!!!!
いやいやいやいや、そんな結論を急いでも仕方が無い!
俺にはあの子やあの子や地上に戻ったらあの子もいるし、あの子にも悪いだろう。
まさかそんな同僚の男となんて──。
尽きない堂々巡り。
その間にも凝らした視線の先ではチラリズム・ショーが繰り広げられている。
スカートが余りにも短すぎるのとフレアーが余りにふわふわとしているのと、
様々な要因がティエリアの股間及び臀部を危険地帯へと変えていく。
それに拍車をかけるのがストッキングとガーターベルトの存在だった。
黒いそれはティエリアの白過ぎる脚線を余りにも艶めかしく彩っている。
ゴクリ、ロックオンは再び生唾を飲み込んだ。
そう、彼は十も年下の少女と淡い交際を始めていたが、最低限の倫理として彼女と性交渉を持っていなかった。
自ら強いた倫理規定ではあってもそれは『生殺し』。
狭い船室と長い禁欲。大体ロックオンは性的欲求が強いか弱いかといったら完全に強い方なのだ。
そろそろ右手以外も恋しい頃。
「ティ、ティエリア」
「うん? もうすぐ出る。少し待て」
「もういいんだぜ、そんなに焦らさなくても。お前がこんな大胆なヤツだったなんて知らなかった……!」
ティエリアは赤い瞳でロックオンを見上げる。
異様な興奮に包まれているロックオンを見て、不思議そうに小首を傾げた。
その仕草がどうにも愛らしく、ロックオンの導火線に火を点けてしまった。
「狙い撃つぜ!! ティエリア!!!!!!!!!!!!!!!!」
「う、はぁっ……。あ……っ」
そしてティエリアは後悔している。
幾ら気持ち悪くとも、やはりこのミニスカートだ。下着くらいは着けておくべきだった。
長身のロックオンにあっさりとお姫様抱っこをされたかと思うと、ぽいっとベッドに転がされ、
あっという間に組み敷かれてしまい、あれよあれよとワンピースを剥ぎ取られてしまったのだ。
「どうだ、ティエリア」
「ど、どうって……」
ロックオンの指先がティエリアの乳首をくりくりと撫でる。
はじめは薄い胸の上でほんのり色付いているだけだったそこは刺激が加えられるごとに赤みを増し、
硬く形をはっきりとさせていた。
「感じるだろ? 凄く硬くなってる……こっちも」
右手で乳首を転がしながら左手は下の方へ。
「ほら、どうだ? 言ってみ?」
「あ、……う。解らない……っ」
こちらの方は敢えて扱き上げたりなどはせず、中指を裏筋に這わせたり焦らすようにカリ首をゆっくりと撫でたりするだけ。
ペニスに触れてくれるならまだいいが、気まぐれに内腿や下腹部、臍などを撫で回しなかなか核心に触れてはくれない。
それなのにティエリアは既にピンクの先端から透明の雫を溢れさせてしまっているのだ。
「解るだろ? 抓るたびにピクンってするぜ? こっち」
そう言ってロックオンはティエリアの首筋に口付けながら乳首をきゅっと優しく抓る。
甘い痛みと快感が下半身と脳に走ると同時にペニスがビクッと真っ直ぐに起ち上がった。
「あっ……はんっ」
それに合わせてティエリアも口からあられもない声を漏らしてしまう。
声を抑えようとしても舌先が硬直してうまく抑えられない。
お陰で口は半開きのまま舌をちろちろと覗かせて淫らな表情を作ってしまっていた。
ロックオンの指先は繊細で巧みでちょっとした動きにもティエリアは反応せざるを得なかった。
「凄いエロい顔してる。ちょっとしか触ってないのにな、ティエリア」
耳を甞めるぴちゃぴちゃという卑猥な音と囁きが耳元を掠める。
「ふ、あ……。やっ、くすぐったひ……」
唾液で濡れているため少しの空気の震えにすら敏感になってしまい、ティエリアはぞくぞくと鳥肌を立てた。
「じゃあ、痛いのがいい?」
「あふっ」
きゅうっ、乳首を捻り上げる。ビクン、と触れられてもいないペニスが跳ね上がる。
それを感じてティエリアは顔を赤くした。
「痛いのがいいんだな」
ロックオンが更に軽く爪を立てて抓る。痛みと同時に快感が背筋を駆け抜けティエリアは大きく背中を反らせた。
小さな乳首は真っ赤に腫れあがって血が出そうなほど充血している。
それと比例するかのようにぬらぬらと光る亀頭が赤みと熱を更に増し、腰が快感を求めるようにくねり始めた。
その様子にロックオンは知らず知らず、何度もごくり、生唾を飲み込む。
「ティエリア」
ロックオンがティエリアの臀部の割れ目に指を這わせながら囁く。
誘うように蠢くティリアの尻がロックオンの指を入り口まで滑らせる。
鵐に溢れているカウパーが尻にまで伝っており、指は抵抗もなくつぷ、と窄まりに飲み込まれた。
「ふ、あんっ!」
「やっぱり痛いのがいいんだ。じゃあ、もっとよくしてやるよ」
「やだ、っ……そんなことなひ……っ。あ、あああっ」
ロックオンの言葉にティエリアはかぶりを振りつつ反発したが、
ロックオンはティエリアのまだ余り慣らされていない後孔に指をもう一本増やすと強引に掻き回す。
グチュグチュという粘性の音とティエリアの上擦った嬌声がより音量を上げた。
ペニスは既にはちきれんばかりにガチガチの硬度を得、薔薇色に充血しきっていた。
淫靡な空気の中でロックオンもまた、自身を昂ぶらせスラックスの股間を大きくしていた。
もう耐えられそうにないな、と前のファスナーを下ろし、ティエリアの二回りは大きい怒張を取り出す。
それを目にしてティエリアの表情に怯えが浮かんだ。
「や……っ」
引き攣るティエリア。
ロックオンはその髪を宥めるように優しく撫でながらもティエリアが吐き出した粘液を巨体に塗りたくる。
そしてティエリアの両脚を掲げて腰を持ち上げると
垂れてきているカウパーでびしょ濡れの窄まりにそれを宛がった。
「ティエ……イイコにしてろよ」
「──ッッ!!!」
ズブッ! と、一気に奥まで貫かれティエリアは声にならない叫びを上げる。
「ッ、かは……っ。あ、ああ……」
全身が硬直し、目を見開く。強烈な異物感に息が詰まりそうだった。
内臓が圧迫され押し出されるように涙が頬を伝う。
ロックオンはティエリアに挿入したまま腰を大きくグラインドさせティエリアの中を味わった。
熱く窮屈なそこはロックオンにとっても久々のナマの肉体だった。
蕩けそうなほどに甘美なその感触に思わず感嘆を漏らす。
「ああ……、いいぜ、ティエリア。あったかいな、お前の」
「や、……ろっくおんっ、いうな……っ。はやく、……ぬけ」
か細い声でティエリアはロックオンの言葉の先を遮った。
はぁはぁと苦しげな息遣いも不安定で、睨みつけているはずの視線も何処か危うげに宙を彷徨う。
「はいはい。……俺も溜まってるからな、心配しなくてもそんなに保たねぇ」
苦笑しながらロックオンはティエリアの苦しげに喘ぐ口許にキスをした。
一瞬だけ舌を絡ませる。
離れる時にティエリアが物欲しそうな顔をした気がして、それがロックオンを余計に駆り立てた。
「堪らないな、お前は」
もう一度キス。唇が離れると同時にロックオンはティエリアの中のものを入り口付近にまで引き戻した。
「ふあっ、はぁああっ!」
排泄にも似たような体の裏側を異物が蠢く感覚にティエリアは仰け反り、慄く。
体に力が入らない、力を入れたらこの場で漏らしてしまうような恐怖に襲われる。
そんな場面はあってはならない、想像しただけで気を失いそうな恥辱。
ティエリアは耐え兼ねて小さく嗚咽を漏らす。
しかし、次の瞬間再び最奥まで貫かれ、その羞恥さえ消し飛ぶ衝撃が体を駆け抜ける。
今度は全身に力を込めて、衝撃に耐え凌ぐためにロックオンにしがみ付いた。
「いててっ、爪立てんな。俺はお前と違って痛いのは好きじゃないんだよ。しょうがねぇ。掴まってろ」
ロックオンはティエリアを抱き留めるとゆっくりとピストンを始めた。
突き上げられるたびにティエリアは内臓を圧迫され、あん、あんと意図せざる声を漏らす。
やがて不快だった引き抜く感触も、貫かれる苦痛も快感に変わっていくことに気がつく。
それを受け入れたくなくてティエリアはロックオンの背中により深く爪を食い込ませ、
頭の中から快楽を追い出そうと歯を食いしばり硬く目を閉じる。
だが意識すればするほど感覚は研ぎ澄まされて、
いつの間にかティエリアの頭の中は絶頂を求めることに支配されつつあった。
「は、あんっ。あふ、や・だぁ……っ。こんなのっ。……きもち、いい、なんてっ」
「はぁっ、はぁっ、……認めろ、ティエリア。お前は、こういうのが……っ、好き、なんだよ」
ロックオンの言葉にティエリアはふるふると首を何度も振って否定を表す。
けれどその言葉を否定するほど触れてもいないのにペニスから淫らな液体が溢れ出し、
アナルは快楽のために存在しているかのようにロックオンを貪ろうとより深く喰らいつく。
「やだ、……。ぃ、やだぁ……っ、や。いい、いいっ。……ひもち、ひぃ」
自分から積極的に腰を使い始めたティエリアにロックオンはスパートを掛ける。
ティエリアを抱き締めていた両手を彼の腰に回し、掴んで激しく前後させた。
支えを失い不安定になったティエリアは、ロックオンに掴まりはしているものの、がくがくと激しく人形のように揺さぶられる。
涎を垂れ流し、眼は虚ろで、性器だけが意志を持っているかのようだった。
「う、ティエリアっ。もう、でる……っ!」
ロックオンはティエリアの直腸にありったけの精液をぶちまけた。
それを感じてティエリアも大量の白濁を噴出する。
抱えられた下半身から放たれたそれは弧を描くと、ぱたぱたとティエリア自身の頬を、眼鏡を、口許を、髪を汚していった。
ぐったりと倒れたティエリアにロックオンは三度口付けて、その顔に零れている精液を更に肌に塗りこめていった。
そして耳元に囁く。
「ティエリアの、マゾ」
3.
あの後ロックオンは逢引き相手との待ち合わせに遅れると相当に慌てながら、ティエリアと共にシャワーを浴び、
再びめかし込んで出て行ってしまった。
クリスマスプレゼントの中身もろくに確認をしていない。
プレゼントを渡すというミッション自体は完了したものの、中身を喜んで貰ったかどうかの判断は難しく、
ティエリアとしては不満の残る成果だった。
しかも予定時間を大幅に過ぎてしまっている。
ロックオンに脱がされていたので衣装を汚したり紛失したりすることは無かったが、
やはり下着を失ったのは重大なミスだったようだ。
女ものの下着など所持は当然していないし、誰かから借りるというわけにもいかないだろう。
結局、ミニスカートの中身は今もノーパンである。
意識し始めるとやたらとお尻がスースーして恥ずかしいし、寒くて不快だ。
「刹那・F・セイエイさえあんなことをしなければ、こんな目に遭わなかった!
く、やはり彼は適性に欠けているとしか言いようがない!」
ティエリアは唇を噛み締めた。
残されたターゲットはアレルヤ。
ラストフェイズの開始である。
「メリークリスマス! 聖なる夜に介入する!」
ティエリアが開錠を要請するとアレルヤは満面の笑みでティエリアを迎え入れた。
「ティエリア! 丁度いいところに来たね!
やっぱりクリスマスはひとりじゃ寂しいって、ティエリアも思ってたんだね」
「勘違いをするな。これは任務であって俺の意思は関係ない。寧ろ、俺はひとりで……」
どうやらアレルヤはひとりでクリスマスを祝うつもりでいたらしい。
ティエリアは任務の説明をしようとしたが、アレルヤはティエリアの手を引いてケーキの置かれたテーブルの前に座らせてしまう。
彼の話では最初、ロックオンとフェルト、クリスらと共にクリスマスを祝うつもりでいたらしい。
刹那は異教の祭に興味はないと言っていたので残念だが除外。
所がロックオンとフェルトは急用が入ったらしく、クリスとふたりで過ごそうかと思っていたらリヒテンダールの根回しがやってきたのだ。
曰く、クリスを誘いたいので空気を読んでくれ、と。
「ティエリアのことも誘おうと思っていたんだ。だけどなかなか君と話をする機会がなくて」
実際はクリスがティエリアがいるとなんとなく盛り上がれない、と漏らしていたので誘うのを躊躇っていたのだが、
アレルヤはそれを言うわけにいかない。
何とかひとり取り繕い、まったく、と苦笑する。
「構わない。俺はそういうことに興味がない」
しかし、アレルヤの苦しい気遣いもティエリアには必要のないものだったらしい。
「興味ないといいつつ、凄い恰好じゃないか。……とても似合っている」
アレルヤは目の遣り場に困ると嘯きながら、可愛いよ、とティエリアを褒めた。
「世辞はいい。この衣装は任務のために支給されたものに過ぎない」
「でも、ティエリア。折角だ、君も任務を楽しんだ方がいいと思うな。
これは誰かを殺すとか、武力介入するとか、そんな不穏当なミッションじゃないんだし、さ」
ティエリアはアレルヤの配慮と優しさに溢れた言葉を右から左にスルーして任務についての説明をした。
経験上、アレルヤという人物は放っておくと何時間でもひとりでしゃべり続けるのだ。
「つまり、俺は君にクリスマスプレゼントを渡せはそれで充分ということだ」
ティエリアは疲れていた。精神的にも、肉体的にも疲弊している状態。だからこそ任務を終わらせ、早くひとりになりたかった。
白い大袋の中のプレゼントはあとひとつ。迷う必要すらない。
ティエリアは袋の中の品物をさっと取り出すとアレルヤに靴下を取り出させ、プレゼントの先端を無理矢理に突っ込んで手渡した。
「わぁ! ティエリア、ありがとう! か……可愛い」
アレルヤへのプレゼントはマルチーズの写真集だった。
「礼には及ばない。これでミッションコンプリートか、帰還する」
「え、もうこれで完遂なんでしょ? じゃあ少し遊んでいこうよ。
楽しいクリスマスを提供することも、サンタクロースの大事な役目だと思うな」
あくまでも冷徹に任務遂行を優先するティエリアをアレルヤは引き止めた。
ケーキを作り、みんなで過ごすためのゲームも楽しみにセレクトしたのだ。
このままティエリアすらも逃してしまうのはアレルヤにとって寂しすぎることこの上なかった。
まるで本当にサンタクロースに逃げられてしまうみたいだ。
「仕方が無い。ならば少しだけ相手をしよう」
ティエリアは疲れてはいたが、
アレルヤが刹那やロックオンのように色欲に流されたりはしていなさそうなことを確認すると、
目の前のクリームの塊を食べてから帰還しても悪くはないような気がしてきた。
まだ24時前、遅くなったとはいえ24日は終わってはいないのだ。
「ありがとう!」
アレルヤは心底嬉しそうに感謝を述べると照明を少し落とす。
テーブルの上には可愛らしいポットに入ったキャンドルが置かれていた。
ライターで火を灯すとステンドグラス細工のポットを透かしてゆらゆらとあえかな光が部屋に広がる。
キャンドルの光を受けたティエリアが本当に綺麗で、アレルヤは幸せな気分に満たされていくのを感じた。
確かにみんなでパーティをできなかったのは残念だ。
だが、お陰でこんなに綺麗なティエリアを独り占めできる。
「何を見ている」
これでティエリアがムスっとした表情を少しでも綻ばせてくれれば言うことはないのに。
「ははっ、なんでもないよ。じゃあ、始めようか」
アレルヤは心の中の声を閉じ込めてスパークリングワインのコルクを引き抜いた。
ポン! と景気のいい音が部屋に響き、ささやかなパーティの開始を告げる。
「メリー・クリスマス!」
「メリー・クリスマス」
乾杯を促すアレルヤにティエリアはぎこちなく応えた。
「……なぁんてなああああ!!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!」
突如、アレルヤのものとは思えない狂喜の叫びを聞いてティエリアは目を見開く。
驚いている間にアレルヤは恐ろしいスピードでテーブルを乗り越え、ティエリアに掴みかかってきた。
いつもの彼からは想像もつかないほど荒々しい行動にティエリアは混乱するばかりで思考が追いつかない。
「アアアレルヤぁぁああ! そんなんじゃ性なる夜とは呼べねえよなぁあああっ!!!!!!!!」
「ア、アレルヤ……?」
椅子から不自然な体勢で転ばされて軽く打撲したティエリアは痛みを堪えながらアレルヤを見上げた。
その眼は穏やかだったシルバーグレイではなく、獰猛な金に爛々と輝いている。
「ヒャハハハ! 誰だっていいだろう。てめえを犯す人間、いや、バケモノか! それに名前が必要かぁ?」
「君は……アレルヤ・ハプティズムじゃない!」
ガッ! 否定を叫ぶティエリアの腹部をアレルヤは爪先で軽く蹴り上げた。
衝撃を受けてティエリアは後方に跳ね飛ばされる。眼鏡が床に落ちた。
倒れたまま鈍い痛みが走る腹を抱え、背中を丸め咳き込む。
「ぐッ! うぐ……ゲホッゲホッ!」
「生意気なヤツだな。別になんだっていいって言ってんだろうが!
そんなに名前が必要なら名乗ってやる。俺はハレルヤ。
アレルヤ・ハプティズムの本性ってヤツだ」
ハレルヤはティエリアの前髪を掴むと無理矢理に顔を向けさせた。
真紅の瞳が敵意を孕んできっとハレルヤを睨みつけている。
「アレルヤ、お前、こんないい獲物が目の前にいるのに一人じゃなにもできねぇとはなぁ。
しかもなんだ? こんな恰好して! 大事なところも丸出しじゃねえか!」
指摘されてティエリアははっと、捲れ上がったスカートを抑え、頬を染める。
それを見たハレルヤは舌なめずりをし、スカートを抑えるティエリアの両手を片手で掴み上げた。
「今更隠すんじゃねえよ。うん? てめえだってソコ、弄繰り回して可愛がって欲しいんだろうが」
もう片方の手でティエリアの顎を掴むと顎の先から頬、目許までべろりと舐め上げる。
不快感にティエリアは寒気を感じ、硬く目を瞑った。その様子をハレルヤはクク、と嘲笑する。
「そうだ。抵抗を封じたら素直になるかも知れねえなぁ」
「な、何をするっ!」
「訊くのか? 解るだろう?」
ハレルヤはティエリアをベッドの上に放ると、彼の上に馬乗りになり、
手早く四肢を広げた形に支柱に拘束してしまった。
「く、こんなことをして! 卑劣だとは思わないのか、万死に値する!!」
「股おっぴろげて、まだそんな生意気抜かすのかよ。流石だなぁ、ティエリア」
言いながらハレルヤはティエリアのスカートを指先で摘むように捲り上げる。
露出したペニスは、しかし萎えてはおらず、寧ろ若干上を向いているように見えた。
「なんだ? お前縛られて感じてるのか……。偉そうにしてて実は変態様でしたってか! ヒャハハハ!」
「……っ!」
ティエリアはハレルヤの言葉と笑い声と、何より自身の体に怒りを覚えながらも屈辱に顔を歪めた。
ハレルヤは面白がってティエリアのペニスを掴み、扱き始める。
脚を閉じることもできず、できる抵抗といったら目を背けることくらいだった。
「っ、んっ……く、ん」
感じないように、声を漏らさないように、必死で耐える。
しかしハレルヤの陵辱はエスカレートするばかりで終わりが見えなかった。
ペニスを掴まれた手が上下する度に荒い吐息を漏らしてしまう。
そればかりか溢れ出てきた液体によってグチュグチュという淫らな音までもが部屋に響いていく。
高潮した顔を覆いたくても両手が動かせず、ティエリアはいやいやと頭を振った。
その様子をハレルヤは嗜虐的な笑みで見下ろしながら、空いている手を自分のズボンのファスナーに掛けた。
「気持ち良さそうじゃねえか。そろそろこっちも奉仕して貰うぜ」
動けないティエリアの顔にハレルヤのペニスが押し当てられる。
今日はまだシャワーを浴びていないのか、ツンと、汗とアンモニアの混ざり合った性器特有の匂いが鼻をついた。
「歯は立てるなよ? うまくやらないと……俺は短気だからな」
だが、ティエリアは口を開こうとしない。
短期だといいつつハレルヤは面白そうにティエリアの顔にペニスを擦り付けながらティエリアを弄ぶ。
先走りがぬらぬらとティエリアの秀麗な顔を汚し、性臭も強くなっていった。
「ん……んぐぅ」
耐え切れずティエリアはついに口を開くと、ハレルヤのものに震える舌を這わせた。
ロックオンのものよりも少し小さいがハレルヤの方が熱く、硬い。
凶暴なそれは大きさ以上にティエリアの口腔を圧迫し、呼吸を妨げる。
「ふぐっ、ん」
「しっかり咥えてるんだぜ?」
ハレルヤはくく、と笑いながら再びティエリアの性器に手を伸ばした。
右手で亀頭を握り掌が滑るままにぐりぐりと撫でまわしながら、左手は睾丸の影でひくつく菊門に触れる。
ハレルヤの指先が触れた途端にティエリアの体が小さく跳ねた。
「なにぃ? 後ろもイジって欲しいって? 随分な淫乱野郎だなおい」
ハレルヤはぺろりと中指の先を舐めると、ティエリアの赤く色付いた窄まりに押し当て、ゆっくりと挿入する。
「んぅう、……んうっ。んんー!」
口を塞がれたまま下の口まで侵されて閉塞感と共に強くなる快感にティエリアは高い呻き声をあげた。
もっと奥に欲しい。そんな思いが過ぎって首を振る。
粗雑な乱暴者の、品性のないいやらしい
卑劣なハレルヤに好きなようにされているのにも拘らず、確実に快感だけは高まっていく。
そのことにティエリアは失意を禁じ得なかったが、身を委ねてしまうことは許されざることだった。
そんな葛藤に構わずハレルヤは指をずぶずぶと奥に進める。
「お? なんだこりゃ」
突然、ハレルヤが頓狂な声を上げた。
「おいおいおい、ケツからなんか出てきたぜ?」
先ほどロックオンに大量に注ぎ込まれた精液が逆流してきてしまったのだ。
きたねぇなぁ、と意地悪く大袈裟に引いてみせるハレルヤ。
知らされてティエリアは一瞬頭の中が真っ白になる。
脳が空白から意識を取り戻すと同時にもう駄目だ、と恥辱に涙腺が緩みそうになった。
だが、此処で泣いてしまったら傷ついたプライドは崩れ落ちてしまうだろう。
涙を零さないようにぐっと堪えた。
しかし、ハレルヤはサディスティックな表情でニヤニヤと笑いながら、咥えさせていた自身を引き抜く。
そしてベッドから降り、スパークリングワインの瓶を手に取った。
「……! な。なにを……」
「そんなもん、お前。掃除に決まってんじゃねえか。ヒャハハ!」
掃除、と聞いてティエリアは一瞬何のことか解らず、赤い瞳をきょとんと丸くした。
だが、瓶の口を親指で押さえ振るハレルヤの意図に気がつくと
羞恥で紅潮していたはずの顔を蒼白にして引き攣らせる。
「や……やめろ、そんなっ! 無理だ……っ」
「ほーら、乾杯だ! メリー・クーリスマース! ヒャーハハハハハハハ!!!!!!!」
瓶の口が押し当てられ、次の瞬間冷たい噴射と共に異様な熱がティエリアの体を貫いた。
ブシャアアアッ!
迸る炭酸を孕んだアルコールが飛沫を上げながら直腸を駆け抜け、内臓を蹂躙する。
「ひ、ああああああああああああああああっ!!!」
目を見開き、紫の髪を振り乱して叫びを上げてのた打ち回るティエリア。
顔を歪ませ苦痛から逃れようと四肢を振り暴れる。
きつく拘束された手首足首を余計に強く縛り上げるだけでベッドを揺らす効果くらいしか得られないが、
そんなことを考える余裕はなかった。
「ううっ、あああ……っ。うっ、あっ。あ……う。は、あはっ。はぁ、はぁっ」
瓶の中身が尽きたあとも焦点の定まらない瞳を泳がせながら嗚咽を漏らし、
最早堪えるどころではなくなった涙を止め処なく流す。
しかも粘膜に直接吸収されたアルコールが体を廻り、急速に酩酊が脳を襲う。
異常な動悸が心臓を壊してしまいそうだった。
「おいおいおい、もうダウンか。冗談じゃねえ、まだこれからだろう? ティエ…リア」
それを小馬鹿にした笑みで見ていたハレルヤだったが、不意に、表情を変える。
「ハレルヤ! もうやめるんだ、こんなこと」
「邪魔すんなよいい所なのに。俺はお前がやりたくでできないことをやってやってんだぜ?」
金の瞳で宙を睨みながらハレルヤは怒っているような、宥めるような、不機嫌な声で言葉を続ける。
「それでも、良くない。やめてくれ!」
「……ち、わぁったよ! お優しいアレルヤ様には敵わねえな! 偽善者が!」
ハレルヤの瞳から獰猛な黄金の輝きが一瞬、前髪に隠れる。
「ああ……。ごめんね、ティエリア。一緒に過ごしたかっただけなのに」
荒く息を吐きながら虚ろな様子で倒れているティエリアの拘束を解きながら、アレルヤはティエリアに何回も謝った。
その目はいつもの穏やかな銀色の光を湛えていた。
「アレルヤ・ハプティズム……」
アレルヤがせめて汚れてしまった体を拭いてやろうとティエリアを抱き起こした時、
唐突にティエリアが口を開いた。
「気がついてたの? ティエリア」
「……体が、あつい」
意識を取り戻さなかったらどうしようと危惧していたアレルヤはほっと胸を撫で下ろしたいところだったが、
ティエリアの様子がおかしいことに気がついた。
覗きこんだ瞳に剣呑な光が浮かんでいる。
「だい、じょうぶ? うわっ」
ティエリアの手がアレルヤの股間に伸びた。
アレルヤはびっくりして手を払いのけたが、しかしティエリアは執拗にアレルヤのズボンを引っ張る。
「だ。駄目だよティエリアっ」
ズボンを抑えながらアレルヤは制止するが、ティエリアは小首を傾げ、
赤い顔で『何故?』とでもいいたそうな表情をした。
それが妙に可愛らしく、色っぽい。
「酔っ払っているの?」
そういえばティエリアの白く透き通る肌が今はピンクに染まっている。
アレルヤがズボンを抑えて離さないことに業を煮やしたティエリアは、
むすっとした顔で今度はアレルヤの股間に頭をうずめた。
ファスナーを下ろすこともせず、黒い布地の上から唇でなぞり、熱い吐息を吹き込み、甘噛みする。
「あむ……ふ、ん」
「駄目だって……まったく、君は」
そういいつつ、アレルヤはズボンの前を確実に大きく膨らませる。
その先端に口付けをしながら、ティエリアはアレルヤの手を掴み、自らの股間に導いた。
酩酊に火照っている皮膚以上に熱く、硬く主張するティエリア自身をアレルヤは戸惑いがちに指で触れる。
「んっ」
ビクッと震えてティエリアはアレルヤを見上げる。
半開きの唇から赤い舌を覗かせぬらぬらと光って、とろんとした大きな赤目は色欲に潤んで。
白い頬に汗で紫の髪が貼りついて、それがなんとも言えず艶めかしい。
「ティエリア、解った。一回だけだよ」
アレルヤは困ったように頷くと、ベルトに手を掛けた。
カチャカチャと鳴るベルトの下でティエリアがファスナーを咥え、ジー、と下ろす。
ぶるん、と震えて姿を現したアレルヤのペニスにティエリアが舌を這わせようとすると、
アレルヤはティエリアの髪を撫でて顔を上げさせた。
「そんなことしなくてもいいよ。君の顔が汚れる」
そしてティエリアの目許に口付けると、両手で彼の陰部を攻め始める。
ティエリアの陰茎も後孔も触れるたびにグチュグチュと音がするほど、既に濡れそぼっていた。
入り口を粘液を纏わり付かせた指で弧を描くように撫で回しながら解すと、
ティエリアの方から腰を落として指を飲み込もうとする。
その貪欲さにアレルヤは、再び『まったく』と嘆息すると、指を突きたて、ゆっくりと挿入していった。
「あ、……あ、あ。……ふ。……、あ」
びくびくと震えながらティエリアはアレルヤの厚い胸にしがみつき、小さく高い声を漏らす。
「指、増やしても大丈夫?」
「……だ」
微かな声でティエリアが訴える。
「なに? 聞こえないよ」
「指じゃ、やだ」
頬を染めて目を逸らしながら懇願するティエリア。
それを見てアレルヤは少しだけ意地悪をしたくなってしまう。
ハレルヤは引っ込んだはずなのにな、と自嘲しつつもティエリアの反応が見たくて言葉を続けた。
「じゃあ、なにがいいの?」
「……く。言わせるのか」
困ったような怒ったような顔をしてティエリアはアレルヤを睨む。
「…………っ」
「わかった、言わなくていいよ。ごめんね、意地悪をした」
アレルヤが柔らかく笑う。ティエリアは少し、悔しさを感じてぷいと横を向いた。
その耳元にアレルヤは囁く。
「じゃあ、自分で入れて御覧」
ティエリアの手を引きながらアレルヤが仰向けに転がる。
引っ張られてティエリアはアレルヤの上に跨った恰好で固まった。
「ティエリア」
「わかっている!」
促されてティエリアはアレルヤの屹立に腰を落とした
「く、ン……!」
「う……ティエリアっ。……はいった、ね」
結合したまま体内のペニスの感触を確かめているティエリアの汗の浮かんだ額をアレルヤは撫でる。
「……だまれ……っ。動くぞ」
宣言してティエリアが腰を浮かせ、下ろす。
その度にぱちゅんぱちゅんと水音が響き、淫猥な空気が部屋を満たしていく。
「あ。はんっ、はんっ。ん、あん」
内臓が押し上げられ肺に篭った空気と共に声が押し出され、
あられもない声がティエリアの口から呼吸とともに発せられる。
快楽の高みを目指し一心不乱に腰を振るティエリアにつられ、
アレルヤもまたティエリアを突き上げずにはいられなかった。
ふたりの肉と肉の間、粘膜と粘膜の間にはどちらのともつかない粘液が溢れ、
糸を引き、弾けて雫と飛ばす。
弾む息も嬌声も渾然一体となって絶頂へと駆け上がっていく。
「あ、あっ、……いく、いくっ」
「ティエリア、いいよ……いっていいよ」
ティエリアの体が一瞬硬直し、ふるっと震えた。
アレルヤの逞しい胸に白濁を吐き出しながら、恍惚とした表情を浮かべる。
そのあまりにも妖艶な姿を見てアレルヤはティエリアから自身を引き抜く間もなく、精を放った。
そして、そのままティエリアはアレルヤの上に崩れ落ちると、
すぐにすーすーと寝息を立て始めてしまった。
5.
「おら、おきろーーーーーーーーーーー!!」
「刹那・F・セイエイ、介入行動を開始する!!!!!!」
「わああああああああああああああ!!!! なななななななな、なんなんだ君たちはっ!!!」
突然の武力介入にアレルヤは頭を抱えてベッドから跳ね起きた。
頭に大きなたんこぶが生えているのが解る。
涙を噛み締めながら見上げた先には刹那とロックオンが腕を組んで仁王立ちしていた。
「ちょ、ロックは!? 鍵かけてあったはず?」
もう何がなにやら解らない。
何を質問していいかも解らないアレルヤはドアとふたりを交互に見ておろおろしている。
「そんなもんハロに掛かれば数秒だ」
「そんな馬鹿な! ていうか、なんでふたりとも、此処に?」
やっと本来質問するべきことに辿り着いたアレルヤにロックオンがにたぁ~っと意地の悪い笑みを浮かべる。
「さっきティエリアが凄い悲鳴上げてたろうが。心配して様子見にきてみたら……お前~」
「す、凄い悲鳴?? ハ・ハレルヤがでてた時の??? じゃあ、何? それから見てたの??」
死ぬほど動揺しながら問うアレルヤにロックオンは腕組みをしたまま、うんうんと首肯した。
「アレルヤはずるい。俺もそこまではやっていない……」
刹那が恨みがましい目付きで睨んでいる。
聞かされた事実にアレルヤは真っ赤になって真っ青になって精神崩壊した。
「コイツはほっといて、おい刹那。お姫様を起こしてやろうぜ」
「了解」
「おい、ティエリア。そんな恰好で寝てたら風邪引いちまうぜ」
「替えの服。貰ってきておいた。パンツも」
汚れたワンピースのまま横たわるティエリアは目を擦りながら、心配そうに覗き込んでいる刹那とロックオンを見た。
「君たちは……。いけない。任務がまだ。今何時だ? 24時は」
ティエリアははと気がついて、慌てて時間を確認する。
「地球時間のグリニッジ標準時ならもう、回った。25日だ」
「なんてことだ!」
24日中にこなさなければならないミッション。
既にコンプリートしているとはいえ、まだ作戦室に帰還はしていない。報告もしていない。
「くっ……。これと言うのも君たちが、君たちが余計なことばかりするからっ!」
俯いてヴェーダ、ヴェーダと呟くティエリアの頭を刹那がぽんぽん、と、優しく叩いた。
それをティエリアは爪を立てて払いのける。
「おいおい、ティエリア。刹那に八つ当たりすんなよ。もう任務は完遂しているじゃないか。よくやったぜ」
「しかし、完全とはいえないっ」
労いを拒否してティエリアは再び俯いてしまう。
「ティエリア・アーデ」
そのティエリアを覗き込みながら、刹那は1/100エクシアを懐から取り出す。
「プレゼント、俺は、嬉しかった」
刹那の真っ直ぐな瞳が目を逸らすことしかできないティエリアを射抜く。
「だってよ。それでいいじゃねえか。お前はサンタだろう?」
「俺が選んだわけじゃない……」
「関係ないだろ! さあ、さっさと体洗って着替えてこい! その間に片付けするからさ。刹那、手伝ってやれ!」
いつまでも項垂れているティエリアをロックオンが強引に引っ張り、抱き上げて刹那に押し付けた。
刹那は頷くと、ティエリアの手をしっかりと掴みバスルームに連れて行く。
「そしたら、パーティだ。みんなでクリスマスしたかったんだろ? アレルヤ」
部屋に残ったロックオンは廃人のように真っ白になっているアレルヤに向かってウィンクをした。
6.
翌朝、オペレーションルーム。
ティエリアは眠い目を擦りながら、スメラギに報告書を提出した。
「昨日は随分遅くまで遊んでたみたいじゃない。私の危惧も取り越し苦労だったかしら」
報告が遅れたというのにスメラギはいやに上機嫌でティエリアは首を傾げる。
そうしている間にヴェーダから次の指示がもたらされた。
「あら。ティエリア」
「はい」
「ヴェーダの評価はかなりいいわよ。やはり、このミッションは貴方に相応しかったみたいね」
ティエリアはまた不可解そうに眉間に皺を寄せたものの、
ヴェーダから高評価を受けたと聞き、悪い気はしなかった。
「そこで」
「次はお正月に、マイスターズにお年玉を配ってもらいます!
支給されるコスチュームは、私の予報だと『巫女服』ね!」
モニターに肩と腰の部分の露出がやけに多いデザインの巫女服が表示される。
それを見てティエリアは眼鏡のブリッジを押さえ、内心、溜息をいた。